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2014年5月の記事

2014年5月31日 (土)

お勧めしたい書籍『はじめての母乳育児』

2013年6月に、SOLANINはひょんなことからCafeNUUという編集ユニットの方からご連絡を頂きました。
用件は、「2014年に発行する母乳育児の本の監修をしてみませんか?」ということでした。
監修についてはこれまでにも経験があるし、なにしろ座右の銘が「運否天賦」ですから、お引き受けすることに決めました。

2013年はプライベートでは、セミナー受講や研修会・学会参加やそういった場での口演発表の機会がわんさかあり、人生最多の忙しさでした。
それでも、この書籍を通して、一人でも多くのお母さんがおっぱいライフを楽しめたらこんなに嬉しいことはないので頑張りましたよ。

成美堂出版さんから発行されたこの書籍は《育児書はじめてシリーズ》のうちの1冊で、先行書籍として、離乳食やベビーマッサージの書籍もあります。体裁はオールカラーでイラストがふんだんに挿入され、非常に読み易くなっています。
また、巻末に索引が付帯しているので、ピンポイントで検索したいときは便利ですよ。
♡表紙はこんな感じです。♡

Photo_2この書籍は街の書店様でもお取扱いされていますし、密林・楽天ブックスをはじめとするネット書店様でもお買い求めいただけます。
販売価格は税込み1188円です。
是非お手に取って、お読みくださいね♪
また、これから母乳育児をする予定の妊婦さんのお友達にも勧めていただけましたら幸甚です。

初めて助産院や母乳外来を受診する際の注意点。

大したことじゃないです。
あくまで一般常識的なことなのですが、最近その一般常識が通じない方がちょくちょくいらっしゃるので、広く知っていただくために、書かせていただきます。

①診察は予約制・・・フリーで受けているトコロはほぼ無いと思います。
だって、普通に考えて、Aさんの乳房マッサージをしている最中に、いきなりBさんが、「おっぱいを診て下さい。」なんて乱入してきても、助産師ひとりでは対応できません。
「ちょっと病産院に来たついでに、相談したいことがあって・・・」とかの口実を言う方もありますが、助産師は予約制で計画的に仕事をしています。
そういうのは、相手の都合を全く考えていないので迷惑です。
特に、出産が何人も同時進行していたり、学生さんの実習指導をすることもありますから、アポ無し受診は論外です。

②予約時間よりも早めに来院する・・・病産院の母乳外来でも助産院でも、初診であれば診察券の発行や、カルテの作成は必要です。
電話予約の可能なトコロであっても、その時そういう説明を受けなかったとしても、大人だったら普通に考えて分かりそうなことです。
問診表を書いてくださいと言われることもあります。
母子健康手帳を見せてくださいと言われることもあります。
病産院によっては、先に医師の診察があることも想定されます。
時間ギリギリに来て、そういうことが、限られた時間枠の中で出来ますか?
出来ませんよね!
次の方の対応開始時刻が大幅に遅れてしまい、業務に支障が出ます。
「自分さえ良ければ。」的な心理が透けて見えて、不快です。

③お子さんを連れて来てもいいか確認しておく・・・病産院の母乳外来や助産院には、基本、子守要員は居ません。
乳房マッサージをする際に、ギャン泣きのお子さんを放置するのは忍びなく、かといって、助産師が子守をしていたのでは、乳房マッサージは出来ません。
付き添いの方と来院してくださいといわれることもあります。
お子さんはどなたかに預けてきてくださいと言われることもあります。
お子さんを連れて来てもOKな病産院の母乳外来や助産院もありますが、感染る病気のお子さんを連れて来るのはマナー違反です。
感染る病気のお子さんが行くべきは、小児科外来です。
また、お母さんの都合優先で、断乳を強行された場合、お子さんはおっぱいに未練たっぷりなので、1回目の乳房マッサージの日に連れて来るのは、母として有り得ないと思います。
SOLANINは、お子さんに対しデリカシーの無さ過ぎるお母さんに対しては、大いに叱責し、乳房マッサージ中止で帰っていただいたこともあります。

・・・まぁ、せめてこの3項目くらいは、受診予約時に念頭に置いてくださいね。

赤ちゃんの暑さ対策。

<ご相談内容>
いつもブログで勉強させてもらっています。
過去記事もすべて読ませていただきました。
現在2ヶ月の男の子を育てていますが、これから暑くなる季節で、どのように対処していったらいいのか質問させてください。
以前の記事で赤ちゃんは寒さに弱く体温調節には気をつけることを拝読しました。
これから暑くなるにつれて、もちろん冷房をいれたりして体温を調節しなければとは思いますが、私自身、冷え性で冷房がとても寒く感じます。
赤ちゃんはどうなんでしょうか?
お時間のある時でかまいませんので教えて頂けると助かります。

<SOLANINの回答>
冬場は月齢の若い赤ちゃんであれば、室温は20℃はキープしていただきたいです。
では、暑い夏場はどうなのか?
クールビズ的に言えば、ちょっと違うでしょうが、26℃くらいが良いと思います。
それ以下では冷やし過ぎです。
外気温と体温に差が出来過ぎますから、体温の維持や体調を崩さないようにという配慮が必要です。
かと言って、28℃以上に設定すると、どうなるか?
殆どの赤ちゃんは汗疹(あせも)だらけになります。
体中の皮膚が痒くなるので大変ムズがります。
となると、幅をもたせるとしたら、26~28℃が理想的となります。

お雛巻きをするならば、夏場はコンビ肌着1枚で充分かと思います。
また、吸汗性の良いタオルか、蒸し器に使用するメッシュの布を使用したら、蒸れなくて丁度いいと思います。
お試しください。

2014年5月30日 (金)

3歳以下の幼児に起こる牛乳貧血とは?

当ブログでは、かつて牛乳に関する記事(某講演の引用とSOLANINの感じたこと)を書きましたが、講演主催者(?)や酪農関係のお仕事の方を中心に強烈な圧力やバッシングを受けた経緯があります。
それ以降牛乳に関する記事はめっきり書く気が失せてしまいましたが、一般常識として知っていて欲しいことなので、この記事を書きます。

おっぱいを飲まなくなった幼児、それも3歳以下のお子さんに、「牛乳はカルシウムが豊富だから」「子どもがお茶を好まず牛乳だったら飲んでくれるから」「甘いジュ―スをあげるよりはマシだから」等の理由で欲しがるままに与えるのは止めてください。
なぜなら、牛乳には鉄分の含有量が極端に少なく(100ml当り0.1mg)、鉄分の吸収を阻害するカルシウムが多く含まれています。
お茶代わりの感覚で、多量摂取(おなかが一杯になり、三度の食事に支障を来たすくらいのガブ飲み。大体600ml以上/日)を継続すると、食事バランスが崩れることも相まって重度の貧血になる恐れがあるからです。

乳幼児が貧血になると、早急に治療をしなければならない理由や、だからと言って、フォローアップミルクを飲ませればいいんでしょ?ではないことも、過去記事に沢山書いておりますので、読者のみなさんはご存知ですよね?

また、余談ですが、昔(10年以上前?)粉ミルクの代替えとして、安価な低脂肪乳を白湯で薄めて赤ちゃんに飲ませ続け、結果、赤ちゃんが重症貧血になった症例に遭遇したという話を最近ある方面から聞きました。
一種の虐待ですかね・・・恐ろしい話です。

※ご注意
SOLANINは、絶対に幼児に牛乳を飲ませてはいけないというつもりはありません。
常時当ブログをご訪問いただいている読者のみなさんであれば、充分この記事の文意を斟酌していただけると期待しています。
SOLANINの記事をまだ読み慣れていない読者のみなさんは、くれぐれも飛ばし読みをして早トチリをしたり、無闇にテンパったりしないでくださいね。

何故こんなことを申し上げるかというと、困ったことに、過去に牛乳(やミルク)に関する記事を書くと、捨てID使ってまで当ブログを炎上させようと画策する悪意のある人が出現したからです。
また、アラシらしき人が訳知り顔でコメントしてきます。
そういう人達に惑わされないように気をつけてください。

一般的な乳牛の搾乳環境や牛乳生産の工程を理解したうえで牛乳を嗜むのは各自の自由だと思います。
スタンス的には、牛乳の栄養価を否定する気は毛頭ありませんが、逆に過剰評価して、浴びるように飲むのは如何なものかという・・・つまり中庸です。

母子同室だとMRSAの発生は稀です。

お薬、特に抗生物質を”安易に”使うと耐性菌というものが出てきます。
耐性菌をやっつける抗生物質を開発しても、さらにまた、その上をいく耐性菌が出てきますし、その次の抗生物質を開発しても・・・きりがありません。

MRSAはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌とか多剤耐性黄色ブドウ球菌と呼ばれます。(因みに、フツー(?)のブドウ球菌はそこらじゅうにいます。)
たまに新聞にも掲載されています。(院内感染がどうこう・・・という記事で。)
MRSAは抗生物質の効きにくい黄色ブドウ球菌なんですね。

健康な方はお薬要らずですから、まぁ問題なし。
お年寄りやがんの患者さんなど、抵抗力の下がっている方は注意が必要。
もちろん赤ちゃんも。

少なくとも、入院中は赤ちゃんを触る前にアライグマのように(お手本のイラストや写真の通りに)真面目に洗っていたら、MRSAを貰うことはないです。
気をつけるべきは医療者の手ですが、1人1処置で手洗い励行していればならないし、アウトブレイクもしません。
その他気をつけてほしいのは、面会者の手ね。
「しんどいし、熱っぽいけど、頑張ってお見舞いに来ました。」というような不届きなお年寄りが紛れ込んだりしたら、ヤバいです。
頑張らなくていいから、そういう方はお家帰ろうねってことです。

あんまり公(おおやけ)にされないデータらしいのですが、母子異室の赤ちゃんの4~10%は鼻腔粘液培養検査でMRSAが検出されるそうです。
SOLANINの勤務先では、基本的に赤ちゃんは生まれるやいなや母子同室です。
赤ちゃんが新生児室に来るのは、ケア(ドライテクニック、臍消毒など)や検査(ABR,代謝異常のスクリーニングなど)、健診(入院児でなくても小児科ドクターがされます)の他はお母さんが入浴されたり、他科受診されたり、少し眠らせてほしいという希望があった時くらいです。
お母さんの皮膚の正常細菌叢《=善玉菌》を(鍵)に喩えると、それが赤ちゃんの皮膚(鍵穴)に先に入りこむから、後から悪玉菌がやってきても、入れなくなるんです。

お蔭様で、SOLANINの勤務先で出生された赤ちゃんで、MRSAをもらってしまう方は殆ど無いです。
稀にお母さんかお家の方が持っておられるので、そういう場合はどうしようもないですが。
STS~母子同室、手指衛生、環境整備、最低限の面会制限を徹底することで、MRSAは防げます。

2014年5月29日 (木)

素直じゃない方は困ります。

母乳育児を成功させたいと思うなら、まずは助産師の言葉に耳を傾けてください。
何の根拠もなく我を通し、
「いや、そんな筈はない。自分のやり方で正しい筈だ。」的な何処から来るのその自信?と言いたくなるような振る舞いをされると、助産師は困惑します。

例えば体重増加不良で、「●さんの赤ちゃんは、残念ですがまだ直母が上手に飲めません。直母だけでは最低限の発育ペースを確保できないのが現実です。ですので、何があっても1ヶ月健診までは、搾乳とミルクの補足は併せて○ml/日は継続し、勝手に減量しないでくださいね!」と、きつく念押ししているのに、「沢山飲んでおなかが苦しくなったら可哀想だから。」とか、「随分上手に飲めるようになったと確信したから。」とかナントカ言い訳ばかりして指示量の半分程度しか補足されず、我を通された結果、難民キャンプの赤ちゃんのようにガリガリの発育不良で、小児科外来が騒然となるパターン。
パッと見は大人しく真面目で芯の強そうなお母さんに見えます。
一所懸命な感じはします。
しかし、こういうお母さんに対応して感じるのは、我が子にやらかしていることが、虐待スレスレだという自覚が欠落している無邪気さです。
そのため、対応している医療者側は、冷や汗がドバドバ出るくらい怖い思いをしています。

こういうお母さんに遭遇する度に強く思うのは、「何遍母乳外来や助産院を受診しようとも、根っこが素直じゃないと望む方向には進めないな。」とゆうことです。
いい加減目を覚ましてほしいですな。
上手くいかない方は、我を通していたんじゃダメなんですよ。
まずは聞く耳を持っていただかないと!
そうでないと、この先何一つ改善しないのは見えてますから。
っていうか、このまま我を通されては、私どもでは対応困難ですし。
別のトコロに行かれては?と引導を渡したいのが正直な心境です。(涙)

おしゃぶりを止めるにあたり注意すること。

当ブログの読者のみなさんの場合、おしゃぶりを使っている方は少数派だとは思いますが、おしゃぶりの弊害を考えると、出来るだけ早く止められることをお勧めします。
しかしながら、習慣化とは恐ろしいもので、以下は使い続けて、例えばハイハイで自由に動けるようになる頃まで使っていた人の話ですが、おしゃぶりを隠した日には、それこそ物狂いのように家中をグチャグチャのガサ入れされる波目になります。
キャビネットの引き出しからゴミ箱まで、大泣きしながら捜索作業が続きます。

止めさせるにあたり、おしゃぶりを或る日突然、一方的に隠すor捨てるのは、お母さんのエゴです。
お母さんの都合(例:「お酒が飲みたいから」「預ける時に泣かれるから」等)だけで、或る日突然、一方的に断乳するのと同じです。
それはあんまりです。
可哀想過ぎます。

止めるのであれば、せめて、「おしゃぶりって長く使っていたら、壊れることもあるんだって。」と伝聞調でいいですから、《1ヶ月くらい前から事前情報を告知》してやってください。
そして、《おしゃぶりが壊れた》状況を作ってください。
何箇所か少し切れ目を入れたり、明らかに吸い心地に違和感が出るように。
「ずっと使っていたから壊れたんだね。」と、繰り返し声掛けしてあげましょう。
執着が強い赤ちゃんであれば、《新しいおしゃぶりを1つだけ買って》あげてください。
買う際の注意ポイントは、それまで使っていたおしゃぶりとはメーカーから形から大きさから素材から何から、似ても似つかないものを選ぶことです。
で、赤ちゃんにしゃぶって貰うのです。
赤ちゃんのお口は敏感ですから、「ええっ?何これ!」(怒)になる筈です。
しゃぶって引っ張り出して眺め、また口に入れという作業を何度も繰り返し、終いには、「これじゃないってば!」と、涙目になるかもしれません。
「あ~、やっぱりダメか。でも、前と同じのは見当たらなかったんだよね。」くらいは呟いてもらっていいです。

つまり、《どうにもならない》状況を作ってください。
そして、「こんなのは使えないよね。」
「仕方がないから捨てちゃおうか?」
「おしゃぶりはもうバイバイだね。」と、繰り返し囁いてください。

次に、赤ちゃん自らゴミ箱にポイしてもらいます。
切れ目の入った以前から使っていたのも、新しく買ったミスマッチなおしゃぶりも・・・です。
この際のゴミ箱は、外用のゴミ箱です。

そして、収集日にパッカ―車がやって来る直前に、集積場所に壊れたおしゃぶりの入ったゴミ袋を一緒に運び、パッカー車が収集を終えて走り去るのを見届けさせてやってください。
外用ゴミ箱にポイしてから収集されるまでは、記憶が薄れないように同じ日にしてください。
「もう、おしゃぶりは家にはないよ。」
「新しいのもダメだったから捨てちゃったしね。」
「○○ちゃんはポイしてバイバイしたもんね。見てたもんね。」と、繰り返し言い聞かせましょう。

“口封じ”が消失したら、やたらと賑やか(うるさく?)になりますが、それは織り込み済みですよ。
おしゃぶりにバイバイしたものの、暫くは口寂しいのでグズグズがあるかもしれません。
出来るだけ抱っこや優しい声掛けをして、気持ちを満たしてあげましょう。
また、ダラダラ喰いだけはさせないようにしましょうね。

結婚式シーズン到来!(若干改訂版)

もうすぐ6月です。
ジューンブライドの季節です。
母乳育児中であっても、親戚の慶事に出席する場合、格式を重んじる家柄だったりすると、披露宴は洋服でもいいから、結婚式の時だけでも和服(留袖とか訪問着、色無地一つ紋とかのあらたまったもの。)を着るようにという依頼もあるかもしれませんね。

でも、母乳育児中は和服は出来るだけ避けた方がいいです。
どんなに上手に着付けてもらっても、締め付けることに変わりはないですからね。
特に、乳腺炎を繰り返している方、おっぱいの分泌が半端なく多い方、止めた方が明らかに無難です。

もし、どうしても短時間でも、和服を着ざるを得ない場合、母乳パッドでは吸収に無理があるので、新生児用でいいので、紙オムツを左右1枚づつ、乳房に当ててください。(その際、ズレないようにテープ固定した方がいいです。)

赤ちゃんを含む家族ぐるみで出席するなら、グズッたら会場を退出し控え室などでおっぱいをあげてください。
お母さんだけの出席でも、出来るだけ赤ちゃんとご身内の方にも帯同していただき、予め赤ちゃんが泣いたら、お給仕の方にメモや耳打ちなどで知らせてもらうように打ち合わせしておき、さりげなく退出し、控え室などで授乳しましょう。

赤ちゃんは預けるよりも、一緒に連れて行った方が安心です。
私もかつて、授乳中友人の披露宴に招かれた時、実母に頼んで会場まで一緒に来てもらい、控え室や花嫁着付け室で授乳したことがあります。
預けて行ったら、赤ちゃんが泣いていないかとか、帰る時間ばかり気になってしまいがちです。
久しぶりに出会えた友人と、歓談すらままなりません。

さらに、披露宴はご馳走のオンパレードです。
ゴージャスなものを食べてしまった時は・・・そうです。
速攻、おっぱいをあげると良いのですね。
でも、会場に連れて来ていなかったら、それは不可能です。

是非とも赤ちゃんと離れずに、お出かけする方法を優先してご検討くださいね。

2014年5月28日 (水)

前クロス式のおんぶ紐の正しい使い方。

いわゆる(後ろ)おんぶ紐は、赤ちゃんの頸が据わったら使用できるようになります。
前クロス式のおんぶ紐の代表選手は昔ながらのおんぶ紐です。
おばあちゃん・ひいおばあちゃん世代は愛用された方も少なくないと思います。
最近流行のエ○ゴなどに比べて軽く、取り扱いも簡単なので、若いお母さん世代でも見直されているようですね。
前クロス式のおんぶ紐を使用する際に気をつけていただきたいことは、ズバリ「普通の前クロスをしないように装着してほしい。」ということです。
・・・むむっ?意味が分かりませんか?
当たり前ですが、普通の前クロスをすると、乳房基底部に近い内側~上側にかけての部位をおんぶ紐で持続的に圧迫することになります。
赤ちゃんは日々発育されますし、家事を捗らせたい時や寝かしつけにおんぶをされるお母さんにとって、その部位を圧迫する負荷は相当なものとなります。
分かり易く言えば、普通の前クロスをしておんぶ紐を装着すると、添い乳を多用している方と同じような乳房コンディションになってしまうのですね。

つまり、乳房基底部に近い内側~上側にかけて飲み残しが累積していくような感じで、硬結(=しこり)を形成し易くなるからです。
ですので、前クロス式のおんぶ紐愛用者の方は、おっぱいトラブルを回避するために前クロスのやり方にひと工夫していただきたいのです。
具体的には、俳優の中○彬さんは、昔からスカーフやネクタイをグルグルに捻っておられますが、前クロス式のおんぶ紐を鎖骨のすぐ下あたりでから捻り始め、乳房の下縁から拳骨一つ分下の位置まで捻ってから固定してください。
そうすれば、乳房基底部の内側~上側にかけての部位の圧迫は免れますので、快適に装着できます。
母乳育児中のお母さんは、是非そのようにしてくださいね。
ちなみにおばあちゃんは、母乳育児については過去完了形なので、装着につきましてはバッテンでもなんでも構いませんです。
また、余談ですが、前クロス式おんぶ紐を愛用されるお母さんは、普段から月齢にかかわらず授乳時はフットボール抱きを多用されることも推奨します。

1日ミルク800ml、おっぱいは2回。(生後6ヶ月)

<ご相談内容>
最初は完母だったのですが、3ヶ月くらいから乳房が3時間経っても張らなくなり、赤ちゃんが乳首を引っ張ったりしながら飲むので、これはおっぱいが足りないのだと思いミルクを補足するようになりました。
最初はほんの少しだけ補足しようと思っていたのに、今では1日800mlもミルクを飲んでいます。
逆におっぱいは張らないとしっかり飲めていないような気がして、今では1日2回しか飲ませていません。
ホントはずっと完母で行きたかったので、現状は残念なのですが、先日旦那から「1日にたった2回しかおっぱいをあげないなら、あげても大して意味が無いのでは?もういっそ、踏ん切り付けて完ミにしたら?」と言われました。
これからはボチボチ離乳食も始まるし、栄養面ではおっぱいは傍役になっていくのですよね?
私のような授乳スタイルの者がおっぱいをあげる意味があるのでしょうか?

