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2013年2月の記事

2013年2月28日 (木)

「ワンタフト®」を使ってみてね♪(改訂版)

歯科・口腔ケア領域に明るい方は「あぁ、あれね。」とご存知かと思います。
虫歯予防は磨き残しのない磨き方のマスターが大きな要素となりますが、この、「ワンタフト®」って、凄いのです。

デンタルフロス使ってるから要らないって?

NONO,違いますよ。
1本ずつ磨く歯ブラシなので、下顎の前歯の内側の面とか、磨き難いトコロもすいすい磨く為の歯ブラシなのですよ。

「ワンタフト®」で磨いてから、普通の歯ブラシで磨いたら、磨き残しは激減します。
普通の歯ブラシで磨いてから「ワンタフト®」で磨いてもいいのですが、やってることは同じでも、手間(面倒臭さ)がかかったような印象になります。

ですので、私は「ワンタフト®」⇒普通の歯磨きの順番が良いと思います。

そうそう、この「ワンタフト®」、赤ちゃんの仕上げ磨きに大きな威力を発揮します。
是非ともゲットされ、毎日ご活用くださいませ。

哺乳ストライキ6

他院で出産されたお母さんのDさんがおよそ5ヶ月振りにSOLANINの勤務先の母乳外来を再診されました。

前回は、マタニティーブルーで、殆ど育児放棄状態だった方です。

その後は母乳育児を頑張っておられましたが、身内の方の不幸や、お母さん自身がぎっくり腰、腱鞘炎になられ、現在も治療中とのこと。

旦那さんは帰宅が遅く、そのため赤ちゃんがお父さんに全く懐かず、抱っこもしてもらえないそうです。(抱っこしても号泣するので、結局お母さんが抱っこせざるを得ないのですね。)
そのことを、保健センターの4ヶ月健診でドクターに相談したら、「母子密着し過ぎだから、もっと赤ちゃんから離れなさい。」と言われるも、ご実家のおばあちゃんはお仕事をしておられるので、平日は連れて行けないし、手助けは望めない。

健診のドクターから、自分がこれまで必死に頑張ってきた育児を全否定されたようで気分が落ち込み、どうにか毎日をやり過ごすので精いっぱいだったそうです。

それだけでも大変なのに、今度は赤ちゃんが尿路感染症になり、2週間近く入院となって、点滴の影響かおっぱいの飲み方が少なくなり乳腺炎になり、やっと治ったかと思ったら、ドクターから「赤ちゃんに心雑音が聞こえるから、退院後時期を見て検査が必要です。」と言われてまたまたショック。それでも頑張らなくてはと思っていたが、とうとう赤ちゃんが哺乳ストライキになってしまったということでした。この他、うんちの性状、離乳食の勧め方についても相談したいとのことで受診されました。

ひとりで抱えるにはしんどすぎますね。
ここまで問題が山積しては・・・
心が折れても仕方ない。
とにかくDさんのお話を聞き、ひとつづつ、どうしていくかを一緒に考えていかねばなりませんでした。

哺乳ストライキは内服薬(セフゾンドライシロップ細粒という抗生物質)を全く飲み込んでくれないため、搾乳に混ぜて飲ませようとしたら、それ以後おっぱいそのものを飲んでくれなくなって焦っているとのことでした。

あ~これやっちゃ、ダメなんですよね。
ミルクだけ飲んでいる赤ちゃんでも、してはいけませんです。

まずは、赤ちゃんに謝って、赤ちゃんが寝ぼけている時におっぱいをあげることからはじめることに決めました。

おっぱいとお薬その59『ダ―ゼン®』(改訂版)

『ダ―ゼン®』はセラペプターゼを成分とする消炎酵素のお薬で、この手のお薬では先発薬でした。
これは塩化リゾチームと同じ働きをするお薬でした。

小児科領域でも処方されるお薬のひとつでもありました。
授乳中の注意点は特にないお薬でした。
帝王切開の術後から鼻炎、乳腺炎に至るまで、多岐にわたり処方されるお薬でした。

ん?「なんで記事が過去形なの?」
実はこの『ダ―ゼン®』、発売元の武田薬品工業さんが、プラセボを対照とした二重盲検比較試験で薬効が証明できなかったという結果が出たため、2011年自主回収され、市場から消滅しました。(後発薬はまだ存在しますがね。)
1968年から40年以上出回っていたお薬なのですが。(汗)
ううむ。
それってどうなんだろう?
処方していたドクターもされていた患者さんも、今更ながら複雑な心境でしょうね。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

お勧めしたい書籍『アエラウィズベビー10月号』

今月は厳密に言えば、雑誌であり、書籍ではないのですみません。

手前味噌で恐縮ですが、9月中旬発売の隔月刊誌『アエラ ウィズ ベビー10月号』には別冊でスペシャル付録として、『最強母乳外来』第1弾&第2弾のお試しブックが付いています。
スペシャル付録が付いていて、価格はいつもと同じですから、お得ですよ♪

特集の「ちゃんとしつけができるママですか?」は、とても面白く読めました。
はぁ~、この記事は長男が生まれた時に読みたかったなぁ・・・

『アエラ ウィズ ベビー』という雑誌には、赤ちゃん雑誌全般から俯瞰(ふかん)すると、立ち位置的に、何となくちょっとお硬い印象があるかもしれませんが、ちっともそんなことはないです。

共感できる本音トークもあるし、絵や図表も多用されていて、分かり易いです。

個人的には、編集スタンスが、お母さんの気持ちに寄り添いつつも、一本芯が通っていて、ヘンに阿(おもね)たりしないトコロに好感が持てますね。

最強母乳外来-アエラウィズベビー10月号表紙
《定価は680円》

お近くの書店様でも、ネット書店各店でも販売していますので、是非手に取ってご覧ください。(探せばバックナンバーの在庫があるかも?)

「書籍を持っているから、スペシャル付録は要らないなぁ。」という方は、母乳育児で悩んでいらっしゃる周囲のママ友に、スペシャル付録をプレゼントしてあげたら喜んでいただけるかもしれませんよ。

ブログ読者さんの中で、書籍を買うかどうか迷っていらっしゃる方、取り敢えず雑誌のスペシャル付録をお読みいただいて判断されては如何でしょうか?

2013年2月27日 (水)

軍配は「歯科専売キシリトールガム」です。 (改訂版)

みなさんは市販のキシリトールガムを購入する際、成分表のキシリトール含有量を確認して買っていますか?
市販のキシリトールガムはリニューアルの度に、キシリトール含有量がジワジワと減量していることに気が付いていましたか?
・・・その理由はですね、キシリトールのお値段が高いからなのです。

歯科的にはキシリトールの効果を発揮するには、『炭水化物』に対するキシリトールの割合が50%以上でないと、NGであることを知っていましたか?
(計算式は単純で、成分表の『炭水化物』の含有量を2で割った値よりも、キシリトールの含有量が大きければいいのです。)
しかし、市販のものではキシリトール50%以上の含有量のガムが殆ど存在しません。

しかも最近は『クエン酸』入りや『果汁』入り等のキシリトールガムが販売されています。
これが何を意味するか、分かりますか?
『クエン酸』や『果汁』のpHって2〜3と、かなりの強酸性なのですよ。
つまり歯のエナメル質が、脱灰しやすいってこと。
良かれと思って、知らずにこれらの市販のキシリトールガムを噛んでいたら・・・?
あと、甘味料の問題も有ります。
私は個人的にはあまり気にしない法ですが、中にはゼロや低カロリー甘味料は避けたい方も居られるかと思います。
市販のキシリトールガムの甘味料は、スクラロース・アセスルファムカリウム・エリスリト―ル等が使用されています。

これは私の穿った見方かもしれませんが、どうも市販のキシリトールガムのメーカーさんは「キシリトールの含有量の意味なんて、誰も気にしてなんかいないだろう。」と、タカをくくっているとしか思えません。

消費者を舐めているんじゃなかろうか?
歯科専売品はキシリトール
100%のガムです。

ちなみにキシリトールの推奨摂取量は5g以上/日です。
市販のキシリトールガムの場合、50%のものであっても、5g/日摂取するには、毎日ほぼ1箱は食べなくては効果が無いのですね。

市販のキシリトールガムは1箱(=1日あたり)100円くらいしますから、1ヶ月で3000円。
旦那さんとペアで6000円/月。
たっ、高過ぎるっ!

その点、歯科専売のキシリトールガムの場合、4粒/日で5g以上摂取出来ます。
オ―○ル○ア社のものは、“歯科衛生士との共同開発”とのキャッチコピーが付いています。

価格は確かボトル入り980円で、85粒=21日分入っていますから、1日あたり46.66円と市販のキシリトールガムの半値以下で済みます。
歯科専売とありますが、罹りつけのクリニックで取り扱いが無くても、お手軽にネット系ドラッグストア等で購入できます。

噛む手間・顎にかかる負担・効果・コストパフォーマンス等、どの項目も、キシリトールガムは市販のものよりも歯科専売に軍配が上がりますね。
お味はクリアミント・アップルミント・マスカットの3種類あります。
(うち、マスカットはフルーツガムです。ミントガムが噛めない方でも大丈夫です。)

5分間以上噛むと効果的なので、歯科専売のキシリトールガムは市販のよりもガムベースが硬くなっているのが特長です。(=フニャンとしていません。)
ですので、SOLANINがお勧めするのは、市販のものではなく、歯科専売キシリトールガムなのです。

哺乳ストライキ5

この記事を再アップする時期には未だ早いですが、蒸し暑くなる梅雨の頃から、じわじわと発生するのが、「ヘルパンギーナ」や「プール熱」「手足口病」などの、喉が腫れたり、喉にブツブツや潰瘍ができたりする病気(夏風3兄弟 by SOLANIN命名)です。

集団生活をしている上の子さんがおられると、かなりの確率で園から”仕入れて”しまわれるので、赤ちゃんも、もらってしまいがちです。

これらの病気に共通するのは、喉の痛みがハンパなく強いのです。
オレンジジュースなんて、絶対に飲めません。

離乳食の内容も、喉にしみないような、つるんと入るものでないと食べてくれません。

例えば、「ポタージュ」「バナナプリン」「さつまいものクリーム煮」「ところてん」(三杯酢はNGですぞ)「煮やっこ」などがいいでしょう。

おっぱいは本来喉に沁み難い筈ですが、どうにもならなくて、ストライキになることも稀ではありません。

1歳以上のお子さんですと、それを機会(?)にどさくさ紛れの卒乳をしちゃうお母さんもおられますが・・・あまりに呆気なく、如何なものかという気もします。
続ける意思があるならば、搾乳して、お食事に混ぜて「食材」にしてしまうのがいいです。
症状自体は数日で軽快しますから、まだおっぱいを手放したくないなら、言い聞かせをしつつ、そうやって乗り越えましょうね。

きっと、戻ってきますから。

おっぱいとお薬その58『レミケード®』(改訂版)

『レミケード®』は抗リウマチ薬の一種です。
抗リウマチ薬には様々な種類のお薬があります。
『レミケード®』以外の他の抗リウマチ薬はあまり情報が無いので分かりませんが、このお薬はインフリキシマブなので、おっぱいをあげ続けることが可能です。
インフリキシマブは分子量が巨大ですから、お母さんの血管内に留まります。
それはつまり、母乳中に移行しない(=検出できない)レベルだから、母乳育児と両立出来ることを意味するのですね。

万一赤ちゃんのカラダに『レミケード®』が入っても、赤ちゃんの消化管で壊されてしまうモノなので、赤ちゃんの体への影響は心配ないのですね。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

赤ちゃんのネンネしているお部屋、寒くないですか?

新生児は体温調節が未熟です。
そんなことは、とっくに承知していますよ・・・ですか?
まず最初に押さえておきたいのは、新生児の体温(いわゆる平熱)が、36.5~37.5度であることです。

それはみなさんご存知ですよね。
赤ちゃんは暑い・寒いを訴えられませんから、いつも傍に居るお母さんが気にかけてあげましょう。
沐浴の前と、後もう1回くらい(可能であれば半日くらい間隔を空けて)は体温測定してくださいね。
体温を計らない時でも、手首・足首よりも、カラダの中心側(つまり、腕ならば前腕、脚ならば脛や脹脛)を触ってみて、お母さんの手よりも冷たくなっていないか、確認してください。

仮に36.5度以上の体温があっても、それらの部位が冷たかったら、赤ちゃんは不本意にも「寒中我慢大会」に参加していることになります。

速攻で温かくしてあげてくださいね。
将来サッカーでもさせたいくらい脚のよく動く赤ちゃんは布団を蹴り飛ばすので、レッグウォ―マ―をしてあげるのもいいですね。
新生児ちゃんと一緒に退院されたお母さんに是非とも体感していただきたいことがあります。
赤ちゃんとお母さんが過ごすお部屋が暑すぎたり寒過ぎたりしないかということを確認してほしいのです。
寒暖計をチェックするはもちろんですが、退院間際まで着ておられたパジャマをお家に帰って直ぐに着替えてほしいのです。

着替えた状態で「なんだかパジャマ1枚では寒いわね。カ―ディガンか半纏でも羽織りたいくらいだわ。病室は今よりも暖かかったわ。」と感じる場合、ハッキリ言って赤ちゃんのお部屋としては寒いです。
暑がり屋さんのお母さんで、「病室は暑いくらいだったけれど、お家の室温が丁度だわ。」と感じる場合も、赤ちゃんのお部屋としては寒いです。

体感温度に着目してください。

2013年2月26日 (火)

蓄膿症は我慢せず、早めの治療を!(改訂版)

ありゃりゃ?蓄膿症の記事なのに・・・
カテゴリーが「☆歯科・口腔ケア関係」って・・・むはは、SOLANINめ、カテゴリー仕分けを間違えたな!と思ったアナタ、まだまだですぞ。(笑)

どういうことかと申しますと、蓄膿症という病気、そう、耳鼻咽喉科領域のあの蓄膿症ですが、(ワンちゃんの子宮蓄膿症ではないですぞ。念のため。)当然鼻が詰まっている状態が続く訳ですから、常に口呼吸になってしまいますね。
口呼吸すると口腔内が乾燥しますね。
唾液による口腔内の潤いが鼻呼吸に比較してが相対的に少ない状態になりますね。
ということは、虫歯菌や歯周病菌にとっては仲間を増やすのに有り難い状態になるのです。
そう、“敵に塩を贈る状態”になってしまうのですね。

蓄膿症は妊婦さんも赤ちゃんのお母さんも乳幼児でも等しく歯科・口腔ケア領域でのリスクファクターになるのです。
ですので、蓄膿症くらいと放置せずに早めに治療をしていただきたいのですね。

一旦治っても、風邪引いたらぶり返すのが蓄膿症ですから、ギリギリまで我慢せず、早いうちに治しましょうね。

『抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬』『抗菌薬』が処方されますが、授乳中でも通常は内服&点鼻薬共に大丈夫です。

強いて言うなら『抗菌薬』はこの間の記事にもあるように『ニューキノロン系抗菌薬』は避けてもらった方が無難です。(「じゃあ、抗生物質処方しますね。」と、ドクターに言われたらその場ですかさず「先生、そのお薬、ニューキノロン系じゃないですよね?」と、確認すること。これ重要ですぞ。)

『ニューキノロン系抗菌薬』とて、症状が酷くなければ、通常一発目の処方からチョイスされることはない筈でしょうから、具合が悪ければ早めに対処するのが賢いやり方かと存じます。

早めに対処すれば、症状が落ち着くのも早くなるから、服用期間もダラダラ長期化せずに済みますからね。

片方からしか飲んでくれなくなった!

果して人間は片方のおっぱいだけで赤ちゃんを育てられるのか。

全員かどうかは何とも言えませんが、双子ちゃんでも、乳がんの手術で、片方の乳房が授乳出来ない方であっても、完母のお母さんはおられますから、恐らく量的には足りると言ってもいいのでしょう。

しかし、実際問題、片方からしか飲んでくれないと、乳房のサイズが左右で極端に違うようになります。
見た目も、下着のサイズ決めも、肩凝りの度合も、色々と不都合を来たしがちですから、何とかして、両方のおっぱいを飲んでほしいですよね。

過去の記事で、《利きおっぱい》のお話をしました。
あの記事の補足も兼ねて記事を続けますね。
まず、原因として考えられるのは、乳頭形態の違いで、赤ちゃんが飲みやすい方と飲みにくい方がある場合。
ポジショニングが合わなくて、窮屈な姿勢で飲まされている場合。
たくさん分泌する方ががっつり飲めるから好きな場合。
逆にたくさん分泌すると、むせて苦しいから嫌いな場合。
乳腺炎などのため、味に左右差があり、不味い方が飲みたくない場合。
・・・などが考えられます。
対策としては、難しい乳頭の方を先に飲ませる癖をつける。
但し、仰け反るくらい嫌がるならば、ぐずりが酷くない時、寝ぼけているか、ウトウトしている時にだけでも飲ませる。

ポジショニングを変更する。
たくさん分泌する方を1~2分間だけ吸わせ、即反対側に切り替える。(たくさん出る方を好む赤ちゃんならば、吸啜刺激で反対側が湧き出せば、イラッとしなくて済むから。)たくさん分泌する方を嫌がるならば、出方の少ない方からあげて、たくさんの方は予め、先搾りして噴出さないようにしてから飲ませます。

味が不味いのならば、まず赤ちゃんに謝ってください。
少しでも不味い方を飲んでくれたら、有難うと、褒め言葉を忘れずにね。

それでもどうしても飲んでくれなかったら、搾乳して分泌を維持します。
月齢の小さい赤ちゃん(新生児とか)でも、赤ちゃんはコップでグイッと飲めますから、ひと手間かけてやってくださいな。

そのうち、何がきっかけかは分かりませんが、ある日突然に飲み始めることもあるのですから。

おっぱいとお薬その57『プリンペラン®』(改訂版)

『プリンペラン®』はメトクロプラミドというお薬の商品名です。

胃炎、消化機能異常(嘔気・食欲不振・腹部膨満感)、乳幼児の嘔吐症や妊娠悪阻の際等に処方されます。
評価については難しいのですが、赤ちゃんがおっぱいを通して摂取するお薬の量は少ないので安全と思われるという説と、赤ちゃんに影響があるという説もありますが、この警告を実証する研究はまだ無いようです。
アメリカ小児科学会では「注意を要する。」とされています。

ただ、臨床的には長年、乳幼児の嘔吐症や妊娠悪阻の際処方されています。
特に妊娠悪阻では経口摂取が困難な妊娠初期の入院加療中の方の点滴内に混和して処方されます。

幾つかの病産院では乳汁分泌促進という裏技を利用して、おっぱいの立ち上がりの遅いお母さんに処方することがあります。

私の勤務先では過去10年間で1人だけ、口唇の端がピクピクしたり手先が震えるというお母さんと、妊娠前に『プリンペラン®』に対し、過敏症であることが判明していた数人の方は服用困難でしたが、それ以外の方は、怖い副作用には遭遇していません。(赤ちゃんへの影響が指摘されていますが、私の勤務先ではそのような事例には遭遇していません。アメリカで過去2例、子どもがおなかの不快感を訴えたというものがあるそうですが。)

ちなみに『プリンペラン®』の半減期は2.5~5時間です。
強いて副作用を挙げるとしたら、私は聞いた分で最多(っていううか、殆どのお母さんが仰るには)胃がスッキリしてやたらとおなかが空いて、お食事がとても美味しく感じられることです。
食の細いお母さんであっても、わりとしっかり食べられたり、早喰い傾向のあるお母さんであっても、胃もたれが少ないという自己申告を受けています。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

今になってタンデム授乳が辛くなったきた。(上3歳・下8ヶ月)

<ご相談内容>
タンデム授乳中です。
上の子は3歳で、下の子は8ヶ月で、離乳食はボチボチ食べられるようになってきたので2回食にしようかなと思っているところです。
最近になって特に強く思うようになってきたのは、「上の子に飲ませるのがイヤ」ということです。

基本的に下の子優先ルールは守ってくれるのですが、最近は「(下の子が)ご飯食べるようになったから、一緒でもいいよね?」と聞いてきます。
上の子の言い分は、正論だと頭では分かっています。
分泌量はそこそこあるので、量的な心配は無いのですが、気持ち的にイヤなのです。
なんていうか、上の子が当然の権利みたいにおっぱいを飲むのがずうずうしく思えてくるようになったのです。
下の子が小さかった頃は、上の子への授乳がイヤになったことはありませんでした。
今になってそういう風に思ってしまう自分に嫌悪します。

<SOLANINの回答>
タンデム授乳が始まってまだ赤ちゃんの月齢の若いうちに上の子さんへの授乳の際にイヤな感じがするのは、立場の弱い赤ちゃんを守るための本能のようなもので、恐らく何らかのホルモンが関与しているのではないかと考えられています。

相談者さんの場合はそうではなく、赤ちゃんが8ヶ月にもなった今になって、なぜこういう気持ちになるのか?と、戸惑っていらっしゃるようにお見受けします。

栄養摂取の主体はまだおっぱいであるにしても、2回食になり、おっぱい以外の方法でも栄養摂取が出来つつあるようになっているわけですから、先に述べた状況とは少し違いますね。
誤解を恐れずに申し上げれば、相談者さんは、上の子さんのおっぱいに対する態度や様子、そして、周囲の無理解としか思えない暴言や冷やかな態度などの理由から授乳がイヤになっているのではないでしょうか?

「言葉でハッキリ自己主張する」「我が物顔で当然の権利のように飲み始める」「タンデム授乳に対する周囲の人たち(例:実両親・義両親・保育園や幼稚園の先生・医療関係者など))の心無いひとことに胸を抉られるような心境になり、本来ご自身の心に抱いていた、「赤ちゃんが生まれても、おっぱい星人の上の子さんが僻まないように、等しく愛情表現の一つとしてタンデム授乳をする」という暖かい気持ち(≒精一杯の配慮)を上の子さんを含む周囲の誰もが理解してくれていないため、傷つき、辛くなるからではないでしょうか?

私には相談者さんが孤軍奮闘していらっしゃる様子が目に浮かぶようです。

では、どうしたらいいのか?
相談者さんは、決して上の子さんへの愛情が薄れたわけでは無い筈です。

上の子さんは言葉の通じる相手なのですから、お母さんがどんな想いでおっぱいをあげているかを告白するのが良いと思います。

そして、おっぱい星人として、ひとりの長期授乳を謳歌している幼児として、恩に着せるわけではないですが、「お母さんのおっぱいをこんなに長く、赤ちゃんとシェアしてでも飲ませてもらえるのは実は有り難いことなんだな。」という認識をしてもらうように言い聞かせをしましょう。
最低限、「おっぱい飲んでいいですか?」「いただきます。」「ごちそうさま。」くらいはマナーとして言うのは躾の一環ですからね。
もちろん上の子さんだけさせるのは不自然ですから、赤ちゃんにもベビーサインで「おっぱい」を教えたり、手を合わせてお辞儀するというゼッスチュアをさせたりということで、バランスが取れるかと思います。

また、周囲の無理解に対しては、話が出来る相手であれば、ご自身の気持ちを吐露されても良いかと思います。
話が出来ない相手であれば、華麗にスル―しましょう。
相談者さんが再び明るい気持ちでタンデム授乳できる日が来ますように。

2013年2月25日 (月)

シリコン製のセット物の赤ちゃん歯ブラシってどうなの?

赤ちゃんに使う歯ブラシで、最初の歯ブラシとしてよくある、シリコン製のセット物、ご存知ですよね?
奥に突っ込み過ぎないように、フードを取りつけるタイプのアレです。

一番最初に使うのが、ブロー用ブラシみたいなカタチのシリコン製で、次に使うのが、パッと見は小さな歯ブラシのカタチなのですが、ナイロン製の毛ではなく、シリコン製の小さな突起物の集合体(≒歯ブラシもどき)みたいな感じになっています。
こういうのを見ると、「そっかぁ。赤ちゃんの歯ブラシってシリコン製がいいのね♪」「赤ちゃんにはシリコン製のものを使うと綺麗に磨けるのかな?」なぁんて思い込んでしまいがちですが、いやいや、そうではありませんぞ!

シリコン製のセット物はですね、あくまで、「こんなんありますけど~如何ですかぁ?」的な、お口に入れることに慣れてもらうためのアイテムというか、歯ブラシのカタチをした歯固めみたいなもの(≒歯ブラシもどき)と解釈していただくと良いかと存じます。
残念ですが、アレで仕上げ磨きをしても、歯の汚れを綺麗に取ることは出来ません。

仕上げ磨きで歯の汚れを綺麗に取るのは、過去記事にも書いておりますが、いわゆる一歯ブラシのようなヘッドの小さな歯ブラシです。
くれぐれもお間違いのなきよう、よろしくお願いします。

「かため」歯ブラシは使わない方がいいです。(改訂版)

歯ブラシの毛の硬さには色々なレベルがありますが、「かため」歯ブラシは使わない方がいいです。

理由ですか?
歯や歯茎を傷つけるからです。

もしかして「かため」歯ブラシの方が歯の汚れが取れやすいって思って選んでいましたか?
もしかして「かため」歯ブラシの方がナイロン毛がヘタりにくいから、長持ちして経済的だと思って選んでいましたか?

