食物アレルギーによる皮膚症状の出方について。
食物アレルギーによる皮膚症状を時系列的に分類すると、即時型と非即時型に分けられます。
即時型の代表選手は蕁麻疹です。
非即時型の代表選手がアトピー性皮膚炎です。
即時型の代表選手である蕁麻疹を時系列的に分類すると、急性と慢性に分類されます。
急性の定義は1ヶ月以内に症状が収まるものです。
乳幼児に多く見られる、卵・ミルク・小麦等のアレルギーや学童期に増えてくるエビアレルギー、最強アレルゲンとも言われる蕎麦アレルギーは人によってはアレルゲンとなるこれらの食物を、摂取してしまった場合に起こります。
アレルゲンを除去すれば、症状は収まりますが、蕁麻疹の範囲が全身だったり酷いかったり、喘鳴(ぜいめい)が強い場合は必ず受診しましょう。
急性蕁麻疹には食物によるものだけではなく、ウィルス感染の際も起こり得ることがあります。
次に慢性の定義を述べます。
これは1カ月以降も症状が収まらないものです。
食物が関与していると考えられるものは頻度としては数%らしいです。
食物そのものというよりも、いわゆる食品添加物が関与していると考えられているそうです。
非即時型の代表選手であるアトピー性皮膚炎は一言では語れないものですから、その中で食物関与について述べます。
赤ちゃん時代に検査を受けて指摘された食物アレルギーのある赤ちゃんはほぼ100%アトピー性皮膚炎を合併していると言っても過言ではありません。
しかし、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんの100%に食物アレルギーが合併しているわけではありません。
統計によりかなりのばらつきがありますが、70%程度と言われています。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎で、食物アレルギーが関与していることが多いパターンは、生後数か月以内に顔面から始まって痒みの強い湿疹が2カ月以上も続く場合です。
食物アレルギー以外のものが関与しているアトピー性皮膚炎の原因物質としてはダニ・花粉等の吸入アレルゲンや細菌・ウィルス・カビ等の皮膚感染によるものもありますが、これらは単独でアレルゲンというよりも、食物アレルギ―の増悪因子と考えられています。
治療は除去食の必要性の程度と有無・普段のスキンケア・塗り薬・抗アレルギー薬の内服等がありますが、必ず主治医からしっかりと説明を受け、相談しながら進める必要性があります。
母乳育児中のお母さんに除去食が必要であると指摘された場合も同様です。
ちなみに妊娠中からの特定食物の除去については、日本小児アレルギー学会や欧米の小児アレルギー学会も勧めてはいません。
特にお母さんが素人判断&自己流で除去食に取り組まれると、おなかの赤ちゃんの発育不良を引き起こすことがあるから危険ですので止めましょう。
けれども、例えば上の子さんが重症のアトピー性皮膚炎で現に食物アレルギーがあり食事制限をしている(していた)場合や妊婦さん自身が幼少時にそうであった場合等、通常よりもアレルギーを発症するリスクが高いと予測される時は、予め産婦人科・皮膚科・アレルギー科のドクターに相談して、食事の摂り方(除去食が必要であれば、具体的にいつから何を除去すればいいのか?)について、指導を受けましょう。
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