<SOLANINの回答>
ううむ。
最初はずっと完母で行けたらな~と思っておられたのですよね。
でも、乳房の張りや赤ちゃんの飲み方の変化から、「おっぱいが足りていないのでは?」と、不安になられ、ミルク補足が始まったのですね。
確かにご指摘の兆候は、母乳不足であると大抵の育児書に書いてあるし、そういう風にアドバイスする医療者も少なくないですからね。
そう思ってしまった不安な気持ちは分からなくないけれど、ミルク補足をする前に、ホントに補足しないと発育に支障をきたすレベルなのかということを、助産師や母乳育児に理解のある小児科ドクターに相談してほしかったですね。(汗)

離乳食をまだ開始していない赤ちゃんで、1日にミルク800ml飲ませているとなると、栄養学的割合としては、恐らく8割以上がミルクということになります。
旦那さんにしてみたら、「たった2回。」なのでしょうが、踏ん切り付けて完ミに切り替える必要は無いと思いますよ。
「たった2回。」であっても、赤ちゃんはおっぱいの免疫を貰うことが出来るではないですか!
それは、赤ちゃんの健康を誰よりも願うお母さんとしては、無視できないのでは?
第一、おっぱいを嫌がるわけではなく、すんなり飲んでいるのでしょう?
ということは、赤ちゃんは今でも間違いなくおっぱいが好きなのですよ。
基本的に私は、オトナの都合で赤ちゃんの好きなモノを一方的に奪うのは、良いことだとは思わないです。(恐らく私のスタンスについては、読者さんであれば、ご存知かと思いますが・・・)
それに、おっぱいをあげることが、お母さんにとってストレスってわけではないのでしょう?
そもそもあなたが本気でおっぱいを止めたいのであれば、旦那さんが何と言おうとも、私なんかに相談される前にあっさり止められるのではないですか?

確かに離乳食が進めば、徐々におっぱいは傍役になっていくのでしょう。
でも、赤ちゃんは離乳食を開始したからといって、一気に栄養摂取の中心が離乳食になるわけではないのですよ。
もしも私があなただったら、今おっぱいを止めるのではなく、その分ミルクを減らしていきますがねぇ。
如何でしょうか?

2014年5月27日 (火)

妊娠中のお手入れ不要論者の見解。

SOLANINは、産後陥没や扁平乳頭の方が困らないように、妊娠中から出来る限り乳頭・乳輪のお手入れをしておきましょうと提唱している派ですが、真逆の考え方を提唱する派の方もいらっしゃいます。

「どうしてなんだろう?」と、不思議に思い、ちょっくら聞いたところ、「ブレストシールドで突出させるにしても、ブルックス・ホフマン法でマッサージするにしても、乳輪直下(→SOLANIN的な表現で言い換えると、乳輪の奥の方のことでしょうな)が硬くなり、乳頭および乳輪の伸展性が悪化するから。」とのことです。

ふ~ん、そうですか。
硬くなるねぇ。
それってもしかして刺激で一時的に乳頭が隆起している時に、硬くなることを言ってるんじゃないんですかね?(汗)

経験的には陥没乳頭の方でブレストシールドをしている方には、滅多に遭遇しないので何とも言えませんが、ブルックス・ホフマン法をしていただくと、突出は改善すると思いますがねぇ。
えっ、「突出は改善しても硬くなったらダメでしょう!」ですって?
そりゃあそうですが、そこはですね、日々バーユでオイルパックしていけば、それだけでかなり乳頭・乳輪は柔らかく伸びやかに変わりますよ。
(もしかして、不要派の方たちは、オイルパックをしたことがないのかな?)

また、オイルパック抜きで、力のかけ加減や手順を憶えてもらうために、「こういう風にマッサージしますよ。」と、その場で指導していて、3分間程度乳頭・乳輪マッサージしている間に柔らかくなることはあっても、硬くなる経験をしたことがないですね。
乳頭・乳輪って(一時的な隆起が終わってもマッサージを続けていると)その後は柔軟化しますからね。
四の五の御託を言うのは止めて、妊娠中は少しでも赤ちゃんのためにできることを骨惜しみせずに頑張っていただきたいですな。

流し込み直母にご用心!

通常、効果的な乳頭刺激が無ければ、おっぱい生産の起動スイッチは入りません。
しかし、ごくたまに、最初から「何故こんなにおっぱいの出がいいんだろう?」と、いうくらい、おっぱいがジャカジャカ出てくるラッキーなお母さんがいらっしゃいます。

赤ちゃんの吸啜刺激はまだ大したこと無いレベルだし、どう考えても辻褄が合わないというか嬉しい誤算でおっぱいがジャカジャカ出る・・・現役おっぱい星人のお母さん&助産師のみなさん、そういうご経験はおありになりませんか?
産褥入院中、つまり、新生児ちゃんの吸啜力は発展途上ですから、特に流し込み直母の疑いが濃厚であればあるほど、フィンガーテストをしても舌の巻き付けや歯茎の扱き方が覚束ない状態です。
流し込み直母の疑いが濃厚な新生児ちゃんの場合、吸啜というよりも出てきたおっぱいをゴックンと嚥下しているだけであることが多いのです。
早産児や低出生体重児であれば、尚更です。

それでもまぁ、量は確実に飲めているわけですから、赤ちゃんの体重はぐんぐん増えます。
早産児や低出生体重児であれば、当初の入院予定よりも何日も早く退院の目途が立ちます。
大変おめでたいことです。
おっぱいが沢山出ることにケチを付ける気は毛頭ございません。
しかし、花の命は短いように、流し込み直母が実践できる期間は、さほど長くはないのですね。
SOLANINの知る限りでは、短いと2週間、長くて3ヶ月ってトコロです。

そして、注意していただきたいのは、軽度の流し込み直母(≒浅飲み)であれば、乳頭損傷が長期化しますし、重度の流し込み直母であれば、仮性陥没や扁平や短小乳頭のような直母確立に難易度の高い乳頭であるのに、不気味なくらい乳頭損傷が皆無ということもありえます。

流し込み直母はそもそも乳頭刺激が極端に少ない状態ですから、その期間を過ぎれば、ダダ~ンと分泌低下が起きます。
赤ちゃんの体重増加度も、錐揉み状態で急降下することが予測されます。

そうならないためにはどうしたらいいのか?
まずは、助産師が目の前の新生児ちゃんが流し込み直母していないかどうか、見極めてあげてください。
状況証拠的にブラックに近いグレーだったら、ご面倒でも毎回の直母前に、乳頭刺激を与えるように教えてあげてください。
その赤ちゃんがまともに吸啜できるようになるまでは、地道に用手で乳頭刺激するしかありません。
目先の哺乳量の多さに惑わされないようにしましょう。

へんてこりんな保健指導5(若干改訂版)

4ヶ月半で8620gもある大きな赤ちゃんのお母さんからご相談がありました。
健診で担当小児科ドクターに以下のようにアドバイスされたそうです。
①「(ここまで育っていたら)もうすぐ母乳は出なくなると思いますよ。」
②「離乳食を早めにスタートさせたらいいし、離乳食で足りない分はミルクあげたらいいし。」
③「これくらい(体格が)大きければ下痢しても哺乳しなくても、大丈夫。」

最初に申しておきますが、これらのアドバイスは全て㌧でもです。
この小児科ドクターの仰ることを真面目に受け止めないでね。
その理由について、述べてみましょう。
①ですが、おっぱいを吸わせるのを止めたら段々出なくなってはきます。
でも、授乳中のお母さんがそんな事されるわけないでしょう?
っていうか、ありえないですよね?
もしもうすぐ母乳が出なくなると言い張るならば一体何日後まで&何gまでならば出るっていうのでしょうか?
赤ちゃんの体重が大きくなったらおっぱいが出なくなるなんて、エビデンスがゼロですね。
②離乳食=固形食ですから当然固形食の方がおっぱいよりも、カロリーベースで高いのは小学生でも分かること。
赤ちゃんの内臓機能の発達段階を考えて離乳食を食べさせるのが筋なんです。
体重が大きいから早く離乳食スタートというのは大昔の考え方です。
③体格が大きくても小さくても下痢や哺乳力低下は大変です。
病気や体調不良は早く治してあげたいものです。
「下痢して一時的に体重が減っても大きな赤ちゃんだから神経質にならなくていいよ。」とお母さんを安心させるために言ったのかもしれないけど、完全に言葉足らずですな。
どんな意図があったにせよこのアドバイス内容は、小児科ドクターとしての見識を疑いますな。

2014年5月26日 (月)

指しゃぶりにご執心で、視線を合わせてくれません。(4ヶ月)

<ご相談内容>
ウチの赤ちゃんが指しゃぶりをするようになりました。
最初は拳骨を舐めまわし、色々な指をしゃぶる段階を経て、現在は左手の親指くんにご執心です。
現在4ヶ月ですし、発達段階として理解しています。
ウチの赤ちゃんは舌小帯短縮症もあるから、ベロのストレッチをしているのねぇ~とも、受け止めています。

ただ、気になるのは、指をしゃぶっている時って、機嫌は悪くないのですが、誰とも視線を合わせてくれないのです。
お顔を覗きこんでも、抱っこをしても、何処か遠くを見つめて、一心不乱に指をしゃぶります。
最近はささっとおっぱいを飲み終わるやいなや、左手の親指くんを美味しそうに吸いまくっています。
放っておいていいものなのでしょうか?

<SOLANINの回答>
過去記事をしっかり読んでいらしゃるようですね。
発達段階のこと、ベロのストレッチのこと、きちんと受け止めていらっしゃる。
確かに愛情いっぱいに育てられても、お腹いっぱいでも、指しゃぶりをする赤ちゃんは居ます。
指しゃぶりをして大人しくしてくれることで、家事が捗ったり、勝手に眠ってくれたりすることもあるでしょうから、お母さんとしては助かると言えば助かるのでしょう。

でも、お母さんが、赤ちゃんのお顔を覗きこんでも、視線が合わず、抱っこをしてもずっと指をしゃぶっているのは、気になりますね。
何となくですが、本来お母さんが大好きな筈の赤ちゃんが、自分の殻に引きこもっているような、心を閉ざしているような印象があります。
SOLANINは、指しゃぶりはともかく、この時期の赤ちゃんがお母さんと視線が合わないことが、どうにも気になります。
改善策として、赤ちゃんが視線を逸らせたら、その視線を追いかけ続けるのを遊び感覚でやってみませんか?
最初は何回も視線を逸らし続けるでしょうが、お母さんが構ってくれていることを認知出来れば、目が笑う筈ですよ。
そして、意識して見つめて、いっぱい語りかけてくださいね。

指しゃぶりをするのはひとまず置いといて、赤ちゃんが視線を合わせてくれるように、日々努めてみてくださいね。

へんてこりんな保健指導4(改訂版)

新生児家庭訪問という事業があります。
2013年度からは、出生時体重による線引きは無くなり、事業は市区町村に移管されました。
一般的には、市区町村の保健センターの担当者(保健師さんや助産師)が、訪問依頼の葉書を出された方を中心に家庭訪問されています。
(初産婦さんには葉書無しでも訪問する市区町村や、葉書の有無を問わず初経産を問わず全戸訪問をされている市区町村もあり、事業の実態は様々です。)
無料で利用できる制度なので、良いことだと思います。

かつてSOLANINも自分の職業は伏せて長男と次男の出産後に家庭訪問を依頼したことがあります。
保健師さんの保健指導ってどんなだろう?って興味があったのと、義母に最近の子育ての常識を知ってほしかったから。(←これは長男の時)
私を担当してくれた保健師さんは年配の方でしたが、ちっとも高飛車ではなかったし、言葉も丁寧で分かりやすいし、来ていただいて勉強になりました。

SOLANINの知る症例として、明らかにミルクの補足を必要としている他院出産の新生児がいらっしゃいました。
私が対応させて頂いた段階(おそらく2週間前後)で500ml/日のミルクの補足をされていました。
その日に直母量測定したら8gで、分泌はジワジワと滲むくらいでした。
とてもじゃないですが、ミルクの補足を減量できる状況ではなかったです。

しかし、その2~3日後にやって来た新生児家庭訪問の担当者は、そのお母さんに対し碌におっぱいの分泌も見ていないのにも拘わらず、(たまたま体重増加が良かったのか、直母量測定してまずまずの結果だったのかもしれませんが)「今日からミルクは200mlに減量して直母を頑張るように。」と指導されたそうです。
その2日後に、㌧でも指導を遵守されてしまった赤ちゃんが脱水で発熱して休日に緊急入院となったという事件(?)がありました。

後日、一連の経過を聞いて私はぶっ飛びそうなくらいビックリしました。
一歩間違えば人命に関わることですよ。
母乳育児を推進するなら、訪問先のお母さんのおっぱいの分泌と赤ちゃんの哺乳力を見極めるのが最低限必要だと思います。
百歩譲って見極めたとして、ミルクの補足をこんな一気に減量するのは、ギャンブル性が高過ぎるというか、セオリー無視っていうか、あまりにも無茶苦茶です。

なおかつ、病産院や母乳外来で指導している内容を卓袱(ちゃぶ)台返しの如くひっくり返すのであれば、万一に備え、再訪問してフォローするのがスジってものです。
ちなみにこの担当者、言うだけ大賞ってヤツなのか、再訪問の約束なんて無かったそうです。
こんなことが罷り通るのは間違っています。

2014年5月25日 (日)

66の秘密。

※これはあくまで、SOLANINが経験を基に編み出した数値ですので、医学書や助産学の文献には記載されていませんので、その旨ご了解願います。

2週間健診などで1回あたりの哺乳量を抜き打ちで測定する現場に立ち会う者として、気がついたことがあります。
抜き打ちで測定した数値が、その時の赤ちゃんの体重(単位はg)を66で割った数値と同等か、それより大きければ、量的に母乳は充足しているということです。
1回だけでは何とも言い難いかもしれませんが、測定時間を変えて2~3回試してみて、結果がいつも赤ちゃんの体重(単位はg)を66で割った値の近似値以上ならば、まずは母乳不足の心配は無いでしょう。
つまりは、赤ちゃんの体重増加度も月齢相当をキープ出来ている筈です。

あっ、勿論1日10回以上の頻回直母をしていることが前提ですよ。
またこの計算では、産科入院中の健常新生児や、低出生体重児や早産児や疾患を持つ児は該当しませんからご注意願います。

早飲み出来るよう、竹串を刺してお鍋で茹でる?

お母さんがHTLV(+)のため、悩んだ末に、生後3ヶ月以降、完ミに切り替えた方とお電話でお話をしました。
少しでも直母とのギャップを少なくするために、また、ガッツリ系の赤ちゃんなので飲み過ぎを助長しないように「母〇相〇室®」のゴムの乳首を入手されて活用中でしたが
その時の赤ちゃんの体重が6kg台だったので、大体1回に120mlで1日に7~8回ほど飲ませていたそうです。
「母〇相〇室®」は、中々吸うには力が要るお品なので、そのガッツリ系の赤ちゃんであっても、平均で25分を要し、その後満足するという、絶妙なパターンが出来上がっていたそうです。

しかし、そんな哺乳の様子を見ていた義母さんが、次の授乳の前、このゴム乳首、時間かかり過ぎよね。10分間くらいでチャッチャと飲む方がラクでいいわよ。それでちょっと前に、ゴムの乳首孔に竹串刺して、お鍋で茹でて孔を大きくしておいたの。次からは時間短縮できるわよ~。」と、笑顔でのたまったそうです。(驚)
全くもう、何を考えてんだか・・・年を取っていても、こんな無茶苦茶する方が居られるのですねぇ。
で、赤ちゃんのお母さんは、まさかと思いながら、デカ孔に加工された「母〇相〇室®」でいつものように赤ちゃんにミルクを飲ませたところ、何と10分もかからずに早飲みをしてしまったそうです。
デカ孔のゴム乳首では、「母〇相〇室®」といえども全然満足感が得られないので、赤ちゃんが「ミルクもっと寄越せ」状態になり、150ml以上飲まないと、満足しないようになったそうです。
しかも、満足どころか苦しくてグズるので、あやすのも一苦労だったそうです。
そして3日間が過ぎ、お母さんも困り果て、精神的にも限界だったようで、「どうしたらいいですか?」と、泣きそうな声で、電話されてきました。
幸い、予備用として、スペアの「母〇相〇室®」をお持ちでしたので、それを使っていただくことにしました。(このような場合、デカ孔のゴム乳首は百害あって一利無しなので廃棄してもらいました。)
早めの対応が良かったのか、言い聞かせが効を奏したのか、赤ちゃんはどうにか復旧されました。

しかし、この義母さん、ホントにしょうもないことをしでかしてくれましたなぁ。
本人は親切心なのでしょうが、「母〇相〇室®」のコンセプトである、“直接授乳訓練用”ということが、な~んも分かっちゃいないのね。
HTLV(+)のため、良く出るおっぱいなのに泣く泣く完ミに切り替えざるを得ないお母さんにしてみたら、せめて直母とのギャップを少なく(=しっかり大きなお口を開け、舌を前から後ろにうねらせる)して、飲み過ぎ防止を図ろうとしておられたのに、それを台無しにしちゃう行為をされたのですからね。
きっと、吸啜運動の持つ意味や、赤ちゃんにとってミルクはどのような役割を果たすものなのかということが、な~んも分かっちゃいなくて、「赤ちゃんには早くいっぱいミルクを飲ませればいい!」と安直に考えているからこういうことをしちゃうのね。
何というか、あるまじきおばあちゃんだと思いました。(怒)

そしてその、あるまじきおばあちゃんに告ぐ。
「最強母乳外来に来なさい!」

へんてこりんな保健指導3

先日の記事に読者さんからのコメントで、びっくりすることがありましたので、記事にさせていただきます。
生後1ヶ月の赤ちゃん健診で、医療者から「ビタミンKの補給にたまにミルクをあげてね。」という指導があったそうです。

ビタミンKは赤ちゃんの体内では合成されません。
母乳に不足している唯一の栄養素とも言えます。
なので、生後1日目と退院前(通常生後4日目~6日目頃)、そうして生後1ヶ月健診の計3回にわたりシロップのカタチで投与します。
(NICU入院中の小さい赤ちゃんには、注射のカタチで投与されることもあります。)
確実な投与をすれば、新生児の消化管出血(いわゆるメレナ)や頭蓋内出血を予防できます。
ビタミンKは母乳に不足しているものの、この3回の投与を受ければまず安心です。
また、お母さんが納豆やキャベツ、小松菜やほうれん草などを積極的に食べられると、おっぱいにビタミンKが出てきます。
それで事足ります。

なのに、「ビタミンKの補給にたまにミルクをあげてね。」・・・とはどういうこっちゃ?
おかしいやないの!
お母さんが何も知らないだろうということで、こんな悪質な指導をするのですね。
医療者に言われたら、驚きつつも真に受ける方だっておられることでしょう。
どういった職種の医療者だったかは詳細は不明ですが、可能性が大有りなのはミルク屋さんから派遣されて健診室の一角に鎮座している栄養士さん。(もちろん、自社製品のセールスウーマンですな。)
もしくは、担当の小児科のドクター。(ミルク屋さんから〇〇を頂戴されていて、赤ちゃんのお母さんにミルクを勧めることを使命としておられるのですな。)
WHO/ユニセフでは「医学的必要がないのに、母乳以外のもの(=糖水やミルク)を与えないようにしましょう。」と、10か条で表明しています。
「ビタミンKの補給に。」・・・という一見もっともらしい言い草に惑わされてはいけませんぞ。
賢いお母さんになってくださいね。

2014年5月24日 (土)

集団健診の際の最低限のマナーとは?