違うんですね~。
何となくですが、「かため」歯ブラシは気持ち的には汚れがゴッゾリ取れるように思えます。

でも、歯の表面のエナメル質を傷つけることが、多いんです。
特に、研磨剤や粒々の入ったデンタルペーストを使ったら、余計に傷が付きます。
特に、歯をきれいにしたいからと長時間磨く方やグー持ちで磨く方は、歯の表面が削れることだって有るのです。
そうすると、歯は飲食のたびに汚れますが、傷ついた箇所に汚れが侵入して、汚れが落ちにくくなるのです。
しかも、歯周病の方が「かため」歯ブラシを使ったら、歯茎から血が出ます。

ナイロン毛の質の良い歯ブラシは、毛先が丸くなっていて、ペン持ちして毎回3分間磨くとして、1ヶ月くらいの耐毛度があるものです。

お口のケアには使う道具にもこだわりたいものです。

哺乳ストライキ4

お母さんが断乳しようとした時になることがあります。

例えば職場復帰の前で、言いようのない焦燥感や気分の落ち込みがあって、断乳しないと、職場復帰が上手くいかないと思いこんでいる場合。
赤ちゃんの夜泣きが激しく、添い乳をしているものの、おっぱいをあげようという気持ちよりも、いいかげんうんざりした気持ちが勝ってしまっている場合。

とは言っても、大抵はこのようにお母さんが無理やりおっぱいから赤ちゃんを引き離そうとしたら、赤ちゃんは抵抗して必死にしがみついてくるのですけれど。
でも中には、お母さんに気を遣っているとしか思えないような赤ちゃんもいらっしゃいます。

お母さんに嫌われたくないから止めなくてはと思っているなんて・・・大人びているのか、いじらしすぎます。
もちろん、赤ちゃんには辛いことなので、泣き方もいつも通りに見えますがね。
夜間頻回授乳でカラダがしんどいのも、このままずっと卒乳できないのではないかという漠然とした不安感や仕事復帰等の事情から時期的に焦るのも、SOLANINも通ってきた道だからよく分かります。

しかし、子どもにはおっぱいを飲む権利があると思いますが・・・
こんな状況に陥ったら、断乳、思いとどまってほしいです。
これ以上、赤ちゃんを追い詰めないでやってくださいね。

おっぱいとお薬その56『タケプロン®OD』(’改訂版)

『タケプロン®OD』は消化性潰瘍治療薬の一種であるプロトポンプ阻害薬です。
プロトポンプを阻害することで、胃内pHを上昇させる働きがあります。
プロトポンプ阻害薬のうち、“ランソプラゾール”というお薬の商品名が『タケプロン®OD』なのですね。

『タケプロン®OD』は、授乳に際しては可能ではありますが、注意が必要なお薬でもあります。(半減期が1.5時間)
その理由は授乳中のお母さんに関するデータがまだ無いからです。
ちなみに、プロとポンプ阻害薬には、“ランプラゾール”の他に“オメプラゾール”というお薬があります。
こちらはプロトポンプを阻害することで、胃酸分泌を強力に抑制する働きがあります。
“オメプラゾール”というお薬の商品名が『オメプラール®』なのですね。(ちょっと紛らわしい・・・)
こちらの『オメプラール®』も授乳に際しては可能ではありますが、注意が必要なお薬でもあります。(半減期が1時間)

授乳中に服用可能であるという理由は、これらのお薬は半減期が短く、おっぱいに出て来る濃度がごく僅かであると考えられているからです。
何故おっぱいに出て来る濃度がごく僅かと考えられるのかといいますと、服用したお母さんの胃液の酸で分解されるからです。

尚、どちらがより安全なのかという点については、プロトポンプ阻害薬の処方が必要とされるなら、“ランソプラゾール”よりも“オメプラゾール”が優先というか第一選択とされています。
その理由は授乳中のお母さんに関するデータが僅かながらもあるからです。
“オメプラゾール”つまり『オメプラール®』は、お母さんが毎日20mg内服したとして、赤ちゃんが摂取する最大量は3μg/kgに過ぎないということが判明しています。
(念のために申し添えますが、1gの1/1000が1mg。 1mgの1/1000が1μgですね。)
追記:2011年8月8日に元BFH認定病院で勤務された経験のある、くりむさんという方(薬剤師さん)から記事を補足するコメントを頂きました。
ご本人のご承諾を得ましたので、ほぼ原文ママにて追記させていただきます。

たまたまですが、お薬の記事を読んでいて、気になったのでコメントさせていただきます。
PPI を服用しなければならないほど、胃の調子が悪いなんて、ママはとても苦しい状況ですね。

なぜなら、PPI は、胃薬のなかでもかなり強いランクにあたり、本文の通り、母乳移行のデータが揃っていないので、普通の胃炎であればもっとクラッシックなものを使うことが多いのです。
なので、処方医はママの症状をすごく心配されて処方されたか、母乳育児に興味がないかのどちらかだったのでしょう。

さて、本文中の記述で、誤解があるようなのでコメントさせていただきます。

ランソプラゾール、オメプラゾールともに、胃酸で失活します。
なので、製剤化するときに胃酸では溶けず、腸で溶けて腸から吸収されるように工夫がしてあるのです。
これらの半減期は短いですが、効果は長く続きます。
なぜなら、胃酸を押さえるためのスイッチ(受容体といいます)に結合して作用するのですが、その結合時間が長いからです。
なので、血液中からなくなるけど、効果は長く、強く続くのです。
また、一般的な話をしても、おっぱいには血液に入ったお薬が出てくるので(←内服薬は胃や腸で吸収され、血液に入ります)、胃酸によって一度上がった血中濃度が左右されることはありません。(2011年8月11日22時44分)

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

カンジダ膣炎にご用心!

カンジダ膣炎になったことのある妊婦さん、ちょくちょくいらっしゃるかと思います。
カンジダ膣炎はいわゆる真菌(しんきん=カビの一種)ですから、「うひゃ~、もしかして不潔だった?」と思いがちですが、そうではありません。

また、性病の一種か何かと勘違いしている方も見受けられますがそれも違います。

そもそも、カンジダは抵抗力の低下している時や、抗生剤を汎用した後に起こり易いものです。


妊娠中は誰でも免疫力も低下しますから、普段よりも罹り易いと言えます。

痒みを伴う、豆腐を崩したようなオリモノが出たら、早めに産婦人科受診をされ、治療しましょう。

抗真菌剤は妊娠中でも授乳中でも使用可能です。

産後にカンジダ膣炎に罹る方は少ないとされていますが、「大したことないわ。」と、グズグズ受診を先延ばしにしていたら、乳頭・乳輪鵞口瘡(にゅうとう・にゅうりんがこうそう)や赤ちゃんのお口の中が鵞口瘡(がこうそう)になってしまうリクスが高くなりますから、同様に迅速な対処をしましょうね。
くれぐれも、自己判断で市販薬を塗布したり、手持ちの抗生剤を服用したり、殺菌成分の入った石鹸でゴシゴシ洗ったりしないでくださいね。
更に酷くなって収拾がつかなくなっちゃいますからね。

2013年2月24日 (日)

乳歯の虫歯治療の必要性はあるの?(改訂版)

ご相談内容>
「虫歯ができてしまったので、治療が必要です。」と保健センターでの歯科検診で指摘されました。
今のところ、子どもは痛そうにはしていません。

ご飯もフツーに食べます。
当たり前ですが、乳歯はやがて生えかわるのに、このままいっそ、抜け落ちるのを待ってはいけないのでしょうか?

<SOLANINの回答>
大胆不敵なご相談です。(驚)

子どもが食物を噛み砕くのには、乳歯はなくてはならないものです。
仮に今は痛そうにしていなくても、放置すればどんどん進行して、必ず痛くなります。
放置すれば噛み辛くなりますから、量的にお食事が摂れなくなったり、柔らかいものしか食べられなくなり、偏食を助長しかねません。

また、ご存知かとは思いますが乳歯の直下には永久歯が存在しています。
万一膿が溜まったりしたら、永久歯が歪んで生えてきたりする恐れがあります。
当然歯並びも悪くなります。

永久歯に生えかわるのは、およそ就学後からですから、それまで乳歯の機能を正常に保つためにも乳歯の虫歯治療は欠かせないものです。

これ以上乳歯の虫歯を増やさないためにも、適切なデンタルケアを歯科衛生士さんに学ぶ良い機会ですから、一刻も早く、歯科受診しましょうね。

哺乳ストライキ3

赤ちゃんの耳管は大人よりも太短いため、風邪をひいたりしたら、すぐに中耳炎になることも決して稀ではありません。
中耳炎になると、耳痛や熱発、出血、耳漏、聴力低下など様々な症状がみられます。

特におっぱいを飲む時は、顎をしっかりと動かすので、耳痛が酷くなります。
かといって全くおっぱいを飲まないと、おなかが空いてしまい機嫌も悪くなります。

そういう場合は搾乳して飲ませてもいいですよ。(直母が出来ない時は搾乳をコップやストローなどで与えてもいいのです。)

注意すべきは、赤ちゃんは耳痛ということが、理解出来ません。
アタマが痛いと泣くこともありますが、赤ちゃんや幼児は表現が上手く出来ないため実は中耳炎だったといううことは、しばしばあることなのです。

気を付けてみてあげてくださいね。

おっぱいとお薬その55『アレグラ®』(改訂版)

『アレグラ®』は抗ヒスタミン薬の仲間で、第二世代のH1受容体拮抗薬の一種です。
催眠作用が少ないお薬です。
アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎等の際処方されます。
成分は違いますが近似のお薬としては『エバステル®』が挙げられます。

但し注意点が三つあります。
①『アレグラ®』は、お母さんにQT延長症候群がある場合は、処方自体が禁忌とされています。
②『エリスロマイシン®』と併用すると、『アレグラ®』の血中濃度が上昇するので、併用はするべきではありません。
③『ミルマグ®』や『マーロックス®』当の制酸薬と共に内服すると、それらに吸着されて、抗ヒスタミン薬としての吸収量の減少が起こる危険性がありますから、どうしてもこれらの内服が欠かせない場合は、時間を空けて内服した方が望ましいです。(具体的な時間については薬剤師さんに相談して、アドバイスを受けましょう。)


本題に戻ります。
『アレグラ®』や『エバステル®』は薬価が高いのがネックですかねぇ。
あと、半減期が20時間と長い方ですが、アメリカ小児科学会では授乳可能なお薬に分類されています。
というのも、『アレグラ®』はM/P比が0.2と、小さいからです。
(M/P比・・・憶えてますか?)
これはすべてのお薬の添付文書に掲載されている訳ではありませんが、お母さんの血液中からおっぱいへの移行がしやすいかどうかを表している値ですね。
M/P比が低い(≒特に1.0以下)ということは、おっぱいへの移行が少ないから、安全性が高いことを意味します。
内服するなら赤ちゃんへの安全性を考えることが第一ですからね。
勿論、症状が治まれば、ドクターと相談して休薬出来るようにするのがベターです。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

先天性股関節脱臼って聞いたことがありますか?

もしも・・・の話ですが、赤ちゃんが先天性股関節脱臼と診断されたとしたら、恐らく装具を付けることになるかと思います。(病状によっては装具の装着で改善しない場合は麻酔下でも用手整復や手術ということもあるかもしれません。)

最近の先天性股関節脱臼自体の発症率は0.1%前後と報告されていますから、大昔(2%)よりは低下していますが、未だに1000人に1人ということです。

この病気の特徴として、なり易い状況というのが分かっています。

ひとつは、赤ちゃんの女性親族(父母双方のおばあちゃん、お母さん、伯母・叔母さん、姉妹など)に先天性股関節脱臼の方がいらっしゃった場合、約4割の確率で発症することです。

もうひとつは、おなかに居る時の姿勢で、逆子のうちで単臀位(たんでんい・・・膝をピンと伸ばして、カラダと脚がV字型になっておなかに居る体勢)である場合も約3割あり、帝王切開で出産しても油断ならないそうです。

男女比では女子の方が5~6倍多く、寒い時期に生まれた赤ちゃんは暑い時期に生まれた赤ちゃんよりも厚着なので、股関節の動きが妨げられがちなので発症し易いそうです。

さらに斜頸(しゃけい)を伴い易く、向き癖と反対側の股関節に発症し易いそうです。
この病気の場合、開排制限(かいはいせいげん・・・股関節の開きが悪い)があり、触診時にクリック音という独特の音がします。

先天性という病名ではありますが、おむつの当て方(大昔のような巻きおむつ。現在でも一部のアメリカインディアンやパキスタンやモンゴルなどのアジア内陸部に暮らす遊牧民では行われている。旦那さんがそちら方面の方であると、現地のお姑さんから赤ちゃんのカラダを棒のように布で巻くよう強要されることもあると聞きます。

仮におむつは普通に股おむつにしていても、その後で脚を伸ばして棒のようにカラダに布を巻きつけるということは、巻きおむつをしているのと同じです。

それから、同じ方向がお母さんの身体に接する横抱っこを長くしていると、その影響で、生後数ヶ月のうちに発症することもあるので、先に述べた条件が該当する場合は、念のため小児科ドクター診察時に、「実は、○○なのですが、この子は先天性股関節脱臼の恐れは心配ないでしょうか?」と一応確認してみた方が良いと思います。

2013年2月23日 (土)

砂糖の代わりにキシリトールを使用することの是非について。 (改訂版)

虫歯予防に効果的なキシリトールのことは、過去記事を精読された読者さんであれば、よくご理解いただけているかと思いますが、このキシリトールを砂糖の代わりに調味料として使用すると、虫歯予防に効果的なのか?

みなさん、どう思われます?
まぁ、確かに効果がありそうな気がしますが、実際にはどうなんでしょう?
・・・それが、イマイチなんですね。

何故だか分りますか?

キシリトール製品のラインナップと選び方を思い浮かべれば、分かりますよ。
製品のラインナップはガム、タブレット、チョコレートですね。
選び方の共通点は糖類ゼロで、炭水化物に対するキシリトールの割合が50%以上であることですね。

例えばお菓子作りに使用したらどうなのか?
クッキーやケーキを作るのに、砂糖の代わりにキシリトールを使用したら?
小麦粉の主成分は炭水化物ですが、もう少し突き詰めると、これはまさに糖類なんですね。
pHも2~3といったトコロで、明らかに強酸性です。
酸を含むものは歯の脱灰を助長します。
なので、虫歯予防に効果的なキシリトールを使用しても、効果が相殺されてしまいます。
何せ小麦粉は、お口に入れたら溶けてしまい、ベタ~っと歯にくっつきますからね。

ここからは伝聞です。

昔、キシリトールが虫歯予防に効果的と周知され始めるちょっと前のことです。
なんと現役歯科ドクターで、「キシリトール使用のクッキー」を歯に優しくて虫歯リスクの心配のないクッキーとして販売された方がおられたそうです。
しかし、直ぐに販売中止されたそうです。

キシリトールに詳しい方たちから、「商品として効果が無いのに、歯科のドクターがそんなものを販売すると、一般の方がホントか?と勘違いしてしまうから。」との指摘を受けられたそうです。

お分かりいただけましたでしょうか?

哺乳ストライキ2

先の記事で、赤ちゃんは身体的・精神的に辛い時、いつもよりおっぱいを欲しがるが、辛過ぎると、おっぱいを拒んでしまうと書きました。
赤ちゃんだって、何とかこの状態を脱出したいのですが、辛過ぎるとどうして良いのか判らなくなるのですね。

では、何が辛いのか・・・順不同ですが、理由となるものを挙げたいと思います。

★赤ちゃんが風邪をひいて咽頭痛・鼻閉・などが酷い状態である時。

おっぱいを飲もうにも、喉が痛かったり鼻が苦し過ぎたりしたら、おっぱいを飲むことを放棄してしまいます。
適切な時期に小児科に受診し、治療を受けられるのがいいと思います。
この場合、
赤ちゃんの病状が落ち着けば、ストライキはほどなく解除されることでしょう。

おっぱいとお薬その54『アレジオン®』(改訂版)

『アレジオン®』は喘息やアトピー性皮膚炎や花粉症の治療薬です。

お薬の半減期が長い目(12~15時間)です。

おっぱいには出てくるのですが、小児用ドライシロップも発売されており、一般的に抗ヒスタミン薬の仲間ではあるので、そういう意味ではまず大丈夫であろうとは思われます。
とは申しても、添付文書には、例の決まり文句が、書いてありますが。(汗)

但し『アレジオン®』はまだおっぱいを飲んでいる赤ちゃんに対する安全性のデータが少ないようで、私も文献検索したのですが、正直言って数値的なものは見つかりませんでした。

ですので、可能であればますは『ポララミン®』のように妊婦さんでも内服可能なお薬を選ぶのが第一ですね。

また、過去記事にもありますように、似たようなお薬ですが『アレグラ®』『アレロック®』『クラリチン®』は授乳可能とされています。

『ポララミン®』で、症状が治まらない場合は『アレグラ®』『アレロック®』『クラリチン®』等のいずれかの内服を検討するという二段構えがベターかと思われます。
また、長期連用でなければおっぱいの分泌低下の心配はしなくても大丈夫でしょう。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

直母の最中に怒るのは何故?(1ヶ月)

<ご相談内容>
生後2週間目まで、体重増加不良のためミルク補足していました。
1日16回の超頻回直母が効を奏したのか、急に体重増加が改善し、ミルクを止めることが出来ました。
そこまではよかったのですが、完母になってから、赤ちゃんが飲みながら怒るようになったのです。
おっぱいが足りないのか?と心配になり、母乳外来を再受診したものの、前回よりも更に体重増加度はアップして、担当助産師さんに「ここまで充分に完母で育っているのに母乳不足は有り得ないよ。」と笑って言われてしまいました。
乳腺炎でもありませんでした。

でも、飲みながら怒るんです。
おっぱいを口から離して怒って泣くのです。・・・これって一体、何なのでしょうか?

<SOLANINの回答>
細かいことを申しますが、相談者さんは、赤ちゃんが飲みながら怒ると仰いますが、ちょっと違うと思いました。
正確には、おっぱいを飲み⇒一旦休憩(小休止)して⇒乳首を口から離して⇒怒って泣くのでしょう?

それはですね~、ミルクの補足を哺乳瓶で行うと、それに慣れてしまい、早飲みになることとは対照的に、おっぱいは一本調子でドバドバ出て来ないから、イライラして待ちきれなくて、怒って泣くのです。
乳房トラブルでおっぱいの味が変わったわけでもなさそうですし。
恐らく、おなかが空き過ぎている時は、気が急けてしまうのです。

あまりに泣き過ぎる時は、抱っこしてスクワットですよ。
しっかり目を空けている時は、「怒って泣いても出てこないよ。」「自分で頑張って吸いつかないと出てこないよ。」と、言い聞かせてやってください。
「おっぱいはね~哺乳瓶でラクラクに吸っていた頃と同じようなわけには行かないのよ。」くらいは指摘してやってください。

2013年2月22日 (金)

長期授乳は出っ歯になる?(改訂版)

<ご相談内容>
先日、1歳半検診へ行って来ました。
歯科検診&歯科
指導がありましたが、歯科衛生士さんに断乳をすすめられました。

理由は2つ。

1つは虫歯になるから。これはSOLANINさんのブログを読んで知識があったので軽くスルーしました。

もう1つの理由が「出っ歯になるから」とのことでした。
歯は動くので、乳首をくわえていると前歯が前に押され、次第に前に出てきてしまう、とのこと。
「ほ~らよく見てください!お子さんの上の前歯2本、すでに微妙に前に出てきていますよ」とまで言われ…

(素人にはよくわかりませんでした。また、歯科ドクターには指摘されていません。)
歯並びが悪くなると言われると、スルーできませんでした。
子どもの気持ちを尊重した自然な卒乳を考えていますが、このまま貫いてよいのか、動揺してしまいました。
長期授乳は出っ歯の原因になるのでしょうか?

(なお、歯科・口腔ケア関係は全て読み、関連記事の“長期授乳と反対咬合”も、もちろんしっかり読みました。ただ、気になっているのは反対咬合ではないので質問させていただきますね。)

<SOLANINの回答>
ふむふむ。

過去記事は丹念に読んでいただいているようですし、確かに出っ歯(以下上顎前突と表記します。)との因果関係については過去に記事を書いていませんですね。

では、私が良く知っている歯科・口腔ケア領域の師匠から教えていただいたことを中心に説明したいと思います。、

1歳半健診で出会った歯科衛生士さんの指導に動揺されたのですね。
但し、上顎前突になるのは先天的な要因(骨格性)もありますよ。
確かにおっぱいを飲んでいれば、上顎乳中切歯(=上あごの真ん中の前歯)を舌で押しているようでもあるし、歯というものは動きますから、歯科衛生士さんの仰ることも分からなくはないです。

もちろん、直母よりも浅く咥える哺乳瓶のゴムの乳首でより顕著であることは、言うまでもないかと思います。

しかし、おっぱいの場合は上顎乳中切歯を舌で押すというよりも、上顎自体を舌で押しますし、顎周囲の筋肉も哺乳瓶のゴムの乳首を使用した場合よりも強い力が必要ですから、却って上顎は綺麗なアーチが出来て、歯並びが良くなると言われています。

上顎前突の後天的な要因として挙げられるのは、長期(3歳から4歳以上)のおしゃぶり使用や指しゃぶりや重症の鼻炎が長期にわたり症状が改善せず、結果口呼吸ばかりとなったりということの方が大きいそうです。

百歩譲っても、おしゃぶりや指しゃぶりは、酷くなると1日中している習癖ですが、おっぱいの場合、いくら好きでしばしば欲しがるからと言っても、1日のうちの時間にしたら僅かではないかと思います。

どんなことでもそうですが、あまりなことを言われた時は「どうしよう?」ではなく、「本当だろうか?」と、冷静になることは必要ですよ。

特に今回は健診の場には歯科ドクターがいらっしゃったのですよね?

であれば、歯科ドクターのお手が空くまでまで待たせていただき、上顎前突と長期授乳の相関性有無についてのコンサルを受けられたり、お子さんのお口の状態をもう一度診ていただき、「これって上顎前突なんですか?」と勇気を出してお尋ねしても良かったのではないかとも思います。

(個人的には1歳半の段階で、上顎前突を指摘できる状態って、相当凄いこと(?)になっているか、神業的な診断技術をお持ちでなければ、困難だと思いますが・・・)歯科領域の専門家の読者さんはどう思われますか?

ご意見いただけましたら幸いです。

哺乳ストライキ1

それまでおっぱい星人だったのに、一夜にして大好きなおっぱいを仰け反って嫌がり、起きている間はまったく飲んでくれなくなることがあります。

それが『哺乳ストライキ』です。
この件についてはラ・レーチェ・リーグの会員さんの方がお詳しいかと思いますが、私の知っている限りのことを書きますね。

赤ちゃんは身体的もしくは精神的に不調をきたすと、いつもよりもおっぱいを欲しがるのが一般的なリアクションなのですが、突き抜けて不調となると、おっぱいを飲むこと自体を、拒否してしまいます。

自然卒乳であれば、おっぱいの埋め合わせとして、離乳食をがっつりと食べるようになります。
コップやストローで、お茶などの水分を摂取できます。
おっぱいを見せたらバイバイしても、仰け反って嫌がることはありません。

そのあたりが『哺乳ストライキ』なのか『自然卒乳』なのかの鑑別ポイントとなります。
始終機嫌が悪く、病気ではないのにぐずりが酷いことも、『哺乳ストライキ』の特徴です。

・・・ではこの続きはまた後で。

おっぱいとお薬その53『ムコダイン®』(改訂版)

『ムコダイン®』は去痰薬・気道粘膜修復薬です。
母乳育児中に於ける、このお薬の安全性に問題はありません。

『ムコダイン®』は生後2ヶ月くらいの赤ちゃんであっても、処方することのできる穏やかなお薬だからです。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

疲れているのにいたすらしででも欲しがります。(1歳2ヶ月)

<ご相談内容>
私には持病があり、また、元々虚弱だったこともあり、毎日の子育ては楽しいものの、フラフラしたり、しんどいことも時にはあります。

1歳を過ぎてから、短時間睡眠なのにやたらと元気で、動きが激しくなってきた我が家のおっぱい星人に翻弄されています。
先日も体調不良で伏せっていたら、おっぱいの要求に応じない私の髪の毛を毟り続けるのは序の口で、私の鼻の穴に指をズボっと突っ込んできて、鼻血がドバ~っと出したり、プロレス技(?)を掛けてくるので、1歳児相手にキレそうになりました。

大人気ないと反勢しつつ、我が子が可愛い、おっぱいをあげるのが楽しいと思えない時があるのも事実で、どうしたものかと悩んでいます。

実母は「いっそ断乳しちゃえば?」と言うけれど、私は出来ることなら自然卒乳したいんです。
ちなみに旦那は子どもを可愛がってくれますが、多忙すぎて、週末パパ状態です。

<SOLANINの回答>
ううむ。
身体的にしんどい時に、我が子からとはいえ、DVばりの扱いを受けたら、そりゃあ辛いでしょうね。

ちょっと横にならせて欲しいだけなのに、それすらも許してくれないような元気溢れるおっぱい星人のお相手では、しんどさ倍増ですな。(汗)
あまり気が進まないかもしれませんが、しんどい時は、横になる際におっぱいを出しておいて、「フリードリンクのセルフ方式」にしては如何でしょうか?

お給仕をするから余計しんどくなるのでは?

ホントに体調不良なのですから、「お母さん今はメッチャしんどいから勝手に飲んでちょうだい。」は、許されると思います。
それから、相手がお母さんといえども、1歳にもなったのであれば、暴力的なことは容認せず、普段から毅然とした態度で、アカンことはアカンと諭すことも必要ですよ。

このままでは、外に出た時、自分の思い通りにならなかったらお友達に暴力的な振る舞いをしかねないですから。
悪気は無くても痛いことはしちゃいけないということは、0歳児でも教えていくべきだと思います。

「痛いから止めて!」とハッキリ言いましょう。
耐え忍んでいる場合じゃないですって。

また、しんどい相手には優しくするということも普段から教えてあげましょう。
相手は旦那さんでもいいし、旦那さんの帰りが遅くて、週末パパ状態ならば、お人形でもいいです。

旦那さんの手伝いが平日期待できない以上、リミッター外れるくらいひとりで頑張り過ぎていたら、心身の不調が悪化しかねません。

お近くに実母さんがいらっしゃるなら、SOSの際は甘えさせて貰っていいと思いますよ。

精一杯頑張っているけれど、「ゴメンやけど、今はアカンわ。」の場合は、我が子にそう言ってしばし休息を取ることで、相談者さんの笑顔が復活するのではないでしょうか?・・・と、思います。

2013年2月21日 (木)

長期授乳と反対咬合の相関性は? (改訂版)

読者さんからのお問い合わせです。

自然卒乳を考えていらっしゃるお母さんなのですが、「長期授乳をしていると反対咬合になるらしいよ。」と、知人から指摘され心配ですとのこと。

果たして関係はあるのか?
歯科領域の専門家にお尋ねして、教えていただきました。
反対咬合とは俗に「受け口」と呼ばれます。
反対咬合の原因としては「低位舌」「機能性」「家族性」の3つに分けられます。

「低位舌」というのは、舌尖の本来の“定位置”というものがあり、例えばそれは乳幼児だったらフツーは上顎乳中切歯(←前歯のこと)の裏側にあるべきところ、それよりも下方向にある場合だそうです。

「機能性」というのは、たまたま歯の生える位置が悪かったため起こる場合です。

「家族性」というのは、遺伝的なモノで、下顎がだんだん前に出てくる状態で進行状況によっては手術が必要なこともあるそうです。

また、上唇小帯が太くしっかりと癒着したような状態のお子さんも反対咬合になり易いので、上唇小帯を切る手術をすることもあるそうです。

治療方法としては手術だけではなく、ム―シールドやパナシールドという矯正装具を装着して治すこともあるそうです。(このあたりの詳細はかかりつけの歯科ドクターに聞いてくださいね。)

舌尖の“定位置”がある理由ですが、舌というものは、上顎を前面と側面を押すことで上顎骨の発育を促進し、反対咬合にならないようにする働きがあるのです。

つまり、仮に母乳育児が長く続いて1歳代後半とか2歳代に入っても、5~6回/日のおっぱいを飲んでいたとしても、それは反対咬合の原因ではないのですね。

おっぱいを飲むときは舌が前にきますからね。
聞いたことないですか?昔から「母乳育ちの子は顎の発育が促される。」って。
逆に上顎が発達しにくい状況にあると、反対咬合の原因となるものを助長するのではないでしょうか?

