昔は「母乳外来」なんてなかったわよ!
「母乳外来」・・・恐らく、赤ちゃんのおばあちゃん世代以上の方は何故「母乳外来」なるものが存在するのか、良く分からないかも知れません。
一昔前は「乳房外来」と名乗っているところが多かったようですが、これはO式をはじめとする、乳房管理を中心として、乳腺炎の治療に重きを置いていたことの名残かと思います。
それと、マンモグラフィーが普及してきて、乳がん検診目的の部門だと誤解される方が続出したので、名称的に紛らわしいということもあって、「母乳外来」と言う名称に切り替わってきたようですね。
SOLANINの勤務先も確か11年くらい前に改称しましたね。
で、記事タイトルの件ですが、これは何故かという話に戻りますと、赤ちゃんのおばあちゃん世代は今以上にミルク育児全盛期だったのですね。
ここ10年の日本に於ける1か月時点での完全母乳育児率は、40%台前半を推移しているのが現状ですが、赤ちゃんのおばあちゃん世代はそれ以下なのです。
最低ラインだった頃のそれはせいぜい20%台半ばという有様で、殆どの赤ちゃんのお母さんが母乳で育てるという意識が欠落していたのです。
もちろん、医療者もミルクを勧め、ミルク屋さんの営業活動もすさまじく、母乳で赤ちゃんを育てることは、時代遅れのような感覚だったのですね。
なので、昔は「母乳外来」なんてなかったわよ!・・・という発言を多く聞くのですね。
では、赤ちゃんのひいおばあちゃん世代以上はどうなのか?
その世代はおばあちゃん世代以降のように核家族が主流ではなく大家族で地域とのつながりが密接で世話焼きのおばちゃんが近くに居るという環境が普通でした。
そのため、母乳で赤ちゃんを育てることは論じるまでもないことで、当たり前だったから、「母乳外来」なんてものは存在しなかったのです。
家庭内で母から娘若しくはお嫁さんに伝承されることで、医療が介入するようなことではなかったのですね。
そういうことなんです。
確かに昔は「母乳外来」なんてなかったわよ!・・・なのですが、SOLANINの勤務先の母乳外来にはご実家のお母さんとご一緒に受診される方も3割位は居られます。
で、同じことを仰るのですが、同伴されているだけあって、仰ることが違います。
記事タイトルのセリフの後に「でも、今はこうやって色々教えてもらえて良いわね。昔私が新米お母さんだった頃もこういう機会があれば、もっとおっぱい楽しくあげられたり、長くあげられたり出来たでしょうに。羨ましいです。退院後のサポートが行き届いているんですね。」という意味のことを口にされます。
母乳がたっぷり出たのに、敢えて薬で止めてミルクをあげた方も少なくありません。
赤ちゃんのおばあちゃん世代が完ミで育てたのはある意味時代の流れで、そういうサポートが皆無に近かったから上手く行かなかったという悲しい現実があったのですね。
完ミである理由が母乳育児が嫌だったから・・・という方は非常に稀だと思います。
止むを得ず、例えばミルク育児推進病院でサポートが無かったから、誤った知識を注入されて泣く泣く早期断乳を余儀なくされたからとか、お母さんや赤ちゃんの病気のためとか、そういう方が非常に多いのではないかという気がいたします。
一昔前よりも母乳育児支援は前進しているとは思いますが、まだまだ普及途上なのでしょうね。
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