集団健診に赤ちゃんを連れてくるお母さんには、病院・保健センター等場所を問わず、くれぐれも気をつけてほしいこと(=最低限のマナー)があります。
1つ目は、時間厳守
することです。
待たされるのが嫌だからというのは分かるけれど、時間に遅れてくると、その方のせいで、待ち時間がズレてしまう場合もあります。

2つ目は、汚れたおむつは持ち帰ることです
たまに、捨てさせて貰えるところもあるようですが、多くの市町村ではおむつは一般のごみとは分別されることも多く、処理にかかるコストも違います。
大丈夫そうな場所であっても、念のため「捨てさせてもらっていいですか?」と、確認しましょう。
3つ目は、母子ともに何らかの感染症の疑いのある場合は、絶対に健診会場には行ってはならない
ということです。

俄かには信じ難いでしょうが、あちらこちらの集団健診の会場で、ドクターや看護師さんや保健師さん達から聞いた話をさせていただきます。
症例①「1週間くらい前、上の子が水疱瘡だったのよね。丁度健診で小児科のドクターに診ていただけるから、赤ちゃんに出てきたこの発疹が、水疱瘡なのか、そうではないのか、聞いてみようっと!(笑)」というお母さんが居たそうです。
症例②「昨日から旦那も私も風邪を引いたみたいで、吐気があって白っぽい下痢もしているけど、今のトコロ熱発してないから大丈夫よね。」というお母さんも居たそうです。(おいおい、それって、ロタウイルス感染ではないのかな?)

もっと凄いのは、集団健診の待合場所にお父さん(小学校の先生をしておられる方だそうです)が来られた事件です。
あ、いや、お父さんが集団健診に来られたらダメというのではありませんから、早とちりしないように。
症例③そのお父さんに明らかにおたふく風邪の症状が見受けられ、看護師さんが確認すると「実は今朝、内科でドクターにそのように診断されました。」と、病識もあるのに、奥さんと赤ちゃんにくっ付いて集団健診に来たということなのです。
おたふく風邪と診断されたら、子ども達は登校も外出もしてはいけないことは、小学校の先生であれば先刻ご承知の筈です。
オトナだったら外出してもいいのでしょうか?
そんなわけないですよね?
自分の子どもを診て貰うためには、他の赤ちゃんやお母さん達に、自分の病気を感染させる恐れがあっても、厭な想いをさせても、知ったこっちゃないってことでしょうかね?
もしも、集団健診会場に心臓や肺の病気の赤ちゃんが居られたら、感染させたら生命に関わることを知らないのでしょうか?(汗)
・・・というような脳天気かつ自己中心的なことを言いつつ、健診会場に来られる方が居るそうです。

しかも、「集団健診は予防接種と同じく、健康な方が受けるものであり、病気の方が受けるのは非常識ですよ!」と叱られたら逆ギレする人も居るし、「周囲に迷惑かけることになるでしょう?」と、注意しても「へぇ~、そうなんですか?」と、暖簾に腕押しというか、罪悪感も何も無い人も居るそうです。

そんな自分しか見えていない㌧でもさんと同席して、大切な赤ちゃんに病気を感染させられたら、堪ったものではないですよね!
いやしくも当ブログの読者さんにはそんな人は居ないと思いますが、もしも周囲の赤ちゃんのお母さんかそういう発言が聞かれたら、「あなた、それだけはしたらダメだよ。」と、上記の理由を説明してあげてくださいね。
これに関しては、お節介上等ですとも!

へんてこりんな保健指導2

公民館や保健センター等で、「すくすく教室」とか「すこやか赤ちゃん」などの名称で、市区町村の保健師さんやフリーランスの助産師さんが、母乳育児について保健指導(いわゆる育児教室)をしておられますが、みなさん参加されたことはありますか?

実は約2か月前から他院出産のあるお母さんの育児相談を担当することになったのですが、困ったことがありました。
出逢ったのは生後29日目で、赤ちゃんが乳頭混乱で直母が出来なかったのです。
その頃の保護器を使用しての直母が3回/日のみで、ミルクの補足が500ml以上/日(ミルクの回数は8回/日)、直母量を測定しても、30分以上介助しても14gという有様で、冷静に考えて(キツいようですが)いきなり完母は到底困難な状況でした。
乳頭混乱ついては、再診した36日目の2日前頃に片方のみ克服され、それからかなりの期間を要したものの、反対側も克服されました。
そこまでは良かったのですが、このお母さん、「次は●日に受診してくださいね。」とお願いしていたにも関わらず、その後音信不通でした。
母乳分泌が少なめで遅れていましたから、何とか力になりたかったのですが、受診されなくては手の施しようがありません。

そして再会したのは、77日目でした。
その間は件の育児教室に行かれていたことが、母子健康手帳を見て判りました。
生後57日目のことです。
その頃は吐き戻しが3回/日はあったとかで、ミルクの補足は相変わらず500ml前後/日という状態で、直母を7~8回/日に増やしておられたそうです。

そうしたら、年配の助産師(氏名不詳)から「それはたくさん飲めるようになったということだから、いっそのこと、ミルク全部止めちゃいなさい。」と、指導されたそうです。

なんかおかしいと思いませんか?
生後36日目~57日目の体重増加度は44.3g/日と立派だったのですが、毎日ミルク500ml前後補足しての数値ですから、べらぼうな増え方とは言えません。
平均的な体格の月齢1~2の赤ちゃんですと、男児でおおよそ39g/日、女児で36g/日くらいです。
吐くのは確かに新生児の頃よりもたくさん飲めるようになったのでしょうが、この場合げっぷが不十分だったことが要因として大きいのです。
だって、哺乳瓶で飲んでいるのですから。
哺乳瓶の中が真空なら話は別ですが、そんなわけないですし。

恐らくこのお母さんは育児教室の担当が年配の助産師だったし、押し出しの強い方だったそうで、鵜呑みにされたのですね。
で、77日目に私と再会した時は、育児教室に参加されてから-6.0g/日と、減少していたのです。
この時このお母さんはミルク補足が経済的に負担であることと、アレルギーが心配だという訴えがありました。
本来ならばこの段階でミルクを補足したかったのですが、思いがけず直母1回量が増えてきていたのと、その育児教室の担当である年配の助産師に何か意図があるのかとも思い、取り敢えず次回受診時まではミルク補足なしで様子をみることにしました。

そして生後84日目には育児教室に再び参加され、体重チェックをされたところ、77日目からの体重増加度は14.4g/日だということでした。
復活の兆候?でも体重増加度は少なくて微妙。
前回と同じ担当の年配の助産師はミルクの補足が必要だということは一言も保健指導がなかったそうです。

その後私のところに受診されたのは、92日目でしたが84日目からの体重増加度は16.6g/日でした。
う~ん。やはりこの月齢では少な過ぎます。
もうちょっと増えてくるかと思ったのですが、流石にこれでは完母のままでOKとは私も言えません。
体重増加度はとうとうパーセンタイルグラフを割り込みました。
それより気になるのは頭囲の増加もギリギリの崖っぷちということです。
直母1回量も伸びません。
この場合はミルクの補足がどうしても必要です。

生後57日目の段階でのミルクのカットが不適切だったんですね。
私が「何かの意図があるのか?」と推理していた年配の助産師の保健指導は実はなんの中身(おっぱいの分泌や赤ちゃんの哺乳力)も確認せずだったことが判りました。
そんなんで完母を勧めるのはいけないのではないか?という事例でした。

後で判明しましたが、この助産師、SOLANINの住むまちの保健センターの嘱託で新生児訪問をしている人でした。
隣町まで、仕事をしておられたんですね。
自分が保健指導したことの尻拭いをしないなんてサイテーだと思いました。

2014年5月23日 (金)

不快な習慣はやめさせる方向で!

おっぱいライフが長くなると、知らず知らずのうちに習慣が出てきます。
お母さん的に許容範囲であればいいのですが、恐らく100人中99人以上のお母さんが不快に感じる習慣があります。
それって何だと思いますか?

SOLANINはねぇ、乳首をこねくり回すことだと思います。
一番多いのは、片方のおっぱいを飲みながら、空いている方のおっぱいの乳首をこねくり回すパターンですな。
おっぱいを飲むことは卒業したけれど、眠たくなったらお母さんの首周りから手を突っ込んで、乳首を探り当てこねくり回すお子さんもいます。
指先に力が入っていて、グリグリするからマジで痛いです。
爪で引っかけたり、引き伸ばそうとしたり、バリエーションはありますが、痛みとともに、何とも言えない不快感がこみ上げてくるようです。(特に妊娠中は強烈!)

意外にも(?)我慢をしているお母さんが多いです。
でもね、これは我慢しちゃいけないですよ。
人に痛みや不快感を与えてまで、自分の欲求を満たすようなことは、許容すべきではないのです。
「でも、そうしないと、うちの子は眠ってくれないんです。」とか、「そうしないと大泣きして30分経っても泣き止まないんです。」とか、深刻な悩みを耳にするたびに、「それって生まれて間もない頃からの習慣じゃないですよね?」と、確認すると100%の方が「Yes!」と答えられます。

そうなのです。
いつからかの習慣なのです。
ここが曲者なのよねぇ。
お母さんを信じ切っているお子さんの気持ちを受け入れてあげることは、大切なことです。
と同時に、自分の欲求を満たすためには、人に痛みや不快感を与えることを何とも思わない子どもにしてしまってはいけないのです。

お子さんの目を見て、「痛いからやめて。」「気持ち悪くなる。」「お母さんはホントはこういうことはされたくない。」ということを、気持ちを込めて、苦しく辛いんだという表情をハッキリ分かるようにしながら、繰り返し伝えてください。
入眠儀式的に乳首をこねくり回す習慣がある場合は、意識が明瞭な時間帯に、例えば「今日からお母さんと手を繋いでねんねしよっか?」「絵本読んだら、クマさん抱っこしてねんねだよ。」とか、お母さんが許容できる代替え案を幾つか提示してください。

暫くはお子さんの抵抗というかイヤイヤ(≒到底受け入れられないアピール)が続くでしょうが、お母さんもイヤイヤしてください。
アカデミー賞主演女優級の演技力でお願いします。
どうにかこうにかでも、お母さんの意向を受け入れてくれたら、褒めちぎってください。
お子さんにわざと聞こえるように、旦那さん相手に「昨日は、触らなくても眠れたよ。すごいよね。」と言ってみましょう。
褒め言葉を傍聞きさせること、そして、旦那さん(=お子さんのお父さん)から、「そっか、偉かったな。やればできるな!」と頭クシュクシュしながら褒めてもらうようにしてください。

不快な習慣(乳首をこねくり回すこと)からの離脱まで、あと一歩ですよ!

赤ちゃんの虫除け対策。(若干改訂版)

赤ちゃんには虫除け対策をしたほうがいいです。
何故かというと、外出時は虫刺されが起き易いからです。
市街地でのお買い物ならそうでもないかもしれませんが、郊外にハイキングに行ったり、河川敷で遊んだり、これから先お盆でお墓参りなどに連れて行くと、無防備であればほぼ確実に、何らかの虫に刺されると思います。
虫刺され自体は「痒いなぁ~。」で、済みますが、無意識に掻き壊しだら、そこからブドウ球菌感染を起こし、「とびひ」になることがあります。
「とびひ」くらい・・・と、舐めたらいけませんよ。
なったら大変なんですから。

「虫除け」といえば、「スプレー」という下の句が直ぐに浮かびますが、オトナであってもエアゾルや臭いが苦手な方は少なくないと思います。
かくいう私も大の苦手で、「虫除け」には「シート」とか「ロールオン」とか「ミスト」等の塗るタイプを使っていました。
これですと、吸い込まなくて済みますからね。

ただ、最近調べたら市販品に多用されている「ディート」という成分は虫除け効果は大きいものの、安全性に問題があり、北米では乳幼児には使用禁止されている成分だということを知り、愕然としました。

気になる方は「ディート」で検索してみましょう。
実態を知れば知るほど、とてもじゃないけれど、自分の子どもに使うことはできない代物ですよ。
何故未だに医薬部外品として製造・販売を許可されているのか、さっぱり判りません。
かつて何も知らずに我が子T1、T2、H1に使っていたことを激しく後悔しているSOLANINです。
もしも将来、娘や嫁が孫に使ったら、叱り飛ばしてソッコー止めさせますとも!

アロマセラピーをされている方でしたら、エッセンシャルオイルやハーブを使用したものを活用されているかもしれませんね。
当ブログの読者のみなさんの中でこの方面にお詳しい方は積極的なコメントをお願いします。
(可能であれば、天然成分のモノを選んであげた方が良いですからね。)

いずれにしても、赤ちゃんの肌に使用するものは最初にパッチテストをしてくださいね。
異常がないことを確認してから、必要な部位に使用してくださいね。

母乳育児に於けるSOLANINの夢。

私は自分の赤ちゃんを自分のおっぱいで育てることが難しいというお母さんがまだまだ多いこの現実を何とか改善したいと思っています。
おっぱいをあげることがプレッシャーにならない、楽しめる、おっぱいってこんなに素晴らしいんだ、大変な時もあるけど、やり甲斐もあるんだということをお母さん自身が感じられるようにしたいですね。

例えば、『最強母乳外来』を読んでくれているお母さん、SOLANINが勤務先の母乳外来で対応しているお母さんが現在進行形で、日々赤ちゃんにおっぱいをあげていらっしゃいます。
このおっぱいで育てられた赤ちゃん達が20年、30年先に親になる日がきっと来ると思うんです。
その時に自然体で母乳育児ができる世の中になればいいな。
母乳育児経験者のおばあちゃんになった今のお母さん方が娘さんや息子さんのお嫁さんに「それはこうしたらいいのよ。」「これは心配ないことよ。」とアドバイスしてあげられるんじゃないかな・・・って思うんですね。

今撒いた母乳育児の種は僅かでも、確実に根を張り、茎を伸ばし、葉を茂らせ、花を咲かせ、実を生らせることがSOLANINの夢です。

2014年5月22日 (木)

赤ちゃんの紫外線対策。

新生児の頃はおうちの中に籠もっていますが、月齢が進んでくると、お外に出る機会も増えますね。
そんな時、赤ちゃんの紫外線対策をどうするのか?

まずは時間を考えましょう。
よく言われることなので、知っておられる方も多いと思いますが、午前10時~午後2時の間は紫外線が一番キツイ時間帯ですから、可能であればこの時間の外出は避けたほうが無難です。
避けられないならば、長袖の上着や、つば広の帽子、日傘を使用したほうがいいですね。
電車や自動車であればサンシェードを使いましょう。

最近はコンビニでもスーパーでも日焼け止めクリーム類が所狭しと販売されてますね。
使用する前は必ずパッチテストをしてお肌に合うものを選んであげましょう。
また、SPFの数値が大きいほど紫外線をブロックするチカラが大きいことはみなさんよくご存知ですよね?
だけど、数値が大きければ全て桶かといわれたら、そう単純でないのはご存知でしょうか?
数値が大きいということは、お肌への負担が大きいということを意味します。
お砂場で30分程度遊ぶとかベビーカーで近所までお買い物程度だったら、SPFの数値が小さいもので充分です。
数値が小さいと有効時間が短いことが多いですし、乳幼児は汗掻きさんが多いので、こまめに上塗りしていけばいいと思います。

また、成分に注意も必要です。
大まかに言って、日焼け止めクリームには「紫外線吸収剤」と「紫外線反射剤」のいずれかの物質が含まれています。
どちらがいいのかはメーカーさんによって、仰ることが違いますが、個人的には「紫外線反射剤」の入ったものの方が安全性が高いのと、A波B波ともにブロック出来るのででお勧めです。

へんてこりんな保健指導1

乳頭混乱のため、搾乳を中心にあげておられるお母さんに出会うことがありました。
赤ちゃんは33週で出産し体重的に小さく、最初のうちは点滴に繋がれ、保育器に入っていて、授乳もままならなかったそうです。
やがて鼻注が抜けて、哺乳瓶による授乳に変わり、さてようやく直母をしようとしたら・・・全く出来なかったとか。
それから血の滲むような努力をされ、直母も30g/回くらいは出来るようになったそうです。
そこまでは良かったのですが・・・
しかし幾らなんでも30g/回では少ないので、止むを得ず搾乳の補足を続けていました。
段々赤ちゃんの要求量が増えて追いつかないが、どうしたらいいのかという相談でした。

よくよく聞いてみると、出産した病産院では、「3時間以内に欲しがるようなら、3日毎に搾乳の1回量を10mlずつ増やせばいい。」と指導されたとか。
赤ちゃんの体重は退院時は3400gくらいに増えていましたが、その時点での直母はおおむね30g台、それに搾乳を70mlずつ、3時間毎に補足していたそうです。
よく泣くので、言われた通りに3日毎に搾乳1回量を10mlずつ増やしていき、SOLANINの勤務先の母乳外来を受診された退院12日後には搾乳1回量が110ml×8回/日まで増やされていました。

何だかおかしくないですか?
日齢が進み、直母の練習に付き合うならともかく、搾乳の量を増やせってねぇ。
だいたい、元々の搾乳の量が多過ぎますね。

3400gの生後1ヶ月の赤ちゃんに対し、直母の他に800ml/日くらい、搾乳を哺乳させていたそうですから。
「これ以上、搾乳出来るかどうか、自信ないんです。おっぱいをあげるって、こんなに大変なんですか?」と、そのお母さんは涙目で尋ねられました。

その保健指導のペースで増やし続けたら、生後2ヵ月半くらいには、搾乳だけで最多量ならば210ml×8回/日も与えなくてはならなくなります。
搾乳だけで、1680ml/日も哺乳するんですよ。
赤ちゃんの胃の腑に納まるわけがないんです。
そんな馬鹿な話がありますか?・・・ナンセンス極まりないでしょ?

他人様の保健指導にケチをつける気はありませんが、これは酷すぎるので、修正させてもらいました。

2014年5月21日 (水)

歯が萌出する前のむず痒さ対策。

赤ちゃんから聞いた話ですが、乳歯が萌出する前って、非常に歯茎がむず痒いのだそうです。
むず痒いのに自分ではどうすることもできず、「どうすればラクになるか?」と、色々試しているうちに、赤ちゃんは歯茎でお母さんの乳首を噛むと、ラクになることに気がつきます。

おっぱいトラブルで美味しくないおっぱいを飲ませているわけでもないし、ながら授乳をしているわけでもないのに、何故噛まれるのか?その理由は、「歯茎がむず痒いから。」なのです。

しかし、乳歯は全部で20本も萌出します。
新しい乳歯が萌出しそうになる度に、乳首をガブリとやられては、お母さんは堪ったものではありません。
ビクビクしながら授乳をしても、楽しくないでしょう。
恐らくドMなお母さんでない限り、噛まれる痛さに悶絶すると思います。
(ドSのお母さんだったらどうなるかは、想像にお任せします。)

一番には言い聞かせだと思いますが、少し発想を変えて、根本的にむず痒さを和らげてあげることも検討してみましょう。

あっ、いえ、そんな難しくも手間暇かかるものでもありませんから安心してね。
で、何をすればいいのかって?
それはですね、歯固めのおもちゃを少し冷やして、直母前にしっかり歯茎でガジガジさせてあげるのです。
涎を垂らしながら噛む赤ちゃん、歯茎でしごくように噛む赤ちゃん、噛んだ歯固めをしげしげと眺めて再び徐に噛む赤ちゃん等々、まぁ好きに噛ませてやってくださいな。

ひとしきり気が済むまで歯固めを噛ませてあげてから、「さぁおっぱいよ。」と含ませたら、あら不思議!
むず痒さが和らいでいるから、噛まないんだな、これが。

乳首がズタボロで、おっぱいタイムが悶絶タイムになり、辛い思いをしていらっしゃる方!この記事に書いてあることを実践してみてくだされ!

