☆母子感染

2013年11月15日 (金)

もしも分娩前日に、妊婦が水痘を発症してしまったら?

水痘の抗体が無い妊婦さんが、分娩前日に水痘罹患が発覚したら、エラいことになります。
厳密には、分娩の4日前~産褥2日目に水痘発症してしまったら、最悪の場合、取り返しのつかないこと(=赤ちゃんが死亡してしまう危険性が超高い)になります。

対策は病産院のドクターが立てられますので、それにお任せして従うことになります。
とにかく、赤ちゃんの感染を防御することが第一ですから、予防的治療として、妊婦さんに免疫グロブリンの注射がされるでしょうし、『ゾビラックス®』の投与がなされるかと思います。
『バルトレックス®』の投与も有り得るのですが、恐らく現時点では、『ゾビラックス®』の方が、安全性に関するデータが豊富なので、『ゾビラックス®』を選択されることが多いのではないかと思われます。

赤ちゃんは感染の有無が確認されるまでは、“感染源“扱いになりますので、他の赤ちゃんからは厳重に隔離されます。
感覚的には、「ウチの赤ちゃんを汚いモノ扱いして!」と思われるかもしれませんが、それくらい徹底してやらないと、他の赤ちゃんに感染させてしまう危険性が高いので、ご了承願います。
ホント、こういう状況って怖いことなのですよ。

当り前のことですが、水痘の抗体が無い赤ちゃんのお母さんで、今後挙児希望の方(仮に希望されていなくても万一授かれば産む意思のある方も)は、次回出産時に大騒動にならないように、非妊娠時に水痘のワクチン接種を受けてくださいね。

昨年~今年は、大流行の風疹の抗体が無いお母さんが風疹のワクチンを求めて品切れになるという事態が発生しています。
くれぐれも、「風疹じゃないから(水痘だから)抗体が無くても大丈夫!」とか、「別に水痘なら、ワクチン接種はしなくていいよね!」とか、安易に考えないように!
そんなもんじゃありませんからね。

少し前に記事を書きましたが、初めての妊娠なのに、感染症の抗体価測定検査のお金を惜しんで、調べるのを拒否する(≒何を調べてもらうかを自分で選ぼうとする!)妊婦さんがいらっしゃるとか。(憤)
SOLANINに言わせれば、そんな妊婦さんは問題外&言語道断です。
お話になりませんな。(怒)
感染症の抗体価測定検査を受けて、(もしそれがワクチンのある感染症であれば)抗体無しと発覚したら、出産後~次回妊娠までに、必ずワクチン接種をするのが、お母さんになる人の流儀ですぞ!
抗体無しの放置プレイは厳禁ですからね!

2013年9月24日 (火)

先天性トキソプラズマ症って知っていますか?

トキソプラズマというのは、猫を宿主とする原虫です。
その原虫に感染して起こる病気が、トキソプラズマ症です。
人から人には感染しません。
妊婦さんが感染しても、大抵は無症候なので、血液検査をしない限り、発覚することは稀だと思われます。
けれども、感染が発覚したとして、無症候だから放置してもいいのかというと、決してそうではありません。
トキソプラズマ症の胎内感染率は、妊娠中にルーチンで検査している病産院は圧倒的に少ないため、不明とされていますが、先天性トキソプラズマ症の赤ちゃんは、0.05%は発症しているのではないかと推測されています。
この、いわゆる先天性トキソプラズマ症の症状としては、胎内死亡、流産、小眼球症、水頭症、小頭症、脳内石灰化像、肝脾腫、腹水、網脈結膜炎、てんかん様発作、痙攣等が挙げられます。
週数の若いうちに感染するほど、おなかの赤ちゃんの症状は重篤化し易い傾向が高いので、決して侮ってはいけませんよ。
ちなみに、妊娠前に感染していても、おなかの赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症になる心配はありませんから、安心してください。
おなかの赤ちゃんを先天性トキソプラズマ症から守るためにはいくつかの有効な方法がありますので列挙しますね。
 1) 極力生肉や加熱の不十分な肉料理を口にしない。
 2) 果物や野菜も食べる前にはしっかり洗う。
 3) 食用肉や野菜などに触れた手は、温水でよく洗う。
 4) ガーデニングや畑仕事等の土をいじる際は、手袋を装着する。
 5) 猫のトイレの処理時は手袋を装着するか、家人に代行を頼み、妊娠中は行わ  ない。
 6) 妊娠初期から予防として上記1)~5)を励行することと、産婦人科ドクターにお願いして、妊娠初期に抗体検査をして、 感染の有無と状況を正しく把握することが肝要です。
また、感染が発覚したら、アセチルスビラマイシンという内服薬による治療方法がありますが、羊水検査の結果、おなかの赤ちゃんへの感染が確定した場合は、内服しても治療効果がありませんのでご注意ください。
その場合は別のお薬による治療となる可能性が高いです。
治療条件に該当する妊婦さんは、速やかに治療を受けられ、出来得る限りのリスクを減らしましょう。

