☆㌧でもな保健指導&集団健診の実態

2016年1月29日 (金)

へんてこりんな保健指導6

<ご連絡いただいたこと>
はじめまして。
現在、3ヶ月の子供を育てています。
最近、混合栄養からおっぱいだけになりました。
が、体重増加は少ないので困っています。
そんな中、最近体重測定のために市町村の育児相談に行ってきました。
が、そこでへんてこりんな保健指導を受けてきました。
「2週間前から母乳だけにしたんです。助産師さんの指導は受けてます。」
→「体重12.8㌘/日…少ないけど、2週間後の3ヶ月検診まで様子見ましょう」
「お風呂上がりには湯冷ましを飲ませてあげて」
「湯冷ましをあげるときはスプーンで。そろそろスプーンの感覚にも慣れさせないと」
体重増加不良なのに、湯冷ましをあげることをすすめられても…(あげませんけど…)
他にもさんざん言われて、落ち込んで帰ってきました。
今回はあくまでも育児相談会…
2週間後に3ヶ月検診があると思うと憂うつです。
<SOLANINからひとこと>
なんていうか。
凄い頓珍漢ですね。
担当者が助産師なのか保健師さんなのか判然としませんが・・・
もしもSOLANINがこのお母さんと対面した担当者だったらなんて答えるかな?

そうですね、まずは授乳回数の確認をしますね。
それから、キョロちゃんでないかも。(授乳のクオリティが高いか否かの確認は重要ですもの・・・)
それから、頸の据わり具合。(100日未満であれば完全に据わっていなくても心配ないですが、ほぼ据わっているかどうかの確認は重要ですもの・・・)
それから、あやすとニッコリ笑ってくれるかどうか。
それから、おしっこやうんちの出方、回数、量などが極端に減少していないか。
それから、機嫌が悪い時間が増えていないか。
それから、眠りのリズムが乱れていないかどうか。
そういうことが見受けられるなら、折角完母になったことに水を差すようだけれど、敢えてミルク補足再開してもいいのではないかと思いますので、率直に伝えるだろうなぁ。

でも、そういうことは無くて、生下時体重から相談会日の体重を日割り計算して20g以上/日であれば&赤ちゃんの皮膚の色艶・活気・筋肉の緊張感などに問題無ければ、2週間後まで様子見ましょうかとアドバイスすると思います。

余談ですが、お白湯をスプーンで飲ませましょうなんて、口が裂けても言わないですが。(笑)

2015年12月 9日 (水)

風邪引きでお母さんが37.5℃以上になると、母乳が汚れる?

<ご相談内容>
 
風邪を引いて近医を受診したら、「37.5℃以上の発熱時は、細菌やウィルスの毒素が母乳に出るから、そんな汚い母乳を飲ませてはいけないと言われました。」もうびっくりです。
そんなことが有り得るのでしょうか?

 
SOLANINの回答>
 
お母さんが何らかの感染る病気になると、その抗体が母乳に含まれるようになるという報告は幾つもあるし、ラクテーションコンサルタントの先生方のご著書にもそのような記載があります。
 
つまり、細菌やウィルスの毒素が母乳に出て・・・というのはちょっと考え難いですね。
 
汚い母乳だなんて、失礼な!!
 
明らかに経母乳感染のリスクが指摘されている成人T細胞型白血病やAIDSなどであれば別ですが、風邪の原因となるウィルス(それも抗体じゃなくて毒素?)が母乳から出るなんてSOLANINは聞いたことが無いです。
 
科学的認証実験に基づく根拠もないのに、無闇やたらとお母さんを脅かすことは止めて頂きたいですね。
 
ドクターの一言の意味するところはとても重いので、「そうなのか!」と受け止めがちですが、どうか正しい知識を身につけて、不必要な断乳は止めてくださいね。

2015年4月 7日 (火)

男性産婦人科ドクターに、「とっとと断乳しろ!」と言われた。(嘆)

ご連絡いただいたこと>
はじめまして。
1歳3ヶ月の息子を持つ母です
産後3日目から完母で育て始め、今では立派なおっぱい星人が育ちました。
ありがたいことに母乳があふれるほどに出て、息子もよく飲んでくれたせいか、体重がどんどん増えて飲ませ過ぎかと悩んで検索魔になっていた頃、こちらのブログにたどり着きました。
それからは何かとお世話になり息子と楽しいおっぱいライフを過ごしてきました。