母乳育児の「㌧でも」情報に惑わされないでね。

いきなり刺激的なタイトルになってしまいました。
いわゆる一般的な育児書の中身や医療者の保健指導についてですが、他の項目はともかく、母乳育児に関する項目はいやはや、㌧でも情報満載です。(汗)

例えば生後3カ月頃までの実例を挙げます。
1.夜間授乳は赤ちゃんが起こしてくれなくてもおっぱいが起こしてくれることもあります。(←この部分は正解!)
その時は、寝ている赤ちゃんを起こしてまで飲ませる必要はありませんので、或る程度搾乳して捨てて、乳房管理だけはしておきます。(←この部分は「㌧でも」情報!)
⇒これをすると大抵の場合、いきなり赤ちゃんが体重増加不良に陥ります。
また、スーピーと眠っている赤ちゃんの横で夜毎何度も搾る作業は想像以上に孤独です。
搾乳をしなかったらしなかったで、うっ滞性乳腺炎になり易いです。

2.おっぱいはちょこちょこ飲ませるよりも、泣いても直ぐには与えずに3~4時間間隔を空けて飲ませた方が体重増加が良いです。(←全文「㌧でも」情報!)
⇒おっぱいは赤ちゃんが成長していくために飲むものですから、無理に間隔を空ける必要性は全くありません。泣いてほしがるのにあげないなんて、酷い仕打ちで、児童相談所通報レベル=虐待ですよ。
おっぱいの消化時間は1時間半~せいぜい2時間程度なのです。
3時間以上は粉ミルクの消化時間ですから、そちらに合わせる意味が分かりませんね。

3.おっぱいに張りが無くなれば、出が悪くなったということです。(←全文「㌧でも」情報!)
⇒不眠症で全く眠れないとか、水分も摂らずご飯を抜いているとか、ひとつも吸わせていないならともかく、赤ちゃんの欲しがるペースに合わせてこまめに吸わせていたのであれば、張らなくなったのは母乳不足ではなく、赤ちゃんが吸ってくれるのに応じておっぱいが直ぐに出てくるという理想的なリズムに変ってきたからです。
この時期に到達するのは出産経験を積むほどに早くなります。

4.赤ちゃんがお口をモグモグ動かすのは母乳不足の兆候です。(←全文「トンでも」情報!)
⇒この頃の赤ちゃんはお口に触れるものを取り敢えず舐めたり吸いついたりします。
モグモグもします。
お口で確認し、認証しているのです。
百歩譲って母乳不足だとしても、こまめに吸わせることでおっぱいの出方は向上します。

5.体重増加順調でも抱っこしないと眠らないのは母乳不足だからです。(←全文「㌧でも」情報!)
⇒体重が順調に増えているのであれば、誰が何と言おうとも母乳不足ではありません。
抱っこが気持ち良いから抱っこではネンネしているだけです。
寝かせるタイミングが早いとか、お布団が冷たいとか、一人では寂しいとか、頭を高くしてギュッとカラダを包んでから寝かせてあげればいいのに、フラットな姿勢でカラダを包みもせずにポンと寝かせているとか・・・
置いたら直ぐに起きるのは何か理由がある筈で、それを改善していないからではないでしょうか?
そこを見極めずに、十把一絡げに論じるのはもはや暴論です。

如何でしょうか?
SOLANINとしては、「有り得ないことばっかり言わないで頂戴!」と言いたくなります。
お母さんになるからには正しい知識を身に付けないと、こういう「㌧でも」情報に惑わされ、出来る筈の母乳育児が出来なくなってしまいます。
正しい知識を身につけて、ブレないお母さんになってくださいね♪

時々たまり乳になりますが、どうしたらいいですか?(5ヶ月)

<ご相談内容>
私は現在産後5ヶ月で、2人目のおっぱいライフですが、入院中はさすがにはっていたものの、2ヶ月頃には差し乳気味になり1人目のときのようにカチカチおっぱいに悩まされる事もありませんでした。

しかしどうも左右で様子が違い、いつも左がたまり気味なのです。
調子がいいときは左右ともふにゃふにゃですが、ひどいときは左だけカチカチにはります。
最初は、同じように飲ませているつもりでも左を無意識に多めに飲ませているので左の方が分泌がいいのかと考え、右を多めに飲ませるようにしましたが事態は変わりませんでした。
次に、右があまり出がよくないのかと考えましたが、搾乳してみるとむしろ右の方が沢山乳腺が開いており、出方も太くしっかりしていました。

なので左が張りやすいのは飲み残しやすいからかとも考えたのですが、例えばしばらくおっぱいの調子がよくてつい食べ過ぎた後なども左だけカチカチになり右はふにゃふにゃな様子を見ると、飲み残し説より分泌説が強いような気がしたり…
いろいろ試行錯誤してみているのですが、そろそろ軌道にのってもよさそうな現在ですが、ちょいちょい左右で不均等になるので、どう対策すればよいか分からずにメッセージを送らせて頂きました。

<SOLANINの回答>
そうでしたか。
ご自身のおっぱいをじっくり観察されているのですね。
自分なりに検証されているところが素晴らしいです。

恐らくご指摘の通り、分泌の左右差があるのかな?とも思いますが、もしかして・・・ですが、乳管の走行といいますか、それもあるのかな?と思われます。
恐らく、左側乳房全体に溜まっているというよりも、乳房の腋窩や下縁の方が、スッキリしないのではないでしょうか?
出来る限りの是正となると、乳房下縁からリフトアップするように把持して、フットボール抱きして飲ませるか?ですね。
スッキリしない部分だけ、じゃがいも湿布しても良いと思います。
また、乳管の太さや開通している数の違いも影響しているかと思われます。
こうなると、解剖学的な話になるので、こればかりはどうにもならないと思います。

多分ですが、乳房の大きさも若干左右差があるのではないですか?
であれば、今まで通り、左右差が発生した場合にはそれを改善するような対処を早め早めにしていかれたら、授乳中に大きな問題は発生しないと思います。
また、卒乳後は徐々にですが、それ以前のように復旧してきますので、心配無用ですよ。

2014年5月20日 (火)

ミルクの調乳に外国製ミネラルウオーターはNGです!

昨今は地域によっては水道水の水質が悪く、混合栄養・ミルク栄養で赤ちゃんを育てておられるお母さんは、浄水器のお水でミルクの調乳をしておられることも少なくないと思います。
浄水器のお水を使用する際の注意点として、出始めのお水は雑菌が多いので飲用すべきでないことはよくご存知だと思います。

そうではなく、買ってきた外国産のミネラルウオーターを使用して、ミルクの調乳をすることは良くないのですが、それってご存知でしたか?
殆どの国産のミネラルウオーターは軟水ですから硬度は水道水と変わらないのでいいのですが、外国産のミネラルウオーターは、ミネラルを多く含む硬水なので、調乳するとミネラルバランスが崩れて、赤ちゃんの内臓に負担がかかったり、喉の渇きが激しくなったり、栄養分の吸収率が悪くなるおそれがあるのですね。
国産のミルクは国内のお水を使用して調乳することを想定して製造されています。
なので、外国産のミネラルウオーターを使用して、ミルクの調乳をすることは差し控えていただきたいと思います。

赤ちゃんには外国産のミネラルウオーターを飲ませるのも控えた方がいいですよ。

分泌過多の方は分泌低下させねばならないのか?

おっぱいが分泌過多ですと、授乳間隔が空くほど乳房が張り易く、漏乳もハンパなく、赤ちゃんが哺乳中にむせ易かったりで、コントロールが大変です。
分泌抑制するために(?)、国際認定ラクテーションコンサルタントの先生方は、片方授乳を推奨されたり、授乳回数を敢えてセーブすることを推奨されることもあるようです。
勿論、それをするにあたり、赤ちゃんの発育が順調であることが大前提なのは言うまでもありません。

でも、それ(=おっぱいの分泌抑制をしながら、赤ちゃんを月齢相当のレベルで継続的に発育させる)ってホントに可能なのでしょうか?
たまたま乳腺炎を起こさず、分泌抑制に成功することはありますが、SOLANINの知る限りでは、その殆どが赤ちゃんの体重増加度がガクンと低下するのがお約束になっています。
マジで一気に体重増加度が、それまでの1/2〜1/3程度になってしまいます。
その日(例えば集団健診の日)迄はトータル的には発育していたとしても、早晩ヤバくなることは必至です。
徐々に射し乳に変化したのだったら問題は発生しないと思われます。
しかし、その殆どが、それを通り越して、おっぱいの分泌が止まりそうになっています。
おっぱいは赤ちゃんに飲んでもらってナンボです。
なのに、分泌抑制どころか分泌停止なんてことになったら、大いにヤバいです。
個人的には、時期が来たら分泌抑制になるのだから、敢えて分泌抑制はしなくていいのではないかと考えます。

2014年5月19日 (月)

腕に膿が溜まって、切開排膿しました。

<ご相談内容>
産後5ヶ月になります。
赤ちゃんは2人目ですが、ついこの間まで毎日楽しくおっぱいライフを過ごしてきました。
半月ほど前の話ですが、原因は分かりませんが、私の右上腕に膿が溜まったらしく、真っ赤に腫れてしこりが出来て、とても痛くなり(←乳腺炎みたい?)近くの皮膚科を受診をしました。
そのドクターは、「抗生物質の入った点滴を3日間するから、その間授乳は出来ないからね。おっぱいが張ったら搾って捨てて、その間はミルクをあげてね。」と、仰ったのです。
私は完母だし、たった3日間とはいえミルクをあげることに抵抗があり、「でも治療だから仕方ない。」と、渋々自分に言い聞かせました。
授乳回数は7回/日だったのですが、乳房はさほど張らなかったので、搾乳回数は3回/日くらいでした。(つまり3日間で9回搾ったということです。)
治療は無事済みました。
そこまでは良かったのですが、その後おっぱいがショボンとなってしまいました。
SOLANINさん、ショボンってニュアンス分かっていただけますか?
夕方からは、張りのカケラも無く、1時間毎におっぱいを欲しがり、いよいよ足りなくなったのかと不安だし悲しいです。
「足りないのでは?」という不安な気持ちが強過ぎて、足したくないミルクを1日に1回140ml足している日が続いています。
でも、可能であれば、完母に戻したいのです。
どうしたらいいですか?

<SOLANINの回答>
まずは、右上腕の膿の治療が無事済まれてよかったです。
ただ、3日間直母できなかった間、搾っていたのにおっぱいがショボンとしてしまったのですね。
ショボンのニュアンスですか?
分かりますとも!

ん~、これはですね、過去記事にもありますように、何らかの事情があって、直母が出来ないのであれば、直近の授乳回数と同じ回数を搾乳しなくてはならなかったのに、半分の回数しか搾っていなかったことが要因です。
経産婦さんだし5ヶ月にもなれば、そんなパンパンに張ることはなかったのでしょうが、ある程度張らせて溜めて搾るのは、分泌抑制をしているのに近い行為ですから、きっと相談者さんの乳房は誤作動しちゃったんですよ。
「もう、あんまりしゃかりきにおっぱいを作らなくていいよ。」って。(涙)

使用された抗生物質名も記載されていないので一般的なことしか言えませんが、抗生物質って、内服であろうと点滴であろうと、授乳禁止のお薬って殆ど無いんですよね。(汗)
その皮膚科ドクターも決して悪気はなかった筈ですが、流石に畑違いですから搾乳回数の指示まではされなかったのでしょう。
また、お薬の添付文書には、大抵は、「妊娠中・授乳中は避けてください。」的な記載がされていますから、
「ほな、治療中は授乳禁止やな。」という展開をされたのでしょうね
授乳とお薬の評価について、例えば当ブログのカテゴリー『☆おっぱいとお薬』の全記事の末尾に貼り付けてあるURL(成育医療センターと大分県薬剤師会)についてまでは、ご存知なかったのでしょう。

おっぱいってね、想像以上にデリケートなんですよ。
過ぎてしまったことを嘆いても仕方ないですが、もしかしたら相談者さんは当ブログに辿り着いたのが最近なのかしら?
だったら記事の読破はまだなのかもしれません。
でも、キツい表現で恐縮ですが、お子さんのためを想うなら、
無知は罪です。
産婦人科や小児科以外のドクターの仰ることで、「これってホントなの?」「それは困るんだけど。」ってなことがあった時は、ご出産された病産院に確認するとか、赤ちゃんの眠っている間に当ブログなどのネット検索をして正しい情報収集に励むとかして対処するのが賢いやり方です。

元々完母だった方ですし、頑張ればおっぱいの分泌は増加すると思います。
ただ、自己流での復旧作業は避けてくださいよ。
ひとまず授乳回数は、あげられなかった分を挽回するために、8回以上/日でお願いします。
それ以外に何をどう頑張るか、ミルク減量の可否は、必ず母乳外来か助産院を受診してください。
きっとリラクテーションへの道は拓けてきますよ。

乳房が張り過ぎて飲めない!

母子異室時代の名残なのかもしれませんが、乳房がパンパンというか、ガチガチに張る(=過剰な緊満状態)と、おっぱいがたくさん造られて、たくさん出てくると信じておられる方はまだかなり多いのではないかと思われます。
どうかすると、助産師であっても、そう思い込んでいる方が幅を利かせているかもしれません。
ホントのトコロはどうなんでしょう?

そうですね。
「おっぱいが張る=乳房の緊満」は、おっぱい工場の立ち上げの段階で見られる現象と考えて貰ってもいいかとは思いますが、張らなければ出ないというわけではありません。
そうではなく、過剰な乳房緊満は、うっ滞性乳腺炎への一里塚なんですね。
赤ちゃんの舌が短かったり、巻き付けが下手っぴちゃんで、尚且つお母さんの乳頭が正常形態ではない場合は、深く吸着すること自体が困難になります。
上滑りしてしまい、巻き付けなんて端から出来なくなってしまいます。

先搾りは痛いけど、せざるを得ないことですから、とにかく赤ちゃんが吸い付けるように,乳頭・乳輪の外側1cmの範囲(乳頭から同心円で)を柔らかくほぐしてから赤ちゃんに吸い付かせてくださいね。
そうそう、その場合のポジショニングは、「縦抱き」ですよ♪

夜間の乳房の張りをコントロールしたい。(8ヶ月)

<ご相談内容>
8ヶ月の赤ちゃんを生まれて間もなくから完母で育てています。
運動機能面では、つかまり立ちは出来ますが、ハイハイはまだです。
離乳食は2回食で、まずまずの食べっぷりですが、動きが活発なせいか、若干細身で現在の体重は、7200gです。(身長は70cm有るので、高い方だと思います。)
今回ご相談に乗っていただきたいのは、夜間7時間近く良く眠るので、毎朝、乳房がパンパンで痛いんです。
ちなみに昼間は乳房は全く張らず、フワフワです。
それで、夜間乳房が張りにくくなるように、乳房コントロールをしていきたいのですが、何か良い方法がありますか?

<SOLANINの回答>
ううむ。
身長は真ん中より高めで、体重は下限ギリギリですが、パーセンタイルグラフ内に入っていらっしゃるので、一応問題ないと思います。
運動機能の発達は月齢相当ですから、確かに活発な赤ちゃんに多いタイプかも知れません。
半年を過ぎると、夜間再びおっぱいを欲しがる赤ちゃんが増える中、夜中7時間もまとめて眠らせてもらえるなんて、ある意味恵まれていますね。
ただ、相談者さんとは別の視点でちょっと気になる点がありますね。

一般的な育児書には、「夜間は眠っていたら起こしてまでおっぱいやミルクをあげる必要性は無い。」と、判で押したように書いてあります。
しかし、相談者さんは、毎朝パンパンの乳房を持て余し、乳房の張りを抑えたいと思われています。
であれば、夜間の授乳は乳腺炎の予防にもなるし、むしろそうした方が良いとSOLANINは思います。

活発な赤ちゃんで、体重増加ラインがパーセンタイルグラフ下限ギリギリでもあるということは、日中起きていらっしゃる時の授乳ではキョロちゃんの傾向があるかもしれませんね。
また、夜間は授乳間隔が空くから乳房がパンパンになるようですが、昼間はそうではないようですから、分泌過多ではなさそうです。
もしそうであれば尚更、集中力のある夜間におっぱいをあげることに大きな意味が出てくるわけですが・・・

夕食の量やメニューで乳房の張りをコントロールするという方法もありますが、分泌過多ではない方は止めておかれた方が良いと思います。
これから先の赤ちゃんの発育を考えれば、離乳食は着々と進めつつ、夜間は寝込みを襲っておっぱいをあげれば良いんじゃないでしょうか。
眠たくても眠りつつでも、おっぱいは飲みますよ。
飲んだ後は普通に眠ると思いますし・・・それで良いのではないですか?

活発で、尚且つキョロちゃんであれば、夜間授乳が今後の体重増加の決定打になる可能性が高いので、乳房の張りをコントロールするとか、そういう考えは捨てて、赤ちゃんをスクスク育てていくにはどうしたらいいか?という方向に目を向けてやってくださいね。

2014年5月18日 (日)

ウチの赤ちゃん良くネンネする良い子です。(生後2週間)

SOLANINの勤務先の小児科ドクターは新生児の退院診察時に、「1日10回以上は目標におっぱいをしっかりこまめにあげてくださいね。」と仰います。
消化の早いおっぱいを、小さくて発展途上の消化吸収能力で、成長のためにある程度の哺乳量を確保するには、8回/日では少ないからです。

ところが、前回他院にて出産のお母さんや、おばあちゃんが介入し過ぎるお家の場合、「寝た子起こすな。」という雰囲気が優勢となります。
おっぱいをこまめにあげること=足りないという印象が強いのか、結果授乳回数が少なくなることが往々にしてあります。

一般的に「良く寝るのはおっぱいが足りてるから。」「何も寝た子を起こしてまで授乳なんてしなくてよい。」という誤った知識が世間ではまだまだ幅を利かせていますから、お母さんはあっさりとミスリードされます。

先日の2週間健診を受診されたお母さんはママ友に「ウチの赤ちゃんは夜中6時間くらいネンネしてくれるから、助かるのよね。」と一斉送信したら「それはおかしい。」「寝過ぎ。」「一度それで大丈夫か病院で診てもらうべき。」と否定的な返信ばかり来たそうです。
そこで気が付いてくれたらよかったのですが、「みんなはウチの赤ちゃんが良い子だから妬んでいるんだわ。」と思われたそうで、忠告に耳を貸さず、授乳回数が少ないままで2週間健診を受診されました。
すると、直母1回量は充分でしたが、授乳回数が実質6~7回/日と少なかったため、赤ちゃんの体重増加度は一ケタにとどまり、尚且つ黄疸値が跳ね上がり、光線療法が必要になり、入院する破目になりました。(涙)

コト、新生児に限ってはほぼ100%、良く寝る赤ちゃんは良い子だと手放しで喜んでいる場合ぢゃないということです。
体力の消耗を避けるためや、黄疸値が高くてしんどくなって眠っていることが多いのです。
産科退院後の再入院を避けるためにも、こまめなおっぱいは必須ですよん。

低気圧と乳腺炎。

気圧が段々下がって行く時、つまりお天気が下り坂の時、或いは気圧が低い状態が続く時、なんだか出産が立て込む印象があります。
また、おっぱいの調子が悪くなり、電話で母乳外来の予約を取りたいと仰る方が殺到するようです。
「昨日だったら珍しく予約が少なくてガラガラだったのに、今日中は無理かもしれない・・・」という日とリンクしているみたいです。

もしかしたら、ヒトは低気圧の弱いのかもしれませんね。
乳腺炎を繰り返し易い方は、お食事や授乳間隔に細心の注意を払っていらっしゃるのでしょうが、乳腺炎発症には、気圧も幾許かは関係あるように思いますので、気になる時は天気図をチェックしてみてくださいね♪

2014年5月17日 (土)

舌小帯短縮症の手術について。

日本小児科学会では、哺乳困難に対しての舌小帯短縮症の手術は不要という見解を出しています。
その対極にあるのが、日本舌癒着症学会の見解です。

あまり公に語られることはないことですが、臨床的に見て舌小帯短縮症の赤ちゃんは、軽度の場合を含めたら5~6人に1人くらいの割合でいらっしゃいます。
つまり、舌小帯短縮症というのは、決して珍しいものではないのです。
個人的には、舌小帯短縮症の赤ちゃん=直母困難だとは思いません。
舌小帯短縮症の赤ちゃんであっても、直母で完母という赤ちゃんは、大勢いらっしゃいます。
勿論、お母さんの乳頭損傷が酷くなかなか治らなかったり、直母量が伸びてこないと、「もしかして手術を受けたらこの状況を打破できるのだろうか?」と思ってしまうことはあります。
とは言え、生まれて間もない赤ちゃんに、健康保険適用にならない手術を受けようという決断をするのは、親御さんにとっても大層勇気の必要なこととお察しします。

手術の方法(術式?)は色々あるようです。
実はこれまでSOLANINは、手術を受けられた赤ちゃん達(5人未満)にお会いしたことがあります。
手術前の状態を知らない赤ちゃんも含まれるし、人数的にも少ないので、偉そうなことは申せません。
ただ、こと哺乳に関する手術の効果については、正直言ってコメントできないです。
哺乳以外の効果、例えば血行が良くなり四肢末梢が温かいというのは、赤ちゃんを触らせてもらうと、それとなく感じます。
また、お母さんたちのお話を伺った分には、乳頭損傷は起きにくくなったそうなので、それは良いことだと思います。
以前、手術を推奨される某ドクターのエコー動画を拝見したことはあり、術後は術前よりも舌の動きが良くなっていることも、何となく分かります。

しかし、手術を受けた赤ちゃんが、果たしてホントに効果的な吸啜が出来ているかどうかは、SOLANINには分からないです。(汗)
少なくとも手術を受けられた後に、おっぱいの分泌が格段に増加したというお母さんには出会っていませんし、直母量が目覚ましく増加した赤ちゃんにも出会っていないからです。
(リラクテーションが出来た方にも遭遇しておりません。)
もしかしたら、SOLANINがお会いした赤ちゃん達は、たまたま手術を受けられた時期が遅かったのかもしれませんが。(効果的な吸啜刺激が得られないと、あっという間にプロラクチンレベルが低下しますからね。)

そのあたりのデータ(があるのかどうかも含めて)、残念ながら今のところキャッチしておりません。

ひょっとしたら、当ブログの読者のみなさんの中には、我が子が手術経験者の方もいらっしゃるかもしれませんね。
もし、差支えなければ、ご意見をいただけたらと思います。

貴女の赤ちゃん、歪め飲みしていませんか?