2013年5月28日 (火)

妊娠初期の感染症検査の項目は端折らないで!

特定の細菌やウィルス等の抗体を持っているかどうかは、本当は血液検査で其々の抗体価を調べないと分かりません。
なのに時々、「私は子どもの頃に○○になったことがあるから、○○の免疫ある筈です。だから、○○の抗体価を調べるのは無駄だし、お金も掛かるから調べていただかなくて結構です。」とか、「麻疹と風疹の抗体価は調べてほしいけれど、おたふく風邪と水痘は検査不要です。」という風に、ある種の抗体価の検査を拒絶される妊婦さんがいらっしゃるとか。
多分その妊婦さんは、「家計の節約のため。」くらいのお考えなのでしょうが、実はそれっておなかの赤ちゃんを危険に晒しているのに近い行為なのですよ。

別にSOLANINは、何でもかんでも調べなさいとは申しません。
けれども、自分勝手に端折ったばっかりに、おなかの赤ちゃんがそれらの細菌やウィルスに曝露され、一生取り返しのつかない病気に罹ることだってあるのです。
少なくともその病産院でセットメニュー的に組み込まれている感染症の検査項目は、自分勝手に端折らずにきちんと受けてください。

余談ですが、感染症の検査項目のセレクトは、基本的に病産院毎かドクター毎の考え方というか裁量に任されているようです。
そのため、ワクチンや治療薬が無い感染症(HTLV・トキソプラズマ・サイトメガロ等)については、調べない病産院もあるらしいです。
妊婦検診の際に「感染症の検査をします」と言われたら、「何を調べてもらえるのですか?」と確認し、調べてほしい項目が含まれていなければ、ドクターに追加交渉するくらいのつもりでお願いしてみましょう。(ちなみに、抗体価検査の価格相場は1項目当り1000円前後で、決してべらぼうな金額を請求されるわけではありません。)

2013年5月12日 (日)

C型肝炎ウィルスと母乳育児。

C型肝炎ウィルスは1988年に発見された比較的新しいウィルスです。
C型肝炎の感染力はB型肝炎ほどには強くありません。
特に、RNA(-)ですと、母乳を介しての感染は心配ないと考えていいですから、普通におっぱいをあげてください。
RNA(+)ですと、定量検査をしてもらい、微量ならば、おっぱいは可能です。

多量ならばおっぱいを通しての感染の可能性があるので、、数年前感染を恐れて、母乳育児を諦めて完ミにされたお母さんがおられました。
3歳になった時点でお子さんの血液検査をしたところ、感染していることが判明し、母乳育児を止めたから感染予防が出来るとは限らないことがを知りました。
これについては、産婦人科だけではなく、小児科のドクターにも相談してもらうのが、赤ちゃんのためだと思います。

2013年5月11日 (土)

B型肝炎から家族を守る!その2

赤ちゃんへの垂直感染(=母子感染)は防御できたとして、旦那さんはどうなるのか?
というギモンが湧いてくると思います。
水平感染(=夫婦間感染)も血液を介して感染します。
例えば局部が怪我をしている時に、性生活をすれば感染の可能性大です。

