おっぱいを欲しがるままに与えることは罪悪なのか?
新生児~生後1ヶ月の赤ちゃんの胃の容積なんてたかだか知れています。しかも、おっぱいの消化がミルクよりも断然早いのは、読者のみなさんであれば既に百もご承知かと存じます。
授乳間隔が30分なんてことも珍しいことではありません。
お母さん達は、「泣いたらおっぱいをあげてね。」と助産師に指導されても、その前にきちんとおむつをチェックされ、僅かでも汚れていれば交換され、必死にあやしていらっしゃいます。
それでも、お口パクパク舌ペロペロで切ない声で泣く我が子が目の前に居れば、おっぱいを差し出すのはお母さんとして自然な行為だとSOLANINは思います。
カラダの構造が未だしっかりしていないから、吐き戻しもあります。
たまたま空気を吸い込む量が多かったり、ゲップがしっかり出ていないことがあると、おなかが張ってパンパンになることもあります。
ついガツガツしてしまい量的に飲み過ぎて唸ることもしょっちゅうです。
しかも眠りが浅いと来ています。
過去記事にも書きましたが、「過飲症候群」という言葉があります。
従来はラクに飲める哺乳瓶育ちの赤ちゃんに起こり易いとされていました。
昨今は分泌過多のおっぱいのお母さんが頻回直母をすると似たようなことが起こると言われています。
ただ、その時に、どうかご自分を責めないでください。
我が子のために精一杯で、良かれと思ってあげたおっぱいを「沢山飲んだせいでおなかが苦しくて泣いているのだ。」と指摘されたら、大抵のお母さんは酷くショックを受けられることでしょう。
新生児家庭訪問の際に、まだ生後1~2ヶ月なのに「授乳間隔が3時間空かないなんておっぱいのあげ過ぎよ!そんなにあげなくてもいいわよ!」と、叱責されたお母さんも少なくないと聞く度に、SOLANINは暗い気持ちになり、とても胸が痛みます。
どうして「今はどのくらい哺乳するかは、お母さんが決めようと思ってもどうにもならない時期なのですよ。その子のその時のスタミナ次第だから、仮に沢山飲んだらラクな姿勢で寝かせてあげればそれでいいのですよ。」と柔軟なアドバイス出来ないのでしょうか?
急によく眠るようになったり、明らかにおっぱいを欲しがっているのにあやして我慢ばかりさせたら、授乳回数が減るので、赤ちゃんの発育ペースは確実に急落します。
そうなった際、一体誰がその後の赤ちゃんの発育を保障してくれるのでしょうか?
体重増加不良に陥ったのは決して母乳分泌が少ないからではないと、誰が証明してくれるのでしょうか?
現段階のありがちな保健指導では無理でしょうね。
母乳育児が拡がろうとする今だからこそ、頻回直母を頑張っているお母さんを責めない保健指導ができる医療者が増えることを、同じ医療者としてSOLANINは切に望みます。
それまでは、読者のみなさんは当ブログを熟読いただき、自衛手段として、自分の赤ちゃんの発育ペースを守れるお母さんになってください。
宜しくお願いします。
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コメント
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初めて拝見しました。11ヶ月の息子を母乳で育ててきまして、おっぱいの最後の日はいつになるかなーと思い始めた母です。
ブログのご意見にとても共感しました。人間も自然の産物で数字で管理できるものではないのに、ある病院で授乳スペースをお願いしたら、前回は何時に授乳したか看護師に聞かれました。初めて会った人に息子がお腹空いているのかどうか分かるのかなぁ?と少し違和感を覚えました。そして3時間空けばおっぱいは足りている、それ以内だったら足りていないという話も、それを信じて時間ばっかり気にして子供の様子に直感を働かせようとしないママ達もたくさん見聞きしました。赤ちゃんは人間ですよね。一人一人バイオリズムが違って当たり前なのに。保健指導は大人数が対象だから一定した情報と無難な情報の提供にどうしてもなってしまうけれど、本当にそれでいいのかなと思います。母親も教えてもらわないと分からないことだらけだけど、母だからこそ子供の様子を誰よりも近くで長く、寄り添って見て培われる本能直感を信じてもいいと思います。今はそんな育児はきっとしにくい世の中で、赤ちゃんにとったらはた迷惑なこともきっとあるんじゃないかと。批判ばかりするつもりはないし、育児講習会にもお世話になっていますが、赤ちゃんの要求に自然なかたちで応えてあげるためにもので、人間の動物的な母としての本能も大切に忘れたくないなと思いました。思うまま書いてしまいました。。。
投稿: 航母 | 2013年9月 2日 (月) 10時13分