歪め飲みと言われても、何を持ってして歪め飲みというのか?
見分け方は?と思われることでしょう。
今日はこの歪め飲みについてお話します。
赤ちゃんに直母し口を離した瞬間の乳首のカタチにご注目ください。

乳首のカタチが直母前と同じならまず問題なし。
乳首のカタチが刃を3枚くらい出したカッターナイフの先っちょのように、「上の方が真っ平(=たいら)で、下に向かって乳首が短くなるような、切り立った崖のようなカタチ」になっていたらそれは間違いなく歪め飲みの印(=しるし)です。

こういうことが常態化すると、吸啜時の乳首の痛みに歯ぎしりして堪えながらの授乳になります。
「私が我慢をすれば・・・」と自己犠牲の精神でおっぱいをあげても「時間がかかる」「痛みが増す・痛みが和らがない」「なのに哺乳量としては少々しか飲めない」「あ~。私って何やってたんだろう?」ということになります。

入院中は妊娠中のおっぱいのお手入れが今イチですと、「吸われ負け」のように乳頭の皮膚が発赤したり、ヒリヒリと痛むので授乳後はラップが手放せないお母さんもおられます。
しかし、退院後もラップが手放せないということが長く続くということは、単なる「吸われ負け」に留まらず、歪め飲みによることが多いのです。

こういう場合はまずポジショニングの変更をして、歪め飲みにならないようにしていくことが必要です。

入院中乳房がよく張り、哺乳量測定したらたくさんおっぱいが飲め、おしっこもおっぱいの度に出て、赤ちゃんの体重が順調に増えていると、何の問題も生じていないと、助産師もお母さんも捉えがちですが、この口を離した瞬間の乳首のカタチのチェックだけは怠らないでくださいね。

それに気が付かずに退院後も歪め飲みが常態化すると、乳首の痛みがちっともラクにならないだけではなく、赤ちゃんが全然おっぱいが飲めず、乳首に受ける刺激が非効果的になってしまい、まず乳房がパンパンに張り、やがて乳房がいきなり張らなくなり、おっぱいの分泌がストンと落ちてしまうことがあります。
特におしっこの出方が少なくなるのは要注意です。(量も回数も減る。)
「おかしいな?」と感じたら、取り敢えず母乳外来か助産院でよ~く診てもらいましょう。
早期発見が早期改善につながりますよ♪

乳腺炎のハイリスク因子???

以下に書くことは、あくまでSOLANINの仕事上の経験としてのことであり、その経験にしても症例数が少ないし、専門雑誌に掲載されていることではないので、書くべきかどうか迷いました。
けれども、あながち外れではないかもしれないとも思えたので、敢えて書きますね。

妊娠中に乳頭・乳輪ケアをしていて、程度にバラツキがあるものの血乳が出る妊婦さんは20人に1人位遭遇する旨を過去記事に書いた記憶があります。
そして、血乳の出た妊婦さんは、どうも産後に乳腺炎になり易いような印象があります。
もうひとつ、GBSに感染している妊婦さんも、同様な印象があります。
何回も乳腺炎になったり、炎症度の高い方(=1~2回の対処では、症状の軽減が出来なかった方)の多くは妊娠中に血乳が出たり、GBS感染していた経験があるようなのです。
もちろん、それはたまたまの出来事であって、私の思い過ごしかもしれません。

けれども、もしもそうであるならば、決して脅かすつもりは無いですが、「もしかして自分は乳腺炎になり易い体質(?)かもしれないから、産後は他のお母さんよりも充分に気をつけよう!」という意識付けになれば有意義なことだし、1回でも予防出来るのではないか?と、思うのです。

妊婦さんの時血乳が出た方、GBS感染だった方、いらっしゃいませんか?
無事に過ごしておられたら善しですが・・・

2014年5月16日 (金)

ミルクを与えてからおっぱいをあげる?

ミルク屋さんの回し者の医療者は時々トンでもないことを、赤ちゃんのお母さんに吹き込むので大変困ります。
いわく「体重増加が少ないから、ミルクを足すことになります。まず、ミルクをたっぷりあげて、そのあとにおっぱいをあげましょう。」・・・これ、実例ですよ。
信じられますか?

私に言わせてもらうと、この医療者はとんでもないアンポンタンですよ。
馬鹿ぢゃなかろうか。
信じられないです。

そんなことしでかしたら、おいっぱいの分泌がドンドン低下して、あっという間に完ミに移行してしまいますよ。
もし、どうしても、貴女を担当した医療者が補足が必要というならば、”母乳育児の専門的知識を持つ医療者”に、足す前にセカンドオピニオン聞いてください。
それでも補足が必要ならば、必ず、おっぱいの後にミルク。
これが鉄則です。
順番逆にしては駄目なんです。
混合栄養の場合粉ミルクの缶蓋の数値を鵜呑みにしては危険です。
あれは、足し過ぎの元凶です。
ミルク屋さんの回し者の医療者の文言を盲信しないでね。
お願いします。

風邪によるおっぱいの味の変化ってありますか?

<ご相談内容>
もうすぐ8ヶ月になる赤ちゃんはあまりおっぱい好きには見えず、おっぱいが飲みたくない時は、体を反らせて要らないと意思表示をします。
授乳間隔も4時間おきで、片乳5分で満足ということが多々でした。

ところが、最近風邪を引いて寝込んでしまったのですが、その頃から赤ちゃんのおっぱいの飲み方が変わったような気がするのです。
風邪で丸3日程、ほとんど食事を取ることができませんでした。
私の体調が悪いと、おっぱいの味ってどうなるのかな?まずくなっちゃうのかな?とか授乳中に考えていました。

幸い赤ちゃんは嫌がることもなく、むしろいつも以上におっぱいを飲むのです。
ほとんど食事もしなかったので、おっぱいの出方が悪いのかな?と思うくらい、おっぱいにくっついてゴクゴクと飲むのです。
5分2クール飲んだり、30分もおっぱいにくっついているのは、数ヶ月ぶり!というくらいだったので本当にびっくりしました。
また、食事を取らないときのおっぱいの味がどうなっているのか不思議で、少し自分でも舐めてみたのですが、風邪で味覚もおかしかったので、実際はいまいちよくわかりませんでした。

風邪が治りかけている今も、食事量は減ったままでいます。
食べられるものも限られていて鍋料理などがメインです。
おっぱいは、5分2クールということは少なくなりましたが、5分1クールは飲む状態が続き、離乳食の食べ方があからさまに悪くなり、おっぱい!おっぱい!という感じになっています。

3日も食事を取らないとプチ断食状態でデトックス効果というか、今までの不味いおっぱいがリセットされたのでしょうか?
風邪を引いている間など、病気などで食事がほとんど摂取できない場合、おっぱいの味や分泌はどうなるんでしょうか?

<SOLANINの回答>
一般的にはお母さんの体調不良時には、おっぱいの分泌が減少するとか、味が悪くなるとか言われています。
なので、嫌がったり、しっかり飲んでくれないということもしばしば耳にします。

しかし、お話しを伺ったことからの推測ですが、相談者さんの場合、おっぱいの1回の分泌量は若干セーブされていたかもしれませんが、寝込まれてから美味しくなったとしか考えられません。
鍋料理も食べ過ぎはNGですが、他のメニューと比較して、さほど意識しなくても野菜を摂取する割合が多くなると思われます。
そうすると、O式のセンセイが仰るところの、「乳質が良くなった。」という状態に変化してきたのかと考えられます。

失礼ですが、相談者さんは妊娠中に体重は何kgくらい増えられましたか?
風邪を引いてしまう迄に産後の体重は産前に戻って居られますか?
もしかして、丸3日お食事がまともに入らなかった頃は、お母さんの体重が普段よりも減っていたかもしれませんね。

赤ちゃんにも味覚はありますので、恐らく好みのタイプのおっぱいに変貌した可能性大です。
ですので、今まで執着していなかったおっぱいが、思いがけず美味になったので、ここぞとばかりに飲みたくなっているのだと思われます。

お母さんが風邪のせいでお食事はまともに摂取出来なくても、水分は摂取出来ていたと思われますので、おっぱいは分泌はしていたと思います。
でも、1回に飲める量はさほど多くはないので、トータルでしっかり飲めるように、数を稼いでいたという側面も否定出来ません。

離乳食の食べっぷりが明らかに悪くなっても、おっぱいがしっかり飲めていて、運動機能の発達に問題なく、頭囲も体重もほぼ月齢相当に増加傾向であれば、心配無いと思われます。

2014年5月15日 (木)

トラぶった時の味の記憶。(汗)

しょっちゅう右側ばかりの乳腺炎になりつつも、気合いと根性で、1歳半まで完母を続けたAさんから聞いたお話です。

お子さんが、丁度3歳になった頃、赤ちゃんが生まれました。
赤ちゃんは直向きにおっぱいを飲んでいる姿を見ていたお子さんが、ふと呟いたそうです。
「あ〜、そっち(右)のおっぱいは、美味しくないのにね。こっち側(左)の方が美味しいよ。」と、のたまったそうです。
流石にその時点では、乳腺炎ではないから、Aさんとしては気色ばんで、「え〜、どっちも同じだよ。○○ちゃんも飲んでたじゃない。」と、反論したそうです。そしたら、「それは、しょっぱかったのにお母さんからいっぱい飲んでね!ってお願いしたから頑張ったんだよ。」とのこと。

う~む、そう返してきたか!
トラぶった時は、やはり通常時とは味が違いますからね。
Na(ナトリウム)やK(カリウム)やCl(塩素)なんかが、ぶわ~っと増えるから、しょっぱいのは紛れもない事実です。
断じて思いつきでの返しではないのです。
確かにあの頃は、健気におっぱい飲んでいたなぁ。
3年経っても卒乳しても憶えていたのは、きっとお子さんの舌に沁みていたからでしょうな。
ここは、不本意かもしれませんが、「その節は、悪うございましたね。」ってお子さんに謝ったほうが良さそうです。
Aさん、一本取られましたな。(汗)

縦抱きの注意ポイント。

縦抱き授乳の際、”お母さんが自分の手で乳房を把持する”かは、想像以上に重要です。
介助者がお母さんの背中側から手を当てる時も同じことが言えます。
但し、一般的に介助者はお母さんに対面していることが多いですね。
そうなると、利き手で赤ちゃんの後頸部を支えるので、”お母さんが自分の手で乳房を把持する”時、どちらの手で支えようがあまり意識していないことが多いようです。

でも、それぢゃ上手くいかないんですよね。
左の乳房を飲ませるならば左の手で、右の乳房を飲ませるならば右の手で乳房基底部の下縁に人差し指を添わせるように当てて、丁度乳房をリフトアップするかのようにしつつ、親指で上から押さえ、乳房を上下方向に押しつぶすように把持します。
反対に、お母さんが乳房と逆の手で自分の乳房を支えると、当然、乳房の内側を指先を下に向けて把持します。
そうすると、人差し指が邪魔になって赤ちゃんが深く咥えることが出来にくくなるからいけませんです。
また、扁平乳頭のお母さんにありがちなんですが、乳輪を指先で把持して赤ちゃんに咥えさせようとすると、その先しか咥えられませんからこれもNGですね。

そうして、赤ちゃんの下口唇と下顎が乳輪の下縁に当るようにすると咥えやすくなります。
つまり、乳頭の位置よりも赤ちゃんの頭が高いと下顎が充分に乳輪の奥深くを捕えられないので上手に飲めません。
お母さんの方を見上げる感じで咥えさせます。

すると、いつもの介助&把持よりもグレードアップします。
まぁ、試してみてね。

おっぱいを飲む時、赤ちゃんが怒ります。(2ヶ月)

<ご相談内容>
授乳回数は平均10~15回/日です。
今までおっぱいのトラブルは一切ありません。
(食事内容には充分気を付けているつもりです。)
赤ちゃんの体重増加は良好で、問題ありません。
最近は飲む量も少しずつ増えてきてくれたお陰で、左右5分ずつ1クールは飲んでくれるようになりました。
ただこのところ、おっぱいを飲むとき赤ちゃんが怒ります(汗)

眉間にシワを寄せ『んー』と言っておっぱいを噛んだりします。
じゅぽっと乳首をひっぱりながら放し、またすぐ吸い付くのですが、またじゅぽっと放します。
おっぱいが嫌いなのかと思いましたが、左右かえるのに口からおっぱいを離すとギャン泣きして、必死に吸い付きます。
これが初めは左のおっぱいだけだったので(今はたまに右でもやります。)不思議に思い、やった瞬間をよく観察したら乳首からおしっこ小僧のおしっこの様に2、3本ぴゅーっとおっぱいが吹き出てました。
そういえばよくむせたりしてるし、生まれてすぐは毎回大量に吐き戻してたなと思い、おっぱい出すぎて苦しくて怒ってるのかと思いました。
しかしまた観察していると、噴いていないときにもしています。
おっぱいが不味いのかと味見しましたが、ほんのり甘かっただけで別に変な味ではありませんでした。(正常な味がいまいちわかりませんが…汗)
ただ、これは何の訴えなのか…
そのせいか、最近は吸われると乳首がチクチクしますし、乳頭が赤く腫れてきてます。
何より何で怒ってるのか…不味いなら食事を変えるとかしたいです。
またもし分泌がよすぎて怒っているのなら、こういった場合どう対処したらいいのでしょうか。
アドバイスお願いします。

<SOLANINの回答>
引っ張り飲みをしたり、そのくせ外すと泣かれるし、困りましたね。
でも、毎回というわけではないのですよね?
ううむ・・・何だろう?
噴き出すと咽たりして嫌がる赤ちゃんは多いですから、毎回先搾りをして圧抜きしてから飲ませてあげるといいかもしれません。
もしかしたら、とても早い時期ですが、完母であっても月経が再来する前触れで、おっぱいの味が変わってしまうのかもしれません。
おっぱいの味が甘いのは良いのですが、あるレベル以上に甘過ぎても嫌がることもあります。
赤ちゃんの舌は繊細ですからね。
その他考えられることは、新生児の時から続けてきたポジショニングが合わなくなってきたのかもしれません。

気になるのは、変な飲み方をしていることが続くので、乳頭がチクチク痛かったり、赤く腫れていることですね。
これは既に乳頭トラブルと言えます。
このような状態が続くと、乳房トラブルになり易いのですね。
今までご無事で何よりでしたが、油断大敵です。
出来れば近日中に、母乳外来や助産院でおっぱいチェックを受けてみませんか?
おっぱいの味を助産師にジャッジしてもらっても良いかもしれません。

2014年5月14日 (水)

サカザキ菌は、日本国内にも居ますから!

2008年秋話題になりましたが、もしかしてご存知ない方がいらっしゃるかもしれないので、記事にします。
エンテロバクター・サカザキ菌という細菌は、日本では死亡例などの恐ろしい症例は出ていませんが、国内でも粉ミルク製品の7%はサカザキ菌混入の危険性があるとか。
かつ、現段階では、粉ミルクを無菌化することは難しいようです。

そういえば、その頃からだったと思いますが、厚生労働省も「粉ミルクの調乳温度を従来の50℃から、サカザキ菌が死滅する、70℃に湯温を高くするように。」との、通達を出してます。
ということは、昔々市販されている調乳ポットは確か50℃だったから、使わないほうが安全なのかなぁ。(フリマで調達しようとしている方、中古品を購入予定の方は、表示に注意ですぞ!)
70℃ってかなり熱いです。
熱傷に注意ですね。
そのまま飲ませたら赤ちゃんは確実に口腔内熱傷となります。
冷ます手間がかかりますが安全第一です。
混合栄養の赤ちゃんのお母さんは気をつけてね。

痛い乳房マッサージを受けるべきか?否か?

<ご相談内容>
1ヶ月と10日の娘をもつ、新米母です。
わたしは病院食が豪華だったこと、病院があまり母乳推奨ではなかったこと、そしてわたし自身が無知だったことから、出産後全く母乳が出ませんでした。

今はおっぱいマッサージに通い、食事も気をつけるようにしているので、頻回授乳ながらなんとか完母になりました。
体重も増えているし、おしっこもたくさん出ているのでおっぱいも少しは安定してきたかな、と嬉しく思っています。

わたしが通うおっぱいマッサージは助産師さんが行ってくれます。
特に○○式、というわけではなさそうです。
50年ほどの実績をもつ、近所ではそこそこ有名な方みたいです。
気になるのは、そのマッサージが激痛だということです。
シーツを握りしめても声が抑えられない程です。
SOLANINさんの記事の中で、「あまり痛いマッサージは…」とあったのを読み、少し心配になってしまいました。
その助産師さんいわく、「しこりがあるから痛いのは仕方ない」とのことでしたが…。
今まで5回通い、とりあえずおっぱいの状態が落ち着いたから、しばらくしてからまた来てと言われましたが、行こうか悩んでいます。
母にはもうおっぱいも出ているし、行かなくてもいいんじゃない?と言われましたが…。
母の意見に同意する反面、わたしはおっぱいの状態が悪くなっていないか心配だし、行った方がいいかな…と思ってしまいます。
おっぱいに腫れや赤みはないにしろ、しこりのようなものがあり、押すと痛い感じもありますし、なによりまたおっぱいが出なくなるのは嫌です。
また、おっぱいトラブルの自己判断の目安も教えていただけたら嬉しいです。

<SOLANINの回答>
まずは、入院中おっぱいがさっぱりな状態だったのに、退院後の努力が実って完母になられたことをお喜び申し上げます。

乳房マッサージには様々な流派があり、K式、H式、O式、S●C式、T式、B●ケア等々有名なものだけ挙げてもこんなにあります。
でも、ブランドだから全て良いとは断言できません。
誤解を恐れずに申し上げますが、いくら系統立てて理論や手技を学び、トレーニングに励み、終了試験に合格して、免許皆伝となっても、最終的に良いマッサージかそうでないかはその助産師個々のスキルによるものだからです。
なので、無印だから劣るとかそんな単純なものではないのです。

このお母さんのお住まいの地域の事情で、乳房マッサージをしてくれる助産院が他に無いのなら、どうしようもないのかもしれません。
しかし、もし、選択肢があるならば、痛くない乳房マッサージをしてくださる助産師に罹られることをお勧めします。
選択肢の範囲を何処まで拡げるかとなると、個人的見解ですが、自家用車や電車・バスなどで片道1時間くらいなら、選択肢の範囲に入れていいのではないかと思います。
そこまで拡げると、選択肢はあると思うのですが・・・
(ちなみに、SOLANINの住むまちは地方の小さなまちですが、★病院を起点にしても片道1時間圏内に、病院・産院・有床助産院・出張開業助産師等、乳房マッサージをしてくれる助産師の居るトコロは14箇所くらいあります。一部の産院はそこで出産した方でとないダメだったり、元々の予約枠が少なく、予約枠争奪戦のようになっている病院もあるらしいですが・・・)
同じまちに助産院は1箇所しかなくても、もしかしたら近隣にはあるかもしれません。
(そういう情報は保健所・保健センターが掌握していますから、土地勘の無いお母さんは問い合わせてみましょう。)

確かに誰が触っても痛いかもしれない状態の乳房は時としてあります。
しかし、いくら「しこりがあるから痛い。」と言われても、5回通院されて5回ともシーツの端をQdんでも声が出るというのは、どうなんでしょう?
同じ助産師に乳房マッサージされたお母さんのほぼ全員が、「あそこの助産師さんの乳房マッサージは痛いなぁ~。」という共通認識があるのなら、やはり罹りつけにするのはヤバいと思います。

普段からトラブらないための方法は過去記事を紐解いていただくとして、セルフチェックの方法を思い浮かぶままにあげますと、下記のとおりになります。
1.おっぱいの後に乳房全体を撫で擦り、しこりが歩かないかチェックする。
2.しこりがあっても、圧痛が無ければ大丈夫。
3.圧痛があるのなら、抱っこ(=ポジショニング)の工夫をして飲ませる。
4.しこりが痛くなくても、ドンドン大きくなるのはおかしいので、受診します。
5.熱発・ブラジャーが擦れても痛い・乳首の先に白い点が出来ている・搾り出したおっぱいがドロッとしている時は受診します。

2014年5月13日 (火)

セーフティーなミルク減量の目安とは?