そんな折、待望の第二子を授かり、現在8週。
こちらの記事を見てタンデム授乳も目指していますがつわりが辛くなってきて言い聞かせをはじめました。
私が座っているとすぐ近づいてきておっぱいサインを出してきてすぐに欲しがるので、今しんどいからちょっとにしてね、今おやすみしてるからあとにしようね…
遊びに誘ったりして回数はや減ってきました。
夜中はまだ2回ほどはほしがるのでそちらはあげています。
現在、つわりが辛いので実家に帰り、里帰り出産予定の病院で検診を受けています。
そこのドクターに授乳中で、自然卒乳を目指してると話したところ、「お腹の赤ちゃんが流産したらあなたの責任だ。 卒乳は普通の人が目指すもので妊婦の目指すものではない。 もういい年なんだしとっとと断乳しろ。私は強制はしないが助言はした。」
と言われ、黄体ホルモンの注射と、ダクチラン錠、デュファストン錠を処方されました。
おっぱい止める薬も出そうかとも言われました。
そういう見解のドクターがいることは分かっていましたが、息子の気持ちも考えずそんなことを言われ涙が出ました。
息子を産んだ産院で、母乳育児にもこちらからお願いすると授乳についてなどしっかり指導して頂いて頼りにしていただけにがっかりでした。
影で助産師さんからフォローがあったので救われました。
やはり男性医師には母乳育児の幸せな気持ち、分からないんですかね?
息子と自然卒乳目指して頑張ろうと思います。

長々と失礼しました。

<SOLANINからひとこと>
ううむ。
まぁ、確かに何科のドクターであろうとなかろうと、男性は出産できませんから、妊婦さん(+授乳中の方)のお気持ちが分かりにくいことはあるでしょうし、女性のドクターであっても出産経験の有無にかかわらず、同様の方はいらっしゃるのも事実でしょう。

これは、個人の資質の問題ではないでしょうか?
相手の気持ちを推し量ることを、忖度(そんたく)と言います。
毒舌なSOLANINが、僭越ながら仕事上モットーとしている言葉のひとつです。
妊娠中に授乳を継続することで、このお母さんの妊娠経過や引いてはおなかの赤ちゃんに支障を来たすことが明確であるならば、このドクターの仰っていることは正しいのでしょうが、ご連絡いただいたことの文章から読み取れるのは、「もういい年なんだし」とか、セクハラまがいの感覚的な感情論で、まくし立てていらっしゃるような印象を受けます。(汗)

けれども、世間には性別を問わず、人として尊敬できるドクターや忖度のできるドクターも大勢いらっしゃいます。
こう言っちゃあ身も蓋もないですが、アタリが悪かったのだと思われます。(涙)
大変不愉快な想いをされたようですが、助産師のフォローがあったと知り、安堵しました。

自然卒乳出来るといいですね。
蔭ながら応援しています。

2014年11月25日 (火)

飲むなって言ってるんじゃないのよ、でももう1歳半だからね。

<ご相談内容>
SOLANINさん、はじめまして。こどもが新生児の時、ほんとにちょこちょこおっぱいを飲むので足りないのかな?と心配でしたが、SOLANINさんのブログで励まされながら完母で育て、今では娘はおっぱい星人、身長は発育曲線ギリギリですが、体重は真ん中の1歳半です。
今日の1歳半健診での話を聞いてください。
1歳半健診で、娘はつみきつみ、物の名前をクリアし、小児科では「上手に子育てしてるね。おっぱい飲んでるんだ。いいことだよ。2歳までは気にしないであげていいよ。」
歯科検診では「よくみがけています。虫歯はないです。」と言ってもらって一安心。あとはフッ素ぬってもらって終わりだー☆と思っていたのですが・・・
フッ素を塗ってくれる歯科衛生士さんに、座るやいなや、「おっぱいなんのために飲んでいるの?」と言われ、え?と思いましたが、『触れ合いのためです。ほしがるし、私もまだあげていたいんです』とこたえました。
すると、「飲む口と食べる口はちがうんだよ。少しずつ減らしていって」・・・食事と虫歯の心配?と思い、『食事はよく食べます。固いものも。(フランスパンも噛み切ります)夜、歯磨きした後は飲んでないです。家にいたら食事の後とか飲みたがりますが、外出したときは飲まないでいられます』と言うと、「飲むなっていってるんじゃないのよ。でももう1歳半だからね!」…『はい(苦笑)』
いつ、何回なら飲んでいいのか。私には飲むなと聞こえました。
周りは母乳を飲んでる子がいないので相談よろしくお願いします。

