最近は新生児の血液型を調べない理由。(若干改訂版)
昔から、話のネタが尽きて何を話していいか分からない時に、血液型の話をすると盛り上がると言われます、
まぁ、それは多分に相性や性格を「占う」ということなのでハッキリ言ってお遊びですが。
さて、最近の病産院は生まれたての赤ちゃんの血液型を調べないトコロが殆んどになってきています。
数年前まではSOLANINの勤務先でもサービス的に調べてはいましたが、適切でないということで止めました。
生まれたての赤ちゃんの血液型を調べない理由をご存知ですか?
正確な血液型の検査を行おうと思ったら、赤血球に抗A抗体と抗B抗体を反応させて調べる「表検査」と、血清に抗A抗原と抗B抗原を反応させて調べる「裏検査」の両方の結果を出さないと、意味がありません。
ところが、新生児はこれらの抗体が無いので、仮に「裏検査」を強行しても、何も出て来ないのです。
言い方を変えれば、新生児は腸内細菌が幼児や大人とは異なりますので、まだ抗体が無いから「裏検査」というものが、実施できません。
血液型には様々な分類というか型がありますが、一般的に有名なのはABO式ですね?
A型は、B抗原に対する抗体を持っています。
B型は、A抗原に対する抗体を持っています。
AB型はAとB両方の抗原を持ち、AとB両方の抗体を持っていません。
O型はAとB両方の抗原は無く、AとB両方の抗体を持っています。
・・・このあたりの知識はお持ちでしょうから、詳細は割愛しますね。
つまり、血液型を調べたと言っても、検査が半分しか出来ていないのに、「●型です。」と断定するのは無責任だしおかしな話になってしまうのです。
中には心配性の方もおられるでしょう。
「事故に巻き込まれたり、手術が必要になるような万一の時、輸血とかが必要になったとして、血液型検査が間に合わなかったらどうしよう?」と。
でもね、輸血が必要な事故による損傷や手術では、親御さんの口頭発言(うちの子は●型です。とか。)を鵜呑みにすることは100%有り得ません。
事故などで搬送される場所は、輸血部を持つ総合病院クラス以上の規模の病院ですから、血液のバッグや血液製剤のストックを持ちあわせています。
輸血が必要ならば、予め交差試験をします。
その結果は直ぐに出るものですから、「間に合わなかったら・・・」ということがありません。
生まれたての新生児に痛い思いをさせても、確定的な結果が出せない検査だから止めましょうということになったんですね。
くれぐれも、小児科ドクター相手にゴネて検査をしてもらおうなんて振る舞いはしないでくださいね。