混合栄養の母子が完母に移行することをリラクテーションといいます。
リラクテーションが成功するには、次に挙げる3つの条件を満たしていることが大前提です。

それらの条件とは、「哺乳力の増強」「1回哺乳量の増加」「体重増加度の上昇」です。
哺乳力が増強すれば、直母による1回哺乳量も1日当たりの哺乳量も徐々に増加する筈です。
また、直母による1回哺乳量も1日当たりの哺乳量も増加すれば、当然ですが体重増加度も上昇してきます。
月齢相当以上のペースで体重増加度が上昇してきて初めて、いよいよミルク減量モードに入れます。

これから述べることはSOLANINの経験値ですが、かなり合致すると思いますので、参考にしていただいてもいいかと思います。
生後1~2ヶ月頃の赤ちゃん(4~5㎏迄くらい)で、混合栄養であってもミルク補足の量が300ml以下/日という母乳寄りの場合です。
それは、ミルク減量目安の最大量は補足量の1/3ということです。
つまり、例えばミルク補足量が240ml/日だったとして、上記3条件を満たしていれば、最大で80ml/日は減量して経過観察しても差し支えないということです。
経過観察の期間は、概ね7~10日間です。
その頃には必ず再診して、問題ないかどうか評価が必要です。

それから、ミルク減量を成功させるために必要な注意ポイントは4つあります。
それらのポイントとは、「赤ちゃんのおしっこやうんちの量や回数がガタ減りしないこと」「赤ちゃんの機嫌や寝つきが極端に悪くならないこと」「お母さんがフラフラにならないこと」「お母さんが乳房トラブルに罹らないこと」です。
そして、どうしても欠かせないことは、1にも2にも頻回直母です。
少なくともミルク減量前よりも直母回数が2~3回/日は増加することを想定内として実践してください。
ミルク減量した分を母乳で賄うのですから、直母回数を増加させねば、せっかくの発育ペースが大暴落になります。
また、直母回数を増加することで、母乳分泌増加が促されます。

セーフティーなリラクテーションとなるために、くれぐれも自己流で突っ走らないでくださいね。
リラクテーションの際は小児科ドクターや助産師に診てもらうことを省かないでくださいね。
よろしくお願いします。

注)月齢や体重やミルク補足量が、上記条件に該当しない場合は、無理やり当て嵌めないでくださいね。

夜中は腹持ちをよくするため、ミルクを足すといい?

おっぱいとミルクでは消化時間が異なることは、当ブログの読者のみなさんはよくご存知ですよね?
出生間もなくは赤ちゃんも胃が小さいし、おっぱいの消化時間はミルクの消化時間の半分強という速さです。
深夜帯も頻回直母では、お母さんが疲れるから、腹持ちをよくして授乳回数を減らしたらラクなんぢゃないか・・・という発想ですね。
う~ん、それってどうなんでしょうねぇ?
血中プロラクチン濃度が時間帯により変動することも、読者のみなさんは覚えていらっしゃいますよね?
そうです。
深夜帯の血中プロラクチン濃度は午後からの2倍くらいはあるのですね。
24時間のうちで、一番おっぱいがたくさん造られる時間帯が深夜帯ですね。
その時間帯に吸わせる回数をセーブしたら、どうなりますか。?
おっぱいが出にくくなっちゃうんですね。
それはまずいです。

おっぱい、ミルクに係わらず、お母さんが困るのは、飲ませても全然眠ってくれないこと。
抱っこしていたらおとなしいけど、置いたらギャ~ではたまりません。
要するにおっぱい、ミルクを飲んだら機嫌が直り、すんなり眠ってくれたら、さほど困りはしないと思います。

やはり、夜中であっても授乳のペースは、最初の1~2ヶ月は赤ちゃんに合わせてあげたほうが、おっぱいの分泌がパワーアップしますから、おっぱいだけで順調に育っておられるならば、ミルクの補足は考えないようにしましょう。
夜中ダラダラ飲みっぽいならば、夕方からは熟睡させなければいいだけですから。

おっぱいマッサージが必要・有効な場合とは?

俗におっぱいマッサージと言いますが、様々な流派というかやり方があります。
厳密に言えばSOLANINは無印のマッサージですが・・・
研究所や道場があり、既定の理論や実習及び独自の試験をクリアした方が、お免状を授与されて実践できるものです。(ブランドマッサージとでもいいましょうか・・・)
正式には「○○式乳房管理術」とか「▽▽式乳房治療手技」とか「●●ケア」とか「▲▲式乳房マッサージ法」などが正式名称となっております。
乳腺炎などのトラブルを修復したり、乳質を高めたり、乳管の開通を改善したりというように、治療的な意味合いが強いものです。

産後の乳房の理想的状態を保つのは、第一に赤ちゃんに正しいラッチオンでその赤ちゃんに合ったポジショニングでこまめにおっぱいをあげることです。
それに加えてお母さんがお食事や授乳間隔に気を付けていれば、そうそう滅多にトラぶったりしません。
それでもトラぶってしまうなら、それは何か原因があるということです。
そうして、そういう困った時にこれらの高い技術を持っておられるセンセイの手はゴッドハンドになるわけです。

おっぱいは白い血液です。
赤ちゃんの大事な栄養源です。
そんな大事なものを、高いお金を払って、異常が無いのにやみくもに搾って捨ててしまうのは勿体ないし、おかしいのではないでしょうか?
これといった異常を来たしているのでもないのに、赤ちゃんがしっかり飲めているかについて確認することは軽視して、乳房マッサージばっかりにかまけるのって、どうなんだろう?って思ってしまいます。

過去記事にも書きましたが、くどいようですが、おっぱいは「搾り出してナンボ」ではなく、赤ちゃんが「飲んでナンボ」ではないかと私は考えます。

また、乳房がトラぶって治療的意味合いでおっぱいマッサージを受けられるとして、ブランドマッサージにするのか、無印マッサージにするのかという選択権はお母さんにあります。

どちらを選ぶにしても、痛いおっぱいマッサージは良くないと思います。
無痛とまではいかなくても、フツーに会話できるくらいのおっぱいマッサージなら受けて良いのではと思います。
ご参考までに。(笑)

2014年5月12日 (月)

乳房を揉みながら授乳は止めてね!(若干改訂版)

赤ちゃんにおっぱいをあげているのに、今ひとつヤル気がなかったり、すぐにウトウトしがちで眠り王子・眠り姫だったりすると、おっぱいをまともに飲んでないものです。
そういう時は少しでも多く飲んでほしいですよね?

そんな時、乳房を揉みながら飲ませておられるお母さんは少なくありません。
まるで看護師さんが血圧測定するときのゴム球をシュポシュポするかのようにやっちゃったりして。
一見分泌のアシストをしているようですが、実際はさほど分泌量は増えません。
それどころか、舌の巻きつけが上手くいかず、口唇の密着も浮いてしまい、哺乳量を測定しても、いつもと大して変わりません。

おっぱいの最中は乳房を赤ちゃんの口唇と並行方向にがっしり支えて、左右とも均等に飲ませてあげるのが一番です。

乳房は緊満しすぎないのが一番です!

乳房がセメントを固めたかのようにガチガチに緊満して、おっぱいがポタポタ滴り落ちるくらい出てくるお母さんは、産後暫くのうちは多く見受けられます。
さぞかし、いっぱいのおっぱいが造られるんだろうなって思うでしょ?
そう、造られます。それは間違いなく。
でも、いっぱいのおっぱいを赤ちゃんは飲めるのでしょうか。

体格の大きなスッポンタイプの赤ちゃんならば、「ゴキュゴキュ」と喉を鳴らして、おっぱいを飲み込んでいきます。
でも、おっとり型の赤ちゃんや、おちょぼ口の赤ちゃんや、舌小帯短縮症の赤ちゃんは、そうはいきません。
特に本来のお母さんの乳頭が短く扁平型ですと、赤ちゃんは正しい吸啜をマスターしなければ、寝過ごし⇒乳房緊満上昇⇒先搾りなし⇒さらに飲めない⇒堪りかねて搾乳⇒こともあろうに哺乳瓶で補足したら⇒乳頭混乱・・・というお母さんが来られました。治していくのが大変です。

2014年5月11日 (日)

上手に出来るようマスターするために。

赤ちゃんがしっかり吸啜しているかどうかは、出産後間も無いうちは分からなくても致し方ありません。
浅い咥え方で痛みを感じても、「赤ちゃんの吸うチカラが強いからに違いない。」と、思ってしまう新米お母さんは、かなり多いです。
「私が痛みをガマンすれば、赤ちゃんはおっぱいが飲めるんだから、耐えないと。」と陣痛の最中のように、顔を歪めながら授乳されている方もいらっしゃいます。
頑張り過ぎて、「これ以上直母したら、乳首がポロッと取れてしまいそうです。痛すぎてもう吸わせられません。」と、電話された方もいらっしゃいます。

でも、本当に深い咥え方が出来ていれば、痛みなんか無いし、乳頭損傷は起きない筈なのです。
そもそも、"ドM”じゃないとおっぱいがあげられないなんておかしいのです。

「扁平乳頭でも?」
そうですよ。
勿論、産後2~3日目頃(乳房うっ積になる)迄だったら、充分可能です。
但し、授乳介助がデキる助産師に傍で見て貰いながらですよ。
自己流の咥えさせ方は、どうしても浅くなりますからね。
生まれて初めて授乳するのです。
出産後間もないうちは、どうやって含ませるかやり方が分からなくても、自分一人では上手に含ませられなくても、決して恥ずかしいことじゃないから。
入院期間中にやり方やコツをマスター出来ればいいのですよ。
焦らず、肩のチカラを抜いて、助産師に声をかけてください。
正しいラッチオンをマスターすることは、母乳育児成功のカギですよ。

新生児期の昼夜逆転の悪循環

おっぱいを造るホルモンはプロラクチンですが、深夜帯には日中の2~3倍のレベルで分泌いているので、深夜の授乳は赤ちゃんの成長には必要です。
しかし、オールナイトではたまりませんね。

これまでのそういう赤ちゃんを持つお母さんの悩みを交えたお話を聞くと、多くあるパターンとして、妊婦さん時代のお母さんが夜更かしさんでというパターンが目立ちます。
夜も更けているのに、活気付き、おっぱいを飲ませてもギャン泣きするし、なかなか眠ってくれず、しんどいのでミルクを足して、ようやっと寝かしつけたら朝で、昼間は昏々と眠り続け、また深夜帯に起きるという悪循環です

ミルクをあげておなかいっぱいになったら、すんなり眠るかと思えばそうでもないと、お母さんにしてみたら、もう、切るカードが無いでしょ
どうすりゃいいのさって心境になったら、まずしてほしいのは夜中のミルクの中止ですな。
そして、昼寝を熟睡モードで放置せず、2時間以内に起こしてでもおっぱいをあげてください。」
そして、お昼間は積極的におっぱいをあげることにすれば、深夜は飲んだらすっと眠るようになります。

可能であれば、妊娠中は昼夜逆転にならないように気を付けてくださいね。

ほぼ完ミですが、直母させる意味はありますか?(4ヶ月)

<ご相談内容>
ミルク育児推進病院で出産し、今の哺乳は直母2〜3回/日をほぼおしゃぶり代わりに咥えさせるくらいです。
分泌は、5〜6回指で圧迫したら、3本くらいジッと滲む程度です。
分泌は続かず、もちろん射乳もありません。
母乳育児推進派の助産師からも、「おっぱいはほぼストップしていますね。」と言われてしまいました。
今更頻回直母をしても、直母量的にはどうにもならないレベルだそうです。
栄養の主体はミルクです。
大体150〜160ml/回を4〜5回/日哺乳しています。
こんな状態なのに、何故か赤ちゃんはおっぱいを咥えても嫌がらず、吸いつきます。
おしゃぶり代わりであれば、いっそ本物のおしゃぶりを買って吸わせた方が良いのでしょうか?
完ミだったら乳頭混乱も無いでしょうし。
どんなものでしょうか?

<SOLANINの回答>
ううむ。
そうですね。
確かに哺乳瓶のメーカーが同じなら、おしゃぶりを使っても理論上、乳頭混乱は起きないでしょう。
しかし、過去記事でも書いていますが、おしゃぶりは、中耳炎の発症率が高くなるアイテムなので、わざわざ買い求めて使うものではありませんよ。
おしゃぶりの使用は避けてくださいね。

量的には極僅かでも、赤ちゃんにおっぱいをあげることには免疫や栄養面で無意味な筈はありません。
また、嫌がることなく、おっぱいに吸いついてくれるなら、それはそれで顎を鍛えることにも繋がります。
天然おしゃぶりなら中耳炎のリスクはありませんからね。(笑)
強いて言うなら、母子双方に異存が無ければ、ミルクの前は必ずおっぱいを吸わせてもらうのが良いと思います。

2014年5月10日 (土)

ドラッグストアでの無料育児相談は?

新生児のうちは、母乳育児を志向されるお母さんは、どなたも頻回直母をされていると思います。

少し月齢が進んで3~4か月になると、何となく「このままでいいのかな」という気持ちが湧いてきて、例えばまちのドラッグストアで無料相談担当の白衣の方(=大抵は栄養士さんなどの資格をお持ちの専門職の方ですが、営業ウーマンでもある方ですな。)にご相談なさったりすると、ありがちな指導は次の通りです。
授乳間隔が空かない時や赤ちゃんの体重増加が少な目ならミルクを勧められることがあります。
「いつまでも欲しがるままに与えていては、甘えが酷くなり、大変ですよ。」とか「もうそろそろ、生活のリズムを作らなきゃ、お母さんがしんどいだけですよ。」などの殺し文句で口説かれます。

逆に、赤ちゃんが夜は比較的よく眠ってくれて、メッチャ体重が増えていたら何も言われないかと思えばそうでもありません
「このままでは、離乳食を始める目安の日中の4時間間隔授乳は難しいですね。」とか「赤ちゃんが肥満児になるから、麦茶をあげて。何だったら少し早めに果汁を始めてもいいですよ。」など、月齢無視&授乳・離乳の支援ガイド無視(厚生労働省が保健所・保健センターに通達しお母さんにこのように指導するべしという指針)のコメントをされることがあります。(←最近里帰り先から自宅に戻られたお母さんから電話相談されました。)

中には、とても親身に相談にのってくださる方もあるのでしょうが、相手は営業さんでもあるのですから、そこを忘れてはいけませんよ。
ノルマだってあるでしょうし、自社製品が売れなければ困るのですから。
試しにさんざん勧められた後、同等の他社製品を目の前で籠に入れてみてください。(まぁ、かなりいじわるな振舞いなので、気が咎めるでしょうが・・・)
絶対にガン見されますから。

夜間断乳を小児科ドクターから指導された。(10ヶ月)

詳細は分かりません。
㌧でも指導?として報告があった件の伝聞ですので。
或るお母さんが、記事タイトルまんまの事件に遭遇されたそうです。

仮にこれが夜間覚醒し、殆ど眠らない(=つまり昼夜逆転状態で明るくなったら昏々と眠る)のならお母さんの体力も心配になりますから分からなくもありません。
そうではなく、ただ単に何回か起きておっぱいを咥えてすぐに眠るというおっぱい星人にありがちなお母さんへのアリバイ確認行為を止めさせるべきでしょうか?
私は違うと思います。
また、いわゆるおっぱい星人(=離乳食の進みがゆっくり)のキョロちゃんで、お昼寝の前や夜間でなければまともにおっぱいを飲んでくれないと、体重増加に影響する懸念がある場合は止めることの方が危険ではないでしょうか?

赤ちゃんの健やかな成長を願っておられないお母さんなんていらっしゃらないと思います。
赤ちゃんには個別性がありますから、10ヶ月という月齢に拘らず、赤ちゃんにマッチしたおっぱいのあげ方をすることが一番理に叶っているのです。

夜間のおっぱいが減ってきても、赤ちゃんがスクスクと育つならそれでいいのです。
夜間のおっぱいをあげなくても、お母さんが乳房トラブルにならなければ、善しとしましょう。
また仮に、夜間断乳をしても、赤ちゃんの成長に支障が無く、お母さんが明るい気持ちで育児に取り組めるのならそいれでいいのです。
でも、もしも夜間断乳に踏み切って、赤ちゃんやお母さんが踏んだり蹴ったりになってしまったら?
その時は迷わず軌道修正しましょう。
赤ちゃんにマッチしない指導を鵜呑みにする必要性は毛頭ないのですから。

2014年5月 9日 (金)

お近づきになりたくありません。

母乳外来に受診したら、お支払いが発生するのは当然のことです。
病産院によっては、分娩の際のお支払いに組み込んでいて、表面的には「無料」にしているパターンや、2週間健診だったら集団指導的にしているので無料を謳っているパターンもあるようですが。

SOLANINの勤務先の母乳外来は、完全個別制・予約制なので、当然ですが有料です。
価格的に高いか安いかは、みなさん価値観が違うので何とも言えませんが、内容には自信があるし、しっかり時間をかけた対応なので、個人的には決して高くはないと思います。
また、開業助産院の半額程度なので、これ以上安くすることは職能的に問題だし、開業助産院の経営を侵害するので倫理的に出来ないと考えます。

なのに、時々居るんですよね~会計箋を発行されているのにお支払いしない酷い輩が。
具合が悪くて母乳外来を受診してケアを受けたのに生○保○だから支払う義務は無いと会計窓口で屁理屈をこねたり、母乳外来はタダだと聞いていると嘘をついて料金を踏み倒そうとしたり、未払いの会計箋を破って無かったことにしようとしたり。(呆)
当ブログの読者のみなさんは、品格ある方ばかりなので、信じられないと思いますが、世間には居るんですよ、こういう恥ずかしい輩が。

ブティックに洋服を買いに行って、支払せずに店外に出たら、万引きで通報されます。
レストランでお食事して、支払せずに店外に出たら、無銭飲食で捕まります。

病院を受診してお支払いしなくて済むなら、そりゃあ助かるけれど、我が国は社会主義国じゃないから、何らかのお支払いは発生して当然です。
生○保○だから医療費はどうのこうのと言っても、母乳外来は自由診療なので、枠外なのよね。
百歩譲って保険診療だとしても、無償にしてもらえるのは国民の血税があって支えてもらっているからです。

SOLANINは勤務助産師だから、患者さんのお支払いが直接懐に入るわけじゃないけれど、助産師の仕事を舐めているとしか思えない!
困っている患者さんを助けたいのはやまやまですが、不埒な輩の相手をするほど当方は暇ではないですからね。

開業助産院だったらどうなるんだろう?
恐らく出入り禁止のブラックリスト掲示板にアップされたりして・・・

それにしても、母乳外来に限らず、病産院でのお支払いをせずに済ませる輩が何故相応のペナルティーを受けないのか、個人的には未だに不思議でなりません。

2人目の余裕?が落とし穴!

先日他院でご出産された隣町にお住いのKさんというお母さんが★病院の母乳外来を受診されました。
プロフィールとしては、1人目は女の子・2歳まで完母・自然卒乳・トラブルなし。・・・というご立派な経歴。
今回2人目は男の子・現在4ヶ月・2週間前の健診で、体重増加不良と指摘され、数日間ミルク400ml/日補足しはじめたものの、おっぱいで頑張りたいがどうしたらいいかというご相談でした。

詳しく聞くと、家業手伝いを2ヶ月頃から再開し、家業の忙しさと赤ちゃんが泣いてもおなかが空いたとは思いもよらず、単なるぐずりと思い、乳房が緊満してからがっつりと飲ませればいいと思い、おっぱいの回数が4回/日だったとか。
つまり、2ヶ月までは順調に発育していた赤ちゃんが2ヶ月以降殆んど育っていないという状態でした。
Kさんいわく、自分はおっぱいがよく出るから足りないなんて思ってもいなくて、4ヶ月健診で愕然としたそうです。「赤ちゃんに悪いことをした。」と、涙ながらにお話されました。

案の定、乳管が詰まっていました。
また、ラクな哺乳瓶を使ったせいか、かなりのおちょぼ口になっており、乳頭が発赤していました。
そこで、乳房マッサージをして、コンディションを整えました。
暫くはミルクの補足も止む無しの分泌まで低下していましたので、哺乳瓶の乳首を替えました。(ミルクの補足は計算して300ml/日としました)
頻回直母の重要性を説明し、最低8回/日は赤ちゃんに吸わせて貰うようにしました。

そして、8日後の4月2日、赤ちゃんの体重増加度は新生児並みに改善していました。
Kさんは結局、ミルクの補足を200ml/日程度に抑えたのに、予測していたよりも2倍の体重増加度が得られ、おっぱいが復活していることが示唆されました。
赤ちゃんのおちょぼ口も修正されてきていました。

家業手伝いの方も、赤ちゃんの発育が大事ということで、免除してもらえるようになったそうです。

母乳育児のトリアージ?