<SOLANINの回答>
はい、そうですね。
この歯科衛生士さんは、ほぼ「もうおっぱいは止めちゃいなさいよ!」とおっしゃってるも同然ですな。
飲む口と食べる口は違うというニュアンスは分からなくもないですが・・・

相談者さんのお嬢ちゃんは、しっかり噛む力をつけてきていらっしゃいますし、口腔ケアもきちんとされていますし、TPO的にも困ることは無さそうですし、どう考えても何の問題もないですよ。
寧ろ、凄いなと思ったのは、歯磨きした後はおっぱいを飲んでいないという・・・これはなかなか出来るものじゃありません。(少なくとも大昔母乳育児真っ最中のSOLANINには添い乳は必須でしたから、そういうことは不可能でしたよ。)
いつ、何回なら飲んでいいかなんて、決まりは無いですからね。
こんなにご立派に母乳育児を継続され、尚且つ愉しんでいらっしゃる相談者さんに対し、何も申すことはございませんですよ。
理不尽なアドバイスとしか思えないので、受け流しちゃってくださいな。

2014年11月21日 (金)

㌧でもなドクターに遭遇!?

お<ご連絡いただいたこと>
生後3ヶ月の娘を完母で育てています。
こちらのブログには本当にお世話になっております。
これまで安定して30g/日以上増えていた体重がここ2週間ほどなかなか増えず、2週間での増加量が16g/日と、これまでの半分まで落ちました。
授乳回数や哺乳量などはこれまでと同じです。
最近便の回数も多く、下痢気味なこともあり、乳糖不耐症かもしれないと思い、近所の小児科を受診しました。
母乳育児の知識のない医師だったようで、
○哺乳回数が多い(9〜10回と伝えました)から1回哺乳量が少ない。(1回哺乳量はたまに測ってだいたい100g強です。)哺乳回数を1日5回位にして、1回に200gくらい飲ませなさい。
○便の回数が多いから体重が増えないなんて聞いたことがない。
○(吐乳の回数も増えたことを伝えると)哺乳回数が多いから吐く。
と、何ともめちゃくちゃなことを言われ、ここ2週間での増加量の変化について伝えても、
1ヶ月健診からの増加量でみれば問題ない。これまでの増加量だと太り過ぎになるから、赤ちゃんが自分でセーブしてる。と。(平均より上ではありますが、成長曲線内で推移しています。)
こちらの訴えを全くとりあってくれず、下痢も哺乳回数を減らして腸を休めれば治る。赤ちゃんの泣いてるサインを読み間違って母乳をあげすぎ。と言われました。
こちらで、とんでもな保健指導の話は聞いていましたが、まさか自分がそれを言われるとは、とびっくりしたと同時にあきれて腹が立ちました。
本当に、母乳育児をしっかり理解した小児科医が増えてほしいものです。
あまりに腹が立ち、どうしても聞いて欲しかったので、思わずコメントしてしまいました。
娘の様子を見つつ、他の病院を探してみます。
寒くなってきましたし、お忙しいと思いますが、体調を崩されないようご自愛ください。長文失礼しました。

<SOLANINからのひとこと>
3ヶ月の赤ちゃんと言えば、満腹中枢が形成される頃なので、それまでのようにはガブ飲みはしなくなってきます。
体重増加度は新生児の頃から比べたらペース的に半減しますが、それは当然のことですし、お嬢ちゃんの体重が成長曲線内であることから、問題はないと言えるでしょう。
うんちの回数が多くなったことが気がかりだったのは、お母さんとしては当然でしょうが、過去記事にもありますように、お嬢ちゃんの機嫌が良く、体重そのものが平均より上&体重増加度が月齢相当であれば、乳糖不耐症の可能性は低いですし、
仮にそうだったとしても治療は必要ないレベルであると考えて差し支えないでしょう。