淋菌感染が発覚!(妊娠9ヶ月)

<ご相談内容>
予想外のことが発覚しました。
この間の妊婦検診で、出産前の採血や膣分泌物の検査をしてもらったのですが、何と私は淋菌に感染していました。

特に自覚症状は無いのですが・・・
淋菌ってことは、性行為による感染ですよね?
でも、身に覚えは無いのです。
神様に誓って無いと断言できます。

もうすぐ出産の大事な時期に、なんで淋菌に感染したのか?(涙)
恥かしくてショックで誰にも言えません。

淋菌に感染している産婦から生まれた赤ちゃんには、どのようなリスクがありますか?
淋菌がおっぱいから出てきたりしませんか?
陰部ヘルペスの方のように、帝王切開になるのでしょうか?
不安でいっぱいで、気が変になりそうです。

<SOLANINの回答>
え~っと、まず最初に確認ですが、旦那さんには淋菌に感染していることを相談しているのですよね?
淋菌は一般的に性行為で感染しますからね。
夫婦ですから旦那さんも感染していると思われます。
こればかりは黙っているべきことではありませんよ。

何はともあれ、早急に旦那さんも検査して感染の有無を調べてもらいましょう。(こんなことを申し上げるのは心苦しいのですが、相談者さんが神様に誓って断言できると仰るのであれば、感染経路は旦那さんという可能性は否定できないですね。)
夫婦で感染しているのであれば、当然ですが、夫婦そろって一刻も早く治療することになります。
淋菌に感染しているから帝王切開・・・という例はSOLANINはこれまでに聞いたことが無いですが、完治していない場合、新生児への感染率は大体30%前後だそうです。

産道感染で、生後3日目頃までに、結膜炎を発症する危険性があります。
対策としては抗生物質の点眼薬をします。

新生児が淋菌に感染していれば、結膜炎以外にも、髄膜炎や敗血症等を発症する危険性があります。
病状によっては他の新生児から隔離することになるかもしれません。

髄膜炎や敗血症等を発症すれば、生命に関わりますから、小児科入院となりますし、必要に応じて治療が施されます。
また、相談者さんや旦那さんが他の方に感染させる危険性があると産婦人科ドクターから指摘されているうちは、最低限のマナーとして他人様の新生児を触らない方がいいと思います。(実際にちょっと触ったくらいで感染させることは無いでしょうが、心情的な配慮として・・・ね。)

おっぱいに関しては、母乳から淋菌が感染することはないので、母乳育児は出来ます。
お母さんが治療のための内服をされても、おっぱいには影響はないそうです。

新生児が髄膜炎や敗血症等の治療をすることがない限り、お母さんから隔離されることはないと思います。

おっぱいとお薬その52『クラリス®』『クラリシッド®』(改訂版)

『クラリス®』『クラリシッド®』はどちらもマクロライド系抗生物質のうち、“クラリスロマイシン”という種類に属します。

強いてチェックすることがあるとしたら、マクロライド系抗生物質を選択するとしたら“エリスロマイシン”か“ロキシスロマイシン”が第一選択で、“クラリスロマイシン”は“アジスロマイシン水和物”(←『ジスロマック®』ですな)と共に第二選択であるということですが、安全性としてはもっとも安全なお薬のひとつと見做されています。

半減期は5~7時間と比較的早い方です。
通常授乳中のお母さんが服用しても差し支えないお薬とされています。

なお、『クラリス®』『クラリシッド®』自体の副作用として気をつけることは、赤ちゃんの皮膚の紅潮と下痢と鵞口瘡(がこうそう)です。

お薬の服用をせざるを得ない状況になると、毎日フツーにおっぱいをあげられることの有り難さをは忘れられがちです。
お母さんが健康で過ごすことは、実はとても重要なことなんだと痛感させられますね。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

太り過ぎはおっぱいのせいですか?(4ヶ月)

<ご相談内容>
集団健診で保健師さんに何気に、「おっぱいの回数は1日に7~8く回くらいで夜間は添い乳をしているので、寝かしつけに悩むことがんないし体力的に助かります。」と話をしたら、「母乳を飲ませ過ぎですよ。そんなことしているからパーセンタイルグラフの上限超えになってしまったじゃないですか!添い乳は止められない子が多いから、夜中も座って飲ませた方が良いですよ。母乳はカロリーが高いんですよ。離乳食は早めに開始しないと太り過ぎになってしまいますよ。」と言われてショックを受けました。

生まれてからずっと完母でよく育っているし、乳腺炎にもならず、私も特に育児不安を感じず今日まで来たのに・・・(涙)

<SOLANINの回答>
集団健診では小粒ちゃんがバッシングを受けることが多いのですが、大粒ちゃんなのにこの言われ様ですか。

思わず口をあんぐり開けてしまいました。
それは違うのではないでしょうか?ということのオンパレードですな。

▼1日の授乳回数が7~8回/日なのに、飲ませ過ぎという指摘。(←だったら完ミの赤ちゃんみたいに5回位/日に減らせとでも?)

▼夜中も座って飲ませた方が良い。(←添い乳が出来る母子に敢えて勧めることではないのでは?)

▼母乳はカロリーが高い。(←百歩譲って、もしかしたらお母さんの食べたモノによっては高いこともあるかもしれないけれど、これまで乳腺炎にならずに済んだということはそうとは考え難い。粉ミルクの改良項目の一つは、いかにカロリー控えめの母乳に近づけるか?ということでもあった筈です。)

▼離乳食は早めに開始しないと太り過ぎになる。(←カロリーベースで考えれば、一般的に乳よりも固形食の方がカロリー高いです。確かにおっぱい星人は離乳食の進みがゆっくりで少食の場合が多いのですが、例外的に万一食べる方にハマってしまったら、体重増加のペースは月齢相当以上になるのは、目に見えていますよね?)

更に許せないのは、ご出産されてから特に育児不安が無く、順風満帆に過ごしてきた方を不安にして、泣かせるような保健指導をすることです。

もしかしたら小粒ちゃんには優しい方なのかもしれませんが、反動で大粒ちゃんを目の敵にする方なのかな?

そうでなければ(そんな筈は無いと思いますが)その保健師さんは、厚労省が2007年3月(今から5年2ヶ月も前!)に出した「授乳・離乳の支援ガイド」が頭に入っていなかったのかもしれません。(憤)

その場にSOLANINは居なかったのでこういう言い方はすべきではないのでしょうが、担当者の当たりが悪かったのかもしれません。(汗)

明らかに理不尽なことを指導されたわけですから、それを引きずるのは精神衛生上悪いです。
赤ちゃんのためにも、もうあの日のことは忘れた方が得策です。

それから次回の集団健診の際は、「その保健師さんの列に並ばない(≒その保健師さんの問診を拒否する)・モビルスーツを装着する」という自衛策を取った方が良さそうです。

2013年2月20日 (水)

10年ががりのお茶ステインは取り除けないものか? (改訂版)

以前「お茶を飲むと良いことって?」のコメントで事情があって牛乳とかが飲めず、10年間ウーロン茶、ほうじ茶などを飲んで来られたお母さんが歯科受診されて「お茶のステインは取り除けない。」旨のコメントを歯科ドクターから言われた・・・というのがありました。

早速いつもお世話になっている、歯科・口腔ケアの師匠にお尋ねしたところ、

「そのクリニックで導入している器械、お薬に依るのでは?」

「そういう処置は歯科助手さんではなく、専門の知識を学んだ歯科衛生士でないと難しいかも?」とのことでした。

ちなみに師匠の仕事場では、40年来の喫煙歴で歯周病で歯石ガチガチでヤニだらけのおっちゃんの歯のステインをきれいに出来るそうです。

歯石取りひとつでも、血だらけになるくらい痛い方法やほぼ無痛の取り方もあるそうです。

現在受診中のクリニックに満足されているならいいのですが、何だかイマイチに感じるなら、かかりつけの変更も検討されては如何でしょうか?

SOLANINとしましても、どうせ罹るなら予防に力を入れておられるクリニック=歯科衛生士さんが常に複数おられるクリニックに罹ることをお勧めします。

HCV-RNA(+)のお母さんは母乳育児をしてはいけないの?

<ご相談内容>
私はいわゆるC型肝炎ウイルスのキャリア(持続感染者)の妊婦です。
現在アメリカに住んでいるのですが、主治医が、「あなたはHCV-RNA(+)という状態で、人に感染させるチカラが強いから、母乳はあげてはいけませんよ。最近はミルクも母乳に近付いているからね。」と宣告されました。

ちなみに、このドクターのトコロでは、数か月前にもC型肝炎ウイルスの妊婦さんがいらっしゃったそうですが、彼女は私とは異なり、HCV-RNA(-)でしたが、同様に主治医の指示に従って、感染予防のために万全を期して完ミにされたそうです。

赤ちゃんが生まれたら、母乳育児がしたかったのに。(涙)
でも、赤ちゃんの感染予防のためには、母乳を諦めるしかないのでしょうか?

<SOLANINの回答>
アメリカにお住まいなのですね。
そうですか・・・しかし、相談者さんの主治医の仰ることに関しては、私には㌧でもさんの臭いがしますな。(困)
何故かと申しますと、少なくとも私の知る限り昔(!)から日本では、HCV-RNA(-)のお母さんに、母乳育児を制限しているということは、無い筈だからです。(汗)

HCV-RNAというのは、分かり易く言えば、C型肝炎ウイルスの成分です。
それが(+)の妊婦さんから生まれた赤ちゃんで、感染する危険性は、厚労省のデータによれば、約10%とのことです。

ただし、出生後はお母さんから移行した抗体のせいで、検査をしたら(+)ということはありますが、生後13ヶ月迄に95%の赤ちゃんから抗体は消失します。(逆に、生後12ヶ月迄は抗体検査をしても、胎盤経由で移行する抗体が赤ちゃんのカラダに存在するため、感染の有無については判定できません。)

また、(子どものうちは肝臓病が進行し難いので)万一の場合、オトナになってからでもインターフェロン等の治療が可能なことが判明しています。

更に、HCV-RNA(+)のお母さんが母乳育児をしたから、赤ちゃんが感染したというデータは無いし、リスクを考え泣く泣く完ミにしたのに、13ヶ月以降でお子さんを検査したら、結果がHCV-RNA(+)だったという症例もあるそうです。

しかし、C型肝炎の感染経路として血液からというのは間違いないので、仮に産後授乳中に乳頭亀裂が発生して出血しているのであれば、傷が治るまでは、直母はお休みしてください。
お休み期間中は、定期的な搾乳を行い、うつ乳によるトラブルの予防や分泌の維持に努めてください。

主治医対策(?)としては、厚労省のC型肝炎妊婦に関する指針のページを英訳されたものを持参されたり、そちらのC型肝炎の専門家やラクテーションコンサルタントに相談された内容を文書にして持参され、理解を深めていただくというのは如何でしょうか?

もしくは、妊娠経過や週数的に問題が無く、里帰りを受け入れてくれる病産院が見つかれば、日本に帰国して出産されても・・・と思ったりしました。

おっぱいとお薬その51『メジコン®』(改訂版)

『メジコン®』は非麻薬系中枢性鎮咳薬の一種です。
風邪を引いたと時や、気管支炎・肺炎になった時等に処方される咳止めです。
『メジコン®』の半減期は4時間程度で比較的早い方です。
通常の使用量ではおっぱいへの移行が懸念されるとは考えられないとされています。
また、『メジコン®』は乳幼児にも処方される最も安全な鎮咳薬とされていますから、服用されるお母さんが、ドクターの用法・用量の指示を守っていれば、おっぱいと両立できるってことですね。

間違えないでほしいのは、『メジコン®』は咳を鎮めるお薬であって、咳が出ないように病気自体を治すお薬ではないということです。

あくまで対症療法ということです。
ただ、一説には授乳中の服薬に詳しいドクターや薬剤師さんの中にも授乳中には適さないと仰る方もあり、意見が分かれるお薬でもあるようです。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

特に問題なさそうなのに直母が出来ない その2(レアケース)

いわるる元気な健常新生児で、お母さんのおっぱいは乳頭形態も乳輪の大きさも分泌もバッチリで、吸啜力もそれなりにある筈なのに、何故か直母をしても全くと言っていいくらい量にならなくて、どうなってるの?ということがあります。

ポジショニングも工夫して、ラッチオンも助産師が付きっきりで対応してもさっぱりダメ。(稀に普通に飲めることもあるけれど、10回に1回程度か?)
もちろん舌小帯短縮症でも巻き舌でもない・・・
ただ、チュパチュパ音がするから、下手っぴちゃんではあるらしい・・・

そのためか体重は右肩上がりには増えず、どうかすると減少し、三歩進んで二歩下がる状態の繰り返し。
止むに止まれず、搾乳を飲ませるにも、シリンジではダラダラこぼすばかりで殆ど哺乳出来ず、顎の下に当てたガーゼが飲んでいる状態。(汗)

仕方なく哺乳瓶を使うとしても、大きなお口を開けなくてはならない&難易度の高い「母○相○室®」を使った日には、20分かかって5mlも哺乳出来ない状態。
思いっきりハードル下げておちょぼ口でも下手っぴちゃんでもイケる「ビ○ン○タ○ク®」だったらどうにか飲めるという感じですかね。

こういう場合、非常にレアケースなのですが、一度口腔内をチェックしてもらった方がいいかもしれません。

チェックするのは、《のどちんこ》です。
ありますか?
あったとしても、二股に分かれていたりしませんか?

もしかしてもしかすると、直母が上手くいかない理由は、粘膜下口蓋裂だからかもしれません。

多量に哺乳したわけでもないのに、しょっちゅう鼻腔から乳汁が噴き出す場合も要注意です。
小児科・耳鼻咽喉科・口腔外科のいずれかのドクターに一度確認してもらった方がいいと思います。
違っていたら、それはそれで善しとして、万一そうであったら、何らかの対策を講じないといけませんからね。

粘膜下口蓋裂の場合、赤ちゃんの体重増加のためには、搾乳中心が続くことも想定内としてくだいね。

2013年2月19日 (火)

いつ頃から歯磨きを習慣にしていけばいいの?(改訂版)

歯磨きは歯が生える頃にはスタートして、(歯歯磨きが嫌いにならないよう)躾をしなくてはならないでしょう。

まずは食べた後、お口の中に歯ブラシを入れることに慣れてもらうことが重要です。

不自然な姿勢では歯ブラシがお口の中であちこちにぶつかってしまうので、厭になることが多いです。

赤ちゃん(お子さん)が厭がらなければ、寝かせ磨きが一番良いのですが、どうしても厭ならば、立って磨かせるのでもかまいません。

注意していただきたいのは、歯ブラシを持つやいなや磨き始めるのではなく、まずはお口の中を「観察」してください。
生えてきた歯の本数・歯の汚れ具合・口臭などをチェックします。
「観察」の後に奥歯(生えている子は・・・です。)から磨き始めます。

泣かれたり暴れたりされると、「早く磨かなくては。」と焦りますが、急いでやると、上記のようになりますので良くありません。
手早く歯磨きをするのは、赤ちゃん(お子さん)が協力的になってからです。
協力的になると、赤ちゃん(お子さん)自身がスキンシップ感覚で受け入れられるようになってきます。
お母さんの百面相や歌を歌う、お話をする(物語)のも良いですね。
お口の中がスッキリするねと声掛けをするのもお勧めです。

妊婦さんと新生児のいるご家庭で、おたふく風邪が発生したら?

SOLANINの勤務先で先日上の子(2歳女児)を連れて里帰り出産をされたMさんは、産後26日目の時点で、里帰り先の甥っ子(4歳男児)が幼稚園からお持ち帰りしたおたふく風邪を発症してしまい、家庭内がパニックなっているとのことでした。

Mさんは幼少時におたふく風邪に罹っておられます。
上の子さんは里帰りの半年前におたふく風邪のワクチンを接種されています。
でもしかし、この場合新生児は甥っ子さんと同じ空間に居て感染しないんだろうか?という不安があるとのことでした。

また、里帰り先であるMさんのご実家には兄夫婦が居られるのですが、こともあろうに義姉さんは妊娠中(発症時妊娠14週)で、自身はおたふく風邪の抗体があるかどうかが不明であり、おなかの赤ちゃんに何か影響があったらどうしよう?次回の妊婦検診まで3週間もあるし、心配で何も手につかないとのことでした。
(甥っ子ちゃんの看病はMさんの実母さんがされているとのことでした。)

ここで、ひとりひとりの感染リスクを考えるとどうなるでしょう?

◆まずMさんですが、幼少時に自然感染していらっしゃるので、恐らく現在も抗体は有ると思われます。

◆Mさんの上の子さんは、ワクチン接種後8週間以上経ちますので、抗体は出来ていると思われます。(ワクチンによる抗体は90~95%の方に出来ると言われております。)また、一度抗体が出来ても数年~10年間抗原に接することが無いと、抗体が無くなることも想定されますが、なにせ半年前ですので、そのパターンは無いと思われます。

◆Mさんの赤ちゃんは、胎盤経由の免疫バリアーがあるので、新生児のうちから感染することはまず無い筈です。
一般的にお母さんがおたふく風邪の抗体を保持しておられたら、10ヶ月くらいまでの赤ちゃんは感染しないと言われています。

◆では、義姉さんはどうなのでしょうか?
一般的におたふく風邪の潜伏期間は16~18日と言われています。
仮に義姉さんにおたふく風邪の抗体があれば問題なし。
もしも、義姉さんいおたふく風邪の抗体が無かったら?
おたふく風邪のウイルス排泄期間は発症前7日~発症後10日程度とされていますから、義姉さんに抗体が無ければ、感染の危険性は有ることでしょう。
しかしながら、週数的におたふく風邪だからおなかの赤ちゃんの胎児先天性異常(奇形等)のリスク因子が高まるとは考えにくいようです。

程度は様々ですが、おたふく風邪に感染していようといまいと、胎児先天性異常の発生頻度はある一定の割合で発生することは分かっていますから。また、ごく初期に感染すれば、流産の危険性はアップします。

しかし、おたふく風邪だからといって、流産の恐れは確率的に高まるというものではないと考えます。
もしどうしても心配であれば、お金はかかりますが近医にお願いして、おたふく風邪の抗体価を測定してもらうのも一手です。

何も分からないグレーゾーンでもやもやした気持ちのままで3週間も過ごすのは、精神的にしんど過ぎます。
それよりも検査の結果が早く出れば、それなりの心の準備や対処法が出来てくる筈です。

お大事にしてくださいね♪

おっぱいとお薬その50『ジスロマック®』(改訂版)

『ジスロマック®』というお薬、聞いたことがあるでしょう?
ペニシリン系やセフェム系の抗生物質が効かないタイプの細菌感染に処方されることがある、あのお薬です。

(勿論、お薬の添付文書には例の決まり文句が書かれています。)
何々系かと申しますと、マクロライド系というグループになりますね。

ただ、そのマクロライド系の中では、第一選択ではないとか。(第一選択は『エリスロシン®』だそうです。)

『ジスロマック®』は、赤ちゃんにも処方されることのある抗生物質でもあり、母乳への移行は少ないタイプとされていますが、半減期が丸2~3日弱と長いのと、赤ちゃんの皮膚の紅潮や下痢が出ることがあるのと、授乳に関するデータそのものがまだ少ないこと等の理由で、処方するにあたり授乳するのは如何なものかと仰るドクターはいらっしゃるようです。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

物凄く執着しているけれど卒乳出来ますか?(2歳8ヶ月)

<ご相談内容>
2歳8ヶ月の我が子は、未だに現役バリバリのおっぱい星人です。
周囲からは「止めないと甘えん坊になる!」「せめて寝る前だけにしたら?」「おっぱい飲む分、栄養が偏るのでは?」とか散々な言われ方をされ、そう言われることが一番ストレスフルな毎日です。

ですが、ここまで大切に慈しんできたのですから、自然卒乳と決めて頑張っています。
幸い、これまでこれといって乳房トラブルもなく、徐々に直母回数は減り、おっぱいの分泌量も減っていきました。

それでも4~5回/日はおっぱいを欲しがります。

私としては少なくなったと思うのですが。
ただ、あまりにも執着が強い時は、「ホントに卒乳出来るのかな?」と、少々不安になってしまいます。

<SOLANINの回答>
2歳8ヶ月で現役バリバリなのですね。
それを受け止めてあげる相談者さん、素敵です♪
でも時々、相談者さんの気持ちが不安になってしまうのは、お子さんの執着だけではなく、母乳育児に対する周囲の理解不足発言のせいだと思います。

毎日毎日、おっぱいをあげることがイケナイことのように言われ続けるから、ついつい「我が子の辞書に“卒乳”の二文字は無いのではないか?」と思えてしまうから不安になるのではないですか?

長期授乳であることには間違いないのですが、それでも、相談者さんのお子さんは、まだこの世に生を受けて2年8ヶ月しか経っていません。

外遊びは好きでしょう?
走り回って好きな遊びをして夢中になっている時、おっぱいを欲しがることは、殆ど無いのではありませんか?
運動量が多くなってきますから、おなかも空くし、ご飯だってそこそこ食べられるようになってきていますよね?

自分の希望することを言葉で伝えられるようになってきていますよね?
その上でのおっぱいだったら、何も問題ないですよ。

間違いなく、相談者さん家のおっぱい星人さんは、卒乳への道のりを歩き始めていますよ。
別に相談者さんは2歳8ヶ月のおっぱい星人さんにガンガンとセールスをしているわけではないでしょうし、お子さんが欲しがった時にあげているだけなのでしょう?

だったら、肩のチカラを抜いて!
「おっぱいはもうええんちゃう?と言われた時の対処法」の記事、憶えていますか?

もう一回あの記事を読みましょう♪

母乳育児に対する周囲の理解不足発言には、華麗にスル―(≒良い意味での図太さ、女優になったつもりでの長セリフ)が一番です。

おっぱい星人さんを信じ、待ってあげることが出来たら、最高ですね。

2013年2月18日 (月)

グラフ下限ギリギリに育っています。(4ヶ月)

<ご相談内容>
娘は生まれた時は3468g身長48.1cm頭囲33.8cmと大きめでした。
2週間健診でも体重増加度は50g以上/日と順調で、1ヶ月健診の体重も4234gと問題無かったのですが、それ以降の体重増加度が極端に少なく、4ヶ月を過ぎていよいよパーセンタイルグラフ下限を割り込みそうになりました。

1ヶ月健診以降も定期的に罹りつけの母乳育児推進の小児科を受診して、体重増加のペースはチェックしてもらってきました。
少なめの増え方ではあるものの、身長もよく伸び、運動機能の発達には問題なく、いつも「経過観察。」でした。

そこに併設されている母乳外来や近くのO式助産院も受診し、指導されてことは殆ど全て履行してきましたし、おっぱいの味や分泌や娘の飲み方には問題ないと言われました。(1回哺乳量測定は、3ヶ月の時に行い、両乳15分で38gでした。)

しかし、結果的には市の4ヶ月健診で5180g身長61.6cm頭囲39.7cm
「栄養が足りない。来月再診。」と言われました。
実は、ミルクの補足は罹りつけの小児科で、3ヶ月半の受診時に指導されましたが、娘が受けつけませんでした。
搾乳も飲みません。
哺乳瓶も小さいカップで試しても全て拒否で今日に至ります。

授乳回数はしっかり飲んでいるのをカウントして1日10回は確保出来ています。
おしっこは1日8回、うんちは2日に1~2回は出ています。
運動機能の発達は順調で喃語も出ています。

2歳4ヶ月の兄は完母で、娘が生まれる迄授乳していましたが、発育ペースに問題が生じたことはありません。
私のせいで娘にひもじい思いをさせてしまっているのではないかと涙に暮れています。
夫の帰宅は遅く、双方の両親も遠方で頼れずという環境です。
何とか兄の時のように母乳育児を成功させたいです。

<SOLANINの回答>
これまで受診された、小児科・母乳外来・O式助産院での見解や指導内容については、SOLANINはその場に同席していた訳ではないので、何とも言えないのですが、現時点で言えることは、「大きめちゃんで生まれたけれど、小粒ちゃんに育ってしまった。」という事実と、「相談者さんのお嬢ちゃんの体型を平成22年度版乳幼児身体発育曲線のパーセンタイルグラフに照合したら、身長はほぼ真ん中頭囲・体重ともに下限付近ではありますが、割り込んではいない。」という事実が明らかになっています。

また、お嬢ちゃんへの申し訳ない気持ちは理解出来ますが、定期的に受診され、小児科ドクターや助産師からその都度指導されたことはきっちりされてきた訳ですし、お母さんとして何か落ち度があったとかいうことは無いと思います。
ドライな物言いで恐縮ですが、過ぎてしまった4ヶ月間を悔やみ続けでもどうにもならないです。
だって、この4ヶ月でこれから先の母乳育児の全てが決まるわけじゃないですから。
まずは、相談者さんがお嬢ちゃんの健やかな発育のために今これから出来ることは何かという前向きな視点つまり挽回の手段を講じることが必要だと思います。

それは何か?
授乳ペースは今まで通りにこまめにあげることと、5ヶ月に入れば、離乳食(補完食)を開始されることです。
確かにこのままの発育ペースでは、近い将来グラフ下限を割り込むリスクが高いです。
お嬢ちゃんの発育を考えると、不本意かもしれませんが、一時的なミルク補足も止む無しでしょう。
根気よくミルクの補足を受け入れてもらう努力は必要かと思います。
しかし、詳細が不明なのでナンですが、仮に相談者さんが今迄ミルクの補足を1ヶ月以上にわたり、毎日毎回様々な方法で試みても断固拒否された経緯があるのならば、恐らく月齢的にもお嬢ちゃんがミルクの補足を受け入れることは期待薄でしょうし、そうなると離乳食(補完食)を勧める方が現実的かと思われます。
おっぱいの飲み方がボチボチで、ミルクの補足は断固拒否の赤ちゃんの多くは、離乳食(補完食)は受け入れOKというパターンをしばしば耳にします。
そのためにはお食事見学会を毎日開催されることは必須でしょう。

それから、念のためですが、「お嬢ちゃんは、何か体重増加し難い病気には罹っていないか?」ということと、「貧血は出ていないか?」ということを小児科ドクターに検査していただくようお願いされた方がいいと思います。

それと、お嬢ちゃんがひもじい思いをしているかどうかは、状況から判断するしかないのですが、哺乳終了直後なのに抱っこしないとグズり始めるとか、起きている時は常にハフハフしておっぱいを探し求める様子が見受けられるとかであれば、「やはり多少なりともひもじいのでは?」と思われます。
けれども、そうではないならば、違うかもしれませんですよ。

何とか気持ちを奮い立たせ、涙を拭いて、笑顔でおっぱいと離乳食(補完食)をあげていきましょう。
挽回の暁(あかつき)には、体重のパーセンタイルグラフに三次関数(y=x₃)のラインが描けるかと存じます。

お茶を摂取すると、良いことって?(改訂版)

お茶を摂取すると、良いことがあります。

何ですかって?
まず、お茶は糖分を含まないから、虫歯リスクの心配のない飲み物です。
しかも、特別に高価なお品を求めなくても大丈夫です。

お茶には抗酸化物質であるポリフェノールの一種であるカテキンが含まれていることをご存知でしょうか?
そう、カテキンは天然の抗菌成分でもあるのですね。
ということは、離乳食(お食事)の後に飲むだけではなく、普通の含嗽や歯磨きに積極的に取り入れてもらうと、有効なわけです。

フッ素を塗った後1時間(緩くみても30分間)だけは、含嗽も飲用もNGですが、それ以外は全然OKです。

毎日飲むものだと思いますので、手軽ですね。
大人にも応用してもらっても良いと思います。

出がらしの茶葉は、フライパンで炒って、カラカラにして、10cmくらいの長さに切った牛乳パックに入れたら、下駄箱なんかの脱臭剤として再利用できますよ。

試してみる価値はあると思います。

出産後お母さんのHTLV感染が発覚したら?