「わざわざ病院に行くのもナンだしなぁ。」というお父さんは、職場健診や人間ドックの際にお願いして採血をしてもらったら感染しているか否かは判明します。
HBe抗原が(+)ならば、感染の可能性大なんですね。

こればっかりは、個人で頑張ればどうにかなる・・・って言うものぢゃ有りません。
1回は検査してもらいましょう。
検査を受けなくちゃ感染の有無は判断出来ません。

また、B型肝炎のワクチン接種は、年齢的なリミットがあります。
臨床的に見ていますと、おおむね40歳以上の方に接種しても、HBs抗体は出来にくかったり、一旦出来てもすぐに消えたりしがちです。
可愛いお子さんのためにも、B型肝炎のワクチンは接種した方がいいと思います。
もし、気づかぬうちにキャリアになったら・・・これまで通りに仕事が出来なくなったり、入院せねばならない事態にだってなるかもしれません。
40歳までの旦那さんで、HBs抗体(-)の方は、今が防御のチャンスだと思ってくださいね。

このB型肝炎のワクチンは、血液に触れる可能性のある医療関係者ならば、HBs抗体を作るために接種しています。
なかなかHBs抗体が出来なくて、毎年受ける方もおられます。

ちなみに、SOLANIN自身についてですが、B型肝炎のワクチンの接種していませんが、何故か、20歳以降にHBs抗体だけが出来ました。(高校卒業時、進学先に提出する検診での血液検査の結果は、HSs抗体(-)でした。
実家の家族は誰も抗原はおろか抗体もありません。

内科のドクターには、「若い頃、軽い感染をしたのでしょう。」とサラッと言われましたが、思い当たるフシは全くありません。
未だに謎です。
もちろん旦那も調べてもらいましたが、抗原も抗体もありません。
子どもたちも。
SOLANINは誰かに感染させることはないけれど、B型肝炎の患者さんが来られても、HBs抗体があるから怖くないです。

2013年5月10日 (金)

B型肝炎から家族を守る!その1

その昔、血液を介して感染る病気の一種であるB型肝炎は防御の方法が分からず、出産時の「垂直感染(=母子感染)」は不可抗力のように捉えられていました。
時は流れ、B型肝炎は防御が可能な病気になりました。
特に赤ちゃんには絶対に感染させたくないと思います。
万一出生後の赤ちゃんに何もしなければ、95%以上の確率で感染します。85%以上はキャリア(=保因者)になってしまいます。

B型肝炎はC型肝炎に比較しても感染力が強く、もしキャリアになってしまったら、病気が進行すると命に関わるから、恐ろしいのです。(もちろん、肝機能正常な無症候性キャリアという可能性もあります。・・・血液検査で分かります。)
可愛い赤ちゃんを感染から防御するためには?
そのためには『予防プログラム』を進めていかなくてはなりません。

まず、出生して48時間以内に赤ちゃんに免疫グロブリンを注射します。
担当のドクターから血液製剤を使用するにあたり、同意書にサインしてくださいと依頼されると思います。
その後赤ちゃんへの免疫グロブリンは1ヶ月健診の時くらいに注射します。
2ヶ月時にも赤ちゃんに注射するのが基本ですが、ウイルス量が少なければ、稀に注射しないこともありますが、注射されるもんだと心しておいてもらった方が無難です。
しかし、免疫グロブリンだけでは防御としては未完成です。

もうひとつの柱、つまりB型肝炎ワクチンを接種しなくてはなりません。
このワクチンは通常2ヶ月時、3ヶ月時、5ヶ月時の3回接種します。
これらを全て行って『予防プログラム』が完了したことになります。
赤ちゃんが感染防御に成功したか否かは、生後6ヶ月の時点で赤ちゃんがHBs抗体を獲得していたら”成功”したことを意味します。
もし、HBs抗体が出来ていなければ、B型肝炎のワクチンの追加接種が必要です。
もし、HBs抗原が出来てしまったら、『予防プログラム』は”失敗”したことになります。
”失敗”だからといって、B型肝炎のワクチンを接種しても、残念ながら効果はありません。
また、念のため、『予防プログラム』が完了しても最短で3年間はキャリア化しないかどうか、フォローアップが必要です。
適切な時期に、適切な防御行動を取れば、B型肝炎は防御できると考えていいです。

2013年3月 3日 (日)

HTLV(+)で、乳頭亀裂部からの出血時の対処法は?

