« おっぱいとお薬その44『キプレス®』『シングレア®』(改訂版) | トップページ | 飲み込んでも大丈夫なフッ素のジェルがある! (改訂版) »

2013年2月13日 (水)

成人T細胞型白血病の母子感染について。(改訂版)

産婦人科関係の医療者は知っている感染症として、「成人T細胞型白血病」(以下ATLAと略します。.)という病気があります。
母乳を介して感染する病気と言われています。
HTLVというウィルスが、感染することによるものです。

大抵の場合、妊娠して最初の血液検査(肝炎や梅毒の検査をしますよね?)で一緒に調べます。
多分、フツー頼まなくても調べられます。
ただ、この記事を書いた後に調べていない病産院も結構あることを知りました。その後(確か厚労省の通達か何かで)検査を推奨するようになり、今ではかなりの病産院が調べるようになってきたと聞きます。


白血病とは恐ろしい病気ですが、そのほかの白血病とは異なる部分があります。
日本国内にはこのウィルスに感染している方が実は200万人くらいいらっしゃいます。
この方たちは無症候性感染者(一般的にキャリアと呼ばれる。)です。
感染即発症というわけではなく、潜伏期間が40~50年後と長いことが特徴です。

大人になってから感染するとしたら、輸血・性行為らが想定されます。
というのも、このウィルスに感染しているかどうかは通常妊婦さんしか調べることがありません。
男性が会社の定期検診や、人間ドックでは調べることはまずないものです。

例えばあるご夫婦でがおられたとします。
結婚間もなく奥さんが妊娠された時は感染していなかったのに、二人目とか三人目とかの妊娠で奥さんに感染が発覚するパターンがあります。(勿論、奥さんのご両親はキャリアではありません。奥さんは浮気や不倫はしていません。)
ということは・・・なのですね。
そう、旦那さんから感染したとしか考えられないというわけです。

この他、稀にですが、感染ルートが全く不明の場合もあります。
例えば、奥さんが初婚で旦那さん以外の男性との性交経験が無く、実父母や旦那さん等の検査をしても誰もATLAに感染していないのに、奥さんだけが感染しているということもあります。

昔は人工栄養にすれば感染を防げるという考え方が主流でしたが、最近は少し変わってきています。
赤ちゃんの感染を防ぐために人工栄養を選択したとしても、100人当たり2~5人は感染を免れないことが判ってきました。
この感染率は実は半年以内の母乳栄養を選択した場合の感染率と同じレベルなのです。(分母となるのは完母ばかりではないようですが。)

但し、半年以上母乳栄養を継続した場合の感染率は、100人当たり13~25人と跳ね上がります。
感染率を低下させるため、最初から搾乳してマイナス20度で凍結し解凍したものを湯煎にして飲ませる方法もあります。(かなり手間はかかりますが)

先ほども書きましたように、人工栄養であっても半年以内の母乳栄養であっても感染率は最大6%です。

感染すなわちキャリアとなった赤ちゃんが将来発症する確率は最大で5人なので、これを計算すると1000人当り3人が発症し、残り997人は無症候性感染のまま、人生を終えるということを意味します。

母子感染を免れたかどうかは、3歳の時点で血液検査をして陰性であれば感染防御ができたと見做されます。

ATLAは出来ることなら感染も発症を防ぎたい病気です。
ちなみにSOLANINの知る限りでは、ATLAの感染が告知された妊婦さんが選択された赤ちゃんの栄養方法としては、最初から完ミにされた方、最初の3ヶ月だけ直母による混合or完母で以後は完ミに切り替えた方、最初から直母は無しで、数ヶ月冷凍搾乳による瓶哺乳続けた方、最初から卒乳まで直母による完母だった方等様々です。

(妊婦さんが感染しているかどうかは大変デリケートな問題なので、大抵の病産院では、告知は妊婦さんにだけ行われると思います。)
どのような栄養方法を選択するかは、最終的にご夫婦で話し合って決めていきましょう。

« おっぱいとお薬その44『キプレス®』『シングレア®』(改訂版) | トップページ | 飲み込んでも大丈夫なフッ素のジェルがある! (改訂版) »

☆母子感染」カテゴリの記事

コメント

身内で、記事のような事がありました。


第2子の妊婦検診で、HTL―V感染が発覚。夫からの感染しか考えられず、おそらく不倫していたんだろうと、妻側の親族で話していました。
もともと仲が良くなかった夫と妻側の両親はますます関係悪化しましたね。


赤ちゃんの栄養に関しては、最初の1ヶ月だけ母乳で、その後は完全にミルクだけで育てるように産院から指導があったそうです。ちなみに、第1子は、哺乳瓶を受け付けずに完母だったとか。


その産院の考えでは、少しでも感染をさけるために、ずっと完母で育てる事は止めるように指導しているようです。

はじめまして、今39週を迎え、もうすぐ出産を迎えようとしています、ドキドキです…

最強母乳外来を見つけて以来ずっと完母を目指していましたが、8ヶ月の血液検査でHTAL-1陽性と出ました。
夫は完ミで育ててほしいと言っていましたが、私がどうしても初乳だけはあげたいとお願いして。
3ヶ月以内の短期母乳と、その後の経過を見ながら搾乳とミルクで対応し、徐々に母乳をやめていくことになりました。
通っている病院はBFHに認定されている母乳外来もある病院なので、妊娠中からおっぱいクラスなどの教育もさかんです。
その中で、入院中からミルク使用は少数派だろうなと思うと…寂しいですね。
我が子のために、感染リスクを下げることと母乳のメリットの狭間で思いが揺れます。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« おっぱいとお薬その44『キプレス®』『シングレア®』(改訂版) | トップページ | 飲み込んでも大丈夫なフッ素のジェルがある! (改訂版) »

カテゴリー

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

アクセスカウンター

  • アクセスカウンター
    現在の閲覧者数: