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2014年7月19日 (土)

「レメディ」を投与され、死亡された赤ちゃんについて。

世の中には色々なものを信奉する人達がいます。
2010年7月9日に新聞各紙上を賑わした山口県のとある助産師が起こした事件の裁判の元凶となったホメオパシーについて、あの日から色々調べたり、考えたりしました。

念のためホメオパシーとは何か?を簡潔に申しますと、代替医療の一種として、ドイツ人医師サムエル・ハ-ネマンによって、19世紀初頭に提唱されました。
ホメオパシ―とは、後述する「レメディ」という物凄く希釈された毒をを服用することで、カラダの抵抗力を高め、自己治癒力を高め、病気の根本から治療し、健康増進を図る・・・という考え方を実践するものです。
こう書くと、一見もっともらしいのですが、科学的に実証されているかと言えば、それを裏付けるものはありません。
医学専門誌として第一級ランクの『ランセット』が2005年8月号に於いて、多くの検証をしたものの、ホメオパシーはプラセボと同等と結論を出しています。
 

正直言って、私はホメオパシーなるものが存在することは知ってはいましたが、詳しくは知っていませんでした。
私が知ったきっかけはここ何年かの間、助産師関係の雑誌に、頻繁にセミナーのお誘いが掲載されていたから、「これってもしかして、日本助産師会が推奨しているのかな?」と感じたことがきっかけです。
実際、都道府県単位の助産師会でも会員相手の講演会等の開催をしていたそうです。(後で知りましたが、京都・千葉・神奈川・兵庫・広島・大分・東京・茨城・あたりは、そこそこ熱心な活動を展開していたそうです。)
山口県のとある助産師も、話の経緯からすればこのホメオパシーの信者さんで、医学的な根拠が全く無いビタミンKの「レメディ」なるものをK2シロップの代わりに、お母さんに無断で投与し、しかも、、母子健康手帳には「K2シロップ投与」という虚偽の記載をしていたのです。

結果、生後2ヶ月の赤ちゃんがビタミンK欠乏を来たし死亡され、損害賠償請求訴訟が山口地裁に起こされました。
新生児にビタミンKを投与する必要性は看護学生ですら周知の事実。
それをビタミンKの「レメディ」にて代替し、それで善しとした事実は、到底容認しがたいものです。
 

ちなみにご存知ない方のために「レメディ」とは何なのか?を、かいつまんで説明しますと、病気のもとになる毒素のようなもの1 mlに対し、水99mlを加えて混ぜ合わせ、それをまた1ml取って99mlの水と混ぜる作業を30回繰り返し、(つまり病気の素になる毒素のようなものは、計算上、最終的に10の60乗倍に薄めることになります。)最後には元の物質はほぼゼロに等しいくらいにまで薄められた水溶液を震盪することで、治癒エネルギーを増強し、この団体が作った砂糖粒に垂らしたもの・・・のことをそう言います。

私も助産師の端くれですから、これまでに、何人かの新生児が真性メレナと判明し、K2シロップを投与され、救命された赤ちゃんに出会ってます。
ですので、新生児にK2シロップをハナっから投与しないなんて、どう考えても正気の沙汰ではないのです。
しかも、母子健康手帳に虚偽の記載をしているし。
百歩譲って、赤ちゃんのご両親もホメオパシーの信者さんで、「ウチの子にはビタミンKのレメディを投与するので、K2シロップの投与は止めてください。」と頼まれても、「それだけはいかん!」と、必死に説得するだろうなぁ。
 

この山口県のとある助産師、同業他者の私から見ても、裁かれて当然だし、罪を償うことも人として当然だと思います。(赤ちゃんを死なせているのだから、キツいようですが申し開きの仕様が無いと思います。)
それでも戻ってこない赤ちゃんの命を思うと、ホメオパシーなるものを普及させようとした当時の助産師会を始め、その関連団体に激しい怒りを感じます。
(勿論、今ではホメオパシーの「ホ」の字が出ることすら皆無ですが。)

日本人は欧米のセレブに弱いから。
ホメオパシーは欧米のセレブの嗜み・・・みたいにハイソなイメージで宣伝されてたものだから、コロッと騙されちゃったのでしょうね。
生命を落とされた赤ちゃんのご冥福をお祈りするとともに、正しいものを見極める目を養うことの重要性を改めて肝に銘じる事件でした。

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