<ご相談内容>
私は母乳育児に憧れ、意欲満々だった妊娠初期の或る日、産婦人科ドクターからHTLV(+)と告知を受けました。(涙)
産婦人科ドクターはHTLV(+)とはどういうものなのか、素人の夫婦にでも良く判るようにきちんと説明してくださいました。
その日から、生まれて来る赤ちゃんにおっぱいをあげるべきかどうか、侃侃諤諤、家族中で論じ合った結果、短期間(3ヶ月)までの直母(以後は断乳し、完ミに予定。)をすることになった新米母です。
現在産後8日目で、退院後間もない時期ですが、入院中から左乳頭頂に入っていた亀裂部からとうとうダダ~ッと出血してしまいました。(痛)
幸いおっぱい自体はそこそこ出ている(6日日で、5分2クールで30g前後哺乳出来ていました。)し、止むを得ず短期間しか母乳育児が出来ない立場の者からすれば、乳首に激痛を感じようがなんだろうが、母乳育児を1日たりともお休みしたくないのが正直な心境です。

でも、感染のリスクを考えたら、どうすればいいのか・・・
急なことで、勝手な相談ですが、取るべき手段を教えてください!

<SOLANINの回答>
母乳育児を楽しみにしていらっしゃったであろう方にとっては、HTLV(+)の告知は酷い現実だったろうとお察しします。
相談者さんの想い、家族の方たちの考えに相違があったであろう中で、まずは互いに歩み寄っての短期間母乳育児を選択されたことに敬意を表します。

さて、乳頭頂亀裂部からの出血となれば、これはやはり亀裂部が落ち着くまで2~3日くらいかかるかと思いますが、出血している方の左側の直母はお休みして、無傷の右側の方からだけの直母に留めてください。
その際の注意ポイントは、乳頭損傷が起き易くなるので、くれぐれも片乳だからと延々と右側を咥えさせるのは止めましょう。
おっぱいの出方は日齢的にはいいのですが、漸く立ち上がってきた段階ですので、さすがに右側だけの完母でやりくりするのはちょっと難しいかなぁ。
出血が収まるまでの2~3日はミルクを補足してください。
赤ちゃんの体重が書いてないので、ナンですが、仮に3000g前後であれば、1回のミルクは20~30mlに留め、カップやスプーンやスポイドなどで与えてください。
回数は8回/日です。
それから、直母お休みの左側のおっぱいですが、放置したらうっ滞してトラブるか、一気に分泌低下するかのどちらかになる恐れ大なので、直母回数と同じ回数の搾乳をしましょう!

2013年2月21日 (木)

淋菌感染が発覚!(妊娠9ヶ月)

<ご相談内容>
予想外のことが発覚しました。
この間の妊婦検診で、出産前の採血や膣分泌物の検査をしてもらったのですが、何と私は淋菌に感染していました。

特に自覚症状は無いのですが・・・
淋菌ってことは、性行為による感染ですよね?
でも、身に覚えは無いのです。
神様に誓って無いと断言できます。

もうすぐ出産の大事な時期に、なんで淋菌に感染したのか?(涙)
恥かしくてショックで誰にも言えません。

淋菌に感染している産婦から生まれた赤ちゃんには、どのようなリスクがありますか?
淋菌がおっぱいから出てきたりしませんか?
陰部ヘルペスの方のように、帝王切開になるのでしょうか?
不安でいっぱいで、気が変になりそうです。

<SOLANINの回答>
え~っと、まず最初に確認ですが、旦那さんには淋菌に感染していることを相談しているのですよね?
淋菌は一般的に性行為で感染しますからね。
夫婦ですから旦那さんも感染していると思われます。
こればかりは黙っているべきことではありませんよ。