いわゆるセレブ病産院と称されるトコロで勤務していた方から教えていただきました。
最近はかなり多くの病産院で出産前にバースプランって書くでしょう?
あれで、母乳育児に対する想いを尋ねる項目を設けている病産院は結構あると思いますが、その時の意思表示で、指導内容が変わるそうです。

そしてそれを院内のどのスタッフでも一目見て分かるように、お母さんのリストバンドと赤ちゃんの名札の色分けしているのだそうです。
例えば
「絶対に完母でいきたい。」方は青。
「できれば母乳で頑張りたい。」は黄。
「母乳かミルクかは拘らない。」は赤。
お母さんの希望によって、指導の中身と対応をガラリと変えるそうです。

う~む。
一見合理的だけど、そんなんでいいんですかね?
途中でお母さんの気が変わったら、それなりに対応変えるらしいけど、もしもコロコロ変節されるお母さんだったら周囲みんなが振り回されるし、大変だよ。

それにこれって、おっぱいもミルクも混合も一見平等に扱ってるようですが、ホントにそうなんでしょうか?
赤ちゃんには母乳権(おっぱいを飲む権利)があるのを全く無視しているのですから、こういう対応は赤ちゃんに対してかなり差別的ではないでしょうかねぇ?

あげたいのにあげられないのと、あげられるのにあげようともしないのは、あげないという結果が同じでも、内容は天と地ほど違います。
某セレブ病産院の母乳育児指導はこの程度なんですね。(涙)
何だかガックリしました。

2014年5月 8日 (木)

おっぱいと蜂蜜。

『1歳までの赤ちゃんには蜂蜜を食べさせてはいけない。』というのはいまや育児の常識ですね。
もし「知らないなぁ。」というお母さんがおられたら、それはかなりヤバイってことです。
でも、25年以上前は食べさせていましたよ。
私、見たことありますもん。
蜂蜜単独じゃないけれど、M社の「ハネーヨーグルト」っていう商品、近所の赤ちゃんのいるお宅に遊びに行かせてもらい、そこの赤ちゃん、おやつに食べてたです。
10ヶ月くらいの赤ちゃんでした。
特に変わりなかったからそこの赤ちゃんはたまたま大丈夫だったのでしょうが。
今考えると知らない・分からないって怖いことです。

・・・閑話休題。
蜂蜜は“ナマモノ”なので、赤ちゃんに食べさせると乳児ボツリヌス症になる恐れがあるからあげちゃいけないんですね。
ところで、なぜ蜂蜜について記事を書くのかといえば、ここのところメッセージで2件同じ質問が続いたから、皆さんに知って貰った方がいいかなと思ったからなのです。
それは『お母さんが蜂蜜を食べたらおっぱいはどうなるのか?』です。
結論は『大丈夫です。お母さんが蜂蜜を食べても、赤ちゃんがボツリヌス症になることはありません。まして、何かの毒素がおっぱいから出てくることもないので、どうか安心していつも通り飲ませてあげてください。』です

病産院選びと母乳育児。

生後57日目の二人目の赤ちゃんをとある母子異室の産院で出産されたお母さんがSOLANINの勤務先の母乳外来を受診されました。
2200g台の低出生体重児だったので、入院中は直母1分1クール以上は「赤ちゃんが疲れるから。」という理由で、させてもらえなかったそうです。
1回だけ看護師さんが忙しそうにしていた時、ゲリラ的に3分1クールでおっぱいをあげてたら、ちゃんと吸い付いていたのに、担当看護師さんに赤ちゃんの頭を持たれて、もぎ取るようにして引き離されたそうです。
挙句「赤ちゃんがしんどくなって、ミルクが飲めなくなったら体重が増えないわよ。そうしたら退院が遅れるんだからね。」とメッチャ怒られたそうです。
こりゃ、いわれなき恫喝ですな。(まるで「地獄に落ちるわよ。」と言い放つので有名な某占い師さんのようですね。)
酷い話です。

おっぱいをあげるのに唯一許されたのは、「搾乳」でした。
その産院では小さめの赤ちゃんでもラクに飲めるからと「搾乳」を推奨されていたそうです。
授乳室では毎回時間との戦いで、授乳時間内に飲み切れなさそうなら、問答無用で赤ちゃんを看護師さんに返却して飲ませてもらわれなくてはならなくなるので、トロいヤツだと思われないように必死だったそうです。
入院中は1回60mlの搾乳を1日7~8回はしては、ゲボゲボ吐く赤ちゃんに無理くり飲ませていたそうです。

退院後1週間くらいは1回80~100mの搾乳を必死に飲ませていたそうですが、上の子さんが病気になったり、旦那さんが長期出張になったり、なのに実家に帰れないという事情もあり、搾乳は止めてほぼ完ミだったそうです。

「このまま完ミかなぁ~。でも、上の子の時は完母だったし、搾乳は良く出てたから、どうにか復活できないかなぁ~。完母にするには、直母させないとなぁ~。」ということで、ブランクほぼ2カ月状態で受診されたのです。
受診3日前から直母4回/日はしていたそうですが、乳房はフニャフニャで、10回位刺激しても滲むかどうかのレベルです。
試しに直母1回量を測ったら見事にゼロ!(だろうなぁ・・・受診遅過ぎだっちゅうの)

ただ、完ミだったのに赤ちゃんが乳頭混乱をきたしていなかったことと、おっぱいが何となく温かいので、「もしかしてこれは?」と閃くものがあり、「今から新生児期にタイムスリップしたと思ってズボラをせずに頻回直母出来ますか?夜中もおっぱい頑張れますか?」と尋ねましたら「はい。頑張ります。」と力強く答えてくれたので、産婦人科のドクターに『プリンペラン®』を処方してもらい1週間後に再診となりました。

さて、1週間後、まずはミルクの補足ですが、前回800ml/日のから700ml/日に減量したのに体重増加度はそれ以前から大幅アップしていました。
28g/日だったのが40g/日になっていたのです。
直母1回量も38gも飲めていていたのです。
イェイ☆奇跡の復活です!

さらにミルクを600ml/日に減量し、復活作業を続けることに合意してくれました。

2014年5月 7日 (水)

母乳をあげる値打ちがないから断乳しなさいと言われた。(6ヶ月)

地域によっては、6ヶ月健診とゆうのがあるそうです。
保健センターでの集団健診であった出来事です。

赤ちゃんの体重増加が若干緩やかで、でも、パーセンタイルグラフを割り込みかけもしていないどころかちょうどど真ん中なのに、身長が高めでカウプ指数が小さかったばっかりに、「母乳をあげているから体重が増えにくいのよ。母乳をあげる値打ちなんてもう無いのよ。こんなことしていたら、ガリガリ赤ちゃんになってグラフの下限を割り込むのは時間の問題だから、母乳は止めてミルクに切り替えなさい!」と小児科ドクターから厳命されたそうです。

そのお母さんは育児休業が取得できなくて、産後8週からお仕事に復帰されるも、搾乳をきちんと継続し、母乳育児を続けてこられた方なのです。
残念なことに母乳育児に関する知識が乏しく、小児科ドクターの仰ることは絶対に間違いないと思い込んでいたらしく、あっさり断乳して、完ミに移行したとか。

あ~勿体ない!もう、何やってるのよ!
その厳命とやらを拝聴して、お母さんは一瞬でも、「先生マジですか?」と思わなかったの?
だいたい、横で記録している保健師さん、そんな㌧でも指導をスルーさせていいんですか?
身長が高めだったら、体重が標準でもカウプ指数が小さくなるのは、学生だって知っていますよ。
それが発育不良を意味すると解釈する方が、おかしいじゃないですか!
百歩譲って転ばぬ先の杖と考えても、6ヶ月なら断乳指導じゃなくて、離乳食進めるのがスタンダードじゃないですか?

小児科ドクターの言葉は重いので、鵜呑みにしちゃったんだろうね。
けれども、SOLANINはキツいようですが、そのお母さん自身が無過失だとは思いません。
少しは母乳育児に関する基礎知識を収集する努力が必要だと思います。
収集するという発想がなかったのだとしたら、付ける薬はありませんが。(泣)

注意すべき吐乳とは?

おっぱいの飲み方がイマイチ意欲的ではなく、何度もくりかえしておっぱいを吐く時は要注意です。
何かの病気が隠れていることもあります。
生後1ヶ月くらいの赤ちゃんならば幽門狭窄症という病気があります。
普通の育児書なんかでもいの一番に書いてあるから、病名は何となく知ってるお母さんも多いかも。
昔々は透視をしなくては診断出来ませんでしたが、最近はエコーで診断がつくから、検査を受けることへの赤ちゃんの負担はとても軽減されました。

黄色や緑色の胆汁を吐く時も要注意です。
吐いたものを拭き取ったタオルをビニール袋に密封して小児科のドクターに診てもらいましょうね。

コーヒー残渣様のもの、血の混じったものを吐く時も要注意です。

完ミや混合栄養でミルクの補足が多めになっていると、体重はドカドカ増え、吐きながら飲み、苦しくて泣きます。
当ブログの以前からの読者さんには考えられないでしょうが、未だに「3時間経たないうちに赤ちゃんが泣くのは母乳不足。」という誤った知識をお母さんに植え付けようとする変な医療者がいます。
ちょうど良いくらいにおっぱいが出て、赤ちゃんも飲んでいるのに、敢えてミルクを補足し、オーバードリンキングで嘔吐し、そして吸啜反射でまた飲むという悪循環ですね。
どう考えても十分に飲んでるのに、赤ちゃんが泣くならば、あやしたり、ラクな姿勢で抱っこしたり、遊んであげましょうね。

赤ちゃんにやさしい病院はお母さんにきびしい病院なのか?

“母乳育児総論賛成・各論反対”の考え方の方(医療者・一般人問わず・・。)はブログタイトルのようなことを仰います。
赤ちゃんにやさしい病院に認定される前のSOLANINの勤務先をはじめいくつかの病院で勤務した経験や地域で開業していた頃に出会ったお母さん達との関わりをを振り返ってみますと、母乳育児を成功させるためには「母乳育児推進の文書化と全ての関係職員がいつでも確認できるような態勢」「母乳育児をするうえでの知識と技術を全ての関係職員に指導」「全ての妊婦さんに母乳で育てる利点と方法の伝授」「出生後30分以内におっぱいを吸わせる(=早期接触)」「出生直後からの24時間終日母子同室」「頻回直母」「医学的理由がなければ母乳以外のものを与えない」「母子分離状態の際の母乳分泌維持の方法伝授」「ゴムの乳首やおしゃぶりを与えない」「母乳育児をするお母さんのための支援グループ作りの手伝いをする」・・・とまぁ、実に当たり前なことが記されています。

自分の意思を伝えるには泣くしかない赤ちゃんがおっぱいをほしがっていたとして、
放置して不必要に我慢させたり、授乳間隔や飲ませる量に拘っているほうがおかしいのではありませんか?
赤ちゃんのお世話にしてもラクではないけど、やりがいはあると思います。

確かに生後2~3日目の特に深夜帯はおっぱい飲んでも飲んでも泣き続けることがあります。
抱っこしていたらウトウトしてくれるけど、ベッドに置いたらギャ~で、そうこうしているうちに夜が白々と明けてきます。
新聞配達のバイクの音も聞こえてきます。(←経験者多数だと思いますがいかが?)

殆んどの新米お母さんにとって、受験勉強でもなく仕事でもなくオールで遊ぶのでもなく夜通し起きているなんてことは、多分それまでの人生にはなかったろうと思われます。
誰かのためといえば、中には「愛する旦那さんが病気になって連日深夜帯看病してあげた。」という奇特な方がいらっしゃるかもしれませんが,それとて一睡もせず・・・ってことはないでしょうしねぇ。

でもね、病産院のスタッフは鬼でも悪魔でもないですから、あんまりしんどそうなら「預かりましょうか?」と、声を掛けて、お母さんが仮眠を取れるように配慮しています。
かつてSOLANINは、「ここで出産したら、産後はまるで育児合宿みたいやわ。」と、仰ったお母さんに出会いましたが、育児合宿をしているのは自分ひとりではなく、赤ちゃんのお母さんというものは皆同じことをしているのだということが体験的に分かるのです。

だから、この修羅場を乗り越えられたらお母さんとして芯から強くなれるんです。
傍で見ていても表情が明らかに違いますよ。
なので自宅に帰られてからも、頑張れるのかな?と思います。
不安が募る頃に2週間健診も受診出来るし、「これでいいのか?」「どうしたらいいのか?」というギモンの答えが見つかります。

入院中はキツいかもしれないけど、少なくとも退院後は「赤ちゃんが夜中になかなか眠ってくれませんがどこか具合が悪いのでしょうか?」とか「3時間以上授乳間隔が空かないですが母乳不足ですか?」なぁんてことがギモン・・・ってことはないと思いますよ。(笑)

手前味噌で恐縮ですが、赤ちゃんにやさしい病院は母乳育児をされるお母さんのサポートを全力でしますから、お母さんにやさしい病院だとSOLANINは思います。
お母さんにきびしいかどうかは、上っ面で判断せず、中身を見てから言ってほしいですね。

2014年5月 6日 (火)

母子異室の病産院にお見舞いに行ったら・・・

出産された方のお見舞いに行きました。
旦那の知人の奥様です。
母子異室の病院だったので、授乳はどうしているのかを尋ねると、夜中1回お休みとのことでした。
1回哺乳量が事細かに決められていて、そこでは、「日齢×10ml以上」というノルマがあるのだそうです。
3日目ならば1回に30mlは哺乳しなくてはならない!
足りない分はミルクの補足で、しかも、授乳時間内(=およそ1時間)に終了しなくてはならないというルールがあるそうです。

彼女は「私はおっぱいが出ないので、今日は毎回30mlミルクをあげなくちゃならないんだけど、おっぱいは何時出るのかな。」とのほほんモードです。
私は「おっぱいは、こまめに吸わせないと出るものも、出なくなりますよ。」と忠告しましたが、最初の段階でボタンの掛け違いがあると、修正が大変です。

現在進行形で母乳育児中のお母さんには当り前でしょうが、おっぱいは蛇口をひねれば出てくるのではなく、赤ちゃんも勝手に吸いついてくれるわけではありません。
せめて、そのことをマタニティークラスで周知させなくては、フェアぢゃないように思いました。
母子異室の病産院の全てが母乳育児に不熱心とは申しませんが、直母回数が限られているからこそ授乳介助を充実させ、どうしてもノルマがあるならば、せめて搾乳を補足するとか、いきなりミルクを補足するのではなく、糖水では駄目なのかとか、工夫をしてほしいなと思いました。

上記のルールの意味するところは、やはり、ミルク屋さんとズブズブの関係を築いているからでしょうな。

2014年5月 5日 (月)

こういう方には、マジで萎えます。

サーカティアンリズムが出来ていない新生児に、眠りたいだけ眠らせれば、ほぼ昼夜逆転になることは、当ブログの読者さんであれば、過去記事でご存知かと思います。

1ヶ月健診や家庭訪問などの際、日中まともに赤ちゃんを起こさない件は棚に上げて、夜間に活気づく赤ちゃんに対応しきれないと小児科ドクターや保健師さんに泣き言を言われるお母さんがいらっしゃいます。
間違いなくおっぱいはよく出ている方です。
赤ちゃんの生活リズムが整っていないだけなのに。
いや、正確にはお母さんが整える努力を怠っているだけなのに・・・です。

堪りかねて、「それじゃあその日の最後の授乳にちょっとだけミルクを足しますか?」と小児科ドクターや保健師さんが仰ったら、こういうお母さんってその手のアドバイスを金科玉条として実践しちゃうんだなぁ。
元々はおっぱいがよく出ている方です。
そんな方がプロラクチンレベルが高まる深夜にドッカ~ンと授乳間隔を空けたらどうなります?
当然ですが数日のうちにうっ滞性乳腺炎への道をまっしぐらですわ。

うっ滞性乳腺炎になったら、痛いし熱は出るし散々な目に遭います。
しかも、治りきるまで乳汁分泌は1/2~1/3程度になってしまうことも。
更に、不味いおっぱいでは赤ちゃんが喜んで飲んでくれません。
そうこうしているうちに、「赤ちゃんの発育ペースがガクンと落ちてしまいました。これっておっぱいが足りないってことですかね?(泣)」なぁんてことになっちゃうんだなぁ。
くどいようですが、元々はおっぱいがよく出ていた方です。
なんか、おかしくないですか?

母乳育児支援に携わる助産師は、母乳育児を希望されるお母さんのために、知恵を絞り出し身を粉にして日々奮闘しています。
そりゃあもう縁の下の力持ちみたいに、両腕をぐっと突っ張って、重量挙げ選手みたいに必死に支えていますとも。
しかし、支えきれない程の強い力で上から踏みつけられることがあります。
残念なことに、踏みつけている人がお母さん本人だったという今回のようなパターンは、マジで萎えます。
この先、このお母さんへの対応ってどうすりゃあいいんですかねぇ?

お母さんと赤ちゃんの一体感。

縫い針の先で突いた位の大きさの受精卵が着床し、およそ280日前後(最終月経の初日から数えて・・・)で誕生するまで、赤ちゃんはお母さんのおなかの中で育まれます。

お母さんが想像する以上に、赤ちゃんにとってお母さんとの一体感は揺るぎないものなのですね。
そして母乳育児中の赤ちゃんにとって、お母さんとおっぱいは等しく且つ不可分なものなのですね。
理屈では説明が難しいのですが、お母さんとおっぱいと赤ちゃんはイコールで結ばれる位の関係なのです。
ですので、赤ちゃんにしてみたら、お母さんが居なくなっちゃった(たまたま別室に居られるだけで、単に姿が見えないだけであっても)ということは、即ち“生きていくための&心の拠り所の”おっぱいがもらえなくなると解釈してしまうのですね。
赤ちゃんにしてみたら存亡の危機なのです。
「お母さん何処に行ったの?これから私は(僕は)どうすればいいの?不安だよ~」という気持ちが、あの泣き叫びの意味なのですね。
まるで自分の一部が失われたような感覚にとらわれてしまうのですね。
「そんな大層な・・・」だなんて言わないでやってね。
赤ちゃんは真剣なのですから。

見つめて・語りかけて・抱っこして・おっぱいをあげる・・・という、お母さんにとって当たり前の行為は、それだけで充分に素晴らしいことなのですよ。

季節性乳腺炎★こどもの日乳腺炎

読者のみなさんは、2ヶ月ほど前に女の子のお母さんに多発する、ひなまつり乳腺炎について記事にしたのを憶えておられますか。
新しい読者さんはご存知ないかと思われますので、ブログテーマの「妊婦さんから読んでね」の中を検索のうえ、ご参照くださいね。

今回は端午の節句ということもあり、男の子のお母さんに多発する危険性があります。
そうです。「ちまき」「柏餅」「端午の節句ケーキ」「筍料理」「出世魚料理」などのご馳走が目白押しなのです。(筍料理はカロリーはさておき、アクが強いからね。)
それに加えてこどもの日ということで、「カレー」「ハンバーグ」「オムライス」などのお子様系メニューを作るご家庭が多く、いつもより摂取カロリーがハイパーになりがちなのですね。
そしてとどめの一発が「菖蒲湯」です。

じっくりとカラダを温めるのはいいのですが、うっかりおっぱいを飲ませる前に入浴されると、「まぁ、大変」というくらいに乳房がパンパカパンになってしまい、収拾がつかなくなります。

ゴールデンウィーク明けの頃から、「おっぱいが痛いよ~」というお母さんが増えてこないことを、切に願う今日この頃のSOLANINでした。

2014年5月 4日 (日)

おっぱいは母性の起動スイッチだと考えます。

最初にお断りしておきます。
こういうことを書くと、必ず言葉尻を捉えて誤解されたり、曲解されたりしてブログを炎上させようとなさる方が出現されるかという恐れがあります。
それでも敢えて書こうとするのは、頻発する虐待に心を痛めているからです。

先日の「虐待されるかもしれなくても選ぶのか?」の記事には大きな反響をいただきました。
“魂の修行として命の尊さを知らしめるために、荒廃したどうしようもない親を選ぶことはある。”
“自分が捨て石になってでも、虐待はいけないということを伝えるために敢えてその親を選ぶ。”等々の内容、憶えていらっしゃいますよね?

