直母が出来ないのは、赤ちゃんのせいですか?
<ご相談内容>
里帰りしてラクテーションコンサルタントの先生がいる病院で出産しました。
里帰り前にかかっていた病院では、「30週過ぎたらマッサージは必ず、できれば24週過ぎたら始めましょう。」と言われ、母親教室で習ったマッサージをよくわからないまま行っていましたが、里帰り後は、「妊娠中のマッサージ等は不要!」と言われ、35週でマッサージをやめて出産しました。
出産時点では、グイグイ押して引っ張れば乳汁がにじむ程度で、カンガルーケアも行いました。
出産は初産で4時間以内ととてもスムーズでしたが、産後助産師さんに扁平乳頭を指摘されました。
また、子ども(女児)の体重も正期産でしたが2680gと軽めで、舌使いが下手、舌が伸びていないと言われ、乳頭を伸ばすケアが必要とのことで、出産翌日から搾乳器を使っていましたが、体重減少と黄疸が強いとのことで混合栄養を指示され、メデラスイングを購入してグイグイ圧をかけています。(+ボタンを5回押すくらい)
出産から10日経ちますが、現在一日の総搾乳量は350ml前後、一度に40-70ml程度、回数は7-10回です。
相談させていただきたいのは、入院中(完全母子同室でした)から、助産師さんの介助を見よう見まねで、手足をつっぱり仰け反って嫌がる子どもを乳房に押し付けて無理やり飲ませてきた(と言っても全く飲めず、出産の翌々日からは歯ぐきで噛むことを覚えたので、数回やっては諦め、次回の授乳を待つような形にしていました)せいか、横抱きの体勢に持ち込んだ時点で大泣きで、真っ赤になって息もできないくらい泣き叫ぶようになってしまったことへの対策法と、こちらの記事で扁平乳頭には縦抱きを、という記事を拝見して、縦抱きに何度か挑戦してみたものの、両足をつっぱり暴れてうまくできないので、こういった場合のコツを教えていただけないでしょうか?
実家家族からのプレッシャーがあり、さらに介助してくださった複数の助産師さんやラクテーションコンサルタントの先生からも、「すぐできるようになりそうだけどねえ…」といわれていることで、却って落ち込んでいます。
できるようにならないのは何がいけないのでしょうか。
子どもが小さいからとか、まだ練習が足らないから、と言う方もおられましたが、本当に子どものせいなのでしょうか?子どものせいにしていいのでしょうか?
ご意見をお聞かせください。
<SOLANINの回答>
かなり詳細に書いてくださっていますが、どうお返事しようかと、ずっと悩んでいました。
母乳育児に科学の視点を持つという意味ではラクテーションコンサルタントの仰ることには一理あるとは思います。
ただ、個人的な意見を述べさせていただくと、ラクテーションコンサルタントの考え方は、いかんせん欧米からの輸入品なので、日本では馴染まないこともあります。
例えば、欧米では助産師とはいえ、他人の女性であっても乳房を触るのは性的な意味になるから基本的に御法度です。
産後乳房トラブル時であっても、乳房マッサージというものが存在しないor医学的効果が認められていないという解釈に根ざした考え方なので、日本の文化的背景にはそのまま当て嵌められないように思います。
SOLANINは、BFHに勤務する助産師なので、妊娠中の乳頭・乳輪ケアはしましょうという考え方です。(当ブログでは何度も書いていることなので、読者のみなさんは既にご存知でしょうが、BFHの97%は何らかの妊娠中の乳頭・乳輪ケアをしています。)
ラクテーションコンサルタントの方は、「妊娠中に乳頭・乳輪ケアをしなくても母乳育児が上手くいく方は存在するし、反面、ケアをしたのに今一つだった方もおられるわけだから、すべきという根拠は乏しい。」というニュアンスのことを仰います。
しかし、100%の効果とは申しませんが、現時点でBFHはそうでない病産院よりも母乳育児が上手くいくお母さんが圧倒的に大勢いらっしゃることは事実です。
母乳育児に限らず、人は苦しい結果になった時、何もしなかったことで後悔するくらい辛いことはないのではと思います。
でも、相談者さんは、途中まではお手入れされていたんですよね。
だから、形態的に扁平乳頭であっても、乳頭・乳輪のコンディションはさほど悪くはなかったと思います。
さて、相談者さんの赤ちゃんの場合、横抱きをしようとしただけで仰け反りや大泣きをされています。
どうしてこういう反応をされるのか、分かりますか?
相談者さんの赤ちゃんは、完全に哺乳ストライキになっているのです。
つまり、抱っこの仕方が合わない以前の問題です。
お話から察するに、恐らくとても繊細な赤ちゃんなのでしょう。
扁平乳頭であっても、体格的に小さめ、舌遣いが下手、舌が伸びないという状態(←であるにしてもよくもこんなデリカシーの無いことを、臆面もなくお母さんに宣告するなんて・・・信じられない!)を割り引いたとしても、合わない授乳介助を受けたせいで、哺乳ストライキになったのだと思われます。
今の段階では相談者さんの赤ちゃんは、横抱きのままだろうと縦抱きに変えようと、どんなテクニシャンの方に授乳介助をされようとも、直母をすることを拒否るだろうと思われます。
周囲からのプレッシャーが辛いことはお察しします。
でも、だからこそ、根本的に考え方(視点)を改めませんか?
赤ちゃんにだって心はあります。
赤ちゃんの傷ついた心を回復させなくては前に進めません。
そのためには、1にも2にも謝り続けることが必要です。
搾乳やミルクの補足をすれば、赤ちゃんの体重は増加します。
そうすれば体格は大きくなり、舌遣いも上手になられ、舌もそれなりに前に出るようになるでしょうが、そういう機能面が改善しても、気持ちがストライキのままではいつまで経っても直母は困難だと思います。
不本意でしょうが、赤ちゃんの気の済むまで、割り切って搾乳とミルクをあげてください。
但し無言で怖い顔して黙々とあげるのではなく、しっかり目を見て、「ストライキに気づいてあげられなくてごめんなさい。」「可能であれば、お母さんはいつか直母で飲ませてあげたいと思っているのよ。待っているからね。」という気持ちを言葉と表情で伝えてください。
哺乳ストライキの解決の糸口はそこからだと思います。
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