何はともあれ、早急に旦那さんも検査して感染の有無を調べてもらいましょう。(こんなことを申し上げるのは心苦しいのですが、相談者さんが神様に誓って断言できると仰るのであれば、感染経路は旦那さんという可能性は否定できないですね。)
夫婦で感染しているのであれば、当然ですが、夫婦そろって一刻も早く治療することになります。
淋菌に感染しているから帝王切開・・・という例はSOLANINはこれまでに聞いたことが無いですが、完治していない場合、新生児への感染率は大体30%前後だそうです。

産道感染で、生後3日目頃までに、結膜炎を発症する危険性があります。
対策としては抗生物質の点眼薬をします。

新生児が淋菌に感染していれば、結膜炎以外にも、髄膜炎や敗血症等を発症する危険性があります。
病状によっては他の新生児から隔離することになるかもしれません。

髄膜炎や敗血症等を発症すれば、生命に関わりますから、小児科入院となりますし、必要に応じて治療が施されます。
また、相談者さんや旦那さんが他の方に感染させる危険性があると産婦人科ドクターから指摘されているうちは、最低限のマナーとして他人様の新生児を触らない方がいいと思います。(実際にちょっと触ったくらいで感染させることは無いでしょうが、心情的な配慮として・・・ね。)

おっぱいに関しては、母乳から淋菌が感染することはないので、母乳育児は出来ます。
お母さんが治療のための内服をされても、おっぱいには影響はないそうです。

新生児が髄膜炎や敗血症等の治療をすることがない限り、お母さんから隔離されることはないと思います。

2013年2月20日 (水)

HCV-RNA(+)のお母さんは母乳育児をしてはいけないの?

<ご相談内容>
私はいわゆるC型肝炎ウイルスのキャリア(持続感染者)の妊婦です。
現在アメリカに住んでいるのですが、主治医が、「あなたはHCV-RNA(+)という状態で、人に感染させるチカラが強いから、母乳はあげてはいけませんよ。最近はミルクも母乳に近付いているからね。」と宣告されました。

ちなみに、このドクターのトコロでは、数か月前にもC型肝炎ウイルスの妊婦さんがいらっしゃったそうですが、彼女は私とは異なり、HCV-RNA(-)でしたが、同様に主治医の指示に従って、感染予防のために万全を期して完ミにされたそうです。

赤ちゃんが生まれたら、母乳育児がしたかったのに。(涙)
でも、赤ちゃんの感染予防のためには、母乳を諦めるしかないのでしょうか?

<SOLANINの回答>
アメリカにお住まいなのですね。
そうですか・・・しかし、相談者さんの主治医の仰ることに関しては、私には㌧でもさんの臭いがしますな。(困)
何故かと申しますと、少なくとも私の知る限り昔(!)から日本では、HCV-RNA(-)のお母さんに、母乳育児を制限しているということは、無い筈だからです。(汗)

HCV-RNAというのは、分かり易く言えば、C型肝炎ウイルスの成分です。
それが(+)の妊婦さんから生まれた赤ちゃんで、感染する危険性は、厚労省のデータによれば、約10%とのことです。

ただし、出生後はお母さんから移行した抗体のせいで、検査をしたら(+)ということはありますが、生後13ヶ月迄に95%の赤ちゃんから抗体は消失します。(逆に、生後12ヶ月迄は抗体検査をしても、胎盤経由で移行する抗体が赤ちゃんのカラダに存在するため、感染の有無については判定できません。)

また、(子どものうちは肝臓病が進行し難いので)万一の場合、オトナになってからでもインターフェロン等の治療が可能なことが判明しています。

更に、HCV-RNA(+)のお母さんが母乳育児をしたから、赤ちゃんが感染したというデータは無いし、リスクを考え泣く泣く完ミにしたのに、13ヶ月以降でお子さんを検査したら、結果がHCV-RNA(+)だったという症例もあるそうです。

しかし、C型肝炎の感染経路として血液からというのは間違いないので、仮に産後授乳中に乳頭亀裂が発生して出血しているのであれば、傷が治るまでは、直母はお休みしてください。
お休み期間中は、定期的な搾乳を行い、うつ乳によるトラブルの予防や分泌の維持に努めてください。

主治医対策(?)としては、厚労省のC型肝炎妊婦に関する指針のページを英訳されたものを持参されたり、そちらのC型肝炎の専門家やラクテーションコンサルタントに相談された内容を文書にして持参され、理解を深めていただくというのは如何でしょうか?