SOLANINはお嬢ちゃんの診察に立ち会ったわけではないので、ちょっとした言葉のニュアンスの違いは把握できませんが、客観的に見て、このドクターが乳糖不耐症の検査をしてくれなかったことは、(文面から読み取る限りお嬢ちゃんの状態からは)決してNGではないと思います。
ただ、授乳回数を少なくしなさいとか、授乳回数が多いから吐乳するとか、便の回数(下痢ということ?)が多いせいで体重増加不良になる赤ちゃんは居ないとか、アレレ?なことも仰ってますね。(汗)
となると、失礼ながらこのドクターはあまり母乳育児に関しての知識が深いor熱心なわけではないのかもしれませんね。
別のドクターを探された方がストレスが少なくなりそうですね。



2014年6月20日 (金)

「母乳育児を妨げる囁き」に耳を傾けないでね。

家庭訪問や集団健診の場で保健師さんや栄養士さんから「その日の最後の授乳の際はミルクを足しなさい。そうすれば夜ぐっすり眠ってくれるわよ。」という一見親切そうなアドバイスを受けた方、相当いらっしゃるのではないでしょうか?
あっ、あれね、「母乳育児を妨げる囁き」なんです。
だから、真に受けて従ったりしないでね。

2014年5月27日 (火)

へんてこりんな保健指導5(若干改訂版)

4ヶ月半で8620gもある大きな赤ちゃんのお母さんからご相談がありました。
健診で担当小児科ドクターに以下のようにアドバイスされたそうです。
①「(ここまで育っていたら)もうすぐ母乳は出なくなると思いますよ。」
②「離乳食を早めにスタートさせたらいいし、離乳食で足りない分はミルクあげたらいいし。」
③「これくらい(体格が)大きければ下痢しても哺乳しなくても、大丈夫。」

最初に申しておきますが、これらのアドバイスは全て㌧でもです。
この小児科ドクターの仰ることを真面目に受け止めないでね。
その理由について、述べてみましょう。
①ですが、おっぱいを吸わせるのを止めたら段々出なくなってはきます。
でも、授乳中のお母さんがそんな事されるわけないでしょう?
っていうか、ありえないですよね?
もしもうすぐ母乳が出なくなると言い張るならば一体何日後まで&何gまでならば出るっていうのでしょうか?
赤ちゃんの体重が大きくなったらおっぱいが出なくなるなんて、エビデンスがゼロですね。
②離乳食=固形食ですから当然固形食の方がおっぱいよりも、カロリーベースで高いのは小学生でも分かること。
赤ちゃんの内臓機能の発達段階を考えて離乳食を食べさせるのが筋なんです。
体重が大きいから早く離乳食スタートというのは大昔の考え方です。
③体格が大きくても小さくても下痢や哺乳力低下は大変です。
病気や体調不良は早く治してあげたいものです。
「下痢して一時的に体重が減っても大きな赤ちゃんだから神経質にならなくていいよ。」とお母さんを安心させるために言ったのかもしれないけど、完全に言葉足らずですな。
どんな意図があったにせよこのアドバイス内容は、小児科ドクターとしての見識を疑いますな。

2014年5月26日 (月)

へんてこりんな保健指導4(改訂版)

新生児家庭訪問という事業があります。
2013年度からは、出生時体重による線引きは無くなり、事業は市区町村に移管されました。
一般的には、市区町村の保健センターの担当者(保健師さんや助産師)が、訪問依頼の葉書を出された方を中心に家庭訪問されています。
(初産婦さんには葉書無しでも訪問する市区町村や、葉書の有無を問わず初経産を問わず全戸訪問をされている市区町村もあり、事業の実態は様々です。)
無料で利用できる制度なので、良いことだと思います。

かつてSOLANINも自分の職業は伏せて長男と次男の出産後に家庭訪問を依頼したことがあります。
保健師さんの保健指導ってどんなだろう?って興味があったのと、義母に最近の子育ての常識を知ってほしかったから。(←これは長男の時)
私を担当してくれた保健師さんは年配の方でしたが、ちっとも高飛車ではなかったし、言葉も丁寧で分かりやすいし、来ていただいて勉強になりました。