HTLVは成人T細胞白血病(ATLA)を引き起こす、ウィルスです。
感染経路は輸血・性行為・経母乳の3種類と言われています。
ならば・・・と、おっぱいを断念して出生時から人工栄養にされる選択も有りますが、人工栄養であってもHTLVの「感染率」は2.5~5.7%です。(最近、国内で得られたデータから引用。)
決してゼロではないのですね。
何故か?

これは胎内感染・出生時感染が存在するからです。
HTLVの「発症率」は「感染率」よりもさらに低く、栄養方法に関係なく、感染者1000人につき5人とされています。
これだけは、現代の医学では防ぎようがありません。

出産前に病産院で受けた感染症チェックの検査では、何故かHTLVの項目が無く、何らかの理由でお母さんが産後に受けた検査から、HTLV感染が発覚した場合、母乳育児中だったらどうしよう?という問題が発生します。

短期間の母乳栄養は、人工栄養との差が少ないことは、過去記事にも書きましたから、お読みいただいた読者さんは既にご存知かと思います。
何故か?

生後5~6ヶ月迄は胎盤を通して移行したHTLV-抗体が存在することによる予防効果があるからだと推測されているからです。
ですので、生後間もないうちに赤ちゃんがHTLVに感染しているかどうかを調べても移行抗体があるため、感染の有無の判断が出来ません。

直母については、「感染率」を考えて、短期授乳という選択肢を選ばれるお母さんもおられます。
長期授乳は「感染率」が高まりますから、やはり、心配かと思います。
でも、「直母以外の方法でも構わないからとにかくおっぱいをあげたい。」と思っていただけるのであれば、別の方法で続けることが可能です。
どうすればいいのか?

それにはまず、HTLVの性質を知ることが必要です。
HTLVは生きたリンパ球の中でしか生きて行けないという性質があります。
つまり、リンパ球を生きていない状態にすればいいのです。

具体的な方法としては、搾乳し冷凍してそれを解凍して湯煎すれば、赤ちゃんに安全におっぱいをあげることが出来ます。
但し搾乳の冷凍でHTLVを感染力を消滅させるには、
マイナス20度(マイナス18度という文献も有る。)で12時間凍結させることが必要です。
家庭用冷凍庫はマイナス18度です。
なので、可能と言えば可能です。
しかし、12時間凍結が必要というのは、急いでいる時は適していません。
では冷凍以外の方法で、感染力を消滅させることは出来ないのか?

あります。
56度で30分間加温すればいいのです。
フレッシュな搾乳でも冷凍母乳で凍結12時間以内のものであっても、56度で30分間加温すれば、感染細胞は死滅し、感染力が消滅します。

いずれの手段もやたらと手間がかかりますが、こうすれば赤ちゃんに安全におっぱいをあげることができます。

ちなみに、赤ちゃんの感染の有無の最終判断は、3歳くらいまでは経過観察していただき、その時点で血液検査をして、HTLV(-)であれば、大丈夫というのが判断基準とのことでです。

おっぱいとお薬その49『ノリトレン®』(改訂版)

『ノリトレン®』は産褥うつ・パニック障害・過食症・夜尿症・片頭痛等に処方されるお薬です。
このお薬は脳内のノルアドレナリンを増加させ、意欲を高めます。
また、セロトニンを増加させ、不安感を和らげ、気分をラクにしてくれます。
赤ちゃんに有害で有ると考えられる影響は今のところ報告されていないそうです。
母乳中にも検出量がごく僅かなので、
おっぱいをあげることを中断しなくて済むお薬のようです。
勿論、このお薬の添付文書には例の決まり文句が書かれていますが。(汗)

記憶に新しいところだと思われますが、私は先日『パキシル®』という、産褥うつ・パニック障害時に処方される授乳可能なお薬について記事を書きました。
『パキシル®』はセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)ですが、母乳育児中でも大丈夫なお薬とされています。
ただ、以前『パキシル®』を服用経験のあるお母さんに言わせると、『パキシル®』は離脱症状がキツ過ぎて、それが怖くて服用できないという方がおられました。
『ノリトレン®』が『パキシル®』よりもマイルドかどうかは別として、三環系抗うつ薬という、別のタイプのお薬ですから、もしかしたらこちらが合うかもしれません。

主治医の先生に確認し、必要であれば処方してもらうと良いと思います。
※なお、私は産褥うつ・パニック障害の専門家ではありませんから、病状に関する質問にはお答えできません。
悪しからずご了承くださいませ。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

どうする?認可保育園が搾乳受け入れを拒否る!(3ヶ月)

<ご相談内容>
生後3ヶ月の来月から仕事復帰します。

認可保育園に預けるのですが、搾乳を拒否されて困っています。

SOLANINさんのブログのおかげで、NICU入院になるも完母で育ててきたので、何とかならないかなぁと思って、悩み考えています。

<SOLANINの回答>

何処のまちの認可保育園かは存じませんが、酷い話です。
一体何を持ってして、認可なのでしょうか?
世間の無認可保育園の多くや託児所は、そんな無茶苦茶なことは言いませんよ。

認可という看板に胡坐をかいているとしか思えない!
みんなの税金が投入されている保育園なのに。
只で世話してくれって言っているわけじゃないのに。


一般的に栄養の主体がおっぱい以外になる1歳代以降というならまだしも、3ヶ月っていえば、まだ満腹中枢が形成するかどうか、頸が据わるのもこれからという発達段階です。

相談者さんの赤ちゃんは、詳しい病名は存じませんが、NICU卒業生ということで、ある意味、満期産で出生&2500g以上の赤ちゃんよりも、より一層、おっぱいを飲ませてあげたい事情があります。

折角完母でイケるくらいの分泌があるのなら、出来るだけミルクは与えずに済むといいですね。
さて、どうしたものか?

福祉事務所には相談しましたか?
行政を通じて、指導してもらうことは出来ませんか?
市区町村長に直訴の手紙を書きますか?
それでも通らないですか?

NICU時代の主治医に急ぎお願いして、「この赤ちゃんは、NICU卒業生です。特段の事情があるので、搾乳・冷凍母乳を飲ませてあげてください。保育園の都合で、ミルクを与えるのは止めてください。」というお願い文書を書いていただき持参するのが良いと思いますよ。

腸の発達がどうとか、気管がどうとか、ミルクアレルギーの疑いとかナントカ、主治医の判断で理由づけしてもらったらいいと思います。
搾乳受け入れ拒否ってねぇ・・・酷い話ですよ。

だってね、仮にですがその認可保育園は、ミルクアレルギーの赤ちゃんは受け入れ拒否するのでしょうか?
それって生存権の侵害ですよ。

認可保育園というトコロは、弱者である赤ちゃんを、そういう差別的な扱いをしても許されるのでしょうか?
いくら乳児の保育枠が激戦だとしても、そんな筈ないですよね?

入園前に保育園と争うのは出来れば避けたいことだけど、どうしても譲れないことがあるなら、赤ちゃんを守るためだったら、やるしかない場合もあると思います。
頭の硬い園長先生(?)や面倒臭がりの担任(?)を落とすには、お母さんはタフなネゴシエーターになってください。

簡単に泣き寝入りしちゃダメですぞ!

2013年2月17日 (日)

親知らずを抜かなくてはならない時は? (改訂版)

生後5ヶ月赤ちゃんを完母で育てておられるお母さんからの相談です。

歯が痛くなり、歯科受診したら、親知らずが悪くなっていることが判明したそうです。
取り敢えずは応急処置としても、近いうちにきちんと治さなくてはならないし、歯科ドクターが仰るには、お薬(鎮痛剤)の内服をしたら、そのお薬が抜けるのに24時間くらいかかるとのこと。

それと、麻酔が効きにくい体質で、これまでに歯科での治療を受けた時も、追加で麻酔をしなくてはならず、人よりもたくさんお薬を使う可能性があるので心配だということでした。

まず、鎮痛剤の件ですが、☆おっぱいとお薬というカテゴリーの記事はすべて読まれたとのことですが、私の文章力が足りないため、ご心配なんだろうと察せられます。(涙)

お薬の抜ける時間はモノにより確かに24時間くらいかかるものもあります。
確かにおっぱいに出るモノもあるでしょう。

でも、お母さんの血中濃度よりも、さらにう~んと少ない量がおっぱいから出ることがあるにしても、赤ちゃんに問題がなければ大丈夫と見做していいと考えられるのです。
つまり、赤ちゃんに健康被害が起きたという報告があるお薬でなければ、差し支えないと考えていいということです。

まず、お薬というものは、全く検出が出来なくなるまでおっぱいをあげてはいけないものではないということを、理解してください。

願わくば折角記事を読んでもらっているのですから、それを柔軟に応用してくださると、文章力の足りない書き手としては大変有り難いです。

例えば記事に書いてあるお薬ならば心配ないのですから、「鎮痛剤は何を処方されるかわからない。」と今からいたずらに不安がるのではなく、赤ちゃんのお母さんなのですから、そこのトコロもう少しお気持ちをしっかりしていただいて、対処することは可能ではないかと思います。

率直に歯科のドクターに「鎮痛剤は●●にしてもらえませんか?」と頼むことくらい出来るのではないでしょうか?
それならば安心なのではありませんか?

少し話がずれますが、赤ちゃん自身が何らかの病気になれば治療のためにお薬を飲むことがありますよね?

「ウチの子は生まれてこのかた、お薬なんて使ったことがない。」と断言されるお母さんもおられます。
でも、それって有り得ません。

例えば生まれた時、結膜炎防止のため点眼薬を垂らされることは、かなりありがちなことです。
例えばおむつかぶれが酷かったら、止むを得ず塗り薬を処方していただくこともあるでしょう?
例えばメレナや頭蓋内出血予防のためには「ビタミンK」というお薬の内服なしには不可能です。
NICUに入院中の小さな赤ちゃんはもっとたくさんのお薬を使って治療されています。
もし、ちょっとでも何らかのお薬が赤ちゃんの体内に入ったら不都合だとしたら、全ての赤ちゃんは生きることが不可能ということになります。
でも、現実にはそうではないですよね?

こう言ってはナンですが、お薬を使うことの意味と、優先する項目(=母体の血中濃度云々やおっぱいに出るか出ないかではなく、赤ちゃんへの影響が有るか無いかが大事だということ)を、今一度冷静になって、考えてみてくださいね。
そうすれば、局所麻酔のお薬についても、同様だということがご理解いただけるのではないでしょうか?

・・・ん?もしかして、まだご理解いただけませんか?

産科領域つまり分娩時の会陰切開や縫合時は、局所麻酔のお薬を20ml以上使用することもあります。

帝王切開では腰椎麻酔や硬膜外麻酔をかけていても、直ぐに赤ちゃんにおっぱいをあげているという事実・現実があるのは過去記事に書いてある通りですが(その点はこのブログの読者さんならば有る筈の知識として)ご存知ですよね?

ということは、どう考えても歯科領域で(最大どのくらい使用されるのかということは歯科のドクターに確認してもらったらいいのですが)使用する局所麻酔のお薬がそれより多いとは考えられませんから、心配ないと考えて差し支えないということです。

折角記事を読んでいただいているのですから、しっかりと読みこなし、丸ごと活用しなくては勿体ないでございます。

産科退院翌日に上の子がおたふく風邪であることが発覚!

おたふく風邪のウイルス(ムンプスウイルス)の潜伏期は通常16~18日と言われています。

また、感染経路は飛沫感染で、発症前からウイルスの排出がなされていますから、感染また、感染経路は飛沫感染で、発症前からウイルスの排出がなされていますから、感染自体を予防することは事実上困難です。

つまり、産科退院翌日に上の子さんがおたふく風邪であることが発覚しても、恐らく、産科入院前に感染していたことが想定されます。
お母さんが子ども時代におたふく風邪に罹ったことがあるならば、胎盤を通して免疫が移行していますから、新生児がおたふく風邪に感染するとは考えられないので、その点は安心していいと思います。

ちなみに、お母さんからもらったおたふく風邪の免疫の有効期限はおよそ10ヶ月と言われています。

また、お母さんが抗体を持っておられたら、お母さんがおたふく風邪に感染しているわけではないので、おっぱいはフツーにあげられます。

上の子さんは退院されてきたお母さんに甘えたいでしょうが、お母さんも産褥早期は赤ちゃんのお世話で手一杯だと思います。
上の子さんの看病までは体力的にもキツいと思いますので、お家の方にも手伝ってもらいましょう。
上の子さんは赤ちゃんにも近付きたがるとは思いますが、「病気が治るまでは近付かないでね。」とお願いしましょうね。

おっぱいとお薬その48『ペンタサ®』(改訂版)

『ペンタサ®』という名前のお薬、聞いたことがありますか?
これは炎症性腸疾患の一種でもある「潰瘍性大腸炎」のお薬です。(但し重症化してない場合のお薬です。)
果たしてこのお薬を服用していて、赤ちゃんにおっぱいはあげられるのか?

アメリカ小児科学会によれば、これまで1例ですが『ペンタサ®』を繰り返し投与されたお母さんのおっぱいを飲んだ赤ちゃんが下痢をして、お母さんが服用中止したら赤ちゃんの下痢が止まったという報告があったことをみ、“注意が必要”としています。

ちなみにこのお母さんは【服用再開=赤ちゃんの下痢再発】&【お母さんの服用中止=赤ちゃんの下痢回復】という状態を繰り返し、お母さんの病状が進行・重症化してきたため、結局おっぱいは中止せざるを得なかったそうです。(涙)

その一方、「潰瘍性大腸炎」の授乳中のお母さんには第一選択のお薬とも位置付けられています。

お薬の安全性は中等度です。
赤ちゃんへの移行は、お母さんの服用量の0.1%程度と見做されます。
要は赤ちゃんの体に起こる症状について「注意しながら。」服用していけばいということですな。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

おっぱいには炎症性腸疾患に対する発症抑制作用がある!

母乳で育った赤ちゃんは感染症に強いというのは周知の事実ですが、炎症性腸疾患の発症を抑制することが示唆されていることをご存知でしょうか?

此処で言うところの炎症性腸疾患とは、潰瘍性大腸炎やクローン病のことです。(それがどういう病気なのかと言うことは、この記事では割愛させていただきますが、気になる方は検索してくださいね。)

母乳をあげずに全くの完ミである赤ちゃんと、1年間母乳を飲んでいた赤ちゃんとを比較すると、大きくなってからこれらの病気に罹る確率が1/10~1/5にまで低下します。

もしかしたら読者さんや読者さんのご身内、ご友人の中にもこれらの持病がある方もいらっしゃるかもしれませんね。
これらの病気がどんなに辛い病気かということは、闘病中の方は日々より一層強く感じていらっしゃるかと思われます。

寛解(かんかい)の状態がずっと続いてくれたらいいのですが、増悪して入院しなくてはならなくなれば、学業も仕事も家庭も・・・大変なことになりますからね。

勿論これらの病気には新しい治療法が色々出てきてはいるものの、最初からならずに済めば、こんな有り難いことはないですよね?

母乳をあげることで、我が子がこれらの病気を発症するのをかなりの確率で抑制出来たら、それは素晴らしいことです。

赤ちゃんのお母さん!
おっぱいあげるのに、しんどいこともあるかもしれませんが、あなたが我が子に飲ませてあげるおっぱいには、お金では買えない&頑張るだけの価値がありますよ。

2013年2月16日 (土)

酸蝕症って聞いたことがありますか?(改訂版)

酸蝕症は“さんしょくしょう”と読みます。

WHOによれば、酸性度の高いモノを頻回且つ多量に摂取することによる、歯のエナメル質が溶け易くなる病態を指します。
最近は、生活習慣病の一種とも考えられているそうです。
脱灰の原因は、酸性度の高いモノを頻回且つ多量に摂取することなので、細菌感染によるう蝕とは別のメカニズムで歯のエナメル質が溶けるということですね。

「あっ、そう、だったら心配ないモノなのね。」なぁ~んていうのは早計ですよ。

病状が進めば、虫歯になった時のような痛みや、知覚過敏か?というような症状が発現しますからね。
いよいよどうにもならなくなると、歯に被せモノをする羽目になっちゃいますよ。

酸蝕症・・・侮ってはいけませんぞ。
酸蝕症は予防が大事です。
酸性の飲食物はとても多いですが、可能であれば出来るだけ控えることです。

清涼飲料水・スポーツ飲料・100%果汁・栄養ドリンク・・・全部歯のエナメル質が溶けるph5.5以下です。

ちなみに、おっぱいのphは6.8くらいだそうです。
赤ちゃんや小さいお子さんにおっぱいやミルク以外の飲み物を与える際は、これからはphという視点も忘れず、基本的にお水やお茶くらいにしておきましょう。

生えたての乳歯のエネメル質はとても薄いので、上記のような飲み物を哺乳瓶に入れて赤ちゃんに与えたりするのは、お母さんとしては絶対にNGなので、止めてくださいね。

オトナであっても、酸性度の高いモノを口にした後は、必ずブクブク含嗽をしましょう。
その上で、磨き残しの少ない歯磨きをしましょうね♪

お母さんが感染性胃腸炎になったら。

感染性胃腸炎の代表的ウイルスは「ノロウイルス」「ロタウイルス」ですが、2010年の冬は新型インフルエンザ対策のおまけ効果で、例年よりも“含嗽・手洗い・マスクの装着”が徹底しているので、これらの感染が激減しているそうです。

「インフルエンザウイルス」は季節性も新型もエンべローブという膜があるので、アルコールジェルはこの膜を破壊するのでウイルスをやっつけるには大変効果的です。
しかし、「ノロウイルス」「ロタウイルス」はこのエンべローブという膜が無いので、アルコールジェルでウイルスをやっつけることが出来ません。
エンべローブの無いウイルスからの感染を予防するには、“含嗽・手洗い・マスクの装着”が必要です。

吐物や便などからの感染予防には、ゴム手袋とマスクの装着の上で、次亜塩素酸ナトリウム(「ハイタ―®」や「ミルトン®」や「ピューラックス®」)で、それらを拭き取り、使用したゴム手袋も含め直ぐにビニール袋に全て入れて、外ゴミ箱に廃棄して、再度“含嗽・手洗い・マスクの装着”をすることです。

気を付けているつもりでも、例えば家庭内で2人以上の「ノロウイルス」「ロタウイルス」の感染者が出てしまったら、キツい言い方になってしまいますが、それはきちんとした“含嗽・手洗い・マスクの装着”ではなかったということです。

身に付けた感染防御術が適正か否か、試されているわけです。
とにかく、念入りにしていきましょう。

おっぱいとお薬その47『パキシル®』(改訂版)

産褥うつはどんなお母さんでもなる可能性のある病気です。
「私には関係ない!」とこの記事をスル―することだけは止めてくださいね。

仮にあなたが大丈夫であっても、あなたの身近で大切な方(姉妹や友人)がなってしまうことも有るからです。
そのような事態が起こったら、この記事は大いに役立ちます。

いわゆるマタニティーブルーは産後間もなくに罹ることが多く、1~2週間のうちに自然に軽快するもので、特に治療を必要とはしませんが、そのままズルズルと長引いたり、一旦は収まっていた筈なのに、2ヶ月とか6ヶ月とかずいぶん後になってから、症状が出てくることも有ります。
こうなってくると、マタニティーブルーと呼べる段階ではなく、産褥うつということになります。
自分だけで何とかなるものではなく、神経内科や心療内科を受診するなどして、適切な治療を受けることが必要です。
「でも、それではおっぱいがあげられなくなるのでは?」と危惧しているお母さん、聞いてください!

『パキシル®』はセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)というお薬(いわゆる抗うつ薬)のひとつです。
産褥うつ・強迫神経症・パニック障害等の際にも処方されます。
とても意外な印象を受けますが、母乳育児中のお母さんが「パキシル®」を内服されても、赤ちゃんの血液中から検出されたという事例はないそうです。
また、副作用の報告も有りません。

強いて言うならお母さんの血中半減期が長い(20時間以上)ので、赤ちゃんが比較的長く眠ってくれるであろう時間帯の前に服用されたら、より安心ではないかと考えます。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

浅飲みだけど大丈夫?(4ヶ月)

<ご相談内容>
はじめまして。
我が子はちょうど4ヶ月(産まれたとき3160g→現在7830g)です。
SOLANINさんのブログのお陰で退院後から完母でここまで来ることが出来ました。(本も二冊とも買いました♪)
突然の相談ですみませんが、我が子の浅飲みが気になります。

横から覗くと口角が90度位しか開いていません。

毎月定期的に出産した母乳外来でみてもらうのですが、「ここまで大きく育ってるから心配無い。気になるなら赤ちゃんが寝ぼけているうちに上唇をめくればいい。」と言われてしまいました。
私自身で乳輪から含ませようとするとえづかれたり、たまにそれまで飲んでいた母乳を吐かれてしまいます。
幸い乳房トラブルはあまり無く過ごせています。

赤ちゃんが順調に育っているのならばこのままで良いのでしょうか?

<SOLANINの回答>

ふむふむ、なるほど。

一読した限りでは、不思議な感じがします。

浅飲みで、口の開きが少ない赤ちゃんである。
しかし、しっかり飲めているのか、体重増加が良好な赤ちゃんである。
しかも、おっぱいトラブルもあまり無しとのこと。
二律背反というか、逆条件がそろっているのに、結果に問題が無いのですね。

おっぱいトラブルがあまり無しというのがどの程度かは想像するしかありませんが、恐らく相談者さんご本人が、気にならない程度なのでしょうね。

もしかして、流し込み直母なのか?と思いましたが、そうであれば、この位の時期から一気に体重増加度が月齢相当以下に激減しそうです。
そういう兆候は無いとしたら、流し込み直母ではないと思います。

たまたまラッキーなのか?
そうかもしれません。

罹りつけの母乳外来の助産師から、「ここまで大きく育っているから心配ない。」と言わしめたのですから、ホントに気にしなくていいのかもしれませんね。
では何故浅飲みなのに、しっかり育ち、乳房トラブルにならないかを考えてみました。(順不同です。)

①お母さんの乳管が太い。

②乳頭が長めの形であるか乳輪が柔らかくて、。

③赤ちゃんのお口が、元々かな~り大きめである。
(例:布袋○泰夫人の今○○樹さんか、ドリカムの吉○○和さんをイメージしてください。)あくまで稀なケースだと解釈してくださいね。
これは、普遍的に当て嵌まる訳ではないですからね。

2013年2月15日 (金)

歯磨き嫌いにならぬよう、仕上げ磨きの際に注意すること。(改訂版)

乳幼児の歯磨きテクはおしなべてチャラいので、虫歯予防のためにも毎日の仕上げ磨きは必須です。

ただ、その際、気をつけてほしいのは、「綺麗に磨かなきゃ!」という想いが強過ぎて、上唇小帯をお母さんの指や歯ブラシででグイッと押さえてしまうことです。
殆どのオトナは上唇小帯が、(幼少時の転倒などのの際に切れてしまい)目立たなくなっていますから、ご自身の歯磨きをしていても、その存在自体を意識することは無いのに対し、乳幼児の上唇小帯は太くベッタリ癒着しているかのように、そりゃあしっかりくっ付いていることが多いのですね。

そんな部位をグイッと押さえてしまった日には、痛みのあまり号泣されてしまい、以後まともにお口を開けてくれなくなってしまいます。

歯磨き嫌いの道まっしぐらです。(泣)
可愛い歯を守るためにも、それだけは避けたいですよね?

