SOLANINはミルク育児をどう思うか?
先日ある方から「ミルク育児をどう思いますか?母親失格と思いますか?」と尋ねられました。
一概には言えないですね。完母であっても「テレビ見ながら、メール打ちながらやっつけ仕事のようにおっぱいをあげる。」とか「毎日おっぱいが不味くなるものばかり食べて、トラブルをウィークリーで繰り返す。」とか「ドクターからお母さんはアレルギー除去食を依頼されているのに、全く無視する。」のはNGでしょう。
完ミに至った経過を見たら、「お母さんが酒やたばこを心おきなく楽しみたいから。」とか「夫婦平等で旦那に子どもの世話させるため。」とか「預ける時にラクだから。」とか「夜中にぐっすり眠れるのではないか?」とか「バストラインが崩れないらしいよ。」というのはもっての外でしょう。
赤ちゃんではなく自分勝手な下心丸出しというのでは、おっぱいかミルクかという栄養方法以前の問題で、赤ちゃんのお母さんになるということの適性を疑ってしまいます。
つまり、過去記事にも書きましたが、“赤ちゃんにおっぱいをあげられる筈なのに、お母さんの身勝手な都合が優先してあげようとしない、あげたくない。”のは、如何なものかということです。
おっぱいで育てることは免疫や栄養やアレルギー防止といった物質としてのおっぱいの利点だけでなくお母さんと赤ちゃんの絆つくりや、赤ちゃんが大好きなスキンシップを自然に行える精神的な面での恩恵が大きいから推奨するのです。
おっぱいをあげると子育てホルモンである、プロラクチンやオキシトシンがドンドン出ますから、意識しなくても赤ちゃんのお世話が苦痛でなくむしろ楽しんでできます。
また、おじいちゃんやおばあちゃんに懐くのはいいのですが、赤ちゃんの心の中のお母さんへの絶対性が薄らぐ懸念があり、母子関係が上手くいかない(=懐かない赤ちゃんを可愛く思えない。)という状態を誘発する恐れがあります。
完ミのお母さんはそこをよく把握して、意識して赤ちゃんとのスキンシップをしていく必要があります。
私は「医学的事情があっての完ミ」のお母さんを何人も知っています。
例えば「赤ちゃんがガラクトース血症(=おっぱい自体を飲んではいけない病気)等である。」とか「お母さんが両方の乳房を乳がんで喪っておられる。」とか「お母さんの精神疾患が増悪して、内服しているお薬のせいでおっぱいはあげてはいけない。」とか「お母さんがエイズである。」とか「出産時ヘルプ症候群になられ、一命を取り留めたものの、おっぱいが分泌しなくなった。」とか、他にも色々な理由がありますが、“赤ちゃんにおっぱいをあげたくてもあげることが不可能”な場合はどうしようもないではないかと思います。
そういうお母さんには「ミルクという名のおっぱいをあげているつもりで、抱き癖付けまくりで丁度なんですよ。」と母乳外来でお話ししています。
結果的に完ミであっても、それに至る事情・過程が全然違うことを同列に論じることはいけないのでないかということです。
混合栄養の方もそうです。
一生懸命頑張ってもできない方を責める気はありません。
何となく誤解され易いのですが、私は決して母乳原理主義者ではないんですよ。
ミルク育児=お母さん失格とかステレオタイプに区分け出来ないです。
育児ってそんな簡単に区分け出来ないと思います。
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こんばんは。以前アルコール依存症にてお薬の相談をさせていただいた者です。SOLANINさんのブログは毎日の励みになり、アルコール無しでの生活は6年近くになります。子供ももうじき5歳。精神的に参ってしまうこともなく順調に母乳育児が続けられたのは、夫でもおばあちゃんでもなく、子供のおかげだと思います。いっぱいおっぱいを飲み、抱っこをして話しかけて寝かしつけて。そんな毎日を過ごしたからこそ子供は私の事を「おかあさん」と認めてくれました。もともと生んだのは私なのですが(笑)
自分の事を肯定できない方がこの病気になりやすく、私も今まで自分の事を肯定していけずにこの病気になりました。 でも子供は自分を認めてくれます。ありがたいです。こういう自分で良いのだ。と思わせてくれます。独身の頃は精神の病気で長期入院したり自殺未遂などもありましたが、40歳になって(子供は4歳)やっと本当の自分に戻れた気がします。
母乳育児を続けることができて本当に良かった、と思っています。ありがとうございました。
投稿: 河合 香里 | 2014年7月15日 (火) 21時34分
憶えていますよ。
あの時はハンドルネームが今と違っていましたが。
雨風呂時代にプチメでご相談頂きましたね。
ただ、お薬については、「頑張って調べたのですが何処にもデータが無くて、お役に立てず済みません。」て申し上げましたっけ。
そうでしたか、あれからどうされているかと案じていましたが、アルコールの依存を克服されたのですね。
仰る通り、子どもの力は偉大ですね。
おっぱいを続けられて良かったですね。
思いがけず、ご連絡いただきまして、私はとても嬉しいです。
これからも、どうぞお元気にお過ごしください。
そして、たまにでもいいですから、ここに来てくださいね♪
投稿: SOLANIN | 2014年7月18日 (金) 07時46分
こんにちは。
4ヶ月検診(4ヶ月と6日)のときに、
医者に
痩せ過ぎ!
女児5.45kg
と、いわれ、ミルクを足すように言われました。
体重が低くても母乳だから、と、思っていたのですが、
成長曲線からはみ出すほどなのではないかとパニックになり、ミルクを夜寝る前に100前後足し始めました。
今は8ヶ月になりますが、
見にくい母乳手帳ではなく、アプリで記入したところ、当時からそこまで痩せ過ぎというものでもありませんでした。
完全母乳を目指していただけに、大変ショックです。
ともかく、騙されたような、気持ちにもなり、なんとも言えない気持ちです。
不足しているならともかく、必要でもないのに完全母乳をやめたなんて。
100足したことはどう思われますか?
よろしくお願いいたします。
投稿: めい | 2014年7月26日 (土) 09時51分