新生児黄疸と血液脳関門。
いわゆる黄疸というものは血液中にビリルビンという物質が増加し、皮膚などが黄色く染まった状態を指します。
新生児の約8割は、程度の差こそあれ生後2~3日目頃より黄疸が見られるようになり、大抵の場合、3週間以内で消えていきます。
新生児黄疸は、生理的に起こった一種の溶血性黄疸です。
胎児期は、元々お母さんの呼吸により得られた酸素を分けてもらっているので、効率良く酸素を取り込むために多血(=赤血球もヘモグロビンも多い)状態ですが、出生後は自力で呼吸できるので、そんなに沢山要らないこと、胎児期の赤血球は、生後溶血(赤血球が壊れたこと)を起こしやすく、肝臓の働きが未熟なためにビリルビンの処理がうまくいかないため黄疸を起こしやすいのですね。
勿論、血液中のビリルビンは、血液脳関門という安全装置があるので、脳には侵入しないようになっています。
けれども、出生直後の新生児は血液脳関門が未熟なために、ビリルビンが血液脳関門を通過してしまいます。
下手をすると核黄疸を起こすことになります。
それを防止するため、光線療法を行うわけです。
余談ですが、一般的には、血液脳関門は生後10(~14)日目以降には成熟するので、ビリルビンは血液脳関門を侵入できなくなり、核黄疸の起こるおそれはなくなると言われています。
ただ、それはそうなのですが、実際に新生児の血液脳関門を覗くことは出来ないので、10(~14)日目を過ぎても、新生児のビリルビン値が極度に高い場合は、小児科ドクターから光線療法を受けてくださいと言われることもあるかもしれませんから、一応心の準備はしておいてくださいね。
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