乳幼児の上顎乳中切歯&乳側切歯を仕上げ磨きする際は、口唇をそっとめくりながら上唇小帯の左側もしくは右側を、歯ブラシを持つのと反対側の手の人指し指で軽く押さえつつ、磨きましょう。
稀に、歯科衛生士さんによっては真逆のことを指導されることもあるかもしれません。
けれども、それってぶっちゃけ、あまり子どものお口のケアに慣れていない方の仰ることだと思われますので、受け流してください。

それなら磨かれる側はちっとも痛くないし、仕上げ磨きをする側は、見易く綺麗に磨けますから、一石二鳥です。

上唇小帯の取り扱いには注意しましょう!

出産直前に兄姉が水痘発症!赤ちゃんはどうなる?

水痘はウィルス感染により発症します。

大抵のオトナは子ども時代に水痘に罹っているか、任意で予防接種を受けて免疫を付けておられるかと存じます。
お母さんに水痘の免疫があれば、赤ちゃんも受動免疫があるので、発症は免れます。
入院期間中は他の母子に感染させると大変なので、個室管理され、面会も制限されてしまいますが、退院は通常通りに出来ます。

ただ、懸念されるのは風疹や麻疹の受動免疫とは異なり、水痘の受動免疫の有効期限はおよそ1ヶ月程度と短いことです。
そのため、ブログタイトルのような出産直前に兄姉がウィルス感染⇒水痘発症であれば、生まれたての赤ちゃんの水痘発症は(受動免疫のおかげで)免れます。

しかし、例えば生後1ヶ月頃に兄姉が水痘発症したら、(受動免疫が切れた)赤ちゃんはウィルス感染⇒水痘発症ということは、充分想定されます。
これは医療倫理的な問題になるのでしょうが、赤ちゃんの兄姉を含む同居家族(里帰り出産だったら、赤ちゃんの従兄弟・従姉妹も含む。)が1ヶ月健診の頃、水痘発症されたら、赤ちゃんの健診日を変更してもらわねばなりません。
そうでないと、(こんなことはあってはならないことですが)健診会場が水痘ウィルスのバイオテロ状態になってしまいますからね。

くれぐれも該当の可能性のある母子は、病産院に電話で相談して指示に従ってくださいね。

そうそう、お母さんが水痘に罹患したことが無かった場合はどうなるかですって?

それはまた、リクエストがあれば後日記事化を検討しますね。

おっぱいとお薬その46『花粉症時の点鼻薬』(改訂版)

花粉症になると、鼻水がダーダ―に出ることや、反対に鼻粘膜が充血して、鼻が詰まったりと不快症状が目白押しですね。
鼻の不快症状に応じた点鼻薬を選択しましょう。
以下列記します。

★硝酸ナファゾリン・・・血管を収縮させて、鼻粘膜の充血・うっ血を取り除きます。
速効性がありますし、お母さんの血液中に移行しません。
『プリビナ®液』という名称のお薬です。

★塩酸フェニレフリン・・・血管を収縮させて、鼻粘膜の充血・うっ血を取り除きます。
『ネオシネジン®コーワ液』という名称のお薬です。

★クロモグリク酸ナトリウム・・・抗アレルギー剤の点鼻薬です。
注意点としては開封後1ヶ月以上たったモノは使用しないよう、気をつけてください。
『インタール®点鼻薬』『ノスラン®点鼻薬』等の名称のお薬です。

★プロピオン酸べクロメタゾン・・・ステロイド点鼻薬です。
お母さんの血液中に移行する量が殆ど無いですから、母乳への移行は検出できないレベルです。
『リノコ―ト®』『ベコナーゼ®』等の名称のお薬です。

★プロピオン酸フルチカゾン・・・ステロイド点鼻薬です。
お母さんの血液中に移行する量が少ないので,母乳への移行が心配ない程度です。(上記の点鼻薬の方が母乳への移行が殆ど無いので、より安全なステロイドと考えられます。)
当たり前ですが・・・指示された回数以上は勝手に使用しないでください。
『フルナーゼ®点鼻液』という名称のお薬です。

点鼻薬はこの他にも多数の種類があります。
しかし、授乳中ということを最大限考慮すると、このあたりから選択していただくのが無難ではないかと思われます。

最終的には主治医のドクターと話し合って決めてくださいね。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

入院中にラムレーズンアイスクリームを食べちゃった!

<ご相談内容>
本日産褥3日目で、赤ちゃんが上手に咥えられないくらい乳輪はゴリゴリで乳房もパンパンになり、助産師さんにマッサージをしてもらったり、冷罨法をしていただき、暴れるおっぱいを宥めているところです。


恐ろしくて病院の助産師さんやお医者さんには聞けません。(汗)

<SOLANINの回答>
アルコール濃度0.3%であれば、十中八九赤ちゃんが酔っぱらうことは無いでしょうが、私が問題だと思うのは、乳輪や乳房のコンディションがNGなのに、冷たいモノを食べて身体を中から冷やすことです。そもそも入院中に差し入れをむしゃむしゃ食べるのは感心しません。産褥3日目で乳輪や乳房がこういう状態ということは、恐らく元々かなりの冷え症で、肩凝りもキツいのではないでしょうか?

こういう方は、おっぱい全体がジンジンして熱くても、冷たいものを飲食するのは避けるべきです。
おっぱいがラクになるのが遅れるだけですよ。ましてや、甘くて脂肪分の多いアイスクリームを食べるなんて、これから開通してくる筈の乳管を敢えて詰まらせるような行為ですぞ。
以後は差し控えてくださいな。

2013年2月14日 (木)

100%キシリトールのチョコレート♪(改訂版)

バレンタインにはチョコレートが定番ですが、お子さんの虫歯予防のためには、チョコレートはある意味鬼門ですし、どうしたらいいのかな?と悩まれるお母さんも、少なくないと思います。

最近は、歯科専売品が中心であるものの、甘味の成分がお砂糖ではなく、キシリトール100%のチョコレートがちらほら出ています。
これまでにキシリトールを含むタブレットやガムのご紹介は当ブログでも行ったことがありますが、チョコレートはなかったかな?と思いまして、遅くなりましたが、今日記事にした次第です。

歯磨きをした後に食べても大丈夫であるキシリトール100%のチョコレートです。

価格的にちょっとお高いのが難点ですが、個包装されているので、兄弟姉妹のいらっしゃるご家庭でも数粒ずつ小分けにしてあげることが出来ます。

一粒当たりの単価は、45〜50円相当で、一袋1000円弱ですね。
まぁ、普段はともかく、こういったイベントの時くらいは、奮発しても良いんじゃないかなぁ?と思います。

勿論、どうしても食べさせなきゃならないわけではないですよ。
ただ、「チョコレート食べさせたくないけれど、でも、バレンタインだからねぇ~。」という心境のお母さんには、こういう商品もありますよ~という情報提供です。

ジャンジャン♪

追記:仮に甘味料としてお砂糖不使用&キシリトール100%使用であっても、クッキーとかケーキでしたらは小麦粉を使用しています。
小麦粉のpHが強酸性であり、歯にべったりくっついてプラークを形成し易いという事実を、読者のみなさんはよ~くご存知かと思います。
当り前ですが、チョコレートには小麦粉は含まれないですよね?

つまり、甘味料としてお砂糖不使用&キシリトール100%含有のお菓子であれば、タブレットやガムと共にチョコレートも安心であることをご理解いただけるかと思います。(2013年2月14日0時00分00秒)

おっぱいとお薬その45『花粉症時の点眼薬』(改訂版)

いよいよ花粉症の季節到来ですが、今年はどうなんでしょうか?
(今のトコロ、SOLANINは花粉症ではないので、花粉の飛散状況は体感できないのです。)

さて、花粉症の症状として、眼の充血・痒み等の不快症状が挙げられますが、授乳中は何を処方してもらったらいいのか、悩まれるお母さんもおられるかと思います。

基本的に点眼薬は、使用量がごく少量ですし、吸収される量はさらに少量ですから、おっぱいをあげていても、特に差し支えないとされています。

それでも、花粉症の方の場合、使用期間が長いから、出来るだけ安全なお薬の選択をしたいと望んでおられるのなら、この記事は要チェックですぞ。
では、まず安全性の高いお薬から順に説明します。

★アズレン・・・急性・慢性・アレルギー性結膜炎等の際の炎症を抑えます。
『AZ®点眼液』『アズレン®点眼液』等の名称のお薬です。

★クロモグリク酸ナトリウム・・・アズレンよりも作用が強い点眼薬です。
つまり、アズレンで効果が無い時に使用することになるであろう点眼薬です。
アレルギー性結膜炎の際に処方されます。
『インタール®点眼液』『クロモフェロン®点眼液』等の名称のお薬です。

★フルオロメトロン・・・これはステロイドの点眼薬です。
「ええっ?」と思うかもしれませんが、濃度が薄いので、赤ちゃんへの影響は考えなくても大丈夫と見做されます。
『フルメトロン®』『オドメール®点眼液』等の名称のお薬です。

★アシタザノラスト水和物・・・アレルギー結膜炎の際に処方されます。
授乳中は使用を控えた方がいいと言われています。
『ゼペリン®点眼液』という名称のお薬です。

★塩酸レボカバスチン・・・アレルギー性結膜炎の際に処方されます。
使用するなら授乳は中止してくださいと言われています。
『リボスチン®点眼液』という名称のお薬です。
・・・作用が強いお薬はどうしてもこのような書き方になります。
また、症状が酷くなれば強いお薬を使用しなければ症状が緩和されにくいものです。

ただ、そうは言っても、最初に書きました通り、点眼薬で局所に作用することと、超微量であることから、授乳中に使用したから断乳というのは無いと思われますが、こういうことは、“どんづまり”になる前に早いめに対処することが肝腎ですな。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

特に妊娠12週迄は、レバーや魚の肝の摂取にご用心。

妊娠中の貧血予防と言えば、「レバーや魚の肝を食べればいいのよね!」という妊婦さんや医療者は意外と多いものです。
しかし、レバーや魚の気もには鉄だけではなく、動物性ビタミンA(レチノール)がとても多く含まれているので要注意です。
妊婦さんのビタミンAの
上限許容量は、5000IU(レチノールに換算して1650㎍)/日ですが、読者のみなさんはご存知でしょうか?

これは鶏や豚のレバーであれば約12g程度、牛レバーであれば150g、フォアグラであれば165g、鮟鱇の肝であれば約20g程度、鰻の肝であれば、約38g程度です。

注)植物性ビタミンA(βカロテン)については、体内でビタミンAに変化する前駆体のプロビタミンAなので、過剰摂取による胎児奇形の危険性云々は心配ないとされています。妊娠中の貧血予防は大事ですが、特に妊娠12週迄は、わざわざ胎児が奇形を起こすかもしれない危険を冒してまでレバーや魚の肝を食べるのは如何なものかと思います。

そもそも、妊婦さんが貧血になり易い時期は、「お腹の赤ちゃんがグングン大きくなる」&「循環血液量が増加する」妊娠後期です。

悪阻が収まれば、バランスを考えたお食事も作れると思います。

レバーや魚の肝以外にも、鉄を含む食品は色々ありますし、調理方法や味付けに工夫すれば、吸収率も高まります。
色々頑張ったにも拘らず、残念なことに鉄不足による貧血になってしまた場合は、産婦人科ドクターから鉄剤を処方されることになるかと思います。
ただ、過去記事にも書きましたが、鉄材の困ったトコロは、吐き気と便秘を伴い易いため、自己判断で服薬中止をする妊婦さんがいることです。
でも、鉄剤の自己判断での服薬中止は絶対にしないでくださいね。
何故なら、赤ちゃんがおなかの中に居る時期にお母さんから分けてもらう鉄(つまり貯蔵鉄ですな。)が乏しくなってしまうリスクが大きいからね。
吐き気と便秘を克服するには、服薬のタイミングを工夫したり、水分の摂取や食物繊維を含む野菜や海藻をメニューに採り入れることにより解決の糸口が見つかります。余談ですが、どうしてもの場合は、鉄剤を内服から注射に切り替えて貰うことも可能です。
(注射の場合定期的な通院が必要ですが、自宅から産婦人科が遠くて脚刺激通院するのが困難であれば、近医宛に注射をしてくださいという旨の依頼書を産婦人科ドクターにお願いして書いていただき、通院の負担を減らすことも出来るかと存じます。)

2013年2月13日 (水)

飲み込んでも大丈夫なフッ素のジェルがある! (改訂版)

ひとことで「フッ素」といっても、化合物なので、様々なものがあります。

歯磨き粉を飲みこんではいけないのは誰でも分かることですが、飲み込んでも大丈夫なフッ素ジェルがあることを、歯科衛生士さんに教えてもらいました。

「チェッ●アッ●®」というお品です。

ラインナップとしては500ppmではバナナ味、900ppmではぶどう味とレモンティー味があります。

お値段は私が購入したお店は580円でした。(税込)

500ppm対象の年齢のお子さんであっても、付ける量を加減すれば、900ppmのお品も使用可能であるといことも教えてもらいました。

ということは、年齢的にはバナナ味該当者であるののに、その味が好みではなく、ぶどう味が好きであっても、OKなんですね。

兄弟姉妹で1本購入でもいいということでもあります。

経済的にも助かりますね。

なお、フッ素ジェルはとても柔らかいというか、トロンとしていますから、歯ブラシを上向けにして、フッ素ジェルの容器の口を下向けにして出そうとすると、ダァ~と出てきてしまいますから、そうではなく、フッ素ジェルの容器の口は横もしくは上向けでそうっと中味を出して、こぼれないように気を付けて歯ブラシに付けてくださいね。

含嗽出来ないお子さんでも、これなら差し支えないそうです。

お試しくださいませ。

成人T細胞型白血病の母子感染について。(改訂版)

産婦人科関係の医療者は知っている感染症として、「成人T細胞型白血病」(以下ATLAと略します。.)という病気があります。
母乳を介して感染する病気と言われています。
HTLVというウィルスが、感染することによるものです。

大抵の場合、妊娠して最初の血液検査(肝炎や梅毒の検査をしますよね?)で一緒に調べます。
多分、フツー頼まなくても調べられます。
ただ、この記事を書いた後に調べていない病産院も結構あることを知りました。その後(確か厚労省の通達か何かで)検査を推奨するようになり、今ではかなりの病産院が調べるようになってきたと聞きます。


白血病とは恐ろしい病気ですが、そのほかの白血病とは異なる部分があります。
日本国内にはこのウィルスに感染している方が実は200万人くらいいらっしゃいます。
この方たちは無症候性感染者(一般的にキャリアと呼ばれる。)です。
感染即発症というわけではなく、潜伏期間が40~50年後と長いことが特徴です。

大人になってから感染するとしたら、輸血・性行為らが想定されます。
というのも、このウィルスに感染しているかどうかは通常妊婦さんしか調べることがありません。
男性が会社の定期検診や、人間ドックでは調べることはまずないものです。

例えばあるご夫婦でがおられたとします。
結婚間もなく奥さんが妊娠された時は感染していなかったのに、二人目とか三人目とかの妊娠で奥さんに感染が発覚するパターンがあります。(勿論、奥さんのご両親はキャリアではありません。奥さんは浮気や不倫はしていません。)
ということは・・・なのですね。
そう、旦那さんから感染したとしか考えられないというわけです。

この他、稀にですが、感染ルートが全く不明の場合もあります。
例えば、奥さんが初婚で旦那さん以外の男性との性交経験が無く、実父母や旦那さん等の検査をしても誰もATLAに感染していないのに、奥さんだけが感染しているということもあります。

昔は人工栄養にすれば感染を防げるという考え方が主流でしたが、最近は少し変わってきています。
赤ちゃんの感染を防ぐために人工栄養を選択したとしても、100人当たり2~5人は感染を免れないことが判ってきました。
この感染率は実は半年以内の母乳栄養を選択した場合の感染率と同じレベルなのです。(分母となるのは完母ばかりではないようですが。)

但し、半年以上母乳栄養を継続した場合の感染率は、100人当たり13~25人と跳ね上がります。
感染率を低下させるため、最初から搾乳してマイナス20度で凍結し解凍したものを湯煎にして飲ませる方法もあります。(かなり手間はかかりますが)

先ほども書きましたように、人工栄養であっても半年以内の母乳栄養であっても感染率は最大6%です。

感染すなわちキャリアとなった赤ちゃんが将来発症する確率は最大で5人なので、これを計算すると1000人当り3人が発症し、残り997人は無症候性感染のまま、人生を終えるということを意味します。

母子感染を免れたかどうかは、3歳の時点で血液検査をして陰性であれば感染防御ができたと見做されます。

ATLAは出来ることなら感染も発症を防ぎたい病気です。
ちなみにSOLANINの知る限りでは、ATLAの感染が告知された妊婦さんが選択された赤ちゃんの栄養方法としては、最初から完ミにされた方、最初の3ヶ月だけ直母による混合or完母で以後は完ミに切り替えた方、最初から直母は無しで、数ヶ月冷凍搾乳による瓶哺乳続けた方、最初から卒乳まで直母による完母だった方等様々です。

(妊婦さんが感染しているかどうかは大変デリケートな問題なので、大抵の病産院では、告知は妊婦さんにだけ行われると思います。)
どのような栄養方法を選択するかは、最終的にご夫婦で話し合って決めていきましょう。

おっぱいとお薬その44『キプレス®』『シングレア®』(改訂版)

『キプレス®』も『シングレア®』も抗アレルギー剤です。
大半の抗アレルギー剤は授乳中でも服薬可能です。
しかし・・・より一層の安全性ということを考えると、検討が必要です。
抗アレルギー剤は気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎、滲出性中耳炎などの際に処方されます。
持病として患っておられるお母さんも少なくないかもしれませんので、お薬選択の考え方としてこの記事を書きます。


『キプレス®』も『シングレア®』も授乳中のお母さんが内服して差し支えないとされています。
お薬の安全性は中等度です。
また、半減期が2.7~5.5時間と、このジャンルのお薬として短い部類であること、タンパク結合率が99%以上であるとが分かっているからです。

つまりこれが意味することを説明いたしますと、お薬というものは大まかに言えば血中で血漿タンパクと結合するものとしないものと分けられます。

血漿タンパクと結合したお薬はおっぱいには移行しないのですね。
血漿タンパクと結合しないお薬がおっぱいに移行するんですね。

ということは、この2つのお薬はタンパク結合率が99%以上というハイレベルなので、移行しにくいということが言えるのです。
この説明、分かりますでしょうか?

この他、抗アレルギー剤には『オノン®』という名前のお薬もあり、臨床的にも汎用されているようですが、お薬のデータというか評価がまだ出ていないようなのです。
なので、ここでは詳しくは申し上げられません。
ただ、『オノン®』は0歳児つまり赤ちゃんに投与しても安全であるという国内での報告がありますから、恐らく問題ないであろうとは推定されます。

お薬の決定についてはドクターと相談してくださいね。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

咥える⇒ウトウト⇒すぐ起きる⇒咥える・・・(退院後1週間)

<ご相談内容>
生まれた時の体重が3560gあった赤ちゃんですが、飲み方にがっつり感がないようで、1クールかどうかすると片方1回だけでウトウトしてしまい、しかしすぐに目覚めてぐずり出します。
前におっぱいをあげてから1時間も経たないうちにまたおっぱいを欲しがります。
ミルクを足すことには抵抗はないのですが、できれば母乳で育てたいです。
出産した病院では退院健診時にぐずっていた(?)せいか、若干の母乳不足かもというようなコメントがありました。

ちなみに体重減少は退院時には3480gまで回復していました。

<SOLANINの回答>
大きな赤ちゃんですね。
例えば出産の時にちょっとしんどい思いをしたり、女児の場合などではこの赤ちゃんのようにどうしても飲み方がおっとりしてしまいがちです。

新生児のうち、おっとりした飲み方をする赤ちゃんは1回の哺乳量が少なくなる傾向が大きいです。
欲しがる度にあげることを厭わないなら、赤ちゃんに合わせて飲ませてあげましょう。

回数の数え方だけを間違えないようにしてください。
1回1クールでいいですからせめて1日16クール以上の積もりであげてください。(片方1回で終了したら0.5クールと数えます。)
でも、おっぱいが良く出るお母さんがこのやり方であげますと、常に乳房がパンパン状態なので辛いものです。

赤ちゃんに合わせるといっても限界がある・・・と仰るならば、赤ちゃんの両足首を片手で把持して金魚運動をしたり、オムツを替えたり、足裏を指圧したりしてとにかく起こしておっぱいを飲むのを促してください。

赤ちゃんを起こしておっぱいを飲むのを促して、1回2クール1日10回以上のペースでおっぱいをあげてください。

そうすればすくすく育ちます。

赤ちゃんが胃でおっぱいを消化する時間は1時間半(~せいぜい2時間程度)ですから、飲み終わって1時間少々で起きるのは全く普通で母乳不足ではありません。

15分とか30分とかでまたおっぱいをほしがるのは、足りないのでなく単に休憩をして体力の回復に努めていたか、うんちや吐乳などでおなかが空っぽになった時など何がしかの理由があるのです。

こんな時は出し惜しみせずにおっぱいをあげてください。

それから、退院時健診の際にぐずるのは、たまたまおなかが空いていたか、ドクターの触り方が気に入らなかったためで、母乳不足ではありません。(笑)

また、退院日に生まれた時の体重に戻る赤ちゃんは初産婦さんの場合稀なことで、どうしてもそうしたいなら・・・医学的理由が全くないのにやみくもにミルクを補足するしかありません。

♡病院では生後10~14日くらいの時期に2週間健診をしていますが、だいたいその時期に生まれた時の体重に戻っていればおっぱいは充分足りていると見做します。

なので、この赤ちゃんは退院時の体重が生まれた時の体重の−2.2%まで回復しておられますから、何の問題もありません。

但し完母でなくてはならないとは申しませんが、『ミルクを足すことに抵抗がない』というお気持ちでは、どんなに充分なおっぱいでも、あっという間に完ミまっしぐらになりそうで、そっちの方がSOLANINは気がかりです。

是非『私は私のおっぱいで私の赤ちゃんを育てるぞ!』という気概を持っていただけたらと願って止みません。

2013年2月12日 (火)

死産後の乳房ケアはどうすればいいの?(16週)

<ご相談内容>
大変ご無沙汰しております。

以前、副耳の手術で言い聞かせのアドバイスいただいたものです。
SOLANINさんとの出会いから、早3年過ぎてしまいました。
娘も3歳3ヶ月、早いものです。
卒乳も2歳7ヶ月に自然にできました!!

先月、待望の第2子を授かりましたが、16週で死産しました。
乳汁分泌抑制剤を2週間飲みきり、その後、1週間ほどたちましたが、胸が張る感じと搾ると乳汁が出てきます。
ネットで検索し、冷やす・きつめの下着をつける、絞らない等書いてあり、実践しました。

その中で、乳汁分泌の薬を飲むと次回の母乳育児に影響がでるとか、死産後の母乳ケアをしないと、胸にしこりができたまま、母乳が出にくくなるなど、いろいろな情報がありました。

死産の手術で数日入院しましたが、助産師さんからの退院指導等はなく、とても不安です。
勿論、精神的なダメージもあり。。。

助産師さんも、死産後の退院指導等はしづらいのかもしれません。きっと私以外にもそういった悩みを抱えている人はいるのではないかと思います。
死産後の気持ちを乗り越えて、進めることができるように、
次の子どもには、ちゃんと母乳をあげられるように・・・

SOLANINさんのアドバイスが記事化されたら心強いな~と思い、質問してしまいました。

<SOLANINの回答>
待望の第二子の懐妊の喜びも束の間、死産だったこと、お悔やみ申し上げます。
赤ちゃんは16週だったのですね。
添い寝や抱っこなど、お別れ前に触れ合う時間があったでしょうか?
赤ちゃんのことを想うと、突然胸が苦しくなったり、わけもなく泣けてきたり、夜が怖くて眠れなかったり・・・メンタル面で今までと違う状態になりがちです。
それは思いがけず、辛い経験をされたことが、そのような状態を引き起こしているのであって、何もおかしいことはありませんよ。
気持ちを抑え込んでも余計に辛くなるだけです。
泣きたい時はいつでも泣いていいのですよ。
我が子が亡くなり、悲しくない親なんてこの世に居ませんからね。
旦那さんも態度や言葉には出されない方かもしれませんが、きっと辛いと思います。
そういう時は旦那さんが相談者さんをそっと抱き締めてくれると、お互いに癒されるのでいいのですが。

さて、死産後のおっぱいのメンテナンスですが、おっぱいを止めるお薬(多分「カバサール®」の類でしょうな。)を指示通り内服されたのに、乳房が張ってきて、おっぱいが滲むのですね。

そういう場合は、確かに冷罨法が効果的です。
キツイ下着を装着するというのは、正直言って意味不明ですが、昔の助産師の言い伝えか何かでしょうが、それはしなくていいと思います。
搾らないというのは、通常の搾乳(=乳輪外縁辺りに指を当てる用手式搾乳)をすると、カラダが誤作動をしますので、それは止めてください。
しかし、乳房基底部に指を当てるおにぎり搾りはしてもいいです。
週数的に、ジャージャー搾れることは無いと思います。
恐らく1回あたりお猪口半分程度の量だと思いますが、物凄い過分泌と仮定しても、おにぎり搾りであれば、左右の乳房併せてMAX量は30~50ml×2~3回以下/日だったら、問題ありません。
あっ、搾れたのは捨てないで、ご霊前にお供えしてあげてください。

「おっぱいを止めるお薬を服用すると、次の赤ちゃんの時におっぱいが出ないのでは?」という心配はご尤もです。
個人的には、薬の成分を考えると、お母さんのカラダにとって使わない方がいいと思います。
しかし、経験的な意見ですが、次の赤ちゃんの時におっぱいの出方が悪くなるということは・・・これまで無かったと記憶しています。
SOLANINの勤務先はBFHなので、終日母子同室&頻回直母だからかな?
出産場所の選択(≒母子異室の定時授乳&ミルク屋さんと超仲よしでミルク足せ足せ病産院)を間違えさえしなければ、まずは大丈夫ではないでしょうか。

しこりについては、断乳や卒乳同様、乳腺組織は徐々に萎縮するので、小さいものであれば、よく分からない位になると思います。
もしも、気になるようであれば、命日から1ヶ月頃を目安に助産院や母乳外来でおっぱいのお掃除ケアを受けられてもいいかと思います。
以後はみだりに乳頭・乳輪を触らないようにすれば、おっぱいはフェードアウトしてくれます。

余談ですが、もしかしたら今回の赤ちゃんはお母さんのおなかに宿るだけで満足されたのかもしれません。
池川明ドクターによれば、そういう赤ちゃんもいらっしゃるとか。
決して、お母さんを悲しませるために宿ったわけではないのです。
きっと今は相談者さんのことをお空の上から見守ってくれているとSOLANINは
思っています。

その名はMIペースト!

