おっぱいとお薬その56『タケプロン®OD』(’改訂版)
『タケプロン®OD』は消化性潰瘍治療薬の一種であるプロトポンプ阻害薬です。
プロトポンプを阻害することで、胃内pHを上昇させる働きがあります。
プロトポンプ阻害薬のうち、“ランソプラゾール”というお薬の商品名が『タケプロン®OD』なのですね。
『タケプロン®OD』は、授乳に際しては可能ではありますが、注意が必要なお薬でもあります。(半減期が1.5時間)
その理由は授乳中のお母さんに関するデータがまだ無いからです。
ちなみに、プロとポンプ阻害薬には、“ランプラゾール”の他に“オメプラゾール”というお薬があります。
こちらはプロトポンプを阻害することで、胃酸分泌を強力に抑制する働きがあります。
“オメプラゾール”というお薬の商品名が『オメプラール®』なのですね。(ちょっと紛らわしい・・・)
こちらの『オメプラール®』も授乳に際しては可能ではありますが、注意が必要なお薬でもあります。(半減期が1時間)
授乳中に服用可能であるという理由は、これらのお薬は半減期が短く、おっぱいに出て来る濃度がごく僅かであると考えられているからです。
何故おっぱいに出て来る濃度がごく僅かと考えられるのかといいますと、服用したお母さんの胃液の酸で分解されるからです。
尚、どちらがより安全なのかという点については、プロトポンプ阻害薬の処方が必要とされるなら、“ランソプラゾール”よりも“オメプラゾール”が優先というか第一選択とされています。
その理由は授乳中のお母さんに関するデータが僅かながらもあるからです。
“オメプラゾール”つまり『オメプラール®』は、お母さんが毎日20mg内服したとして、赤ちゃんが摂取する最大量は3μg/kgに過ぎないということが判明しています。
(念のために申し添えますが、1gの1/1000が1mg。 1mgの1/1000が1μgですね。)
追記:2011年8月8日に元BFH認定病院で勤務された経験のある、くりむさんという方(薬剤師さん)から記事を補足するコメントを頂きました。
ご本人のご承諾を得ましたので、ほぼ原文ママにて追記させていただきます。
たまたまですが、お薬の記事を読んでいて、気になったのでコメントさせていただきます。
PPI を服用しなければならないほど、胃の調子が悪いなんて、ママはとても苦しい状況ですね。
なぜなら、PPI は、胃薬のなかでもかなり強いランクにあたり、本文の通り、母乳移行のデータが揃っていないので、普通の胃炎であればもっとクラッシックなものを使うことが多いのです。
なので、処方医はママの症状をすごく心配されて処方されたか、母乳育児に興味がないかのどちらかだったのでしょう。
さて、本文中の記述で、誤解があるようなのでコメントさせていただきます。
ランソプラゾール、オメプラゾールともに、胃酸で失活します。
なので、製剤化するときに胃酸では溶けず、腸で溶けて腸から吸収されるように工夫がしてあるのです。
これらの半減期は短いですが、効果は長く続きます。
なぜなら、胃酸を押さえるためのスイッチ(受容体といいます)に結合して作用するのですが、その結合時間が長いからです。
なので、血液中からなくなるけど、効果は長く、強く続くのです。
また、一般的な話をしても、おっぱいには血液に入ったお薬が出てくるので(←内服薬は胃や腸で吸収され、血液に入ります)、胃酸によって一度上がった血中濃度が左右されることはありません。(2011年8月11日22時44分)
最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'
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