☆出産から産褥期に見られる症状

2013年9月25日 (水)

卵膜遺残とは?

卵膜遺残(らんまくいざん)って言葉、聞いたことがある方は、産婦人科関係以外では、恐らく該当者の産褥婦さんでしょうね。

決して脅かすつもりはありませんが、産後のお母さんに起こり得る異常のひとつです。
出産の際、卵膜が子宮内に残ることを指します。
まず赤ちゃんが生まれて、次に胎盤が出てくる際に、卵膜が裂けたり残ったりすることが時にあります。
勿論、そのようなことが無いか、直接介助した助産師が目を皿のようにして確認しているわけですが、少しでも疑わしい場合は、産婦人科のドクターが検査(胎盤鉗子やエコーなど)をされ、その場で治療方針を決められます。
大抵の場合、さほど出血量も多くならずに、産褥入院中に自然排出されるのですが、後に引くこともあります。

原因は様々で、子宮内感染(例えば早期破水していたのに、妊婦さんの気がつくのが遅く、来院が遅れたとか)のある場合や、胎盤癒着・付着(例えば今回の妊娠以前に帝王切開の経験がある・妊娠中絶の経験がある・6回以上の出産経験など)のある場合はそうでない方よりもハイリスクではありますが、それ以外の原因もあり、「○○だからである。」とは一概に言えないのが現実です。

治療方法としては、子宮収縮剤を使用して、出血を抑えるという治療方法が取られることもあるし、状況によっては、遺残した卵膜の除去ということで、子宮内掻爬術をされることもあります。
また、発熱などの症状から感染の疑いがある場合は抗生剤が使用されることもあります。
また、産科退院後に発覚したのであれば、血液検査(HCG定量)や子宮鏡検査等、
行われることもあるようです。

2013年6月21日 (金)

産後の貧血と母乳育児。

出産後の出血量500g以上を「出血多量」と言います。
概算ですが産後の出血が400~500gあれば、ヘモグロビンが1g/dlは減少します。

ちなみに、産後の出血が500g以上あれば、お母さんの血が薄くなっていることは間違いありません。

参考までに申し添えますが、女性の場合、ヘモグロビン値が11.0g以上/dlあれば、貧血ではありません。

産後はあくまで経験値としてですが、ヘモグロビン値が11.0g/dlを割り込んでいても8.0g以上/dlあれば、日常生活(=身の回りのことは自分ですること)や授乳(=おっぱいの立ち上がりが遅れるのではないかという懸念)に関しては特に問題は無いようです。
また、出血多量による貧血状態で母乳育児をさせたら、お母さんの貧血が酷くなると思い込んでおられる方が居られるようですが、それは根拠のないことです。

確かにおっぱいはお母さんの血液から造られます。
しかし、血液中の赤血球などの成分は通常、おっぱいには出てきません。(だからおっぱいは白いのです。)

仮にお母さんの血液=おっぱい・・・だったとしたら、母乳育児中のお母さんは数日の内に体内の血液が空っぽになってしまいます。
赤ちゃんは吸血鬼ではありませんから、いくら何でもそれはないでしょう?出血多量でお母さんが貧血になったとして、必要があるとドクターが診断されたら鉄剤の処方(注射や内服薬)がなされますので、日に日に改善していきますよ。

何年か前に産後出血多量でヘモグロビンが2.9g/dlまで下がったお母さんがに私は出会っています。

さすがにベッド上から起き上がれず、おしっこはWCに行けませんからバルーンカテーテルが留置され、授乳は毎回、全面的に助産師が介助(添い乳)してました。

で、貧血の治療を行いながら経過待ちしていたわけですが、徐々に回復され、日常生活も授乳も問題なくこなせるようになられ、無事14日目に退院されました。
(ちなみにこのお母さんは入院中も退院後もずっと完母です。)

貧血の治療はされたものの、実は無輸血で14日目のヘモグロビン値は7.0g/dlに上がるという、驚異的な回復をされています。
産後ならではのお母さんのカラダの不思議を感じます。

不謹慎な比較ですが、男性陣で出血多量による貧血の方が居られたとして、たった14日間でここまで(=数値的にもですが、特にADL的に)回復出来ないのでは?と思います。

2013年4月10日 (水)

帝王切開後の頭痛とは?

<ご相談内容>
一人目の時にはなかったのですが、帝王切開時の腰椎麻酔の副作用なのか、今回術後二日目ぐらいから頭痛が出てきました。
起きている時頭がぐゎーんとしています。

なので母子同室も今は儘ならず、授乳室に行くか頭痛がひどい時は部屋に連れてきてもらっています。
横になっていると平気なのですがこの副作用よくあることなのでしょうか(>_<)
同室希望だったので横になっているとなんだか自分が情けなくなってきます。
看護師さんも日にち薬だからと無理しないでと言ってくれていますが、どのぐらい続くのでしょうか?

携帯で調べてみたら紅茶(カフェイン?)が効くと書かれているのを見ましたがおっぱいにいいのかどうか…普段頭痛がない者なので頭が重いってこんなにしんどいのかと身に沁みて途方に暮れています。

<SOLANINの回答>
通常帝王切開の場合、腰椎麻酔をすることがポピュラーかと思います。
腰椎麻酔のお薬は色々ありますが、主な副作用としては、手術中は血圧低下と徐脈、手術後は頭痛です。
横文字ではPDPHとも言われます。

相談者さんの場合、まさにこの手術後のPDPHに悩まされているわけですね。
座ったり立ったりすると、増悪します。
PDPHは数日のうちに徐々に軽快しますが、あまり頭を動かさない方が症状が落ち着き易いです。
ですので、こういう場合は、母子同室で全ての赤ちゃんのお世話をするのは却ってよくないと思います。

病棟の看護師さんの仰るように、PDPHの場合、病室に赤ちゃんを連れて来てもらい、添い乳をするとか、頭痛が酷い場合は、無理せず産科ドクターが処方してくださる鎮痛剤を内服をした方が良いと思います。
確かにPDPHにはカフェインも効くようですが、新生児はカフェインに対して特にデリケートだと思いますし、臨床的には、それ以外のお薬になるかと思います。

勿論、産科ドクターが処方してくださるお薬は授乳することを前提に考慮してくださっていますから、安心して痛みのコントロールのため内服してください。
胃腸の弱い方は、おなかが痛くなることもあるので、その場合は胃薬も処方してもらった方が良いかもしれません。

症状が落ち着けば、終日母子同室は可能です。
不甲斐ないなんて思わないでね。
病室に赤ちゃんを連れて来てもらった時や授乳室に通われた時、赤ちゃんが目覚めていたら、何度でも次のように語りかけてくださいね。
「お母さんの頭痛が治ったら、いつでも一緒に居られるからね。」
「○○ちゃんも寂しいだろうけど、お母さんも寂しいのよ。もう暫くの辛抱だから待っててね。」
「美味しいおっぱいが沢山出るように、お母さんは頑張るからね。」
・・・大丈夫、赤ちゃんはきちんと聞いてくれていますよ。
そして、お母さんが元気になるのを待ってくれていますからね。

決して焦らないでね。

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