「MIペースト®」って聞いたことがありませんか?

CPP-ACP(=リカルデント)という牛乳由来成分を使用した口腔ケア商品です。(乳製品アレルギーのある方は使用できませんから、先にお断りしておきます。)

ひとつ前の記事で「虫歯は簡単に言えば歯が溶ける(=脱灰する)ということです。」と書きました。

「MIペースト®」のコンセプトは「脱灰しても、強力に再石灰化すれば、修復できる。」ということだそうです。

望ましい使い方は年齢に応じたフッ素濃度のある歯磨きやジェルでお口の中をキレイに磨きます。
次にブクブク含嗽2回をしてから、MIペーストを歯に塗りたくるのです。

そのまま眠ってしまっても全くOKです。
先にフッ素でケアをするのがポイントですね。
虫歯予防の効果がさらに高くなりますからね。

では、ブクブク含嗽が出来ない段階の乳幼児はどうするのか?

その場合は・・・そもそもフッ素入りの歯磨き粉やジェルは飲みこんではいけませんから、使用出来ませんよね。

止むを得ないので、お口の中をブラッシングして食べ物のカスを取ってからお茶かお水をゴックンさせます。
次に飲みこんでも大丈夫なフッ素濃度のレノビーゴをスプレーしてからMIペーストを塗りたくります。

おっぱいを飲まなくてもネンネ出来るお子さんはそのまま寝かせてくださいな。
おっぱいを飲まなくてはネンネ出来ないお子さんは30分待ってから飲ませてあげましょう。
子どもを虫歯にさせない努力を惜しまないでね。

どう考えても助産師の領域とは思えない記事を書くSOLANINでした。(笑)

かなり怖いヒトパルボ ウィルスB19。(改訂版)

伝染性紅斑(=りんご病)という病気があります。
症状は両方のほっぺたが少し盛り上がったように赤くなるというものです。
発熱も殆んどなく、あっても微熱程度です。

感染力のある時期は発疹の出る1週間前で、発疹が出る時期にはヒトには感染ることがないので、特に学校や仕事を休む必要はありません。

お風呂に浸かったり、日光に当ったりしてカラダが暑くなると痒みがでることがあります。

大抵は子どものうちにいつの間にか感染し、終生免疫を獲得するので、大人になってから、どうのこうのということはないのですが、稀に免疫のない妊婦さんが12週~20週頃に感染すると、ヒトパルボウィルス(以下B19 とします。) はおなかの赤ちゃんの赤血球を破壊する作用があるので、貧血になったり、胎児水腫という重い病気になりやすく、注意が必要です。

SOLANINが昔々
出会った方は、保育士さんだったか幼稚園教諭だったかをされていた方で、当時園内で流行していたりんご病の園児から感染した(であろう)妊婦さんでした。
残念なことに、おなかの赤ちゃんは胎児水腫になられ、不帰の人となられました。(涙)

この病気はまだ、特効薬もワクチンもありません。
自衛手段があるとしたら、初回妊娠までに感染し、免疫を獲得しておくくらいです。

気になる場合は妊娠の有無に関係なく、産婦人科受診しなくても、近医でお願いすれば、抗体価を調べてもらうことはできます。(採血結果は直ぐには出ません。抗体価の検査は、大抵は出入りの検査業者さんに委託≒外注(がいちゅう)なので、1週間前後は待たなくてはなりません。)

おっぱいとお薬その43『ニューキノロン系抗生物質』(改訂版)

「おっぱいとお薬」というテーマの中には、『抗生物質』についての過去記事があったと思います。
基本的にお母さんが抗生物質を内服したからといって、授乳中止する必要は無いと書きました。
まして断乳なんて考える必要はないのは申すまでもありません。

しかし、『ニューキノロン系抗生物質』についてはそうとは言い切れないものがあります。
商品名としては、『ジェニナック®』『タリビット®』『クラビット®』『シプロキサン®』などがあります。
 

『ニューキノロン系抗生物質』の特徴は、泌尿器科系・皮膚科系・耳鼻咽喉科系・呼吸器系等の感染症に汎用されています。
その理由は細菌の二次感染や難治性感染症に有効だからです。
アレルギー等の副作用も少なく、良く効くお薬なんですね。
しかも、お薬の半減期も5時間前後のものが殆どで、決して長くはありません。
一見何だかとっても良さそうな印象があります。
恐らく授乳中でも使用可能であろうが、授乳中は使用しないと書いてある文献もあります。
何故なのか?

それは、他の抗生物質に比較して、母乳への移行が多いからであることと、赤ちゃんが下痢し易いことと、カフェインやワルファリン(血栓溶解剤)やテオフィリン(喘息の方が服用される、気管支拡張剤)等と一緒に服用すると、それらのお薬の血中濃度を上昇させる可能性が大きいことと、授乳に関係なく過剰なくらい日光浴をすると、皮膚がんの発症リスクを助長するおそれがあります。

つまり、絶対に禁止ではないけれど、授乳中は出来るだけ他の系統の抗生物質に切り替えて貰った方が良いかと思います。
産婦人科以外の科のドクターからは「授乳はお休みして。」と言われ易いお薬なんですね。
でも、その理由は上記のとおりなので、闇雲にそう仰るわけではないのです。

産婦人科のドクターはその辺りのことは良くご存知ですので、『ニューキノロン系抗生物質』を授乳中のお母さんに処方されることは余程のことが無い限り、されないと思います。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html

大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

おしゃぶりを止めるにあたり注意すること。

当ブログの読者さんの場合、おしゃぶりを使っている方は少数派だとは思いますが、おしゃぶりの弊害を考えると、出来るだけ早く止められることをお勧めします。

しかしながら、習慣化とは恐ろしいもので、以下は使い続けて、例えばハイハイで自由に動けるようになる頃まで使っていた人の話ですが、おしゃぶりを隠した日には、それこそ物狂いのように家中をグチャグチャのガサ入れされる波目になります。

キャビネットの引き出しからゴミ箱まで、大泣きしながら捜索作業が続きます。

止めさせるにあたり、おしゃぶりを或る日突然、一方的に隠すor捨てるのは、お母さんのエゴです。
お母さんの都合(例:「お酒が飲みたいから」「預ける時に泣かれるから」等)だけで、或る日突然、一方的に断乳するのと同じです。

それはあんまりです。

可哀想過ぎます。
止めるのであれば、せめて、「おしゃぶりって長く使っていたら、壊れることもあるんだって。」と伝聞調でいいですから、《1ヶ月くらい前から事前情報を告知》してやってください。

そして、《おしゃぶりが壊れた》状況を作ってください。

何箇所か少し切れ目を入れたり、明らかに吸い心地に違和感が出るように。
「ずっと使っていたから壊れたんだね。」と、繰り返し声掛けしてあげましょう。

執着が強い赤ちゃんであれば、《新しいおしゃぶりを1つだけ買って》あげてください。

買う際の注意ポイントは、それまで使っていたおしゃぶりとはメーカーから形から大きさから素材から何から、似ても似つかないものを選ぶことです。

で、赤ちゃんにしゃぶって貰うのです。
赤ちゃんのお口は敏感ですから、「ええっ?何これ!」(怒)になる筈です。

しゃぶって引っ張り出して眺め、また口に入れという作業を何度も繰り返し、終いには、「これじゃないってば!」と、涙目になるかもしれません。
「あ~、やっぱりダメか。でも、前と同じのは見当たらなかったんだよね。」くらいは呟いてもらっていいです。

つまり、《どうにもならない》状況を作ってください。

そして、「こんなのは使えないよね。」
「仕方がないから捨てちゃおうか?」
「おしゃぶりはもうバイバイだね。」と、繰り返し囁いてください。

次に、赤ちゃん自らゴミ箱にポイしてもらいます。
切れ目の入った以前から使っていたのも、新しく買ったミスマッチなおしゃぶりも・・・です。
この際のゴミ箱は、外用のゴミ箱です。

そして、収集日にパッカ―車がやって来る直前に、集積場所に壊れたおしゃぶりの入ったゴミ袋を一緒に運び、パッカー車が収集を終えて走り去るのを見届けさせてやってください。
外用ゴミ箱にポイしてから収集されるまでは、記憶が薄れないように同じ日にしてください。

「もう、おしゃぶりは家にはないよ。」
「新しいのもダメだったから捨てちゃったしね。」
「○○ちゃんはポイしてバイバイしたもんね。見てたもんね。」と、繰り返し言い聞かせましょう。

“口封じ”が消失したら、やたらと賑やか(うるさく?)になりますが、それは織り込み済みですよ。

おしゃぶりにバイバイしたものの、暫くは口寂しいのでグズグズがあるかもしれません。
出来るだけ抱っこや優しい声掛けをして、気持ちを満たしてあげましょう。
また、ダラダラ喰いだけはさせないようにしましょうね。

2013年2月11日 (月)

唾液のはたらきを知っていますか? (改訂版)

唾液には様々なはたらきがあります。

その中で、口腔ケアの面ではどのようなはたらきがあるのかということを是非知ってほしいと思います。

この記事では2つのはたらきについてお話しますね。一つ目は「中和作用」です。

唾液は、お口の中で細菌が産生する酸を中和してくれます。
「中和作用」には状況により強さが変化します。
一番強いはたらきをするのは、お食事を摂った時に出る唾液です。
従ってお食事とお食事の間に分泌する唾液はそれよりもはたらきが弱くなります。

注意すべきは眠っている時です。お食事を摂った時よりもはたらきが弱いのに加えて分泌自体が少なくなりますからさらに輪をかけてはたらきは期待できないくらいになります。

お口のケアに興味が無いのか無頓着な方が時々おられますが、そういう方は信じ難いことに、寝る前に糖分をたっぷりと含む甘いものを飲食して、歯磨きをしないで休まれます。

そうすると、「歯が痛い」「虫歯が進行した」となります。
虫歯へのアクセルをグイグイ踏んでいることになりますからね。
こういう行為は論外ですな。
また、「中和作用」には個人差があります。
元々のはたらきが弱い方もおられます。
そういう方は、そうでない方よりも虫歯になり易く、虫歯の進行が早い傾向にありますから、適切なケアが必要ですね。

唾液のはたらきの二つ目は「緩衝作用」です。
唾液はお口の中が酸性に傾きにくくする作用があります。
「緩衝作用」にも個人差があるとされています。
そうしてこれらのはたらきは、困ったことになかなか簡単にアップすることは難しいのです。

虫歯は簡単に言えば歯が溶けてしまう(=脱灰する)ってことです。
では、唾液のはたらきが弱い方には、虫歯予防対策として救いはないのか?
それがあるのですね。

記憶力の良い方は初期の過去記事で「キシリトール」について書いたことを憶えておられるかと思います。

虫歯菌自体の数を減らし、虫歯菌が「酸を出しにくくする」というはたらきを持つというあの「キシリトール」です。

でも、それ以外にもいいものがあることが分かってきています。
それに関する記事もまた書きますから読んでね♪

卒乳が遅れたから栄養不足になったと指摘された。(涙)

<相談内容>
現在2歳2ヶ月で体重は11.4kgの女の子です。
1歳半健診で体重が9.9kgでした。
当時は偏食が多かったです。
小食でもありました。
おっぱいは浴びるように飲んでいました。

最近、自然卒乳しました。

今でもココロに引っかかるのが、2歳児にフォローのため、保健師さんにチェックしてもらった時に言われたことです。(2歳ジャストの時点の体重は10・9kgでした。)
「卒乳が遅れたから、1歳過ぎてから1年間くらい栄養不足だったかもしれませんね。」との一言です。
過ぎてしまったことですし、自然卒乳したのだから、どうということでもないのでしょうが、ふとした時に言われた言葉がフラッシュバックするのです。

私は離乳食の始まった時から娘の偏食・小食を気に病んでいました。
私が断乳しなかったから娘は大きくなれなかったのではないかと思うと、胸が苦しいのです。(涙)

<SOLANINの回答>
まず、1歳半と言えばもう、離乳食ではなく、幼児食って範疇ですね。
全くお食事を食べないというのであればこれは心配ですが、小食であってもそれなりに食べていたのですから、それはお嬢ちゃんの食べ方の個性でしょう。
偏食と言ってもピーマンは食べなくてもかぼちゃは食べるとか、赤ちゃん時代は粉ミルクを受け付けなかった赤ちゃんでも幼児期になれば牛乳入りのホワイトシチューは食べてくれたりしますから、大きな目で見れば心配するようなことはほぼ無いのです。
離乳食以降の時期でお食事の内容で気を付けることがあるとしたら、鉄分不足の防止くらいです。

子どもは身長が伸びる時期と体重が増える時期があります。

1歳代に体重が増えなかった要因は、お嬢ちゃんにとって、身長の伸びる時期だったのか?ということが考えられます。
1歳代に体重が増えなかったもうひとつの要因は、赤ちゃん時代よりもトコトコ歩いたり走ったり、起きている時間が長くなり、活動時間や運動量も増えていたことも挙げられます。

決して断乳しなかったから体重が増えず、栄養不足だったとは言えないと思われます。
食べられるものはこれからも増えていきます。
そりゃあ確実に増えていきますとも!
作為的に食べさせるものを制限しているのでなければ[←アレルギー以外の理由で]焦らなくていいのですよ。
保健師さんの言葉、気にしたら負けです。

おっぱいとお薬その42『ナウゼリン®』(改訂版)

『ナウゼリン®』はその名が意味するように、吐き気・嘔吐を防止するお薬です。
小児科領域でも処方実例の多いお薬です。(お薬の性質上、内服よりも坐薬として処方されることが多いようです。)

このお薬も妊娠中・授乳中は云々・・・とお薬の添付文書には決まり文句が書かれています。

しかしながら、『ナウゼリン®』には持続的な催乳作用があることをご存知でしょうか?

そう、つまりそれは、おっぱいの分泌を高める働きがある・・・というか、吐き気・嘔吐を防止するための副作用(?)として持続的な催乳作用があることが報告されています。
例えばカナダでは、催乳薬として処方されることもあるのだとか。(残念ながら我が国では催乳薬として健康保険の適用にはなりません。ドクターにお願いしても、催乳作用目当てでの処方には、難色を示されることが殆どでしょうし、万一処方していただけても病名が付けられないことが想定されますので、100%自己負担になるかと思われます。
我が国ではいわゆる混合診療は出来ないことになっていますしね。


※勿論、万一処方していただけたとしても、『ナウゼリン®』に催乳作用があるとはいえ、頻回直母をせずに、内服だけしても意味がないことは申し添えさせていただきます。

※追記:お薬の処方に関する取り決め及び金額につきましては、各医療機関によって異なりますから、気になる場合は、事前に確認された方がベターでしょうが、「●●円です。」と即答してくれるところはあまり無いでしょうね。(汗)

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

こんな感じの授乳ペースで大丈夫でしょうか?(3ヶ月半)

<ご相談内容>
我が子は2716gで産まれました。
産前からストレッチやおっぱいマッサージをしていたお陰で、産まれた日から順調に母乳が出て今も完母で育てられています

1ヶ月健診では3870g(一日49g)
2ヶ月半で5780g(38g)
3ヶ月半で6200g(20g)

といった増加率です。

2ヶ月を過ぎた辺りから夜はまとまって寝るようになり、目覚ましをかけても私も6~7時間後に目覚めてしまうなんて事をしてしまうようになりました。
その分起きてる間に回数増やしていますが、一日の授乳回は5~7回です。
なのでこのペースでこのまま続けていっていつかガクッと体重が減る、もしくは母乳の分泌が減るのでは?と不安も感じています。

ですが母乳トラブルも無く、よく笑い寝返りも先日出来、成長が見られていますので不安を感じながらも現状を変えられておりません。
今のままのペースで続けていって大丈夫でしょうか?

<SOLANINの回答>
う~ん。
そうですねぇ。

今のところ、SOLANINが常々申し上げているところの二つの条件
「お母さんが乳房トラブルになっていない」&「赤ちゃんが順調に育っている」がしっかり満たせているようですね。

ということは、今のところ、それでも良いかなと思います。

これからの体重増加度は、満腹中枢が形成してくることもあり、新生児の頃のように激増することはなくなります。

それでも、右肩上がりに増えて行き、パーセンタイルグラフを割り込むことも無く、運動機能の発達や頭囲の伸長も順調であれば、心配ないかと思います。

ただ、過去記事でも申し上げているかとは思いますが、毎日おっぱいをチェックして、おっぱいトラブルの予兆は無いか、赤ちゃんのおしっこの出方が急減していないか、せめて月イチペースで体重増加度が激減していないか等々については、確認してやってほしいと思います。

また、このように夜間の授乳ペースがかなり空く場合、完母であってもお母さんの月経が再来する可能性が高くなることも想定内にしておきましょう。

それから、月齢が進むと夜間の授乳が再開することもありますが、一旦減ってもそのペースがずっと続くとは限らないことも、決してネガティヴには捉えずに、織り込み済みにしておいてくださいね。

2013年2月10日 (日)

冷えの改善に効果的な方法。

寒い時期はカラダが縮こまり、肩凝りと浮腫みと冷えの「迷惑3点セット」が押し寄せて来ます。
特に、冷えだけは何とかしたい今日此頃、良い対処法を知りました。

ざっくりとした表現で恐縮ですが、まず、お臍を懐炉やチンする湯たんぽや小豆入りパック等の温罨法アイテムを活用し、温めます。
これらを使いカラダを温める時間は1ヶ所につき1分間くらいで良いそうですが、SOLANINは冷えがキツい方なので、日によっては1ヶ所につき3分間くらい温めます。
その後、お臍に当てていたのをいったん外し、同様に仙骨を温めます。

熱く感じたら、お臍と仙骨をチェンジしていきます。
何回かチェンジし直しても良いと思います。
すると、四肢末梢が徐々に「じんわり&ほっこり」温かくなってきます。

特筆すべきは、この心地よい「じんわり&ほっこり」温かな感じは、意外と長持ちします。
肩凝りのキツい場合は、これらの温罨法アイテムを肩に載せてもいいでしょう。
背中が張る場合や乳房トラブルになりかけの場合も、敷き布団の上に、これらの温罨法アイテムを置いて、仰向けに寝転び、肩甲骨間を温めるといいでしょう。

数年前から寒い時期になるとSOLANINは、PCのキーを打つ両手の第1関節だけとか下肢の右(左)側だけという風にカラダの一部分だけが雪を触った後のように異様に冷たくなり困っていたのですが、これをするようになってから、直接冷えている部位を温めなくても改善できるようになりました。

ただ、低温火傷には注意してくださいね。
冷えが改善すると、肩凝りや浮腫みも改善し易くなりますよ。
寝付きも良くなります。

妊娠中に本当に歯科治療を受けて大丈夫なの?(改訂版)

妊婦さんの虫歯の治療は安定期(=つわりが収まってきた時期。)にすると良いそうです。

勿論、つわりがなければ、妊娠初期でも治療は可能です。
クリーニングは虫歯治療よりも早い時期に取りかかっても差し支えありませんよ。

歯肉炎や虫歯を放置する方が妊娠継続にも生まれてきた赤ちゃんの虫歯の発症にもリスクが大きいことを『最強母乳外来・フェニックス』の読者のみなさんはよくご存じですもんねっ?ねっ!

(知らないなぁ・・・と画面の前で呟いたあなた・・・ヤバいです。どうか今すぐにカテゴリー“歯科・口腔ケア関係”を全部ご一読ください。)

想像以上にクリーニングは大きな効果があり、重要です。

そうそう、歯科受診したら母子健康手帳の11ページ(殆どの自治体で発行されている母子健康手帳の11ページは歯科検診の記録欄になっている筈です。)に歯科のページがあるので必ず歯科のドクターに記入してもらってくださいね。

もちろん、おなかの目立たない妊婦さんは「妊娠中です。」と、歯科の受付けで申告してくださいね。

お願いします。

1歳前の自然卒乳について。

自然卒乳では珍しい部類になりますが、完母であっても混合であっても、1歳前に自然卒乳をすることはあります。
割合的には少なくおよそ20%と言われています。

お母さんの方が拍子抜けしてしまい、「もう少し長くおっぱいをあげようと思っていたのに・・・」という気持ちになりがちです。
1歳前の赤ちゃんであっても、トコトコ歩けて、片言が言えて、おっぱいよりもお食事が好きになっていくのが他のみんなよりも早い赤ちゃんは確かにいらっしゃいます。
「おっぱい要らないの?」と、誘っても乗ってこない様子が続いているなら、そのままフェードアウトする可能性もあります。

こういう場合は、お母さんのお食事量を減らして生きます。
乳房が張って辛くなるようなことがれば1日に2~3回はお握り搾りします。
じゃがいも湿布で宥めてもいいですね。
それでも乳房の張りを持て余すようなことになれば母乳外来か助産院でケアを受けましょう。

でも、何かがきっかけでおっぱいが復活することはあります。

その時は、お母さんとしての懐の深さを見せて、「なぁんだ。早過ぎるって思ってたのよね~。」と、笑って受け入れてあげてくださいね。

おっぱいとお薬その41『ビオフェルミン®』(改訂版)

『ビオフェルミン®』は腸内環境を整えてくれるお薬です。
類似のお薬で『ラックビー®』というのもありますね。
CMでもアナウンスされているようですが腸内の乳酸菌を補ってくれます。
母乳中への移行は無いとされています。

一般的に感染性胃腸炎の時に下痢止めを内服すると、病原性の腸内細菌を留めることになるからNGって言われますよね?
でも、『ビオフェルミン®』は、病原性の腸内細菌は追い出してくれるし、腸内環境を整えてくれるから安心です。

海外では使用されないお薬らしいので、海外での評価は無いですが、赤ちゃんにも処方されるお薬でもあるので特に問題ないと思います。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

理想的なおっぱいの温度とは?

分泌する瞬間のおっぱいの温度を測定することは、事実上困難ですが、搾ってみて、手に付着した瞬間であれば、大まかな判断をすることは出来ます。

いわゆる人肌程度であれば、乳房トラブルが無く、順調に分泌されているおっぱいと見做して差し支えありません。

別の表現をすれば、出来たて直送状態とでも言いましょうか。

そう、赤ちゃん好みの温度は、人肌なのです。
逆におっぱいが乳房内で長く滞り(うっ滞して)、しこりがでいた場合、その部位から分泌されるおっぱいは、ひんやりしています。
おっぱいは、つくられたから時間が経過すればするほど、冷たくなるのです。お母さんの身体、それも乳房内にあるのに、冷たくなるって不思議ですよね?乳房トラブルの自覚症状が無くても、ヤバい飲み方にすふとしていることは間違いないので、対処法としては、しこりの部位から上手く飲み取れるように、ポジショニングを変更するのも善し、圧迫授乳するのも善しです。

お食事の摂取に問題がある場合も否定できないので、思い当たるフシのある方は、出来る限り改善していきましょう。

授乳間隔が空き過ぎているならば、速攻でおっぱいをあげましょう。暖房が効き過ぎている環境下や残暑厳しい折には、赤ちゃんに《今日は暑いからおっぱいも“冷や”でええんとちゃう?」と訊いても、決して首を縦に振ってはくれませんよ。

“冷や”≒不味いとインプットされてい増すから、背に腹は代えられない時はしゃあなしでも飲んでくれますが、余裕ぶっこいている時は、鼻でせせら笑って飲まないこともありますよ。(涙)

でも、そういう振る舞いをされても、それは決して赤ちゃんの性質(たち)が悪くなったのではありませんから、誤解しないでくださいね。

“冷や”のおっぱいが赤ちゃん好みの温度、つまり人肌になるように、出来る限りの努力はしてくださいませ。

2013年2月 9日 (土)

よく噛んで食べることは子どもの虫歯予防になります!(改訂版)

特別な訓練をしなくても、直母をすることはそれ自体が噛む力を育てることに繋がります。

離乳食がスタートしても過去の記事に書いたように、お食事の途中でお茶やお水を飲ませると、噛まずに流し込んで飲み込む癖がついてしまうし、胃がふくれてしまい最後まで食べられなくなってしまいがちですから、お茶やお水はお食事の最後にあげることが大事であるということです。

何故よく噛んで食べることが虫歯予防になるのかと申しますと、よく噛むほどに唾液(=つば)が出るからです。

最近の記事で唾液の緩衝能のことを書きましたが、憶えておられますよね?
そう、
緩衝能とは酸を中和して歯のエナメル質を再石灰化する機能のことでしたね。
だから、よく噛んで食べることは、虫歯予防になるのです。
個人差はありますが、2歳半から3歳にかけて第2乳臼歯が生えてきます。
乳歯は全部生えたら20本ですが、生え揃うとそれまで以上に咀嚼力が発揮されるようになってきます。

よく噛んで食べたら褒めてあげてくださいね。

1歳代以降の子どもの卒乳について改めて考えました。

1歳代以降になると、おっぱいは(もちろん栄養や免疫の要素はこれまで通りにあるものの)精神安定剤的な要素が重視されるように思います。

例えば職場復帰後もおっぱいをあげておられると、お母さんと離れている時間が寂しくても、ワーキングマザーの子どものココロを埋め合わせるのがおっぱいだったりします。
簡単には手放さないでほしいなと思いました。

では、専業主婦の方だったらどうなのか?
少なくともおっぱい星人の子どもがお母さんと離れることは殆どないですね。
こんなご時世ですから、ひとりでご近所さんに遊びに行くこともないでしょう。
ある日ふと、1日べったりお母さん独占状態で過ごせる子どもにとって、おっぱいってどんな存在なんだろう?と思いました。

SOLANINの勤務先では、1歳代以降のお子さんとお母さんも、しばしば母乳外来に来られます。
お母さんの相談にのっている間、お子さんはとてもリラっクスしておられます。
おもちゃで遊んだり、絵本を見たり、ゴロゴロしたり・・・自宅同様です。
で、合間におっぱいをちょいっと飲みに来るのです。

2~3回クチュクチュして笑いながら離れて、また遊んでおっぱい・・・の繰り返しっていうパターンが結構多いです。
約1時間の所要時間中に8回くらいおっぱいのちょい飲みをするお子さんも稀ではありません。

そんな光景を見ていると、そのお子さんにとっては何だかおっぱいが娯楽というか趣味のように思えてくるのです。
そんなお子さんに日々対応するお母さんは、大変ではないかと心配になります。
しかし、大抵はなんら困った風ではないので、その母子にとって問題が発生していなければ、“有るがまま”でいいのだろうと私は思います。

ただ、少数派ですが、挙児希望のお母さん(お父さんも・・・)がおられます。
そういう方に限って(?)上手にお子さんを育てておられるし、判で押したように月経が再来していません。
きっと、ちょい飲みの日々なので、卵巣機能が冬眠状態なのでしょう。
旦那さんとの人間関係は・・・特に問題なさそうです。
かえって忙しくても子育てに協力的な旦那さんだったりします。
だけど、月経が再来しない・・・そうなると排卵も難しいでしょう。

特に、年齢的に余裕のない方(個人的には40歳以上と考えます)、高度な不妊治療(例えば、体外受精や顕微授精など)を受けないと、挙児が困難なことが予め判っている方等の場合は自然卒乳で次のお子さんをというのはやはり厳しいのかな?言い聞かせ卒乳の方が希望に添えるのかな?と思い、最近はそのように助言しています。

どのように決断されるかはご夫婦で相談して決めるべきことなので、あくまで助言ですが。

おっぱいとお薬その40『ハルシオン®』(改訂版)

母乳育児中のお母さんには出来れば避けてもらいたいジャンルのお薬があります。
いわゆる睡眠薬・抗不安薬です。

『ハルシオン®』はベンゾジアゼピン系の睡眠薬(=ジアゼパム)の一種であるトリアゾラムで、作用時間的には超短時間型のお薬です。(お薬の半減期が1.5~5.5時間程度。)

「赤ちゃんへの影響は不明であるが、分子量が小さいので母乳への移行はあるので、考慮が必要なお薬である。」というのが海外での評価です。

具体的には、赤ちゃんに嗜眠・体重減少などが見られないかということです。
母乳育児中のお母さんで、なかなか眠れないという睡眠導入剤としての処方であるなら、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬(=ジアゼパム)の一種であるロルメタゼパムで『ロラメット®』『エバミール®』などの短時間型のお薬の方が望ましいとされています。

(つまり、母乳育児中のお母さんに処方する睡眠薬・抗不安薬としての第一選択は『ハルシオン®』ではなく、『ロラメット®』『エバミール®』であるということですね。)

短時間型の半減期はおよそ10時間ですから、超短時間型よりも長くなりますが、母乳中への移行が超短時間型よりも少ないのでより安全性が高いと言えるからです。

但し『ハルシオン®』から『ロラメット®』『エバミール®』に切り替えたとしても、睡眠薬・抗不安薬の類は長期常用するタイプのお薬ではないと考えます。

これは個人的な見解ですが服用はあくまでワンポイント・リリーフというか、どうにもならない時のお守り代わりに稀に服用可能なものと考えられた方が良いと思います。

「睡眠不足気味だから受診のついでにドクターにお願いして、処方してもらっちゃおうかな?」とか、「ということは『ロラメット®』『エバミール®』をSOLANINは母乳育児中のお母さんに推奨するのか?」という訳ではないので、くれぐれもお間違い(曲解)ないようにしてくださいね。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

中央陥没・裂状乳頭のラッチオンの注意点とは?

