栄養教諭・養護教諭の不適切対応。
食物アレルギーは年齢とともに徐々に克服できるものが多いのですが、小学校に入学されてもアレルゲンにより、また体質(なかなかIgEが下がらないとか、プリックテストしても5+とか・・・)により持続することがあります。
小学校で心配なのは、担任の先生のアレルギーに関する知識や対応力に関する当り外れ(←失礼!)だけではなく、栄養教諭や養護教諭に対応にも気をつけなくてはならないということです。
まず、栄養教諭ですが、いわゆる栄養士さんの資格をお持ちの先生です。
現段階では全ての小学校に配置されている訳ではなさそうですが、自校調理している中規模程度の小学校には配置されておられるようです。
私の患者さんのお坊ちゃん(以下Sくんと表記します。)は複数かつ重度の食物アレルギーを持つということで、入学時に学校の先生方と個別面接があったそうです。
学校側は校長先生・担任・栄養教諭・養護教諭が面接室に集まられたそうです。
最初に栄養教諭が「給食が原因でSくんにアレルギー反応が起きたら怖いからお弁当毎日持参してくださいますか?」とさらっと仰いました。
同席された校長先生が色をなして「これだけ食育が重視されているのですよ。」
(栄養教諭って、そもそも食育のために配置でされているのでもありますからね。最初から丸投げしてどうすんねん?)
「Sくんだって部分的でも食べられるものはあるだろうから、それだけでも食べられるように配慮出来ないのか?」と苦言を呈されたそうです。
まぁ、そう言われて栄養教諭は渋々受け入れてくれたようです。
お家の方も、献立表や使用食材をチェックして、NGのものは避けて、状況によってはおかず弁当持参させておられることは言うまでもありません。
なのに、栄養教諭の指導が徹底していないのか?調理師さんたちの勉強不足か?揚げ物なんかだと、衣に卵や牛乳を使うことがあるし、そういう食材を揚げる場合は別鍋にするのが鉄則なのに、同じ鍋で揚げてしまい、結果、Sくんは本人の意思とは裏腹に食べてはいけない食物を口にしてしまい、給食時間内に意識を失い椅子から崩れ落ちたそうです。(怖)
ひとまずは保健室だ!ということで、養護教諭がSくんを保健室のベッドに受け入れ、1時間ばかり「観察」していたそうです。
その間、S君は呼びかけに反応できなくなり、見る見るうちに顔もカラダも2倍くらいに真っ赤に腫れ上がり、呼吸も浅表になり、目を閉じてぐったりしていたそうです。
養護教諭もさすがにヤバいと思ったのか、「観察」の後、お家の方に病院受診が必要と判断されたらしく、電話連絡を入れられたそうです。
もちろん個人調査票や健康調査票でSくんが複数の重度の食物アレルギーを持っていることは養護教諭も把握されています。
しかし、1時間ばかり「観察」って、私には意味が分かりません。(汗)
ハッキリ言って、これは誰がどう見てもアナフィラキシーショックではないですか!
「観察」っていったて、寝かせてるだけで何にもしてない訳ですよ。
このまま「観察」してたら、決して大袈裟でなく、Sくんは死んでしまうかもしれない危険性がある状況だったのですよ。
養護教諭って小学校内で子どもの健康に一番関与する立場なのに、こんな対応ではお粗末極まります。
もしかして、その養護教諭の方、アナフィラキシーショックのお子さんを見たことが無かったのか?対応方法を学んでいなかったのか?そんなレベルの方が小学校で仕事していいのか?・・・様々な疑問が湧き起こりました。
連絡を受けたSくんのお母さんは速攻で★病院の小児科に運び込まれましたが、「なんで、こんなになるまで放っておくんだ!」とドクター激怒状態で処置されたそうです。
一命を取り留めたものの、今回、Sくんもお母さんも心臓が幾つ合っても足りない扱いを受けられました。
学校側には給食の調理の際は厳重にまな板やボウルや菜箸や鍋等全て徹底して別扱いしてもらうことになりました。
また、万一の事態に備えて「エピペン」を携行することになりました。
(小児科ドクターからもお手紙を書いてもらわれたそうです。)
この事件以降、「エピペン」の携行に消極的だった担任も養護教諭も受け入れてくれたので、緊急事態発生時に迅速な対処をすることが可能となりました。
これはご存知ない方が多いと思いますが、養護教諭には2種類あり、短大や大学の教育学部で学び免許を取得された方(←このパターンが殆どだと思いますが)と、看護学校卒業後、教育学部の養護教諭特別別科に編入し、免許を取得された方といらっしゃるわけです。
緊急時の対応とか、医療処置については、看護学校卒業後編入組の方が秀でているのではないか?と思うのは私の穿った見方でしょうか?
栄養教諭や養護教諭の対応に色々考えさせられた事件でした。
追記:この記事をアップしたから何人かの方のコメントで、「養護教諭としてのQQ時の対応は出身校(進路形態)の違いではないこと。」について説明を受け、私の疑念は誤解だということが理解できました。
当然採用にあたり、きちんとした初任者研修があり、救急救命法や処置について座学と実習があり、毎年のように定期的な研修に全員参加で研鑚していらっしゃることを知りました。
また、これに加えて、勤務してからの経験(どのような学校に勤務されたか?)や他の先生方からどれだけ学んだかといった、仕事への熱意というか、働き始めてからの学ぶ姿勢(個人的にセミナーに参加する等)の違いも力量に関係していることが分かりました。
看護学校出身の先生で職務に求められる以上の処置(!)をされる方も居られることも知りました。
ただ、誤解しないでいただきたいのは、私は決して養護教諭に求める資質の筆頭がQQ処置だという意味でこの記事を書いたわけではないということです。
アナフィラキシーは命取りになる恐ろしい状態だから発症しないように周囲の大人が細心の配慮をして、万一の際は安易に考えず迅速な対応を児童及び保護者は求めているんだということを知って欲しかったのですね。
勿論、養護教諭に求められる資質は保健相談活動や生徒指導等の教育的側面など多様性があることはご指摘通り承知しております。
しかし、きっと全国の養護教諭の皆さまにおかれましては、記事内の文言にご不審・ご不快な部分があったと思われますので、その点については心から謝罪します。
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コメント
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育児休暇中ですが養護教諭をしております。
学校現場も病院同様信頼関係により成り立っている部分が多いです。
昨今は学校問題を必要以上に取り上げられ、至極真っ当に勤めている数多くの教師まで最低な人間のような目で見られかねない状態です。
個人のブログで何を書いても勝手ではありますが、世界各国から沢山の方が毎日ご覧になる人気ブログだけにその影響力も大きいかと思います。
発言には充分注意して頂きたいと感じました。
私自信も、来るべき復帰に向けて再度勉強直そうと思います。
長文失礼いたしました。
投稿: あきらぽん | 2013年4月11日 (木) 11時46分
個人のブログなので、何を書いたっていいと思います(o^-^o)
どんな物事でもいろんな角度からの見方があるもの。
簡単に教師を悪者にしたがるマスコミは非常に問題だし、それはマスコミの問題だと思います。
投稿: もにゅ | 2013年4月12日 (金) 23時15分