SOLANINの知る症例として、明らかにミルクの補足を必要としている他院出産の新生児がいらっしゃいました。
私が対応させて頂いた段階(おそらく2週間前後)で500ml/日のミルクの補足をされていました。
その日に直母量測定したら8gで、分泌はジワジワと滲むくらいでした。
とてもじゃないですが、ミルクの補足を減量できる状況ではなかったです。

しかし、その2~3日後にやって来た新生児家庭訪問の担当者は、そのお母さんに対し碌におっぱいの分泌も見ていないのにも拘わらず、(たまたま体重増加が良かったのか、直母量測定してまずまずの結果だったのかもしれませんが)「今日からミルクは200mlに減量して直母を頑張るように。」と指導されたそうです。
その2日後に、㌧でも指導を遵守されてしまった赤ちゃんが脱水で発熱して休日に緊急入院となったという事件(?)がありました。

後日、一連の経過を聞いて私はぶっ飛びそうなくらいビックリしました。
一歩間違えば人命に関わることですよ。
母乳育児を推進するなら、訪問先のお母さんのおっぱいの分泌と赤ちゃんの哺乳力を見極めるのが最低限必要だと思います。
百歩譲って見極めたとして、ミルクの補足をこんな一気に減量するのは、ギャンブル性が高過ぎるというか、セオリー無視っていうか、あまりにも無茶苦茶です。

なおかつ、病産院や母乳外来で指導している内容を卓袱(ちゃぶ)台返しの如くひっくり返すのであれば、万一に備え、再訪問してフォローするのがスジってものです。
ちなみにこの担当者、言うだけ大賞ってヤツなのか、再訪問の約束なんて無かったそうです。
こんなことが罷り通るのは間違っています。

2014年5月25日 (日)

へんてこりんな保健指導3

先日の記事に読者さんからのコメントで、びっくりすることがありましたので、記事にさせていただきます。
生後1ヶ月の赤ちゃん健診で、医療者から「ビタミンKの補給にたまにミルクをあげてね。」という指導があったそうです。

ビタミンKは赤ちゃんの体内では合成されません。
母乳に不足している唯一の栄養素とも言えます。
なので、生後1日目と退院前(通常生後4日目~6日目頃)、そうして生後1ヶ月健診の計3回にわたりシロップのカタチで投与します。
(NICU入院中の小さい赤ちゃんには、注射のカタチで投与されることもあります。)
確実な投与をすれば、新生児の消化管出血(いわゆるメレナ)や頭蓋内出血を予防できます。
ビタミンKは母乳に不足しているものの、この3回の投与を受ければまず安心です。
また、お母さんが納豆やキャベツ、小松菜やほうれん草などを積極的に食べられると、おっぱいにビタミンKが出てきます。
それで事足ります。

なのに、「ビタミンKの補給にたまにミルクをあげてね。」・・・とはどういうこっちゃ?
おかしいやないの!
お母さんが何も知らないだろうということで、こんな悪質な指導をするのですね。
医療者に言われたら、驚きつつも真に受ける方だっておられることでしょう。
どういった職種の医療者だったかは詳細は不明ですが、可能性が大有りなのはミルク屋さんから派遣されて健診室の一角に鎮座している栄養士さん。(もちろん、自社製品のセールスウーマンですな。)
もしくは、担当の小児科のドクター。(ミルク屋さんから〇〇を頂戴されていて、赤ちゃんのお母さんにミルクを勧めることを使命としておられるのですな。)
WHO/ユニセフでは「医学的必要がないのに、母乳以外のもの(=糖水やミルク)を与えないようにしましょう。」と、10か条で表明しています。
「ビタミンKの補給に。」・・・という一見もっともらしい言い草に惑わされてはいけませんぞ。
賢いお母さんになってくださいね。

2014年5月24日 (土)

へんてこりんな保健指導2

公民館や保健センター等で、「すくすく教室」とか「すこやか赤ちゃん」などの名称で、市区町村の保健師さんやフリーランスの助産師さんが、母乳育児について保健指導(いわゆる育児教室)をしておられますが、みなさん参加されたことはありますか?