乳頭の形態は人それぞれです。
耳慣れないかもしれませんが、パッと見は扁平乳頭のようでも、乳頭頂が凹んでいる乳頭を、通常助産師は中央陥没乳頭と呼びます。
乳頭頂のど真ん中が小さく穴状に凹んでいるタイプが多い印象ですが、横一文字に切れ目のように凹んでいることもちょくちょくあります。

仮性陥没乳頭のようでもありますが、指先で刺激しなくても、僅かながら突出はしているので、ちょっと違います。

また同様に、乳頭事態は突出しているけれど、乳頭が2分割・3分割・4分割と加になっていて、中央が凹んでいる乳頭を裂状乳頭といいます。
この場合も、横一文字に切れ目のように凹んでいることが多いです。
凹んでいる部分に乳管開口部が一極集中しているので、これらの乳頭形態の場合、産後開口本数が少なくても当然と言えば当然なのですが、特に、横一文字に切れ目状に凹んでいるタイプの方が立て抱きばかりしていると、つぶし飲みのような感じになるので、乳房トラブルを招きやすいので、要注意です。

一般的に扁平乳頭の場合、乳房形態にもよりますが、日齢が若い(眠りがちでくたびれ易い)新生児は特に、立て抱きにした方がラッチオンが上手くいくことが多いので、ついつい立て抱きオンリーになりがちですが、赤ちゃんの成長と共に、ポジショニングにも変化をつけていきましょう。

日齢が進めば徐々にスタミナもアップしてくるし、お口の開け方も大きくなると思いますので、是非クッションを使って真横抱き(交差横抱き)かフットボール抱き(脇抱き)を採り入れてみてくださいね。

注)尚、担当助産師から予めポジショニングを指定されている場合につきましては、「そろそろ他のポジショニングを採り入れても大丈夫ですか?」ということを、確認してからにしてくださいね。

そうすることで、吸啜時に乳頭にかかる負荷が偏らなくなりますので、つぶし飲みによる乳房トラブルの発生防止が、期待出来ます。

2013年2月 8日 (金)

よく噛んで食べることは顎関節症の予防になる!(改訂版)

過去の記事で「授乳方法の違いで噛める子、噛めない子の出現率に大きな差がある。」というのがあったこと、憶えておられますかな?

「そんなこと言ったって、現代のお食事内容は噛めなくても食べられえるものがたくさんあるから、さほど目くじらを立てるほどではないのでは?」と思われた読者さんもおられるかもしれません。

でも、SOLANINは目くじらを立てます。

子ども達の好きなメニューを挙げると、「カレーライス」「ラーメン」「焼きそば」「ハンバーグ」など、碌に噛まなくても食べられるものばかりです。

そうそう、タレントさんで「マーボーボーフは飲み物です」というブログを書いておられた方もおられましたっけ。

神奈川歯科大学の斉藤滋教授の調査では、平均咀嚼回数は時代とともに減少する一方だそうです。弥生時代の復元食だと3990回もありますが、第二次世界大戦前でも1420回あったのに、現代では620回と激減しています。

これは摂取カロリーの大半を糖分を含む飲み物や、柔らかいものを噛まずに食べているかってことを意味します。

幼児期からこのような状態が続くと、顎骨や咀嚼筋群の発達が悪くなります。
発達が不充分ですと、将来顎関節症という病気になる確率が高くなります。

恐ろしいことにその兆候は早期化しており、本来壮年期以降の病気である顎関節症の症状が発現している中高生がいるそうです。

噛まないと満腹中枢が刺激されませんから食べ過ぎて肥満ということも想定されます。

たかが母乳育児と言うなかれ・・・ではないでしょうか?

噛めないことを軽視する風潮は良くないと私は思います。

妊娠中に授乳すると流産する?

SOLANINの勤務先では経産婦さんの相当数が妊娠中に上の子さんにおっぱいをあげておられます。
妊娠中は乳汁分泌が低下したり、味が変わったりすることから、お子さんの方から飲まなくなることもあります。

また、半分くらいの妊婦さんには吸啜時に乳房痛が起きるので、意識的に吸わせる回数を少なくしたり短時間で切り上げたりされることもあるので、なし崩し的に卒乳になることもあります。
その一方、何があろうともおっぱいが大好きで止められないお子さんもおられ、多様性があるものです。

さて、タイトルにあるテーマですが、どうしてこういう迷信が流布しているのでしょうか?
迷信・・・といってはキツい表現になりますが、「妊娠中に授乳していたから流産した。」という因果関係があるという研究や実例の蓄積は実は未だにないのです。
「ええっ、自分の罹っている産婦人科のドクターは断乳派だから、妊娠中に授乳なんてご法度だと思ってました。」というお母さんかなり多いと思います。

ではなぜ、そんなことが定説のように言われるようになったのか?
私なりに推理したいと思います。
産褥期は進行性変化として乳房の拡張・乳汁の分泌ということが挙げられますが、それと同時に退行性変化として子宮収縮・悪露の排出ということが挙げられます。
つまり、おっぱいを吸わせると子宮が収縮するのを助けるはたらきがあるのです。
それは正しいのです。
だけど、それが頭から離れない医療者が「ということは、妊娠中に授乳したら子宮が収縮して流産するのではないか?」と思ったのでしょうね。
なので、「責任を問われたら大変だ。」「最近はなんでも訴訟にされてしまう。」という保身が先走ってしまい、「リスクでなくてもリスクになりそうなことは止めてしまおう。」「羹(=あつもの)に懲りて膾(=なます)を吹く。」ということになってしまうんですね。

妊娠中といえども、正常な経過を辿っていて、尚且つ危険な既往歴が無ければ、無理やり止めなくてはならないものではないのです。

正常ではない経過(≒危険な既往歴)というのは、切迫流産や切迫早産で入院している場合、重症の妊娠高血圧症候群になっている場合などです。
妊娠経過が正常でも、双子ちゃんを妊娠している時、逆子が治らず、子宮頸管長鵞短縮化したりしておなかの張り止めを内服している場合なども授乳は中止した方が良いと思います。

これはすべての方に知っておいてほしいのですが、人種や民族に関わりなく女性はおよそ妊娠5回に付き1回は流産しても生き物として止むをえないという現実があります。
つまり、おなかの中で途中で心音が停止したり、下腹痛・出血と共に胎児がお母さんのおなかの外に出てきてしまうことがあります。
絶対安静でこれ以上は望めないくらいの最先端の治療を受けても、どう頑張っても産まれてきて元気な産声をあげることが不可能な生命がおなかに宿ることがあるのです。
不可抗力ということなんですね。

たまたまそれが授乳と重なったら、「それ見たことか!」と謂われなきバッシングを昔はされたのですね。
それが未だに尾を引いているということなのですね。

おっぱいとお薬その39『アスピリン®』(改訂版)

妊娠中に『アスピリン®』を処方され内服の必要があるとしたらIUGRで、血流をサラサラにして、おなかの赤ちゃんに必要な栄養等を少しでも多く送るためですが、産後に処方されるとしたら、それはお母さんに血栓が出来た際の治療、つまり血小板凝集抑制のためです。
一般的に『アスピリン®』は赤ちゃんのサリチル酸の血中濃度が高くならないか要注意という風に言われています。

これまで『アスピリン®』を内服していたお母さんで、1981年にアメリカで1例だけですが、生後16日目の女児が代謝性アシド―シスになったという報告がありますが、この症例はお母さんがリウマチによる関節炎のため『アスピリン®』を4時間毎に648mgずつ内服していたことが発現機序と考えられました。

しかしながら、通常、アスピリンの母乳への移行量は0.04%です。
血小板凝集抑制のためお母さんが服用する量が100~300mg/日であれば、授乳には差し支えないと言われています。

そうそう、『バイアスピリン®』と『アスピリン®』の違いは何かと申しますと、成分である“アセチルサリチル酸”は同じなのですが、『バイアスピリン®』の方が容量が少ない(『アスピリン®』の1/3~1/4の量)ということです。

尚、『アスピリン®』は風邪薬と一緒やインフルエンザかもしれない場合は服用すべきでないお薬と言われています。(ライ症候群との関連性)
『アスピリン®』の服用のポイントは、「何の目的で」「どのくらいの量を」服用するかということなんですね。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

頸が据わっていない赤ちゃんは授乳時に後頭部をしっかり把持する?

頸が据わっていない赤ちゃん(健常新生児であれば、概ね3ヶ月半頃以前、早産児は修正月齢で同様)に授乳する際は、深いラッチオンのためにも、後頸部を親指と人差し指の間の指の股で支えるように把持してください。
いかなるポジショニングであろうとも、赤ちゃんの後頭部がガクンと下がって、赤ちゃんの顎が上がり気味で、お母さんをグイッと見上げるような感じがベストです。(マーチングバンドのメジャーの決めポーズみたいですな。)
先日どこだったかで、「授乳時は赤ちゃんの後頭部を鷲掴みにしない。」という表現を耳にしました。
当り前です。
頸の据わりの有無にかかわらず、赤ちゃんの後頭部を鷲掴みにして授乳なんかしようものなら、物凄く嫌がりますからね。

哺乳ストライキになっちゃうかもしれません。(汗)

かといって、頸の座っていない赤ちゃんなのに、恐る恐るそっと後頭部に手を添えるような支え方(卓球のサーブの時、手の平にピンポン球を載せて構えている感じですな。)では、相手も居ないのに、いきなりカクンと前のめりにお辞儀しちゃいます。ラッチオンそのものが出来なくなりますからNGですな。

冷静に考えれば判ると思いますが、カンガルーケア以外の時に、真下向いて、真っ当なラッチオンンなんか出来るわけがありませんよね?
後頸部をしっかり支えているつもりであっても、赤ちゃんをお母さんの太腿に跨らせたら赤ちゃんの頭部がガクンとお時儀しちゃうのであれば、それは正しい支え方ではありません。
正しく支えていれば、赤ちゃんの頭はお時儀もしないし、グラグラと不安定になったりしません。
正しく出来る迄、何度でも支え直して練習するのみです!

見切り発車で、ラッチオンさせても、乳頭や乳輪に傷が出来て痛い目に遭うか、時間をかけて授乳しても、浅飲みなので量にならないということも多々ありますので、ご注意くださいね。

2013年2月 7日 (木)

歯が1本も生えていないけれど大丈夫?(10ヶ月過ぎ)(改訂版)

「標準」の羅列されている育児書などを読みますと、「乳歯の萌出は6ヶ月頃。1歳のお誕生の頃には上下8本くらい生えます。」なんて書いてありますから10ヶ月を過ぎても1本も生えてこないとさすがに「ウチの赤ちゃん大丈夫かな?」と思ってしまうお母さんもおられるようです。

統計的に調べてみましたら、およそ1/20人つまり5%は「生後10ヶ月を過ぎても歯が1本も生えていない。」ということです。

歯が生えていないから、いつまでもドロドロの離乳食しか食べられないのではありませんし、食べたそうなら3回食に進めたっていいのです。

早いか遅いか個人差があるものなので、心配ご無用ですぞ。

ちなみにSOLANINの次男は4ヶ月半で最初の歯が生えてきて、乳首を噛まれないようにするのと、義母が長男に与えたお菓子を掠め取って食べないかヒヤヒヤしていました。(食い意地が張った赤ちゃんだったので、私と長男がこっそりとお菓子を食べていても、何故か察して気が付いたら傍にいることがしょっちゅうありました。)

まぁ、歯が生えてくるのが遅ければ乳首を噛まれるのも遅く、虫歯リスクも低いので、モノは考えようというか、満更悪くもないかなと鷹揚に構えていてくださいね。

姉妹で言い聞かせ卒乳中・最終報告。

件(くだん)のお母さんが再診されました。
二人のお子さんの様子を伺いました。
お母さんに言わせると、「おっぱい依存症ではないか?」というくらい、おっぱいを中心に世界が回っていたお姉ちゃんのYちゃんは、ライバルの妹ちゃんが飲まなくなったせいか、「おっぱい飲みの神様が離れて行った。」みたいに大人しく機嫌良く過ごしておられます。

3歳8ヶ月にもなると、(あ、9ヶ月になられましたかな?)口が達者になり、お母さんがガ~ンとくるようなことを、のたまったそうです。
何だと思います?
「ママのおっぱい、しわしわになって、ばぁちゃんみたいになったなぁ。」だそうです。(ひっ、ひどいっ!)

妹さんは小さくなったおっぱいを見て、「(妹ちゃんが)いっぱい飲んだから(なの)?」
「パイパイごめんね。」と、申し訳なさそうに言ってるそうです。
妹ちゃんの言葉はまだ拙いのですが、お母さんとしては胸にグッとくるそうです。(姉妹で対照的な発言ですな。性格もあるのでしょうか?)

お触りの「卒乳」はまだのようで、相変わらず、お家の方のおっぱいを摘まんだり引っ張ったりしているそうです。
それは仕方がない、もう少し長く妹ちゃんには飲ませてあげたかったのに、お姉ちゃん案件で“言い聞かせタンデム卒乳”に巻き込んでしまったのだから・・・とお母さんは納得していらっしゃいます。

言い聞かせがしっかりと出来ておられたので、チックや夜泣き、爪かみ、拒食、情緒不安などの気になる諸症状はみられないそうです。
乳房のコンディションも落ち着き、無事フィナーレを迎えられました。

ほっ。

おっぱいとお薬その38『トラベルミン®』(改訂版)

乗り物酔い防止のお薬として有名なのが、『トラベルミン®』ですよね。

このお薬の含有成分は、“ジフェンヒドラミン”という抗ヒスタミン薬の一種と、血管を拡張させる働きのある“ジプロフィリン”です。
“ジプロフィリン”は『ネオフィリン®』や『アストモリジン®』などの薬剤名です。
そう、ぜんそくの治療に使われているモノと同じです。

ちなみにこの『トラベルミン®』の効能の持続時間は約4時間です。

さて、このお薬ですが、授乳中に内服しても差し遣えありません。
このお薬は屯用ですよね。
だったら、おっぱいの分泌が悪くなるという、抗ヒスタミン薬の長期連用(=常用)による不都合な影響(副作用?)は心配ないです。

お母さんがゲーゲーしてたら授乳になりませんからね。
快適な移動が出来ますように。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

言語機能通過率とは?

SOLANINは第2弾書籍を書くにあたり、厚労省の出している統計を見るようになりました。

その中で幾つか気になったことがあり、その中の一つが記事タイトルの「言語機能通過率」です。

乳幼児が意味のある単語をひとつでも言えるようになる時期を表したものです。(たまたま偶然それと聞こえる発音とは違います。例:食べ物を見て、「マンマ」と言えた。しかも偶然ではない状況で、後で何度でも同じ状況下で再現できることが判明し、振り返ってみれば、あの時が初めてだったかな?と言えること。)

何事も個人差がありますから、SOLANINは早ければ良いとか、早期教育がどうのこうのとか申し上げるつもりは毛頭ありません。

ただ、我が国の子ども全般という大きな括りで見てみると、90%の子どもが何らかの単語が言えるようになる時期というのが、明らかに遅くなっているのですね。

どのくらい遅くなってきているかと言いますと、概ね10年毎に1ヶ月遅くなるというペースのようです。
具体的には、グラフを読み取りますと、平成12年は1歳3ヶ月で平成22年は1歳4ヶ月なのですね。(ちなみに平成2年は1歳2ヶ月だったらしいです。)

ヒトとして退化してきた?
いやいや、さすがに10年でそれはありませんよ。(汗)

この統計は10年毎というスパンで集計しているのですが、「子どもへの関わり方」が時代と共に変化してきているからだと示唆されているそうです。

「子どもへの関わり方」という表現は、持って回った感じですので、具体的に申しますと、「2時間以上のTV視聴をしている」子どもの割合が増加していること」と、大きな関連性があるとのことです。

まぁ、ここでいうTVというのは、毎日のTV放映だけではなく、恐らくDVDなんかも含むのでしょうが、子どもだけで画面を眺めているということです。

番組を決めて短時間のみ視聴するとか、母子で一緒に視聴するとかだったら、違うのでしょうが、どんなに立派な内容だったとしても、一日中ダラダラとTVつけっ放しで子どもに見させるというのは、「子どもへの関わり方」として子どもの言語機能発達を阻害する危険性が高いので、アカンということですな。

肩肘張って気負う必要はないけれど、何気ない普段の日常生活の中で、赤ちゃんをひとりの人として話しかけたり、歌を歌ってあげたり、一緒に遊んであげることが、言語発達には大事なのだとSOLANINは強く思いました。

2013年2月 6日 (水)

お昼寝の前、歯磨きしてますか?(改訂版)

お昼寝の時間は1~2時間程度でしょうが、離乳食を食べるようになったら当然食べ物のカスが口の中に残ります。

食べ物のカスが口に残った状態でお昼寝をしたら、やはり歯は脱灰します。

お昼寝前に甘いお菓子を食べていたら・・・ヤバいです。

保育園では1歳の子どもであっても食事の後、お昼寝の前には歯磨きをします。

ネンネの時間は昼も夜も関係ありません。
出来るだけ綺麗な歯を保つには、お昼寝の前の歯磨きもされた方がいいと思います。
歯が綺麗な状態で、おっぱいをあげるのは、歯科衛生的にも安心だと言われています。(おっぱいの後に歯磨きは不可能ですからね。)

昼でも夜でもネンネの前はお口の中を綺麗にしてからにしましょうね。

自己流断乳は止めましょう!

お母さんサイドの都合だけでおっぱいを止めることを断乳といいます。
過日SOLANINの勤務先の母乳外来を受診されたKさんもそうでした。
上の子さんの時も断乳したけれど、特に問題はなかったので同じノリで前日の朝から飲ませてないとのこと。
しかし上の子さんの時とは違い、乳房が異様にパンパンに張って痛くてどうにもならないから、マッサージしてラクにしてほしいとの希望でした。

ふ~む。
おっぱいのフィナーレは兄弟姉妹だからといって、同じ経過を辿るとは限りません。

しかし、「何したら1日でこんなにパンパンになるのかね?」と聞きたくなるほどの乳房の緊満でした。
腕は腋窩リンパの流れが悪化しているので、挙上が不可能でした。そうしてあれこれ聞きましたところ、上の子さんの時に何もなかったのは単に運が良かったのだろうということが分かりました。

以下はKさんが実際にされた断乳の際の乳房ケアとしてNG項目です。(順不同)

①お食事の摂取量を全く減らしていない。(もちろん水分も。)

②お風呂でしっかり肩まで浸かって温まった。

③朝食後に飲ませないカタチで終わってしまった。

④搾乳時、乳輪をモロに触っている。

⑤搾乳時、量や回数を制限していない。

⑥じゃがいも湿布をしていない。

⑦ブラジャーがきつめである。

断乳の際、受診する助産院や母乳外来にお子さんを連れて来ないのは・・・常識的に考えれば理由の説明は不要ですよね?
えっ?分からない?
幾ら何でもそりゃあないでしょう・・・
難しく考えなくても、デリカシーのカケラがあれば、分かりますよ。(汗)

おっぱいとお薬その37『ボルタレン®』(改訂版)

最近市販されるようになった解熱鎮痛薬に『ボルタレン®』というお薬があります。
『ボルタレン®』と『ナボール®』は同じ“ジクロフェナクナトリウム”を含有する先発薬です。
後発薬では『ボルマゲン®』や『ブレシン®』も同じ成分です。

このお薬の効き目は海外でも評価が高いです。
いわゆるよく効くお薬です。
それはつまり、解熱鎮痛薬の第一選択ではないということです。
ちなみに第一選択となるのは『カロナール®』です。

『ボルタレン®』などの解熱鎮痛剤は病気を治すためのお薬ではありません。
あくまで熱や痛みなどの辛い症状を緩和するためのお薬ですから、間違えないようにしてください。

服用方法も頓用、つまり6時間以上間隔を空けることが望ましいですね。
1日2~3回以内の服用に留めていただきたきたいです。

お薬の半減期も短いのですが、お母さんのカラダに及ぼす影響を考えると、毎食後に内服するという服用方法をドクターが指示されることは、通常どの病院でもないと思います。
ですので、頓服で、尚且つ服用期間もせいぜい数日にとどまるかと思われます。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

2013年2月 5日 (火)

野菜を食べないなら野菜ジュースを飲ませればいい? (改訂版)

野菜ジュースによっては飲みやすくするため、お砂糖を添加したり、果汁を混ぜてあったりするものもあります。

それですと、酸性度が高いので虫歯になりやすいです。
仮にお砂糖無添加で果汁も加えてなかったら、ビタミン類は野菜に限りなく近いかもしれません。

けれども、食物は栄養分の補給だけを目当てに食べるのではないですよね?
赤ちゃんの味覚を育て、咀嚼するという口腔機能の発達を促すためにも自分の歯で噛むことを大事にしたいものです。

生野菜は食べにくいので少し茹でたり、スティックに切って手づかみで齧れるようにしてみるといいですね。

最近の子供は噛む力が弱くなっていると言われています。

噛む力をつける基礎が直母なんですね。

しかし、野菜をすり潰しただけでは、ピューレ状ですから舌の上で食物繊維はそのまま残ります。

食味的にザラつくと喉越しが悪く、ジュース本来のサラッと感がないので減らしてあるかもしれません。
絶対に飲ませるなとは申しませんが、野菜を食べない代替えに野菜ジュ―図を飲ませたからOKってわけじゃないので、そこのトコロ、お間違えの無いようにね。

姉妹で言い聞かせ卒乳中・中間報告。(妹ちゃん編)

この間までお姉ちゃんとタンデム授乳中だった1歳8ヶ月の妹ちゃんのNちゃんです。
言い聞かせ卒乳中です。
最初の1週間はお姉ちゃんのことが気になるらしく、「お姉ちゃんも?(飲まなくなるのか?)」と確認していたとか。

次の1週間はやはりお母さんの服をめくって乳房に描かれたお花を何度も確認したり、名残惜しそうな表情だそうです。

次の1週間は家族(おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん)の乳房を触りまくっているそうです。(お母さんのはダメなんだろうなという想いがあるのか、触りに来ないそうです。)
乳房を触っていると、心が落ち着くのかもしれませんね。
きっとそうだと思います。
1歳8ヶ月なりに葛藤はあるのでしょう。

でも、お母さんから見て妹ちゃんの方がお姉ちゃんよりも受け入れつつあるというか、性格もあるのでしょうが、リアクションが温厚だとか。

お母さんとしては妹ちゃんにはもう少しあげてもいいとは思っていたのだそうですが、お姉ちゃんの激しい飲み方に辟易していたというか、お姉ちゃんを言い聞かせ卒乳するためには可哀想な気もするけど妹ちゃんもタンデム卒乳するしか選択肢はないということでした。

妹ちゃんだけでも自然卒乳させたかったけど、どうにもならず、苦渋の決断だったと教えてもらいました。
お母さんのおっぱいの方が落ち着いてきたら、お母さんのおっぱいを触らせてあげるといいのではないかと思いました。

妹ちゃんの健気な様子に貰い泣きしそうなSOLANINでした。

おっぱいとお薬その36『ラシックス®』(改訂版)

『ラシックス®』は、かなり昔からある利尿剤の一種です。

妊娠高血圧症候群で浮腫みが酷い場合に、昔はしばしば処方されたものですが、お母さんが服用すると新生児の黄疸が進行し易いので、近年はそういうデメリットの大きさから、まず、(普通は産後には)処方されなくなったお薬です。

また、連用すると、おっぱいの分泌が低下してしまう恐れがありますから注意が必要です。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

乳汁生成第Ⅰ期には、吸啜刺激は不要なのか?