大変申し上げにくいのですが、いわゆる被虐待で新聞沙汰になるような重症例の殆どが母乳を飲ませてもらってない子なんです。
いわゆる児童相談所等が把握している統計で、被虐待児の乳児期の栄養方法の96%が完母以外というショッキングなデータもあるそうです。(裏返せば完母でも4%は虐待しているわけですが、圧倒的な差があることは間違いないのです。)

思うにおっぱいをあげるということは、生まれてすぐからの育児行動ですから、おっぱいが上手くいけば子育てに自信が出来て楽しくなるし、子どもを丸ごと受け止める度量も徐々に出来てくるのです。

もちろん、母乳をあげなければお母さんとして失格だとは申しません。
どのような気持ちでミルクをあげているかということが大事なのです。
ご自身や赤ちゃんの病気のせいで、おっぱいをあげたくてもあげられないお母さんや、養子を育てているお母さんや、どうしても量的に不足していて、補足が必要なお母さんがいらっしゃることは、私も重々承知しております。
そのような方は何度も申しますように、ミルクという名のおっぱいをあげているのだと私は思います。
この記事は傷口に刷り込む塩ではないし、決して卑屈にならないでほしいです。

そうではなく、私が問題視しているのは、「赤ちゃんを産んでもクラブに遊びに行きたいし、預ける時に便利だから。」「胸が垂れたら、旦那さんが自分を女として見てくれなくなりそうで困るから。」「夜眠れないと、自慢のお肌が荒れてしまうから。」「お酒やタバコを心おきなく楽しみたいから。」「赤ちゃんはペットと同じで、気が向けば可愛がればいいものでしょう?」等々、『最強母乳外来・フェニックス』の読者さんであれば、信じられないようなことをのたまう方が世間には相当数いらっしゃるわけです。
つまり、私が言いたいのは、妊娠中に芽生える筈の母性の芽が出ず、タネのままで留まってしまった方(≒虐待予備軍)が母性の芽を出すための起動スイッチになるのがおっぱいではないか?ということです。

でも、おっぱいは蛇口を捻ったら出る水とは違います。
出していくにはカラダとココロの準備が必要です。
そのために妊娠中から知っておくことは何か?ということを書くことが、SOLANINの役目かなと僭越ながら思い、この記事を書いた次第です。

BFH病院に対する世間の誤解。

日本国内にはBFH認定病院は出産できる産科施設の1.6%程度です。
しかし、BFHで生まれる赤ちゃんは年間20000人を超えるようになりました。
少しずつ、BFHで生まれる赤ちゃんが増えてきたら、世間の誤解も解けるかもしれません。

一番ありがちなのは、母乳推進の宗教か何かのように、怪しい医療者が集う病産院だと思っている場合。
これは医療関係者に多い傾向にあります。

次に多いのはどこからか、補助金を貰えるから、母乳育児推進をしていると思っている場合。
これは行政関係者からの質問としてよく耳にします。
お役人の考えそうな発想ですな。
「母乳育児を推進すれば、病院は儲かるのですか?」と聞かれたことさえあります。
もう少し、上品な聞き方としては、「母乳率が高ければ、加算請求できるのですか?」というのもあります。

どれもこれも、答えはNOです。
じゃぁ、何のために母乳育児を推進するのか。
お母さんと赤ちゃんの絆が深まるように・・・ですね。
お母さんが自分のおっぱいで赤ちゃんを育てたいと願うことはとても自然なことです。
大変な時もあるけれど、やり甲斐もある。
授乳という行為自体に大きな意味があるのです。
お家に帰られてから、マタニティーブルーになりにくいですし。
そんなお母さんの気持ちをくみ取りたいのですね。
きっと、これからは「私はおっぱいで赤ちゃんを育てたいのです。」というお母さん方の声が大きなチカラになり、変わっていくと思います。

2014年5月 3日 (土)

最低限、赤ちゃんを起こすワザだけはマスターしてね!

特に新生児期の場合、放置したら3時間どころかそれ以上、昏々と眠り続ける赤ちゃんがいらっしゃいます。

一般的に眠り王子や眠り姫と呼ばれる種族の赤ちゃんはスタミナ不足の傾向があるので、直母だけでいきたければ、超頻回授乳にしないと発育に必要な哺乳量の確保が難しくなりがちです。

昔から、「寝た子起こすな。」とか「寝る子は育つ。」という格言(?)がありますが、こと眠り王子や眠り姫については、該当しませんな。
百歩譲って眠り王子や眠り姫でなかったとしても、新生児であれば、3時間以上眠りこけていたら、毅然とした態度で起こしてください。

入院中、それも生後3日目くらい迄は、なかなか赤ちゃんが起きてくれない場合は、助産師や看護師さんを頼ってもいいと思います。
「すみません!授乳しようとしても、赤ちゃんが起きないんです。起こしてもらえますか?」と声掛けしてください。
母子同室で母乳育児を推進している病産院であれば、助産師や看護師さんは快く手伝ってくれると思いますよ。

赤ちゃんのお口の周りを指でツンツンする・お母さんの乳首に1滴おっぱいを付けて、赤ちゃんの上口唇の中央をツンツンする・おむつを替えるなどの段階で起きてくれたらラッキーですが、ん~、多分そんなヤワな方法では、眠り王子や眠り姫は起きてくれないでしょうな。

その場合、足裏を指圧する方法が手っ取り早いです。
その際、指圧のやり方をよ~く目に焼き付けてね!
他人事のように(≒起こす作業を助産師や看護師さんに丸投げしたかのように)ぼんやりしてたらダメですよ!
足裏の指圧の力加減が分からない場合は、ご自分の手掌を差し出して、「どのくらいの強さでするのか、やってみてください。」と、教えを乞う姿勢を忘れずに。
足裏の指圧をすると赤ちゃんはビックリして泣き出します。
かつてそれを見て、「可哀想。」と言ったお母さんがいらっしゃいました。
でもね、それは違いますな。
おなかを空かせた状態で放置する方が100倍可哀想ですな。
泣けばまぁるくお口を開けてくれるので、そのタイミングを狙ってパクッと咥えさせればいいのです。

先日、退院当日朝、初産婦Aさん(産後6日目)に「赤ちゃんが起きてくれません。授乳するので起こしてもらえますか?」と頼まれ、仰天したSOLANINです。
あと5時間で退院なのに、我が子を起こすワザをマスターしていないって。(呆)
退院当日朝に起こすのを人任せにしているスタンスってどうなの?(焦)
Aさんは気づいていないでしょうが、その時授乳室にいらした他のお母さんたちはそのセリフを聞いて、「ええっ!」ってな表情でしたよ。(汗)
SOLANINは赤ちゃんを起こしながら、「退院したら助産師は傍に居ないから、誰もお手伝いしてくれませんよ。お母さんが自分の力で赤ちゃんを起こさなきゃならないのですよ。」と苦言を呈してしまいました。
・・・先が思いやられます。(泣)

おっぱいが足りないと母性は育たないの?

それは違います。
おっぱいが足りなくても母性は育ちます。
ミルク育児がダメなんじゃありません。

私は母乳を栄養分として捉えるのが全てではないと思います。
母乳をあげることは、お母さんと赤ちゃんの絆を育てるために欠かすことのできないスキンシップを、とても自然で効果的に行うことが出来ることを意味しています。
自然と言うのは特に意識付けをしなくてもいいし、楽しめるということですね。
ミルク育児は他人でも出来ます。
どうしてもお母さんと赤ちゃんの距離感が出来てしまいます。
母乳をあげているお母さんに負けないくらい意識しながらスキンシップを図り“ミルクと言う名のおっぱい”をあげているのだという気概を持ってほしいのです。

ただ現代ではまだまだ勉強が足りない医療者や、そんな医療者が発信するトンでも情報に踊らされるお母さんが少なからずおられます。
お母さん向け雑誌などで得られる情報のうち、母乳育児に関する正しい記事は極めて少ないし、あったとしても残念なことにそういう記事をスルーしてしまう方が多いのが現実いです。
なので、「母乳育児は特別な方しか出来ない絵空事。」のように思っておられる方が後を絶たないのですね。

そんなことないのにね。
妊娠中にこのブログに辿り着いた方、ラッキーです。
あなたが母乳育児に成功するための方法がそこいらじゅうに散りばめられていますよ。
あなたが本当に知りたかったことがザクザク出てくること請け合いです。(
笑)

手足口病を乗り越えて、おっぱいライフ満喫中。(1歳半)

<ご連絡いただいたこと>
私が読者登録をしたのは、我が子が手足口病になり、おっぱいを飲まなくなったことがきっかけでした。
「再びおっぱいを飲んでくれますように!」と、願掛けの意味を込めての読者登録でした。
一時は分泌が著しく低下して、「おっぱいライフは、もはやこれまでか?」と、危惧しましたが、見事復活しました。
あの時諦めなかったから、1歳半の今、おっぱいを続けられています。
今では、「おっぱいよ〜、おっぱいよ〜( ´ ▽ ` )」と、歌いながら、幸せそうに服をめくってくるようになりました。
嬉しそうにおっぱいを飲む我が子を見ると、ホントに幸せな気持ちになります。
SOLANINさん、これからも、宜しくお願いします。

<SOLANINからひとこと>
実は、1歳代で手足口病をきっかけに、なし崩し的に卒乳してしまう例は意外と多く、おっぱいを大切にしていらっしゃるお母さんであればあるほど、「こんなフィナーレでいいのか?」と悩まれる例はよくあるものです。

そんな中、1歳1ヶ月で手足口病に罹患され、哺乳ストライキと分泌低下という危機的状況になりつつも、それを乗り越え、現在1歳半のおっぱい星人継続中とのこと、大変良かったですね。

これからは、どんどん新しい歯も生えてきて、咀嚼力も向上されることでしょう。
運動も活発になられ、徐々に栄養摂取のシフトが、おっぱいからお食事へと移行してくることになるでしょう。

それは取りも直さず、おっぱいがお子さんの発育の手段だけではなく、楽しみや癒しとしての役割が高まることを意味します。
つまり、おっぱいライフの醍醐味を満喫できる領域に到達されたということです。
もう少しすれば、言葉が沢山出てきますから、喋るおっぱい星人との会話も楽しめますよ。
それこそ、おっぱいソムリエばりに味の批評をしてくれたりして。(笑)
心からおっぱいを楽しむことが出来るなんて素敵ですよね♪

そりゃあ、時にはトンでもさんに遭遇したり、長期授乳に否定的な恫喝まがいの暴言を吐かれ、悔しい想いをされることもあるかもしれません。
でも、当ブログは、いつもおっぱいをあげる全てのお母さんと赤ちゃんを後方支援していますからね。
記事をフル活用され、ブレないお母さんになってくださいね。

2014年5月 2日 (金)

出ないおっぱいにしがみついている?

時々、「わたしは混合栄養なのですが、赤ちゃんが乳首を引っ張ったり、手で乳房をしごくようにして飲みます。出が悪いということなら、もうおっぱいは止めた方がいいですか?」と尋ねられます。

とんでもないです。
決して赤ちゃんに嫌な想いをさせているのではありませんよ。
大好きなお母さんに抱っこされ、おっぱいを吸わせてもらえるだけで、赤ちゃんは幸せなんです。
おっぱい自体が嫌いならば、吸い付いたりしません。
間違っても、赤ちゃんの性格が「竹を割り損ねたように」歪むわけではありません。
赤ちゃんの気持ちを満たしてあげるためにも、どうか、ご自分のおっぱいを卑下せずに優しい気持ちでで抱っこして吸わせてあげてくださいね。
大切なスキンシップタイムです。
赤ちゃんを誘ってでも、してあげてくださいね。

完母ってプレッシャーですか?

世の中に我が子が生まれたら母乳育児をしたいと希望される妊婦さんは95~96%は居られます。
「絶対」若しくは「できれば」と温度差(意欲の差?)は有りますが、殆どの方が希望されているわけです。
(ちなみに混合栄養を希望される妊婦さんは3~4%、人工栄養を希望される妊婦さんは1%くらいだそうです。)
しかし、現実には1か月健診の時点で、完母の方は40~45%の間を行きつ戻りつしているというのが日本の現状です。(過去記事“日本の母乳率”をご参照ください。)

つまり日本の母乳率の現状は「運の良い方しか完母が出来ないのか?」とか、「完母を継続するには歯を食いしばるような努力が必要なのか?」ということを暗に示しているように思えます。
そして、それは取りも直さず、完母をしている方の中にも、「お母さんになれば赤ちゃんに対する努力義務的な行為が発生し、そのひとつがおっぱい。」とか「おっぱいを続けることは周囲からのプレッシャーで仕方なくしている。」という気持ちであげている方が少なからずおられるのだろうか?という疑問に繋がってきました。

本来、赤ちゃんにおっぱいをあげることは楽しい筈で、大変な中にもやり甲斐があるからこそ、継続できることなのだと思います。
完母であることを心のどこかで努力義務的な行為であるとか、プレッシャーであるとかいう想いが潜んでいるお母さんは、きっと心の底からおっぱいを楽しんだことがないのかもしれません。

体重増加度が月齢標準から0.1g/日でも少なければあっさり混合栄養にしてしまうお母さん、仕事復帰=断乳と信じて疑わないお母さん、離乳食がなかなか進まないから・・・と、ドクターの言いなりでおっぱいをセ―ブするお母さん、夜間断乳しているのに、昼間おっぱいを頻回に欲しがるようになったから、全面的に断乳をいきなり決行するようなお母さん・・・そんな㌧でもお母さんたちに遭遇する度に「どうして自分んしていることがおかしいということにが分からないんだろう?」と、モヤモヤしながら対応してきました。

でも、或る日、「トンでもお母さんたちは心の底からおっぱいを楽しめなかったのかもしれないなぁ~だから、こんな無茶苦茶するのだろうなぁ。」とふと気が付いた次第です。

完母であることをもっと誇りに思い、プレッシャー無しで、笑顔でおっぱいを続けられるお母さんが一人でも増えるように「おっぱいは楽しいよ。」「おっぱいで困った時はこうすればいいよ。」「おっぱいにまつわる疑問の答えはここにありますよ。」ということをもっともっと発信していきたいとつくづく思う今日この頃です。

2014年5月 1日 (木)

困ってしまいました。/つづき の つづき

どうしたものでしょうか?
私はこの数日Nさんにどのように接したらいいのか悩んでいました。
おっぱいをあげること自体は本来プレッシャーになることではない筈。
何かが「おっぱい止めてしまいたい」のウラにあるんじゃないのかな?

でも、こんな止め方ってどう考えても変!
赤ちゃんへの視点が完全に欠落してる。
たかがおっぱい。されどおっぱい。
産後数日で断乳なんて、そりゃないよ。
赤ちゃんには『母乳権』があるんですよ!
だって、考えてみて。
現代でこそ、ミルクがあるけど、例えば縄文時代ならば、それは赤ちゃんの死に直結していることを意味するのですから。
ミルクといっても隣国ではメラミン混入云々の騒動がまだ記憶に新しいところですし。

おっぱいをあげたくてもあげられないお母さんの涙を知っている者としては、お節介でも言わずにいられません(いつもは飄々としているSOLANINですが、イザとなったらかなり熱いんです!!)

「Nさんは少なくとも今は乳腺炎にはなっていないんですよ。それに、赤ちゃんだってまだおっぱいのリズムができてなくて当然の時期でしょ?ホントに駄目かもしれない時に止めるのでも遅くないと思う。実際この間よりも乳緊は落ち着いているしね。Nさんのおっぱいは、赤ちゃんのもので、いい大人が駄々っ子みたいなことでどうするのよ?こんないいおっぱいをあっさり止めるなんて勿体ないでしょだいたい、詰りにくいよう乳質をコントロールすればいいんですから。」と言ったんです。

そうしたら、「えっどういうことですか?」とNさんの目の色が変わったんです。
で、「ごぼうし」のハナシをしたんです。実物を見せ、一粒渡して噛んでもらいました。
以前このブログで申し上げたとおりのゲロマズ味にNさんは悶絶しつつも、
「私、やれるところまでやってみます!もし駄目だったら助けてくれますか?」と言ってくれました。
来院までは「今日こそ先生に直談判してでも、カバサール処方してもらおう!!」と思っていたとか。
(カバサールとはおっぱいを止めるお薬の名前。死産の方など、特殊な場合に使うことがある)
時には泥臭くても患者さんとはガチンコでぶつかり合うことで、気持ちが伝わることもあるんだな。そういうことがあっていいのかもと感じました。

困ってしまいました。/つづき

私は「Nさんが色々なことが気がかりで不安なのは、分かりました。でもお話の内容からすると、おっぱいを止めたら、解決するような問題じゃないと思うんですミルクは与える量や授乳間隔を考えないといけないから、想像しているより、ラクじゃないですよだって、ミルクあげてもギャン泣きすることはいくらでもあるし、上の子の赤ちゃん返りがなおるわけでもないからね」と、答えました。

・・・いるんですね~時々こういう《わたしが一番》という方が。
母性はあるけど、タネ状態でとどまっている人が。
キビシイ表現になっちゃいますが、赤ちゃんを産んで育てるにはもう少し心の準備と覚悟をしてからの方が良かったんじゃないかという人が。

私は職業柄、おっぱいをあげたくてもあげられないお母さんを何人も知っています。
いわゆる、医学的理由ってヤツです。
★重篤な感染症に罹っているお母さん。(大体想像がつくと思います)
★妊娠中に子宮がんになって出産後全摘手術をされ、抗がん剤を使うお母さん。
★身体の血液が全部入れ替わるくらいの大量出血で、一命をとりとめたお母さん。
★赤ちゃんが先天性代謝異常で、病気の進行を抑えるために飲ませられないおっぱいを泣きながら搾って捨てているお母さん。
★気の毒なことに赤ちゃんがお亡くなりなり、ドクターから、「おっぱいどうしますか?お薬で止めますか?」と尋ねられ、「おなかが空いたら可哀相だから、お供えにおっぱい搾りたい。お薬は飲みたくない」と答えられたお母さん。
★どうにかあげられても、出産までに乳がんで片方の乳房を喪ってしまい、残った片乳しかあげられないお母さんですら、懸命におっぱいをあげておられます!
・・・そういう涙なしには語れないお母さんのことを思うと、Nさんにはホントしっかりしてほしいんです!

お母さんになったからには、自分の我儘を貫くんじゃなくて、もう少し赤ちゃんのこと考えてあげてほしい。
そりゃ、ミルクでも十分赤ちゃんは育ちますよ。
栄養学的には最近のミルクは『母乳に近づけた』というフレーズがキャッチコピーですからね。
でも母乳育児ってそうじゃないのよ。
じっと見つめて、語りかけて、抱いて・・・赤ちゃん丸ごと受け止めて慈しむ。
赤ちゃんは全身全霊でお母さんを信じて疑わないんです。
いい時も、悪い時もいつでもね。

母性がタネ状態でとどまる人はどんな人?
学歴、年齢、職業等々は全くカンケーなし。
カンケーあるとしたら、やはりその人の子供時代の母子関係と夫婦の人間関係がどうにも上手く言ってない場合かなあ?(どっちかひとつだけならば、何とかなると思いますが)
近日中にNさんは再診なので、つづきはまた今度。

困ってしまいました。

Nさんという方がSOLANINの勤務先の母乳外来を受診されました。
1人目さんも当院でご出産された方です。
遠方(といっても、車で2時間弱)からの里帰りをされています。
里帰り先はもちろんご自分の実家です。
入院中は乳房緊満が強く、糾励根湿布をされていましたが、それなりに落ち着いた状態で退院されました。
退院翌日に「おっぱいが痛い」という連絡があり、早速の対応となりました。

でも、ただ単にうっ滞しているだけで、乳腺炎としての所見はありません。
赤ちゃんは眠りがちですが、短時間で十分量を哺乳できていました。
ただ単に若干おっぱい生産過剰気味かなあというくらいでした。

そしたらいきなり「おっぱいを止めたい」と泣き出したのです。
「何故?」と、たずねたら「痛いのがいやだし、2時間毎に起きるの大変だし、母には食事内容もあまり色々頼めないし、赤ちゃんはしゃっきり起きてくれないからスッキリするまで飲んでくれないし、自宅に帰ったら近くに助産院も母乳外来もないからトラブルになった時困るし、イライラするから上の子に当り散らすし、職場復帰(医療系)が4ヶ月と早いし、預かってくれる保育園から哺乳瓶に慣らしてねと言われるし、」と、さんざっぱらのたまうのです。

さて、どうしたものでしょうか?
様々なことが、気になるのでしょうが、今から気にしてもどうにもならないことってありますよね?
なるかもしれないけどならないかもしれないのにね・・・
じゃ、またこの続きはあとで。

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