実は約2か月前から他院出産のあるお母さんの育児相談を担当することになったのですが、困ったことがありました。
出逢ったのは生後29日目で、赤ちゃんが乳頭混乱で直母が出来なかったのです。
その頃の保護器を使用しての直母が3回/日のみで、ミルクの補足が500ml以上/日(ミルクの回数は8回/日)、直母量を測定しても、30分以上介助しても14gという有様で、冷静に考えて(キツいようですが)いきなり完母は到底困難な状況でした。
乳頭混乱ついては、再診した36日目の2日前頃に片方のみ克服され、それからかなりの期間を要したものの、反対側も克服されました。
そこまでは良かったのですが、このお母さん、「次は●日に受診してくださいね。」とお願いしていたにも関わらず、その後音信不通でした。
母乳分泌が少なめで遅れていましたから、何とか力になりたかったのですが、受診されなくては手の施しようがありません。

そして再会したのは、77日目でした。
その間は件の育児教室に行かれていたことが、母子健康手帳を見て判りました。
生後57日目のことです。
その頃は吐き戻しが3回/日はあったとかで、ミルクの補足は相変わらず500ml前後/日という状態で、直母を7~8回/日に増やしておられたそうです。

そうしたら、年配の助産師(氏名不詳)から「それはたくさん飲めるようになったということだから、いっそのこと、ミルク全部止めちゃいなさい。」と、指導されたそうです。

なんかおかしいと思いませんか?
生後36日目~57日目の体重増加度は44.3g/日と立派だったのですが、毎日ミルク500ml前後補足しての数値ですから、べらぼうな増え方とは言えません。
平均的な体格の月齢1~2の赤ちゃんですと、男児でおおよそ39g/日、女児で36g/日くらいです。
吐くのは確かに新生児の頃よりもたくさん飲めるようになったのでしょうが、この場合げっぷが不十分だったことが要因として大きいのです。
だって、哺乳瓶で飲んでいるのですから。
哺乳瓶の中が真空なら話は別ですが、そんなわけないですし。

恐らくこのお母さんは育児教室の担当が年配の助産師だったし、押し出しの強い方だったそうで、鵜呑みにされたのですね。
で、77日目に私と再会した時は、育児教室に参加されてから-6.0g/日と、減少していたのです。
この時このお母さんはミルク補足が経済的に負担であることと、アレルギーが心配だという訴えがありました。
本来ならばこの段階でミルクを補足したかったのですが、思いがけず直母1回量が増えてきていたのと、その育児教室の担当である年配の助産師に何か意図があるのかとも思い、取り敢えず次回受診時まではミルク補足なしで様子をみることにしました。

そして生後84日目には育児教室に再び参加され、体重チェックをされたところ、77日目からの体重増加度は14.4g/日だということでした。
復活の兆候?でも体重増加度は少なくて微妙。
前回と同じ担当の年配の助産師はミルクの補足が必要だということは一言も保健指導がなかったそうです。

その後私のところに受診されたのは、92日目でしたが84日目からの体重増加度は16.6g/日でした。
う~ん。やはりこの月齢では少な過ぎます。
もうちょっと増えてくるかと思ったのですが、流石にこれでは完母のままでOKとは私も言えません。
体重増加度はとうとうパーセンタイルグラフを割り込みました。
それより気になるのは頭囲の増加もギリギリの崖っぷちということです。
直母1回量も伸びません。
この場合はミルクの補足がどうしても必要です。

生後57日目の段階でのミルクのカットが不適切だったんですね。
私が「何かの意図があるのか?」と推理していた年配の助産師の保健指導は実はなんの中身(おっぱいの分泌や赤ちゃんの哺乳力)も確認せずだったことが判りました。
そんなんで完母を勧めるのはいけないのではないか?という事例でした。

後で判明しましたが、この助産師、SOLANINの住むまちの保健センターの嘱託で新生児訪問をしている人でした。
隣町まで、仕事をしておられたんですね。
自分が保健指導したことの尻拭いをしないなんてサイテーだと思いました。