ずっとずっと前の過去記事でも述べている通り、おっぱいが生産される時期はおおまかに分けて3つに分類されますが、そのことは、読者のみなさんだったら、既にご存知ですよね?

その中で一番初っ端の時期である、乳汁生成Ⅰ期というのは、妊娠中期からおよそ産後2日目迄を指します。

国際認定ラクテーションコンサルタント協会の文献に依りますと、「この時期に分泌される乳汁はほぼ初乳のような組成になっており、吸啜刺激が無くても分泌されるものである。」とされています。 

「ええっ!吸啜刺激が無くても分泌?」

そうですねぇ~確かに母子分離されたお母さんのおっぱいをチェックしていると、1回も赤ちゃんに吸啜されていないor1回も搾乳もしていない・・・にも拘らず、じわじわと分泌している方は確かにいらっしゃいます。

そして、その方達が口を揃えて仰るには、「妊娠中からじわじわと分泌していました。」ということです。

妊娠中に上の子さんへの授乳継続中の経産婦さんだけではなく、初産婦さんでも同様のことを仰る方はいらっしゃいます。
これは一体どういうことなのか?

実は、妊娠中期以降は、非妊時の20倍の『プロラクチン』が分泌されているので、おっぱいの製造能力は有るのです。
それ自体はおかしなことでも何でもないのです。

しかし、妊娠中は、『プロラクチン』よりも、『プロゲステロン』や『エストロゲン』のチカラの方が強いので、おっぱいの分泌はセーブされているのですね。

つまり、間違っても妊娠中に、おっぱいがジャカジャカ出るというわけではないのです。(チョロチョロくらいは出ます・・・)

産後2日目迄に分泌される乳汁の存在を分かり易く説明すると、妊娠中に製造している、いわば帳簿に掲載していない、隠し預金みたいなものです。

それも、スイス銀行に預けるほど膨大なものではなく、タンス預金程度と見做すのが妥当でしょう。(授乳されている方は、勿論それより多いことは確かです。)

だからと言って、「だったら産後2日目までは、母子異室並にじっくり休んで面会者の相手をするくらいで、基本的に授乳関係は何もせず、のんびりしていればいいのよね。おっぱいは吸わせなくても勝手に出るらしいから。」と考えるのは早計です。

放置乳房にしておくと、乳汁生成Ⅱ期にスムーズな移行が出来なくなるかもしれません。

移行する前にシステムダウンして復旧困難に陥ることも・・・

頻回直母が出来なければ、せめて1日7~8回の搾母をすることが、必要だということでしようね。

2013年2月 4日 (月)

病気でもないのちょこちょこにイオン飲料を飲むとどうなる?(改訂版)

発熱して、解熱して汗ブルブルかいた時ならいいのですが、そうでなく何でもない時イオン飲料を飲むとどうなるか知っていますか?

イオン飲料というだけあって電解質が多いですから、下手に飲むとかえって喉が渇きます。

ですのでちょこちょこ飲みになってしまいがちです。
ちょこちょこ飲みをすると歯が脱灰しやすくなります。

pHだって強酸性です。
百歩譲って、コップでグイッと飲むならともかく、哺乳瓶でクチュクチュ飲んだら飲み干す時間の長さはコップの比ではありませんな。

乳幼児だけではなく、妊娠中はそれ以外の時期よりも再石灰化に時間が長くかかります。
つわりなどで歯磨きもいい加減だったりすると、虫歯になりやすく進行も早いです。

イオン飲料はヘルシーなイメージですが、その実態はイメージとは裏腹なんですね。

大人であっても飲むのに適している時かどうか、よ~く考えましょうね。

1歳代で自然卒乳はあるの?

<ご相談内容>
我が子は保育園に通園中のおっぱい星人のお嬢ちゃん。

これまでは保育園でも泣いていたり、お給食も食べられなかったそうですが、「語りかけ」をしていったら、保育園にも慣れていって、楽しんでいます。
苦手のお給食も少しずつ食べられるようになってきました。

お外が大好きで毎日お散歩をしています。
それとともに、自然におっぱいの回数も減ってきました。
1歳を過ぎたら『おっぱい=ココロの栄養』『欲しがらない=心が満たされているから』と、捉えていいのでしょうか?

このまま自然卒乳になるといいなと思ったりしますが、1歳代で自然卒乳はあるのでしょうか?

<SOLANINの回答>
統計的なことを申しますと、自然卒乳の時期は1歳のお誕生日前の場合が20%程度。1歳半で50%程度。2歳で80%。2歳以降が20%だそうです。

現実には、お母さんが強制終了するカタチでの、『断乳』がまだまだ幅を利かせていることもあり、残念なことに1歳のお誕生日前におっぱいをもらえなくなる赤ちゃんが50%前後かと思われます。

当ブログの読者さん(この場合授乳中のお母さん限定です。念のため。)やSOLANINの勤務先の母乳外来に通院中のお母さんは、結構長い傾向にありますが。
子どもの自然卒乳の時期は千差万別ですが、このお子さんの場合、おっぱいよりも美味しいものや楽しいものを見つけられそうな雰囲気ですからもしかしたら近い将来そうなるかもしれませんね。

子どもが納得出来ていれば、それでいいと思いますよ。

勿論、卒乳は不退転の決意で臨むものではありませんから、流れに身を任せるようにしていてよいと思います。
行きつ戻りつのパターンもあります。
子どもさんがあっさりと卒乳してしまったら、お母さんの方が解放感以上に寂しくなって悶々とする方が少なくないようですよ。

おっぱいとお薬その35『市販の総合感冒薬』(改訂版)

<ご相談内容>
咽頭痛があるものの、数日間お薬を服用せずに辛抱していました。
なかなか良くならないので赤ちゃんを連れて内科に行くのも危険かと思い、薬局に行ってお薬の購入をしようと出向いたところ、「新〇〇Aゴールドが、まだ弱いめのお薬なのでいいですよ。」と薬剤師さんに言われたそうです。

で、購入したものの、気になり、帰宅後ネットで調べたところ、「授乳後4~5時間あけること。」と記載されており、他のネットでこのお薬にも含有される“カフェイン”はおっぱいには良くない旨記載されていたそうです。(ちなみに、新〇〇Aゴールドには75mg含有されているそうです。)

現在授乳間隔が4時間以上は空かないので、もしも服用するとしたらミルクを足すなどした方がいいのでしょうか?
このお薬は本当に大丈夫ですか?

<SOLANINの回答>
市販の総合感冒薬につきましては、解釈の難しいところです。
先にお断りしておきますが、ハッキリ言って、総合感冒薬は風邪を治すお薬ではありません。
風邪にまつわる諸症状を緩和するお薬です。
お母さんが内服しての授乳で、必要最低限(最少量で短期間)であれば、赤ちゃんへの影響は心配ない成分ではあるのです。

但し、市販の総合感冒薬いうモノには実に多くの成分が複合的に含まれています。
(ご指摘のお薬で9種類もの成分が含まれています。)
でも、このお母さんの場合、咽頭痛が主訴ですよね?ということは、要らない成分も一緒くたに摂取することになりますよね?
いくら心配ない成分でもどうなんでしょうね?

なお、“カフェイン”については紅茶1杯飲めば50mg摂取するわけですし、赤ちゃんの病状などで小児科のドクターから制限の指示が出されているならともかく、そうではないのなら、心配ないと考えます。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

日本の母乳率 その2

母乳だけで育てられている赤ちゃんの占める割合を母乳率と称します。我が国では従来1ヶ月時の母乳率は概ね45%前後と発表されていました。
(昭和55年45.7%、平成2年44.1%、平成12年44.8%)
しかし、平成22年の厚労省の調査結果(10年毎の発表される、母子保健関係の公的な統計です。)によると、なんと51.6%にアップしているのです!

これは凄いことです。
ちなみに従来、4ヶ月時の母乳率は、概ね35%前後とされていました。

(昭和55年29.8%、平成2年35.3%、平成12年35.9%)

しかし、これも平成22年には、ななんと55.8%と、飛躍的に上昇しています。
しかも、月齢が進めば下がる一方だった筈(?)の母乳率は、1ヶ月時よりも増加しているのです。
混合栄養の方の占める割合には大きな変化は無いのですが、いわゆる完ミの方の割合が激減しているのですね。
SOLANINの個人的見解としましては、平成12年以降の10年間とそれ以前との大きな違いは、仮に入院中に母乳育児のスタートで躓いても簡単に諦めず、上手く行くために退院後も努力を惜しまないお母さんが増えてきたこと、そういうお母さんのニーズに応えようとする、母乳育児を支援する産科施設(BFH認定病院やそれに準ずる病産院)が少しずつとはいえ増えてきたからではないかと推測します。


勿論、都道府県格差や施設間格差は厳然として存在していますし、なんちゃって母乳育児推進病産院や㌧でも母乳育児支援医療者による保健指導に右往左往させられたり、傷つけられることも否めません。
それでも、産婦人科医師の減少や助産師の飛躍的な増加が見込めないマンパワー不足に伴う産科施設の集約化という悩ましい産科医療にシフトしていく中で、母乳育児については、大健闘ではないでしょうか。

当ブログも、微力ながら読者のみなさんのリラクテーション(混合から母乳への移行・母乳復帰)や母乳育児のモチベーション継続に貢献できるような、正しい知識の発信を続けて行きたいと思います。

2013年2月 3日 (日)

幼児が空腹感を持たないことの弊害。(改訂版)

空腹感を持たない状態とはどういうことでしょうか?

それは、ダラダラと糖分を摂っているということからきます。
つまり、糖分を含む飲み物(ジュース類やスポーツドリンク、乳酸菌飲料など)やお菓子をいつでも好きなだけ飲みかつ食べる状態です。
おなかが空いていないのに、惰性で口に入れているのです。
ヒトはおなかが空いていないのに、食べると、あまり噛もうとしなくなります。
噛むことが少なくなると、口腔機能の発達が妨げられます。

しかも、ダラダラ食いは、歯の脱灰が助長されます。
歯の再石灰化には、脱灰の2倍の時間がかかると言われています。

乳歯のエナメル質の厚みは永久歯の1/2ですし、その段階に達するまでに、2~3年かかることは、読者のみなさんはよくご存じですよね?

つまるところ、ダラダラ食いは歯の『溶けホーダイ・ダブル』って感じなんですね。

あちゃ~。

この間、仕事帰り(もちろん夕方)の道端で、袋入りスナック菓子を持って歩きながら食べている推定年齢2歳児を見たものですから・・・

お~い。
保護者出てこ~い!!

おっぱいやめろコールその2★集団健診にて

SOLANINが赤ちゃんだったわが子を育てていた頃、集団健診は鬼門でした。
集団健診アレルギーに近いものがあり、健診日が近付くにつれ気鬱になりました。
昔は10ヶ月になったら離乳食は3回しっかりあげて、おっぱいは止めなさいというように指導されるのが基本方針でした。

歯科健診ではカリエス4くらいの酷いズルズルになったグロテスクな乳歯を見せられて、「おっぱいを続けるとこんなひどいことになりますよ。」とPRされる始末で、かなり煽られました。

「離乳食が進まないのはおっぱいのせいだわね。」と栄養士さんは仰いましたねぇ。(これは今もですねぇ。)

小児科のドクターにも、「おっぱいを赤ちゃんが止められないのでなく、お母さんの意志の問題だ。」などの責め言葉でけちょんけちょんに言われました。

そうそう、保健師さんからは「1歳過ぎるとおっぱいに対する執着がきつくなるから、10ヶ月くらいの今から止めるのが賢いやりかたよ。2~3日は大泣きするけどね。」とおっぱいを続けたいと勇気を出して気持ちを伝えたらアホ扱いされました。

辛かったです。

四面楚歌でした。

・・・言っておきますが、今となっては、これらは全部不適切コメントです。
っていうか、おっぱいに対する誤解です。
少なくとも、これらの言葉を断乳のきっかけにだけはしないでくださいね。

訳分からん抵抗勢力に屈しては駄目です。

おっぱいとお薬その34『ブルフェン®』(改訂版)

解熱鎮痛剤で『ブルフェン®』というものがあります。

子どもに処方される座薬で『ユニプロン®坐剤』というものがありますが、成分はいずれも“イブプロフェン”というお薬です。
市販薬でも『イブ®』というものがありますね。
あれも主成分は同じです。

先行研究では帝王切開後の痛みに対し、イブプロフェン1回400mgを6時間毎に投与しても母乳には検出されなかったというデータがあります。
(検出限界は0.5~1.0μg/ml)
別の研究でも、母乳中の濃度はお母さんの血中濃度の150分の1と報告されています。

お薬は服用しないに越したことがありませんが、止むを得ず服用せざるを得ない場合はより安心なお薬を選びたいですね。

その意味では『ブルフェン®』『ユニプロン®』『イブ®』は授乳中でも服用して差支えないと思われます。

ちなみにですがこのお薬の添付文書には『授乳中の婦人に投与することは避け、止むを得ず投与する場合は授乳を中止させること。』という例の決まり文句がバッチリ記載されています。
でも、実際はその必要は無いのですね。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

乳汁貯留腫って?

決して頻繁に見受けられるものではありません。
ただ、助産師としては遭遇したくない、褥婦さんとしてはなりたくないものの一つだと思います。
あおれが「乳汁貯留腫(じゅうにゅうちょりゅうしゅ)」です。
産後乳房うっ積が強くなっている最中に、強い握力で時間を掛けて揉みしだくような乳房マッサージをすると、乳輪の直ぐ奥の方に硬結が出来て、激烈な痛みのせいで直母はおろか搾母も出来なくなります。

日数の経過とともに、乳房うっ積はラクになってくるものの、おっぱいの分泌はシュンとなってしまって増えることは無いし、寧ろ減ってしまうことも多々あります。

最大の対策は予防です。

そもそも乳房うっ積を起こしにくいよう、妊娠中から乳頭・乳輪ケアをすることと、冷えを助長するような生活をしないことです。

それと、授乳スタイルとして、授乳間隔を空け過ぎないこと、産後ケアとして、乳房マッサージをルーチン化している病産院はまだまだ多いと思いますが、少なくとも乳房うっ積状態の褥婦さんには行わないことです。

産後ケアの見直し(ルーチン化を止めるとか、乳房マッサージをするタイミングを変えるとか・・・)も必要ではないでしょうか?
《乳房がパンパンに張って痛いのに、滲むほどしかおっぱいが出ない状態》が乳房うっ積ですから、そのような状態の時には、助産師から「おっぱいマッサージをしましょう!」と、声を掛けられても、断る勇気も必要でしょう。
乳房うっ積が増悪進行した状態の一つの形態が乳汁貯留腫と見做しても外れではないとSOLANINは捉えています。

兎にも角にも、「なってしまった!どうしよう?」の場合は、一時的に乳房全体の冷罨法も止む無しでしょう。

産婦人科ドクターによっては、一時的におっぱいの分泌を止めるはたらきのある服薬を勧められることもあるようです。

2013年2月 2日 (土)

臼歯が生えてきたおっぱい星人のお口のケア 。(改訂版)

臼歯の生える時期には個人差がありますが、おおむね1歳半を過ぎると生えてきます。

お食事の内容も赤ちゃん時代とはかなり変化してきます。
おやつのバリエーションも増えてきます。
この時期気をつけるのは、お砂糖の摂り過ぎです。

以前、赤ちゃんのお砂糖の摂取量は微量である旨をお話しましたが、お砂糖をたくさん摂取すると、虫歯リスクはババ~ン!と跳ね上がります。

歯磨きの注意ポイントは上顎の乳中切歯の裏側ということは変わりないですが、それに加えて、食べ物のカスが溜まる臼歯の溝は要注意です。

お砂糖を制限する習慣はそれだけで、お口のケアのひとつでもあります。

2歳を過ぎると、ダラダラ飲みは危険です。
ダラダラ飲みとは、外にも行かず、遊びもせず、TVやDVDを観る以外は、ご飯そっちのけでおっぱいにしがみついているような飲み方をしている状態です。

仕上げ磨きをした後ネンネの前や、兄弟げんかに負けた際、悔しくて悲しい時に「おっぱいちょうだいよ~。」と、擦り寄って来ておっぱいを飲むのは自然な振る舞いですし、そんなことでは虫歯リスクは高くなったりしません。

おっぱいやめろコールその1★産婦人科にて。

1歳2ヶ月児のお母さんの実体験です。
かれこれ1年以上子宮がん検診をしていなかったので出産をした自宅近くの産婦人科医院を受診されたそうです。
その医院では問診票があって、「現在授乳中ですか?」「月経はまだですか?」という質問があったので正直に「はい」に○をつけて看護師さんに渡したそうです。

そうしたらすごい剣幕で看護師さんがすっ飛んできて「ウチの先生は1歳で断乳するのが当たり前だといつも仰っているのを知らないんですか?まずいなぁ、こんなとこに○をつけたら先生が怒り出すのは決定だわ。あ~どうしよう?」と、イラつきながら言われたそうです。

そのお母さんはSOLANINの勤務先の母乳外来に何度も受診されたことがあって、SOLANINとも何度かお話したことのある方でしたので「でも、嘘を書かなくちゃならないってのはおかしいし、私は何も悪いことをしているのではないですから。」と、きっぱりと伝えられたそうです。

でも、さすがにドクターと対峙すると、さっきのやりとりがあったことから、身を固くしていたそうです。

そうして問診票をチェックしたドクターは案の定「まだおっぱいをあげているの?お子さんごはんを食べてるんでしょう?だったら栄養学的に大きな意味はないし、そんなに長くあげてたら子宮や卵巣が干からびるよ。いいかげんに止めないとね。」と、口元は笑いながら目は睨みつけるようにしながら(←怒鳴られるよりもある意味怖っ。)仰ったそうです。

まぁ、この産婦人科のドクターは物の喩えで「子宮や卵巣が干からびるよ。」と仰ったのでしょうが、生きている人間の体の中にある臓器が自然に“乾物”になることはありません。

エコーで診ると小さくなっているように見えますが、妊娠が出来ない状態になったわけではありません。
だいたい、その産婦人科医院で出産したからといって、そこのドクターの意向に合わせて授乳の期間云々を決めなくてはならないのはおかしいに、物の道理に合いません。

看護師さんに至っては外来診療中にドクターの機嫌が悪くなると、仕事がやりにくいからドクターに気を遣っているだけで、患者さんのことなんか眼中にないからこういう不適切な言動をしちゃうのよね。

当ブログの読者さんの中にも1歳代前半のおっぱい星人のお母さんは大勢おられるでしょうが、もしもこのような状況になっても、凹むことないですからねっ。

自信を持っておっぱいをあげてくださいね。
訳分からん抵抗勢力に屈しては駄目です。

おっぱいとお薬その33『ピロリ菌の除菌について』(改訂版)

みなさんもご存知のように、ピロリ菌は、胃潰瘍や胃がんの原因菌になると言われています。

上水道水を飲用しておられず、井戸水や山の湧水などを子ども時代から飲用しておられた方は感染の恐れが高いと言われています。

ピロリ菌に感染しているかどうかの検査は簡単にできます。
予算としてはおおよそ5000円くらいです

さて、不幸にして感染が判明し、除菌を希望されるとして、お薬の内服が必要になってきます。
第1選択としては『ランソプラゾール』『タケプロンOD®』(ランプラゾール)、『サワシリン®』(アモキシリン)、『クラリシッド®』(クラリスロマイシン)がの3つのお薬が処方されると思います。
注)『  』が商品名で(  )が薬品名です。

除菌のためのこれらのお薬は通常5日分処方されます。
期間としてもさほど長くないですし、おっぱいとの両立が不可能なお薬ではありませんから、安心して治療に取り組んでくださいね。

大切な家族のためにもお母さんが健康であることは重要ですね。
ただ、キツい言い方で恐縮ですが、
個人的には、何故よりによって母乳育児中に治療開始するかなぁ?という疑問が残ります。
そういうのって、もっと早く(≒妊娠する前に)調べて治療すべきではないかと思います。
決して家事や仕事と両立できない治療ではないですからね。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

これまで一度もトラブル無しの方であっても。

お母さんとお子さんの相性がバッチリなのか、乳房や乳頭の形態や乳管等の構造上のものなのか、ただ単に運が良いだけなのか、ケースバイケースなのでしょうが・・・

しかし、過信は禁物ですよ。

普段は何ともなくても、例えば旦那さんが不在がちで、家事や育児の負担が多くなったり、上の子さんが病気をされ、看病疲れが残っていたり、授乳中のお子さんが体調を崩していたりすると、お母さんは体調不良に陥りがちなトコロを気合と根性で頑張っている状態なので、おっぱいの調子も狂ってしまい易いのです。

SOLANINの印象としては、何を食べてもトラブルが起きない方、どんなに授乳間隔を空けてもトラブルが起きない方、何人出産されてもトラブルが起きない方、長期授乳であってもトラブルが起きない方は、恐らく100人に2人か3人程度ですな。

SOLANINが申すトコロの100人に2人か3人の方というのは、現在進行形でおっぱいをあげている間は断言できません。

だって、盤石のように思えても、いつすっ転んでしまうか、分からないですもの。

あくまでおっぱいを卒業され、結果として、「私のおっぱいライフはトラブルとは無縁だった。」と評価出来ることなのですね。
お母さんの体調が悪い時は、普段よりおっぱいトラブルになり易いのです。
いつもより慎重にして過ごしましょう・・・油断大敵ですよ。

2013年2月 1日 (金)

キシリトール90%以上含有のタブレット発見!(リロ&スティッチ以外)(改訂版)

過去記事で、ガムの噛めない幼児向けの虫歯予防ツールとして、「しまじろう」改め「リロ&スティッチ」のタブレットをご紹介しましたが、最近生協で購入したものの中に、”キシリトール90%以上含有のタブレットがあったんです。

それは、大阪のオリオンという製菓メーカーの『はみがき屋さん®』というタブレットです。

私が購入したのは個包装タイプで、ワニやカバのイラストが描かれています。
大きさはどうだろう・・・100円玉くらいあり大きめです。
お味はミント系で、丁度「カ○ミ○®」というラムネ菓子みたいです。

ミント系のタブレットOKの方は試してみてね。
あっ、そうそう、この記事を書いて随分経ってから、ブドウ味があることを知りました。
美味しかったですよ♪
もちろん、糖類ゼロですから、安心です。

そうそう、どんなにキシリトールが多く含まれていても、糖類含有ですと、虫歯予防効果は全くナシですし、かえって紛らわしくて有害ですから注意してくださいませ。

乳輪アトピーで断乳。(涙)

元々アトピー体質のお母さんで乳輪が酷いアトピーになってしまい、直母で激痛、搾乳でも激痛、保護器でも激痛という状態になられた方がおられました。

皮膚科からマイザー軟膏と亜鉛華軟膏を処方されていました。

でも皮膚科のドクターの説明はシビアで、「お薬を塗って直母を続けると治りきらないどころかまた酷くなりますよ。ずっと搾乳するか止めるか・・・」という内容だったそうです。(この内容は合っております。)

それでもおっぱいをと考えておられましたが、塗り薬を塗っても痛みが治まらないし精神的に参っておられ結局断乳をされました。
乳輪のアトピー自体は見た目としては自壊しているのでもなく、超重症というわけではないのですが、もしかしたら乳管や乳腺組織に炎症が起きているのかもしれません。

乳輪アトピーで断乳という方は私にとっても多分初めてでした。

おっぱいとお薬その32『リーマス®』(改訂版)

『リ-マス®』・・・あまり聞いたことのないお薬だと思います。
精神科・神経科領域で処方されるお薬です。
双極性障害(昔風に言えば、躁鬱病)の躁状態の際に症状を抑えるために使用されます。

このお薬を内服したら、おっぱいはNGです。
どうしてもおっぱいとは両立出来ません。

お母さんが治療のために内服した『リ-マス®』はおっぱいを通じて赤ちゃんの体内に入ります。
問題なのはお母さんの血中(治療)濃度の1/2~1/3というハンパなく高い濃度のお薬が赤ちゃんの血中から検出されることです。
これは、他のお薬では考えられないくらいな高濃度なんですね。

特に効果の出る量と副作用の出る量に差がないと言っても過言ではないのが『リ-マス®』というお薬の厄介なトコロです。
お母さん自身に嘔気・嘔吐・身体の震え・全身倦怠感などはよくみられる副作用です。
このような症状が現れたら、直ぐに主治医の先生に報告しなくてはなりません。

話は少しずれますが、躁病というのは鬱病の反対つまり逆だと思っていませんか?
それが違うんですね。
鬱病の底がドッカ~ンと抜けたくらい酷い状態が躁病なんですね。

決して、「元気があるから、明るいからいいんじゃないの?」とか、そういうことが言える病気ではありませんので、間違えないようにしましょう。

最新のデータは下記ウェブサイトをご参照くださいね♪
国立成育医療センター「ママのためのお薬情報」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html
大分薬剤師会「母乳とくすりハンドブック」
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf#search='%E6%8E%88%E4%B9%B3%E8%96%AC%2C%E5%A4%A7%E5%88%86'

おっぱい星人のお母さんの発熱感知センサーとは?

赤ちゃんに乳首を含ませていて、赤ちゃんの口の中がいつもよりも熱く感じられたら、発熱しているor今から熱が上がってくる兆候かもしれません。

大人だったら、検温して、38℃越えの表示が出たら、それを見ただけでしんどくなりそうですが、赤ちゃんの場合、38℃越えであっても、意外と機嫌が良く、哺乳力も食欲も衰えず、動ける月齢であれば、部屋中動き回っていることもあり、

発熱に気がつくのが遅れることもあります。

しかし、頻回直母をされていると、お母さんの乳首に受ける体感温度の違いが、早めの発熱感知に繋がることもあります。

おっぱい星人のお母さんは、伊達におっぱい飲ませているわけじゃありませんからねぇ。

おっぱい星人のお母さんの乳首センサーは体温計に勝る鋭さだと思います。

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