もしくは、妊娠経過や週数的に問題が無く、里帰りを受け入れてくれる病産院が見つかれば、日本に帰国して出産されても・・・と思ったりしました。

2013年2月19日 (火)

妊婦さんと新生児のいるご家庭で、おたふく風邪が発生したら?

SOLANINの勤務先で先日上の子(2歳女児)を連れて里帰り出産をされたMさんは、産後26日目の時点で、里帰り先の甥っ子(4歳男児)が幼稚園からお持ち帰りしたおたふく風邪を発症してしまい、家庭内がパニックなっているとのことでした。

Mさんは幼少時におたふく風邪に罹っておられます。
上の子さんは里帰りの半年前におたふく風邪のワクチンを接種されています。
でもしかし、この場合新生児は甥っ子さんと同じ空間に居て感染しないんだろうか?という不安があるとのことでした。

また、里帰り先であるMさんのご実家には兄夫婦が居られるのですが、こともあろうに義姉さんは妊娠中(発症時妊娠14週)で、自身はおたふく風邪の抗体があるかどうかが不明であり、おなかの赤ちゃんに何か影響があったらどうしよう?次回の妊婦検診まで3週間もあるし、心配で何も手につかないとのことでした。
(甥っ子ちゃんの看病はMさんの実母さんがされているとのことでした。)

ここで、ひとりひとりの感染リスクを考えるとどうなるでしょう?

◆まずMさんですが、幼少時に自然感染していらっしゃるので、恐らく現在も抗体は有ると思われます。

◆Mさんの上の子さんは、ワクチン接種後8週間以上経ちますので、抗体は出来ていると思われます。(ワクチンによる抗体は90~95%の方に出来ると言われております。)また、一度抗体が出来ても数年~10年間抗原に接することが無いと、抗体が無くなることも想定されますが、なにせ半年前ですので、そのパターンは無いと思われます。

◆Mさんの赤ちゃんは、胎盤経由の免疫バリアーがあるので、新生児のうちから感染することはまず無い筈です。
一般的にお母さんがおたふく風邪の抗体を保持しておられたら、10ヶ月くらいまでの赤ちゃんは感染しないと言われています。

◆では、義姉さんはどうなのでしょうか?
一般的におたふく風邪の潜伏期間は16~18日と言われています。
仮に義姉さんにおたふく風邪の抗体があれば問題なし。
もしも、義姉さんいおたふく風邪の抗体が無かったら?
おたふく風邪のウイルス排泄期間は発症前7日~発症後10日程度とされていますから、義姉さんに抗体が無ければ、感染の危険性は有ることでしょう。
しかしながら、週数的におたふく風邪だからおなかの赤ちゃんの胎児先天性異常(奇形等)のリスク因子が高まるとは考えにくいようです。

程度は様々ですが、おたふく風邪に感染していようといまいと、胎児先天性異常の発生頻度はある一定の割合で発生することは分かっていますから。また、ごく初期に感染すれば、流産の危険性はアップします。

しかし、おたふく風邪だからといって、流産の恐れは確率的に高まるというものではないと考えます。
もしどうしても心配であれば、お金はかかりますが近医にお願いして、おたふく風邪の抗体価を測定してもらうのも一手です。

何も分からないグレーゾーンでもやもやした気持ちのままで3週間も過ごすのは、精神的にしんど過ぎます。
それよりも検査の結果が早く出れば、それなりの心の準備や対処法が出来てくる筈です。

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