その他のカテゴリー

☆1ヶ月健診以降3ヶ月までの赤ちゃん ☆1歳以降の長期授乳 ☆3ヶ月~離乳食開始迄 ☆SOLANINの日常生活 ☆SOLANINの知恵袋・提案 ☆いわゆるブログ ☆おしっこ・うんち ☆おっぱいとお薬 ☆おっぱいとお食事 ☆おっぱいに関する私見 ☆おっぱいのコンディション ☆おっぱいの神秘 ☆おっぱいの飲み方 ☆おっぱいをあげていればこそのメリット ☆お出かけの時のおっぱいは? ☆お勧めしたい書籍 ☆お母さんとしてのマナー ☆お母さんの体のメンテナンス ☆かつての子育て経験から得た教訓 ☆ねんね関係 ☆タンデム授乳 ☆フォローアップミルクは不要! ☆ベビ待ち・挙児希望関係 ☆ポイントのずれ・デリカシーの無さにげんなり ☆ポジショニングとラッチオン ☆マタニティ&ベビー法律関係 ☆マタニティ&ベビー経済関係 ☆ミルク調乳に関する注意点 ☆モンスターとの対決? ☆リラクテーションは出来る? ☆㌧でもな保健指導&集団健診の実態 ☆乳児の栄養方法の歴史的変遷・風土の違いと問題点 ☆乳房トラブルと対処 ☆乳頭・乳輪トラブルと対処 ☆乳頭保護器・ゴム乳首 ☆乳頭混乱 ☆予防接種・抗体接種 ☆事情があっても倫理的に許せない ☆仕事復帰とおっぱいの両立 ☆体重増加不良に関係する病気 ☆体重増加度関係 ☆兄姉になる上の子の気持ち ☆出生~1ヶ月健診の頃 ☆出産から産褥期に見られる症状 ☆医学的・社会的理由による断乳 ☆医療機関の選び方による違い ☆医療職への素朴な疑問 ☆卒乳後の対処やケアは必要? ☆危険防止に関すること ☆双子の母へのサポート ☆同業他者へのお願い ☆哺乳ストライキ ☆天使ママの心身の調子とメンテナンス ☆妊娠中にしておきたい心と体の準備 ☆妊娠中に行う各種検査の意味 ☆妊娠中に起こり得る病気の治療・マイナートラブルの対処 ☆子どもを褒める ☆幼児の栄養とお食事 ☆幼児の発達段階と目安 ☆授乳回数と間隔 ☆授乳期のお食事 ☆搾乳の分泌維持と活用・冷凍母乳 ☆搾乳補足増減の判断基準 ☆断乳は反対! ☆断乳時のリスクと必要な対処やケア ☆旦那さんや祖父母へのお願い ☆様々な卒乳のかたち ☆歯科・口腔ケア関係 ☆母乳の免疫成分 ☆母乳の栄養成分 ☆母乳分泌のメカニズム ☆母乳分泌・不足感 ☆母乳育児のモチベーション ☆母乳育児の基礎知識 ☆母乳育児の歴史・風土・習慣 ☆母乳育児の知恵袋・こんな時はどうしたら? ☆母乳育児中には避けたいもの ☆母児のための整体 ☆母子感染 ☆混合栄養のお母さんへ ☆産婦人科以外の不調時の対処 ☆産後の心身の調子とメンテナンス ☆直接授乳が困難な赤ちゃん ☆知らないって怖い! ☆育児用品とその評価 ☆胎児が獲得する免疫 ☆胎内記憶・誕生記憶 ☆見くびっちゃいけませんよ! ☆言い聞かせ卒乳中の子どもの心と体 ☆赤ちゃんに行う検査関係 ☆赤ちゃんのスキンケア ☆赤ちゃんの個性 ☆赤ちゃんの哺乳力 ☆赤ちゃんの気持ち ☆赤ちゃんの生活リズムと環境 ☆赤ちゃんの病気予防早期発見と対処法 ☆赤ちゃんの発達段階の目安 ☆赤ちゃんの身体の特徴とケア ☆連絡事項 ☆陣痛から出産まで ☆離乳食開始から1歳までの赤ちゃん ☆離乳食(補完食)・水分摂取 ☆食物アレルギー関係

カテゴリー

2022年2月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28          

アクセスカウンター

  • アクセスカウンター
    現在の閲覧者数: