クレチン症の赤ちゃん。(若干改訂版)
まず最初に新生児マススクリーニングの疾患名と発症頻度について書きます。
いずれも、新生児10万人当たりです。
1年間に出生される赤ちゃんが100万人強ですから、発症頻度に×10したら、1年あたりのおよその患児の数が推定できます。
フェニ―ルケトン尿症1.3、メープルシロップ尿症0.2、ホモシスチン尿症0.6、ガラクトース血症2.8、先天性副腎過形成6.7、クレチン症22.7。
クレチン症の10万人当たり22.7人という発症頻度は他の疾患に比較してかなり高頻度ということが分かると思います。
注)この段階ではあくまで「疑い」です。
万一精密検査を受けて確定診断が付けば、出来るだけ早く(=生後3ヶ月以内)に治療を始めるべきであることを小児科ドクターが説明されると思います。
注)治療が遅れると、身体・知能の両方に障害が残る恐れがあるから急ぐ必要があるのです。
この疾患は甲状腺の機能が生まれつき低下しているので、先天性甲状腺機能低下症とも呼ばれます。
甲状腺は赤ちゃんの成長に必要なホルモンを作り分泌しているトコロです。
現段階ではクレチン症のはっきりした原因は不明ですし、完治することも不可能と言われています。
赤ちゃんの頃の症状としては 、舌の肥厚・遷延性の黄疸が見られる・泣き声がハスキーである・発汗が極端に少ない・頑固な便秘・あまり泣かずによく眠る 等が挙げられます 。
赤ちゃんの生まれつきの疾患というのは、ショッキングな出来事ですが、早期発見・早期治療によって健常なお子さんと何ら変わることなく、外見上も、知的面も普通に成長していきます 。
治療には『チラージンS®』というお薬を毎朝赤ちゃんに内服させなくてはなりませんが、これは不足する甲状腺ホルモンを補うためですから、勝手に内服中止してはいけません。
検査としてはお薬の量を決めるのに、採血は定期的に行われます。
また、クレチン症は骨年齢が遅れ気味(身長の伸びが少ない≒低身長傾向があるということ。)ですから、そちらの方のチェックとして、毎年手首と膝のレントゲン撮影をしてもらうことになります。
クレチン症はおっぱいを中止しなくてはならない疾患ではありませんし、離乳食も月齢が進めば普通に開始できますし、食材に制限はありません。
毎日の生活で困ったことがあるとしたら、哺乳意欲が少く、眠りがちなので、体重増加不良になり易いことと、頑固な便秘への対応が不可決であることですかね。
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コメント
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はじめまして。突然のコメント大変失礼致します。我が家の2ヶ月半になる息子は、今、甲状腺機能低下症という診断名のもと薬を服用しています。実は新生児スクリーニング検査では正常でした。退院後2,3日から黄疸が出始め、1ヶ月検診で相談したところ母乳性黄疸とのことで様子を見ていました。なかなか色が引かないなぁと思っていたところ、乳児湿疹も酷くなっていたので2ヶ月になる少し前に小児科を受診し発覚した、という流れです。黄疸を甘く見ていましたし、自分の無知さになんともいえない気持ちになりました。何よりも息子に申し訳ないと。たまたま小児科を受診したからわかりましたが、分からないまま月日がたっていたらと思うと…。母乳育児に関するブログではありますが、母乳性黄疸だと鵜呑みにせず、黄疸を引き起こす病気は様々あるので、長引くようなら早急に検査をして頂いた方がいいと伝えたくコメントをさせていただきました。
投稿: ayk | 2015年8月17日 (月) 14時04分