週刊ポストの連載記事について、その1。
週刊ポストという雑誌の11月7日号から4号連続(でしたっけ?)でキャンペーン(主に福岡県の産婦人科ドクターの久保田史郎氏に取材された)記事が掲載されています。
当ブログの読者のみなさんが普段読まれることは少ないでしょうが、赤ちゃんのおじいちゃんやお父さんは主な購読層に該当するので、この記事を読まれると多くの懸念を抱かれることが想定されますので、遅くなりましたがSOLANINなりの意見を述べさせていただきます。
まず、早期皮膚接触(STSいわゆる出生直後のカンガルーケア)について安全面での問題意識を持つことは決して悪いことではありませんが、イコール危険であると断罪するような論調は、客観性に欠けるのではないでしょうか?
もちろん、早期皮膚接触を十把一絡げで実施するのは論外だと思います。
(現在訴訟になっている各事案に関しましては、SOLANINはマスコミ報道以上の情報を持ち合わせていないし、当事者でもないのでコメントすることは差し控えさせていただきます。)
早期皮膚接触を希望されても、適用できない母子はいらっしゃいます。
なので、「出生時のセレモニー的イベントだからやる!」というのは違います。
「マタニティ・ジャンルに於ける流行だからやる!」というのも違います。
「バースプランに書いてあったから何が何でもさせてあげる!」というのも違います。
「病産院のセールスポイントだからさせてあげる!」というのも違います。
当ブログの過去記事にもありますように、出生直後の母子は、正常に経過していてもいつ異常に転じてしまうか分かりません。
出生直後一番危険なのは、早期皮膚接触を実施することではなく、母子を二人ぼっちにして見守り(観察)ができないため異常の早期発見が遅れることです。
記事を読んでいると、久保田史郎氏のやり方がベストであるという風に誘導されますが、それこそ十把一絡げに出生直後から2時間(でしたっけ?)赤ちゃんを保育器に収容するというやり方は如何なものかと存じます。
生まれたての赤ちゃんの体温低下を防止するために分娩室を暖かくしたり、インファントウォーマーで温めたタオルで拭いたりくるんだりして不必要な露出を避け、お母さんに抱いてもらっていれば、少なくとも健常新生児の場合、低体温になることはまず無いでしょう。
お母さんから赤ちゃんを引き離して保育器に収容するということは、モニター管理して見守り(観察)を続けるということを意味していますが、他科に比較して夜間の入院や昼間でも緊急手術がありがちな産婦人科領域で、仮にですが例えば業務繁忙のため見守り(観察)したくても出来ない状況だったとしたら、それは安全とは言えないですよね?
記事からは、保育器収容=安全VS早期皮膚接触=危険という、いかにも(!)な図が透けて見えましたが、そんな単純なものではない筈です。
« 腱鞘炎と母乳育児。 | トップページ | 授乳中にヘルペスになったら? »
「☆危険防止に関すること」カテゴリの記事
- 消毒薬ミ○トン®使用時の注意点。(2017.04.02)
- 週刊ポストの連載記事について、その3(2014.12.01)
- 週刊ポストの連載記事について、その2。(2014.11.29)
- 週刊ポストの連載記事について、その1。(2014.11.27)
- カンガルーケアで気をつけるべきこととは?(2014.01.19)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
初めまして。
もうすぐ5ヶ月の子を持つ新米母です。
出産後退院してから、こちらのブログに出会い、いつも勉強させていただいております。
困ったときや悩んだときにとても助けられております。ありがとうございます。
週刊ポストの記事は私も、母が心配して教えてくれ、読んでみました。出版されている本も購入して今、読んでいる最中です。
完全母乳に関してのリスクなども書かれていたので、ソラニンさんはどのようにお考えになるだろうかと、気になっておりました。
私の出産した病院は赤ちゃんに優しい病院であると認定を受けている病院でした。完全母乳の意味も知らなかった私は、産後直ぐの赤ちゃんに出ない乳首を三日間必死にくわえさせていたものの、空腹を満たされない我が子は力一杯泣き叫び、心が折れました。ミルクを与えてくれないのは何故なのだろう。なんてスパルタなんだろう。と。我が子は体重も生理的体重減少の範囲を越えて下がり、黄疸も強くなってしまいました。幸い光線療法に至る手前で母乳が出始め、栄養が体に入り、胎便も排出され黄疸も軽減しました。完全母乳の意味をあとになって知り、完全母乳は赤ちゃんにとっては過酷だなぁと思いました。幸い4日目は母乳が溢れるように出てきましたので、現在も完全母乳で育児ができております。そこで、本題ですが、久保田先生は出産直後の新生児にたいして完全母乳を行うことを低栄養による脳の栄養不足や、母乳が出るようになるまでの約三日間の飢餓状態が胎便の排出を遅らせ、それに伴い黄疸の出現、時に黄疸の重症化がおこり、脳へのビリルビン侵入による知能障害を懸念されています。完全母乳自体を否定されているのではなく、出産直後の母乳の分泌が起動に乗るまでの3.4日に関しての完全母乳の強行は赤ちゃんにとっては過酷で、リスクも伴うことから、その間だけミルクでの栄養補給の必要性をおっしゃっています。まだ途中までしか読めていないのですが、ソラニンさんは出産直後の完全母乳に関して、どのようにお考えになられるでしょうか。私はばか正直と言うか、すぐに信じてしまう達なので、二人目、三人目の出産を別の病院にした方が良いのかと心配になり、他の母乳に詳しい専門家の方はどのようにお考えになるのか、よければ意見をお聞きしたくコメントさせていただきました。
長文、乱文失礼いたしました。
投稿: ひろ | 2014年11月28日 (金) 11時17分
今回の記事を読んでコメントせずにはいれませんでした‼︎
私は3歳の長男を久保田先生の産院で出産、次男を母乳推進病院で出産しました。考え方が全く違う産院で出産した事は今思うと貴重な体験をしたなぁと…
長男妊娠中は悪阻が酷く、また仕事もハードだったため里帰り先の産院に分娩予約を入れるのが遅くなってしまいました。悪阻が落ち着き、産院を探し始めるも既に遅く、やっと予約が取れたのが久保田先生の産院でした。母親学級のなかで「カンガルーケアなんて論外」みたいな口調でお話されていたのを今でも覚えています。なので、長男は生まれてすぐ保育器に入り(もちろん正常分娩で健康に生まれた)、初めて抱っこ出来たのは何時間も後になってからでした。母乳をあげるタイミングも分からず、何の指導もされずに長男は哺乳瓶でミルクを飲んでいた為、退院後は乳頭混乱になりなかなか吸い付いてくれませんでした。O式先生のマッサージに通い、ようやく完母になれたのは生後7ヶ月ぐらいからでした。
この苦い経験から、次男は母乳推進病院を妊娠確定診断の時点で受診し、片道1時間半かけて診察に通いました。おかげで次男は生粋のおっぱい星人です。カンガルーケアも出来ました‼︎
振り返ってみて、私のリサーチ不足・知識不足の為にカンガルーケアが出来ず、初めて口にさせたのが母乳じゃなかった事を長男に対してとても申し訳なく思っています。
長文失礼いたしました。
投稿: こうけいママ | 2014年11月29日 (土) 12時29分