20分の呪縛。
殆どすべての育児書と名のつく書籍には母乳不足の見分け方として次のように記載されています。
「赤ちゃんが20分以上おっぱいに吸い付いて離さない、離すと泣く。」
病産院で渡されるパンフレット等にも同様に記載されていることが多く、おばあちゃんや家庭訪問の保健師さんからも言われたりするので、これはある意味育児常識化しているかもしれません。
しかし、ちょっと待ってください!
ホントに「20分以上おっぱいに吸い付いて離さない、離すと泣く。」のは母乳不足だからミルクを補足する基準なのでしょうか?
そんなに機械的に決めてしまっていいのですか?
赤ちゃんには色々なキャラがあり、そのことは過去記事にも書いていますから、きちんと過去記事を読み進めている方はもちろんご存知かと思います。
今日は、母乳育児の初っ端の新生児の頃(ここで躓くと、後が大変です。)にありがちな、20分という条件では判断できないということについて説明します。
分かりやすいように、キャラによる飲み方の違いとして、対照的な2つの例を挙げて述べてみましょう。
例1)体重が少なめでおっとり系の女の子の場合、1回の授乳で3分1クールの哺乳すらやっとこさというパターンであることが、非常に多いですね。
授乳時間は当然20分未満です。
呆気ないくらい早く終わります。
しかも、とてもよく眠ってくれます。
なのに、体重チェックしたら停滞か微増です。
それでしっかり飲めたことになるでしょうか?
違いますよね。
例2)体重が大き目でガッツリ系の男の子の場合、1回の授乳に5分で3クールなんてことも珍しくありません。
特に大量うんち排出後や、吐乳の後はハフハフが止まらなくて、スタミナが尽き果てるまで延々と吸い続けることがありますね。
とてもぢゃないけど20分では終わりません。
途中で切り上げようものなら号泣します。
しかし、体重チェックしたら大抵は激増しています。
それでも母乳不足なのでしょうか?
違いますよね。
例1)の新生児の場合、20分以上吸い付かせると、恐らく元々あまりない体力を消耗しますから、20分以内で切り上げて数を稼ぐ頻回授乳が成長のカギとなります。
起きるまで授乳しないと、1日の授乳回数が8回を割ってくることも稀ではありません。
授乳回数が減少すれば、乳房緊満が上昇します。
いつも以上に浅飲みになり易く、すぐにスタミナ切れを来たします。
「眠る子は育つ」という諺が全く該当しないキャラですね。
例2)の新生児の場合、20分以上吸い付かせないと、あふれんばかりのスタミナを発散させる場所がありませんから、吸わせる時間に制限をかけると、泣き止まないのでずっと抱っこしてあやすしかなくなります。
それはそれで、なかなかにキツいものがあります。
毎回の授乳で連日そんなことをしていたら、マタニティ―ブルーになってしまうかも?
もしくは、ド・ケルバン病にまっしぐらです。(滝汗)
眠りにつくためには、ある程度吸わせ続けなくては仕方が無いことだってあるのです。
退院後毎日体重測定する必要性はありませんが、新生児のキャラによって飲み方は違いますから、そこを見極めなくてはなりませんね。
余談ですが、新生児期の母乳不足と母乳不足感の見極めには、2週間健診が効果的です。
退院してから受診までの期間、どういう状況なのかということを客観的な視点で判断してもらうことや、今後の見通しについて知る機会としてとても効果的です。
20分というのは見分け方の「目安」であって「絶対的な基準」ではありません。
そこを間違えないでくださいね。
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